発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:Mac

机の上で作業をするというのではなく、大きなワーキングスペースをイメージして、そのなかで情報処理をすすめることが大切です。

パソコンが普及する以前はわたしたちは、紙の資料や紙のノートを机の上にひろげて勉強や仕事をしていました。

その後パソコンがつかえるようになってからは、机の上は、パソコンのデスクトップに移行して、デスクトップに書類やワープロのウインドウをひろげて作業をしていました。

そして今日、デスクトップからも解放されて、ワークングスペースをイメージ空間にひろげていくつものウインドウをそのなかに空間配置し、アプリを自在に横断しながら情報処理を並列的にすすめることが可能になりました。Mac OS X El Capitan の Mission Control をつかえばこのようなことが容易にできます。

今までは、机の上(デスクトップ)で勉強や仕事をするというやり方でしたが、これからのあたらしい時代は机の上から解放されて、自分独自のワーキングスペースをつくり、そのなかで情報処理をすすめるという方法に発展します。

クラウドとモバイルを利用すればオフィスにいる必要もありません。デスクの上やオフィスにとらわれるのではなく、大きなワーキングスペースをイメージすることが重要になります。

 
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Magic Trackpad 2


サイズが大きくなったアップルの「Magic Trackpad 2」をつかうと作業スペースが拡大します。

新しいトラックパッド「Magic Trackpad 2」を購入しました。サイズがとても大きくなり外観もかわりました。MacBook Pro でつかいます。

まず、Mac OS X を最新の「El Capitan」にアップグレードしなければなりません。ふるいバージョンではつかえません。 

つぎに、Lightning-USB ケーブルをつかって Magic Trackpad 2 を MacBook Pro につないだら Bluetooth ペアリングが自動的に完了し、すぐにつかえるようになりました。
 
新製品は乾電池式ではなく充電式になりました。充電された状態で出荷されているのであらためて充電する必要はありません。バッテリーがきれたら、Lightning-USB ケーブルをつかって Mac に再度つなぎます。満充電までにかかる時間は約2時間で、満充電から約1ヶ月は使用できるそうです。

スライド式電源スイッチが右後ろについているので、つかわないときは切っておきます。電源オンのときにのみクリックができるようになっています。電源オンのときにのみ擬似的なクリック感を発生させる仕組みです。

新機能として「強めのクリック」(感圧タッチ)があります。便利でもありますが "おもしろい" といった感じです。トラックパッドを押してから指先で圧力をくわえると(しらべたいテキスト上を1本指でつよめにクリックすると)「調べる&データ検出」機能がつかえます。

面積が大きくなったので、作業スペース(ワーキングスペース)が拡大し、つかい勝手はとてもいいです。

なお「Magic Keyboard」もあわせて購入しました。小さく薄く軽くなりました。旧モデルよりもみじかいストロークでしっかりタイプできますので大量に文章をうちこむ人にとってはいいでしょう。しかし Magic Keyboard は進歩はしているもののあたらしい機能は特別にはないようです。店頭でたしかめてから買ったほうがよいでしょう。

新しい Magic Keyboard、Magic Trackpad 2 >> 


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Mac OS X を最新版「El Capitan」にアップグレードすると Mac の動作が軽快になり「ライブ変換」などのあたらしい機能もつかえます。

アップルの Mac OS X を最新版「El Capitan」(10.11.1)に「Yosemite」(10.10.5)からアップグレードしました。パフォーマンスがあきらかに向上してあらゆる動作がはやくなり、さくさくとうごいて気持ちがいいです。

Mac OS X El Capitan(注1) >>

OS のアップグレードにあたり、その前に、Time Machine で Mac のデータをバックアップしました。バックアップはかならずしておかなければなりません(注2)。

El Capitan は App Store から無料でダウンロードすることができます。光回線でダウンロード、インストールもあわせて合計約50分かかりました。上書きでインストールし、クリーン・インストール(初期化してからインストール)はしていませんが今のところ不具合はまったく生じていません。


■ ライブ変換
El Capitan の進歩の一つは日本語システムが「ライブ変換」に対応したことです。

ライブ変換をつかうには、「システム環境設定」→「キーボード」→「入力ソース」→「(あ)日本語」から「ライブ変換」にチェックをいれます。つかわないときにはチェックをはずします。

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これまでは、ひらがなを入力してスペースキーをおすか句読点をうつと文節ごとに変換してくれる仕組みでした。 

El Capitan の日本語システムではこれにくわえて、キーをうったそばからその場で変換をはじめてくれる仕組みが登場しました。実際にためしてみると、これまでの方法とはあきらかにちがう体験がえられておもしろいですが慣れる必要があります。まずはためしてみるのがよいでしょう。学習機能は強力で、ユーザーの文章の特徴が学習され、つかえばつかうほど変換精度があがってきます。


■ メニューバーが消せる
デスクトップの上部に常に表示されてきたメニューバーが消せるようになりました。作業スペースがひろがります。表示されるマウスを画面上端にもっていくとプルダウンしてくる仕組みであり、Dock をかくす機能とおなじ挙動です。

「システム環境設定」→「一般」から「メニューバーを自動的に隠す/表示」にチェックをいれます。

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■ Split View(画面分割)
ウインドウシステムが全画面アプリを2つ配置する画面分割に対応し、Mac の画面に 2 つの App をならべて表示できます。ウインドウの全画面表示のボタン(左上の緑色のボタン)をおしつづけつと分割表示になります。

Split View >>


■ Time Machine のアイコンが変わらないとき
OS をアップデートしたあと、Time Machine 用のドライブとして使用しているドライブのアイコンが黄色いアイコンのままでいつまでたっても 緑色の Time Machine のアイコンに変わりませんでした。Time Machine によるバックアップは正常にできていて、ドライブの情報では Time Machine のアイコンになっています。

そこで、デスクトップ上で右クリックしてコンテキストメニューをだし、「表示オプションを表示」で表示オプションを表示させ「アイコンプレビューを表示」を一旦オフにして、ふたたびオンにもどしたら解決しました。


■ カーソルをシェイクすると大きくなる
ディスプレイ上でカーソル(マウスポインタ)を見失なったら、トラックパッド上で指を左右にすばやくうごかすか、マウスをゆらしてみるとカーソルが大きくなってすぐに見つかります。



▼ 注1:El Capitan 対応機種
iMac(Mid 2007以降)
MacBook(Late 2008アルミニウム製、またはEarly 2009以降)
MacBook Pro(Mid/Late 2007以降)
MacBook Air(Late 2008以降)
Mac mini(Early 2009以降)
Mac Pro(Early 2008以降)
Xserver(Early 2009)

▼ 注2
OS をインストールする前に Mac のメンテナンスもしておきます。
Mac のメンテナンスをする - Mac OS X El Capitan -


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MacBook Pro にハードカバーをつけると傷や衝撃から保護することができ、また持ち運びや取り扱いも気楽になります。

わたしは MacBook Pro の15インチモデルをつかっていて旅行や出張でしょっちゅうもちあるいています。

これまで合成レザー製のケースにいれていましたが、それにもかかわらずいくつも傷がついてしまいました。また気がつかないうちに MacBook の裏側が一ヵ所へこんでいました。気をつけていましたがどこかで衝撃がくわわったのだとかんがえられます。

そこでハードケースの購入を検討し、コストパフォーマンスに非常にすぐれる本製品を選択しました。このようなケースは消耗品であるためコストパフォーマンスにすぐれる必要があります。

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アップルストアやパワーサポートではこれよりも高価な高級品を販売していますが、機能的にはこれで十分です。カラーが選択できるのもよいです。カラーは多数ありますので、たまには普段とはちがうカラーにして気分をかえてみるのもよいでしょう。また ACアダプタ をいれるポーチが付属しているので旅行や出張にも最適です。

カバーをつけたお陰で持ち運びや取り扱いが以前よりも精神的に楽になりました。もっとはやく取りつければよかったとおもっています。

なお MacBook Air や 最新の 12インチ MacBook 用もあります。


GPS つきカメラと「写真」アプリをつかうと、体験や思い出、あるいはある情報に最初にであった地点を地図からたどることができてとても便利です。

iPhone などに装備されている GPS つきカメラで撮影した写真は、たとえばアップルの「写真」アプリをつかうと、「マップ」上に撮影地点が自動的に表示されます。たとえばわたしが先日旅行したルンビニで撮影した写真は「マップ」の「航空写真」上に下図のように表示されます(図)。

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 図 「マップ」の「航空写真」場に撮影地点が表示される

「写真」アプリで撮影した写真を表示し、グレー色でしめされた地名をクリック(iOS の場合はタップ)すると、「マップ」の地図あるいは航空写真に撮影地点が表示されます。

「マップ」上の撮影地点をクリック(あるいはタップ)すると、その地点で撮影したすべての写真が自動的に表示されます。こうして体験や思い出がマップからたどれます


この仕組みは、写真を整理するために非常に便利です。これは、写真を検索する役割を地図がはたしていて、地図がインデックス・マップになっているわけです。

この、地図をインデックス・マップにするという仕組みは記憶法や情報処理全般に応用することが可能です。

写真が撮影地点にむすびつけられているように、あらたな情報を、その情報にであった地点(インプットされた場所)にむすびつけて記憶し、地図や航空写真上でその地点を見てその情報をおもいだす訓練をします。

これは、その情報に最初にであった地点にその情報をむすびつけて記憶する、情報を場所記憶にしてしまうという一種の空間記憶法です。個々の場所に情報をむすびつけて記憶するということは、情報や体験を場所で想起するということです。

* 

これをさらに応用するならば、何か重要なことをおぼえたい(記憶したい)とおもったら、そのためにあらたな特定の地点をつかってもよいわけです。たとえば重要な専門書をはじめておとずれる場所で読んでみるのです。その重要事項をその地点にむすびつけて記憶しておけば、地図上でその地点を見るたびに、その本を読んだことあるいはその重要事項を思い出としておもいだせるわけです。

ここでも、地図あるいは航空写真がインデックス(検索)の役割をはたします

このように、iPhone と「写真」アプリ、「写真」と「マップ」の連動は、場所記憶(空間記憶法)を実践するために大いに参考になり、この仕組みは、空間をつかった情報処理へとさらに発展させることができます。


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Google Earth 画像を iPad でみながら現地をあるく


『アップルのデザイン戦略』は、iPhone をはじめとするアップル製品を分解するなどしてアップルのデザイン面での挑戦を分析しています。デザインの力を信じてそこに投資するアップルのものづくりの姿勢がわかります。

本書は、雑誌『日経デザイン』の過去の記事をもとに加筆・修正して再編集した本です。

目 次
第1章 分解
 iPhone 5 恐ろしく洗練されたが、挑戦はない
 iPod touch「一見普通」に隠された恐るべき金属加工 
 iPad mini、iPodtouch 問われる設計者のデザインセンス
 iPhone 5c「樹脂らしさ」を消す工夫と努力
 iPhone 5s 洗練に次ぐ洗練を重ねたデザイン
 MacPro 繊細さは工芸品の域

第2章 箱
 アップルが見せる「シャープな角」への執念
 1箱600円。「豆腐型」パッケージの革命
 Column 箱に込めた思いは昔から同じ

第3章 対決
 VS. ソニーほか iPhone は、もはやファッションアイテム
 VS. マイクロソフト Surface RT 前編 周辺機器はアップルを超えたか
 VS. マイクロソフト Surface RT 後編 見習いたい「技術を生かすセンス」
 VS. サムスン電子 “模倣”の代償は売上げの2割

第4章 未来
 ワイヤレス充電はアップルストアで生きる
 圧力センサー搭載デバイスで広がるジェスチャー操作の可能性
 次世代樹脂製 iPhone は光をまとう?
 ウエアラブル端末向け素材はレーザーカットで作る
 腕時計型端末の特許から分かった iPhone 後のデザイン
 アップルが持つ夢の技術「金属ガラス」とは何か
 iWatch で変わるアップルの素材。次はセラミックスか?

第5章 識者が見るアップル
 インタビュー1 ブランド作りの多くをアップルから学んだ
 インタビュー2 アップルの思想は、ジョブズ後さらに先鋭化した

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丸みをおびた形で統一された部品、色によって加工方法がことなるロゴ、高い精度でつくられた筐体など、工芸品の域に達した繊細な技術をみせてくれます。iPhone などのアップル製品の中身を写真でみることができ興味ぶかいです。

また iPhone などをいれる箱(パッケージ)も分解してしらべています。ずいぶん立派な箱にいれて売っているとは以前からおもっていましたが、アップルがここまでこだわりをもって箱もつくっているとは知りませんでした。

アップルは従来のいわゆるメーカーとはちがうことがよくわかります。日本のメーカーともちがいます。本書は、

我々がやるべきことは、テクノロジーとリベラルアーツの交差点に経ち、そこからモノを作っていくことだ

というアップルの思想を確認することができる一冊です。モノづくりには思想が反映されています。
 
そしてアップルはモノづくりにとどまらず、ハードとソフトとインターネットをくみあわせた総合的なシステムを構築し、そこからあたらしいライフスタイルを創出しようとしています。

システムとはやや抽象的ですがこのようなモノを通して具体的に知ることができます。モノをみたらその背後にあるシステム全体を想像することが重要でしょう(図)。
150708 モノとシステム
図 モノをみてシステム全体を想像する



▼ 引用文献
『アップルのデザイン戦略 カリスマなき後も「愛される理由」』日経BP社、2014年5月19日
アップルのデザイン戦略

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MacBook
新しい MacBook(アップルのサイトより)

ヨドバシカメラのアップル・コーナーに行って 新しい MacBook(注1)をためしてみました。

その薄さ軽さにはびっくりです。キーボードもかなり薄くなりましたがつかい勝手がわるいとはおもいませんでした。またあらたに搭載された感圧タッチトラックパッド(Force Touch トラックパッド)(注2)ではさまざまな「小技」が体験できおもしろかったです。これの15インチモデルが将来でたら買いたいとおもいました。

感圧タッチトラックパッドは従来のトラックパッドとはちがい指でおしても下にしずみません。指のおす力を感圧センサーが感知し、リニアアクチュエータでパッド面を微妙に動かすことで指先にクリック感をあたえます。

またトラックパッドにふれる指の圧力のちがいをよみとることができるため、「軽いタッチ」や「強めのクリック」といった圧力の違いによる操作の区別が可能になりました

強めのクリック」ではつぎのような小技ができるようになりました。

  • フォルダやファイルの名称を変更する。
  • ファイルの中身をプレビューする。
  • 単語(テキスト)を「強めのクリック」により意味を表示させる。
  • 「Safari」で、リンク先のページをプレビューする。
  • 「プレビュー」で、筆圧を変えてのお絵描きをする。
  • 「カレンダー」でイベントの詳細をプレビューする。
  • 日付を「強めのクリック」で、「カレンダー」にイベントを追加する。
  • 「マップ」の特定の位置にピンをドロップする。
  • 「マップ」の縮尺を変更する。
  • 動画の早送り、巻き戻し、再生速度を変更する。
  • 使用中のアプリケーションのすべてのウィンドウを表示する。
  • 「Dock」のアイコンの「強めのクリック」は右クリックと同じ効果。
  • 「連絡先」の詳細を編集する。
  • 電話番号やメールアドレスを「強めのクリック」で「連絡先」にカードを追加する。
  • 「メッセージ」で「おやすみモード」の設定画面を表示する。

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感圧タッチトラックパッドの環境設定画面


感圧タッチトラックパッドは、次期 iPhone にも搭載されると予想されています。この機能により端末の操作方法が豊富になり、iPhone のつかい勝手も一段と向上するといわれています。

今後のアップル製品の動向を予想するためにも感圧タッチトラックパッドを店頭でためしてみる価値はあるでしょう。


▼ 注1
新しいMacBook は現在12インチのモデルのみです。

▼ 注2
感圧タッチトラックパッドは、13インチおよび15インチ MacBook Pro にも現在では搭載されています。


米アップルは、ストリーミングを利用した新サービス「アップルミュージック」(注1)を6月30日からはじめると発表しました。月9.99ドル(約1200円、最初の3ヶ月は無料)で3000万曲がきき放題になるそうです。

6月8日(日本時間の9日未明)、アップルが自社製品に対応するソフトウェアやサービスなどの開発者向けに発表するWWDC(ワールドワイド・デベロッパー・カンファレンス)が開催され基調講演がありました。

あたらしい「アップルミュージック」は定額制の音楽配信サービスであり今度の方式はストリーミング方式になるのが最大の特徴です。これはダウンロード方式(スマートフォンやパソコンなどのデバイスにいろいろな楽曲を購入して保存する方式)とはことなり、ききたい音楽をサーバーから受信しながら逐次再生する仕組みです。

楽曲やアルバムを購入して自分のライブラリ(ストレージ)に追加していく必要はなくなり、毎月の加入料を支払うことで、音楽配信サービスに登録されているすべての楽曲を自由にたのしめるようになります。「アップルミュージック」は加入型音楽配信サービスです。


このような加入型音楽配信サービスが出現してきた背景にはクラウドの発展があります。クラウドでは、データはストレージにではなくクラウドにおいておき、インターネットをつかっていつでもデータにアクセスすることがきます。

そもそも、アップルの音楽ダウンロードサービスの iTunes music は売上を落としつつありました。ダウンロード型サービスにかわってストリーミングの加入型サービスが台頭するのは時代の潮流でしょう(注2)。

「アップルミュージック」をみてもクラウドが本格化しつつあることがわかります。


▼ 注1

▼ 注2
ストリーミング型の音楽配信サービスということでは、アップルの iTunes でもインターネットラジオがすでにありました。インターネットにつながっていれば、iTunes でインターネットラジオを無料で利用できます。

非常に多数のラジオ局があり、あらゆる分野の膨大な楽曲が放送されています。作曲家別・楽器別の放送もたくさんあります。Mac の場合は iTunes をたちあげてインターネットラジオのアイコンをクリックすればすぐに利用できます。iPhone や iPad の場合でしたら、インターネットラジオ・アプリを App Store から入手(無料)すればきくことができます。ただしあくまでも放送ですから一方的に楽曲がながれてきます。バックグラウンドミュージック用にはいいのではないでしょうか。

今度の「アップルミュージック」は有料ですからインターネットラジオよりもつかい勝手がよくなり、これまでよりも音楽がたのしみやすくなるのだとおもいます。

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クラウドサービスが進展している
 

150311 MacBook
「新しいMacBook」は3色(アップルのサイトから引用)

2015年3月9日(米国現地時間)アップルは、「ノートブックを再発明」とうたう新設計の12型ノートブック「新しいMacBook」を発表しました。重量は2ポンド(920g)、薄さは13.1mm、Mac 史上最薄最軽量を実現、カラー(仕上げ)は、シルバー・ゴールド・スペースグレイの3色です。2015年4月10日発売予定で、価格は148,800円からです(注1)。

数多くのレビューがインターネット上にすでにでていますので、ここでは、アップルのいう「ワイヤレスな世界のために完全装備」について強調しておきたいとおもいます。「新しいMacBook」は、ワイヤレス化がますますすすむ世界に対応できるように設計されています。

「新しいMacBook」には、ヘッドホン端子以外ではたった一つのポートしかありません。それは「USB-C ポート」とよばれるもので、充電・外部ディスプレイの接続・USB 3 速度によるデータ転送ができます。

このポートには従来の周辺機器は直接はつなげないのでアダプタを別途かわなければなりません(注2)。


これについては、「非常に不便であり、消費者のニーズを無視した進化」と批判する人もいます。

しかしアップルは、消費者の都合を“無視する”かのように数々の新製品をこれまでも開発してきました。たとえば、フロッピードライブの廃止、シリアルポートの廃止、ファイアワイアの廃止、CD-ROMドライブの廃止、ブルーレイにいたっては完全に無視しています。

したがって今回の「USB-C ポート」の件についてもおどろきではありません。むしろ当然の流れということでしょう(注3)。


アップルは、ワイヤレス・インターネットでつながれたクラウド(iCloud)をユーザーがつかうことを想定しています。クラウドのビジョンがまず先にあって、それにもとづいて商品を開発しています。つまりアップルは未来を先取りして技術革新をつづけているのです

ビジョンがなくて現状を維持しようとする人にとっては「消費者のニーズを無視した進化」という批判になるでしょうが、ビジョンがみえている人にとっては、なるべく効率的にあたらしい世界にすすんでいこうということになります(注4)。


クラウドのビジョンによれば、デバイスはすべてクラウドでつながるようになり、データもクラウドにおいておくようになります。あたらしいクラウドの時代に人類はこれから本格的に突入していきます

クラウドは機能的にはインターネットをつかうワイヤレスであり、このようなビジョンであればデバイスにおいて最後にのこるポートは電源のみということになります。その電源とても将来のいつかはケーブルがいらなくなるでしょう。たとえばソーラーパネルを搭載するなどして。

そして、クラウド・システムにおける情報処理の主体はあくまでも自分(人間)であって Mac や iPhone や iPad などのデバイスではありません。デバイスは情報処理をするときに役立つ単なる道具にすぎません。道具をつかいこなして一人一人が情報処理をすすめていくことがこれからはもとめらます。デバイスにただ依存していても情報処理はできません。わたしたちはクラウドに適応して主体性を発揮しながら情報処理をすすめていかなければなりません。


アップルの商品開発の歴史は、ビジョンをえがくことがいかに重要かを物語っているとおもいます。まずビジョンがあって、そして物が顕在化してきます。
 



注1:新しいMacBook >>
 
注3:MacBook Air の Retina ディスプレイ化を非常に多くのユーザーはまちのぞんでいましたし、それが消費者のニーズでした。しかしというか やはりというかアップルは、既存の製品のディスプレイをとりかえて現在のニーズにこたえるだけという陳腐なことはせず、未来を先取りした商品をまたしても投入してきました。「新しいMacBook」はこれからの MacBook ラインナップ開発の方向性をしめすものであり、現状の MacBook Pro が今後どのよにうに変更されるのかを予告する内容になっているとかんがえられます。

注4:近年の日本では「生きのこりをかけて!」という言葉がよくさけばれます。これは、過去の実績をなんとか維持してみがきをかけて、きびしい競争を生きのころうとするかんがえであり、そこには過去をみつめる視点があります。しかしアップルは過去にはとらわれず、そして現在のニーズも切りすて、未来のユーザーのニーズにこたえる新商品を開発しています。


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昨年秋に発売された iPhone 6 / 6 Plus は記録的なヒットとなったそうですが、もう、つぎの新製品、新 MacBook AirApple Watch の登場が話題になっています。アップルは、今月下旬(2015年2月24日?)にスペシャルイベントを開催するという報道もあります。(注:その後 Apple は、2015年3月10日にイベントを開催すると発表しました。)

Apple 製品をあらたに買うあるいは買いかえる際に参考になるのがつぎのサイトです。Apple はつぎつぎに新製品を投入してくるので、買うタイミングがつかみにくい面がありますが、買い時はのがしたくないものです。

AppleDays >> 

このサイトでは、Apple 製品のリニューアルの周期や発売されてからの日数などが列挙されています。

買ったらすぐにあたらしいマシーンがでて、「しまった!」なんてことにならない方がよいです。あるいは、発売されてから半年以上たっていた方が性能が安定しているということもあります。あるいは、スペックアップのみのマイナーチェンジということもあります。もっとも Apple Watch は新発売です。

いずれにしても納得して購入したいものです。購入を検討している方は参考にしてください。

Mac OS X には、ミッションコントロールMission Control)という便利な機能があります。

これは、デスクトップを仮想的にいくつもならべ、それらを切りかえながら作業ができる機能であり、複数のデスクトップや、フルスクリーン化したアプリケーションのウィンドウを一元管理できるシステムです

ミッションコントロールをひらくと今の画面でひらいているアプリがバッとあらわれ、また、上部にはてすべてのデスクトップのサムネイルが表示されます。ひとつのウィンドウをドラッグしてほかのデスクトップに移動することも可能です。

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ミッションコントロールをひらくとすべてのデスクトップが一望できる

仮想デスクトップは、ディスプレイの右上にカーソルをもっていくとあらわれる「+」ボタンをクリックすると追加できます。


ミッションコントロールをひらくには、Dock のアイコンをクリックするかキーボードをおせばよいですが、スワイプの設定をしておくと便利です。「システム環境設定」>「トラックパッド」>「その他のジェスチャ」>「Mission Control」とすすみます。

150216 Mission Control 4本スワイプ
「 3本指あるいは4本指で上にスワイプ」に設定する


また、デフォルト設定のままだと、ひらかれたデスクトップの順番がつかっているあいだに入れかわってしまいます。デスクトップは固定しておいた方が作業がやりやすいです。

固定するためには、「システム環境設定」>「Mission Control」>「最新の使用状況に基づいて操作スペースを自動的に並び替える」のチェックをはずします。

150218 ミッションコントロール2
チェックをはずす

この設定にしておけば各デスクトップの配置が記憶され、デスクトップを切りかえるときに何枚めくればあのソフトというのが感覚的にわかるようになり、デスクトップ一覧画面をわざわざ表示させることが減ります。

たとえば、デスクトップ1には Calendar、デスクトップ2には iTunes、デスクトップ3には Safari、デスクトップ4には Chrome、デスクトップ5には iPhoto、デスクトップ6には Word、デスクトップ7には Excel、デスクトップ8には Keynote・・・というように。


ミッションコントロールは作業スペースをただ単にひろげるだけではありません。それ以上の意味があります。

複数のデスクトップを並列配置することにより、それぞれの作業ごとにデスクトップをわりあて、それらを切りかえながら複数のことなる作業を並列的におこなうことができます。並列というところがポイントです。

情報の処理(プロセシング)の基本原理は情報の並列処理にあります(図1)。

15021 並列処理
図1 プロセシングの原理は並列処理である
 

<インプット→プロセシング→アウトプット>は情報の流れです。たとえばコンピュータでも、複数のプロセッサ(処理装置)を並列させてデータを処理しています。これと似て、人がおこなう情報処理も並列処理をした方が効率・効果があがります。

並列とは直列ではないということであり、いくつもの作業あるいは仕事を同時並行的にすすめた方がよいということです。このようにしておけば、もし一つの作業がいきづまっても、そのあいだにほかの作業をすすめることができます。そうしているうちにあたらしいアイデアもでてきます。並列的にできることが何かないか常にかかんがえながら仕事をすすめます。

ミッションコントロールをつかえば目前の作業を視覚的に並列的にとらえることができます。複数のデスクトップのコントロールは並列処理のモデルになります。

ミッションコントロールあるいは複数のデスクトップをモデルにして、並列原理をつかった情報の並列処理をすすめていくのがよいでしょう。

Mac でも Kindle 電子書籍が読めるようになりました。

Amazon.co.jp は、Windows むけの「Kindle for PC」にひきつづいて、Mac むけの電子書籍リーダー「Kindle for Mac」(無料アプリ)を公開しました(注)。これで320万冊以上ある Kindle 電子書籍が Mac でも読めます。 

本文検索、辞書参照、ハイライト、ほかの端末との動機などさまざまな機能がつかえ便利です。

電子書籍の世界はこれから急速にひろがっていくでしょう。

Apple の最新サービスである iCloud の進歩がつづいています。そのなかでも、iCloud Drive はとても便利です。iCloud Drive をつかうと次のようなことができます。
  • あらゆる書類を、クラウド上の iCloud Drive に保存しておけます。
  • iCloud Drive に保存した書類に、どのデバイスからでもアクセスできます。
  • Mac の Finder から、iCloud Drive のファイルが操作できます。
  • ファイルおよびフォルダを、すべてのデバイスで最新の状態にたもつことができます。
  • あたしいファイルおよびフォルダを、iCloud 対応のアプリケーションから作成することができます。
  • 複数のアプリケーションから同じファイルを編集することができます。


iCloud Drive を使うには、すべての iOS デバイスで iOS 8、そしてMac の場合は OS X Yosemite が必要です。
  • iOS 8 を搭載した iPhone、iPad、または iPod touch
  • OS X Yosemite を搭載した Mac
Windows の場合は、Windows 7 以降を搭載し、Windows 用 iCloud がインストールされている Windows パソコンが必要です。

お持ちのデバイスが iCloud Drive に対応するかどうか確認してください。


iCloud Drive へのアップグレードは、iCloud.com にサインインすればできます。iOS デバイスでは、「設定」→「iCloud」→「iCloud Drive」オンとすすめばアップグレードできます。


iCloud にサインアップすると 5 GB の無料ストレージがつかえるようになります。容量がもっと必要な場合は、追加購入することもできます。



なお、そもそも、クラウドストレージとは何かというと、その名前の通り、クラウドにおかれたファイル保管庫です。具体的には、Apple のサーバーに、Apple ID 所有者全員分のファイル保管庫が用意されていて、Apple ID 単位で同じ保管庫にアクセスしますので、複数のデバイスを所有していても、同じApple ID を設定しているかぎり、同じファイルが表示される仕組みになっています。

たとえば、Mac の Pages で書類を作成して iCloud Drive に保存すると、ほかのデバイスからでもその Pages のファイルにアクセスすることができます。インターネットに接続されていれば、すべてのファイルは自動で同期されます。

クラウドストレージを活用することで、「つくった書類を家にわすれた!」といった失敗がなくなりますし、Mac で書きかけの書類を、出張先で iPhone でひらいてつづきを編集するといったことができるようになります。

Apple は、2015年1月27日(米国現地時間)、「OS X Yosemite 10.10.2」の提供を開始しました。Mac App Store からアップデートできます。

注目の新機能は、バックアップツール「Time Machine」が、オンラインストレージ「iCloud Drive」にあらたに対応したことです。これで、Time Machine に入った場合、Finder で iCloud Drive 内 のフォルダやファイルをブラウズできるようになり、iCloud Drive がさらにつかいやすくなりました。

その他、安定性、互換性、セキュリティの改善もされたそうです。

OS X Yosemite 10.10.2 >>


なお、Apple は、「iOS 8.1.3」へのアップデートも開始しましたた。これにより、ソフトウェア・アップデートの実行に必要なストレージ容量が低減されるそうです。


iOS5 以降の iOSデバイス(iPhone/iPad)は、パソコンに接続することなくアップデートをおこなうことができますが、かなりのストレージ容量が必要だったため、容量がたりない場合は実行できないことがありました。今回のアップデートによりこれが低減されます。 


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Mac と iOS 􏰀􏰀端末との連携機能を体験する - アップルストア表参道 -
Mac OS X を、「Mavericks」から「Yosemite」にアップグレードする
iCloud Drive をつかう

Mac OS X を、「Mavericks」から最新の「Yosemite」(バージョン10.10.1)にアップグレードしました。

「Yosemite」の最大の特色は、iOSデバイス( iPhone / iPad )と Mac との連携機能です。

iOS デバイスと Mac との連携機能をつかいたくて、かつ、約2年前よりもあたらしい Mac をもっている人は、「Yosemite」にアップグレードする価値があるとおもいます。ただし、iOS が iOS 8 である必要があります(注:ふるい Mac ですと、不具合が生じたり、処理速度がおそくなったりするので注意が必要です)。


「Yosemite」は、iOS 同様に、フラットデザインになり画面の見た目の印象がかわりました。フラットデザインは iOS との連携を視覚的にも強調しています。

「Yosemite」の新機能は、「Handoff」や「電話」、「iCloud Drive」などさまざまです。以下に、注目の機能について要約してみます。

  • Handoff」を使うと、iOS デバイスでの作業をそのまま Mac にひきついだり、Mac から iOS デバイスにひきつぐことが可能です。
  • Mac 同士または iOS デバイス同士でしかできなかった「AirDrop」によるファイル転送が、Mac と iOS デバイス間でもできるようになりました。
  • iPhone の通信回線を使ってインターネットに接続できる「Instant Hotspot」は、Wi-Fi 環境がない場所でも、Macからインターネットに接続できる機能です。
  • iCloudでは、「iCloud Drive」というオンラインストレージが使用できるようになり、Mac の Finder から簡単にアクセスできるようになり、あたらしいフォルダーもつくれます。あらゆる種類のファイルをすべて iCloud の中に安全に保存でき、保存したものには、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windowsパソコンからいつでもアクセスできます。iCloud では 5GB のストレージを無料で利用できます(それ以上のストレージは有料です)。
  • Mail Drop」は、メールアプリで大容量の添付ファイルを送信できる機能です。大きなファイルのやりとりが多いMacユーザーにはつかってほしい機能です。
  • 新しい「Safari」はより高速で動きもなめらか、iOSデバイスでひらいているページを Mac でも参照できるようになりました。
  • iPhone にかかってきた電話を Mac で受けたり、Mac から iPhone を通して電話することができます。Mac での作業中にバッグの中に iPhone を入れたままにしておいても大丈夫です。また、SMS/EMS を Mac のメッセージアプリでやりとりできる機能も追加されました。


ひとことでいえば、「Yosemite」と iOS 8 は、クラウド時代の本格的な幕開けをもたらすことになるでしょう。これからの時代は、Mac や iPhone や iPad は端末として機能することになるので、これらのハードウェアにはとらわれすぎずに、あくまでも、クラウドのシステムをつかっていくという立場にたった方がよいでしょう。

「Yosemite」にアップグレードして、あたらしいクラウドあるいは連携機能をためしてみる価値は十分にあるとおもいます。


Apple - OS X Yosemite - 概要 >>


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アップルストア表参道

アップルストア表参道に行ってきました。国内のアップルストアでは最大サイズのガラスパネルを使用した全面ガラスばり構造の建物で、表参道との一体感をかもしだしていました。展示スペースは、アップルストア銀座や渋谷よりもはるかに大きく、広々としていました。

注目は、Mac の最新 OS X「Yosemite」と iPhone/iPad との連携機能「Continuity」を実体験できるスペースが用意されていたことです。MacBook Pro と iPhone 6 と iPad Air 2 が1セットになって多数展示されていました。

ここでは、「Handoff」、「Instant Hotspot」、Mac で電話 などのあたらしい機能を実際にためすことができます。

「Handoff」とは、Mac と iPhone/iPad の間で、一方のデバイスでおこなっている作業をもう一方のデバイスにひきつげる機能です。

「Instant Hotspot」とは、Wi-Fi 環境がなくても iPhone があれば、Mac がインターネットにつながるとても便利な機能です。ただし、キャリア側で、テザリングのオプションに加入していないとつかえませんので注意してください。ソフトバンクモバイルの場合は 500円/月(加入から2年間は無料)がかかります。



これらの連携機能は、どこのアップルストアでも体験できますので、まずは、店に行ってためしてみるのがよいでしょう。使用方法がわからないときは、ちかくのスタッフがおしえてくれます。

また、あわせて、最新のクラウド(iCloud)も実際にためしてみるとよいとおもいます。

ある分野の最先端の技術を知ることは、その分野の全体像(大局)をつかむためにも役立ちます。

これからの時代は、個々のハードウェアよりも、このようなシステムや仕組みの方が重要になり、Mac や iPhone や iPad などは、システムのなかの端末としてすべてあつかわれるようになります。今後は、端末にとらわれるのではなく、システム全体を道具としてつかいこなしながら、みずからが主体になった情報処理をすすめていくことが重要でしょう。 


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梅棹忠夫著『知的生産の技術』第4章「きりぬきと規格化」では、新聞のきりぬきや各種資料の整理とそれらのいかしかたについて説明しています。

ながい中断ののち、一九五〇年ころから、わたしはやや体系的に新聞記事のきりぬきをはじめるようになった。こんどかんがえた方式は、スクラップ・ブックをやめて、ばらの台紙にはる、というやりかたである。

そして、記事の大小にかかわりなく、台紙一枚に記事ひとつという原則をかたくまもることにした。

わたしも以前はこの方式にしたがって新聞のきりぬきをしていました。しかし、デジタルカメラが発明されてからは、記事の写真をとって保存する方式に変えました。現在ではきりぬきはせず、有用な記事をみつけては iPhone で写真をとってMac の iPhoto に保存しています。

* 

台紙にはる、という操作がひとつの規格化であるとともに、オープン・ファイルのフォルダーにいれるという操作もまた、ひとつの規格化である。これによって、台紙にはった紙きれ以外のもの、さまざまなパンフレットやリーフレットのたぐいも、みんなこれにいれればおなじ形になる。

わたしも以前はこの方式をつかっていて、オープン・ファイルのフォルダーが本棚の大部分を占有していました。

しかし、変化がおきたのは、富士通のドキュメントスキャナー ScanSnap が発売されてからです。これにより、書類・パンフレット・写真・名刺などを高速でスキャンして保存できるようになりました。

ドキュメントスキャナーは、従来のフラットベッドスキャナとはちがい、膨大な資料のスキャン、デジタル化が手軽にできます。書類や資料の山にうずもれてこまっていた人にとっては救世主になりました。これで、書類や資料、映像や音声などの形式にとらわれずに一つのフォルダに統合・保存し、活用できるようになりました。こんな素晴らしいことはありません。

また、もとの資料のほとんどはのこしておく必要はなくすててしまうので、資料の保管スペースを心配しなくてすむようになりました。

こうして、台紙もオープン・ファイルのフォルダーもなくなりました。そして、パソコンのフォルダーをつかうようになりました。

ドキュメントスキャナーは他社からも発売されていますが、性能やコストパフォーマンスにすぐれる 富士通 ScanSnap を絶対におすすめします。




梅棹さんは写真の整理のむずかしさについてものべています。

しかし現在では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真は、Mac でしたら iPhoto というすぐれた写真アプリがあるので整理はむずかしくありません。整理・保存の心配をしないで大量に写真をとることができるようになりました。

デジタルカメラ以前のフィルム写真については、わたしは、保存していたすべての写真を ScanSnap でスキャンしてしまいました。デジタルデータになりましたので Mac であっという間に整理がつきました。元の写真はおいておくと場所をとるので、重要なもの以外はすててしまいました。

iPhone でとった写真は、iPhone の「設定」→「写真とカメラ」で「自分のフォトストリーム」を ON にしておけば、Mac に同期され、iPhoto で整理することができます。新聞記事などの撮影した資料もこうして活用できます。 新サービスとして「iCloud フォトライブリー」がはじまりましたが、わたしはまだつかっていません。これがつかえるようになればもっと便利になるでしょう。


また梅棹さんは、資料や情報の単位化についてのべています。

スクラップ・ブックにはったり、そういうことをしないで、いっさい台紙にはりつけるというのは、どういう意味か。それは、ひとことでいえば、規格化ということなのだ。

それによって、おおきい記事もちいさい記事も、みんな、おなじ型式をあたえられて、単位化されるのである。そして、その規格化・単位化が、その後のいっさいのとりあつかいの基礎になっている。分類も、整理も、保存も、すべてそのうえでのことである。

じつは、カードの使用そのものが、一種の規格化であった。カードに記入することによって、いっさいの思想・知識・情報が、型式上の規格をあたえられ、単位化されるのである。

資料や情報はまず単位化しなければなりません。情報を単位化するということは、情報処理の観点からいうとファイルをつくるということですファイルとは、情報あるいはデータのひとまとまりであり、ひとつの単位です。この単位から創造的作業がはじまるのです。ファイルの概念を理解し、ファイルを操作・活用することがこれからの情報産業社会では特に重要になってくるでしょう。

『知的生産の技術』はふるい本であるにもかかわらず今でも読みつがれているのは、知的生産の原理が書かれているからです。また、梅棹さんご自身がどのように進歩してきたか、その過程が、最初の一歩から書かれていることもこの本をおもしろくしている要因です。つまり、ストーリーをたどりながら原理がまなべるのです。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日
知的生産の技術 (岩波新書)


『知的生産の技術』の第2章「ノートからカードへ」で梅棹忠夫さんはカードの原理についてのべていて、この原理は今日でもとても役にたちます。カードは「知的生産の技術」の中核的な原理といえるでしょう。

まず、梅棹さんはノートの話からはじめています。 

追加さしこみ自由自在の、いわゆるルース・リーフ式のノートほうが(大学ノートよりも)便利だ、ということになる。かいた内容を分類・整理するためにも、ページの追加や順序の変更ができたらよいのに、とおもうことがしばしばある。
ルース・リーフ式のよい点だけをいかしたのが、ちかごろ売りだされているラセンとじのフィラー・ノート式のものであろう。きりとり線と、つづりこみ用の穴とがついている。一冊のノートになんでもかきこみ、あとできりとり線からきりとって、分類してルース・リーフ式にとじる。片面だけを利用し、内容ごとに — 学生なら学科ごとに — ページをあらためることにしておけば、追加、組みかえ、自由自在である。

わたしも、中学生のころは大学ノートをつかっていましたが、高校生になってからはルース・リーフ式のノートに切りかえ、大学生のときにもそれをつかいつづけました。

そのご大学院生のころよりフィラー・ノートをつかいはじめ、「知的生産の技術」にしたがって片面(表面)だけに記入し裏面は空白にしておき、ノートが一冊おわるごとにページを切りとり、二穴ファイルにファイルするといことをくりかえしていました。このフィラー・ファイルは蓄積されて、そのトータルの厚さは約2メートルぐらいにまでなりました。

結局、今世紀に入って iPhone をつかいはじめるまでは、フィラー・ノートはいつでもどこへでも持ちあるいて つかっていました。今でも、ヒマラヤのフィールドワークに行くときには予備ノートとしてフィラー・ノートを持っていきます。


つぎに、梅棹さんはカードについてかたります。

ノートのことを、くどくどしくのべたのは、じつはカードのことをいいたいからであった。

見方をかえれば、ルース・リーフ式やフィラー・ノート式ののーとは、じつは一種のカードなのである。すでにのべたように、それは、ページのとりはずし、追加、組みかえが自由になっている。そして、そのつかいかたにおいても、項目ごとにページをあらためる、あるいは片面だけを使用する、ということになると、それは要するに、みんなカードの特徴にほかならないではないか。
 
ノートの欠点は、ページが固定されていて、かいた内容の順序が変更できない、ということである。ページを組みかえて、おなじ種類の記事をひとところにあつめることができないのだ。

「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわして、あらたな組みあわせを発見するところにあるといえるでしょう。固定した観念にとらわれずに発想せよということだとおもいます。 

そして、有名になったあの「京大型カード」ができあがったときの様子がのべられていす。

自分で設計したものを、図書館用品の専門店に注文してつくらせた。それが、いまつかっているわたしのカードの原型である。

このカードは、たいへん評判がよくて、希望者がたくさんあったので、まとめて大量につくって、あちこちに分譲した。

ついにわたしは、文房具店の店先で、わたしのカードが製品として売られているのを発見した。その商品には、「京大型カード」という名がつけてあった。わたしは、いさぎよくパテントを京大にゆずることに決心した。

わたしも、『知的生産の技術』を読んで「京大型カード」を買った一人です。東京・日本橋の丸善まで買いにいきました。こうして、フィラー・ノートをカード式につかう方法とカードそのものをつかう方法を併用する期間がながくつづきました。


一方で、カードの苦労についてものべています。

いずれにせよ、野帳からカードに資料をうつしかえるという操作をふくんでいた。口でいえばかんたんだが、じっさいにはこれは、容易ならない作業である。野帳の分量がおおいと、野外調査からかえってからカードができるまでに数ヶ月を要したりした。


この問題は、わたしの場合は iPhone と Mac をつかうことにより解消されました。

iPhone で記録したデータは iCloue により Mac に同期されます。現場のデータはそのまま Mac で処理することができるので、転記の手間はかかりません。

カードという形にこだわるのであれば iPhone と Mac に付属しているアプリ Keynote をつかえばよいです。1枚1枚のスライドはカードとしてつかえます。これにはボイスメモ(ボイスレコーダ)機能もついていますし、写真などをペーストすることもできます。Keynote に現場でデータをどんどん記録していけよいです。あとで、カード(スライド)を入れかえたり、あたらしいカード(スライド)を挿入したりできます。

Mac 上で情報を処理するときには、Keynote の「表示」から「ライトテーブル」を選択すれば、画面上にカードを縦横にならべて、入れかえ・組みかえ・追加・挿入・削除などを自由にたのしむことができます。プレゼンテーション用のスライドや資料もできてしまいます。

しかし、形にこだわらないのであればワープロソフト(Pages など)をつかえばよです。コンピューターが発明されて、データ(ファイル)の入れかえ、挿入、組みかえなどは、カット&ペーストで自在にできるようになりました。どのようなアウトプットの形式を選択するかによってアプリをつかいわければよいでしょう。

先にもふれましたが、「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわしてしまって、あらたな組みあわせを発見するところにあり、固定観念にはとらわれずに発想することであると言ってよいでしょう。形にとらわれるよりもその原理・本質に気がつき、それを利用することの方が重要だとおもいます


iPhone と Mac を iCloud で同期させるときの現時点での注意点は、OS のバーションです。

iPhone の iOS を最新の iOS 8 にアップグレードした場合は、Mac OS も最新の Yosemite にアップグレードしないと、最新の iCloud Drive がつかえず、Keynote と Pages の同期はできません(注)。これは重大な問題です。

つまり、iCloude を使う場合はつぎの組みあわせでつかわなければなりません。

 iOS 7:Mavericks
 iOS 8:Yosemite

Mac OS X を Yosemite に当面アップグレードする予定のない人は、iOS を iOS 7 のままにしておいた方がよいです。

新 iPhone の場合など、iOS 8 になっている場合、iOS 8 にした場合は、Mac OS X を Yosemite にアップグレードせざるを得ません。Mac OS X のアップグレードにあたっては、アプリの対応のおくれなどの不備もありえますので慎重さが必要です。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日 
知的生産の技術 (岩波新書)

▼ 注:iCloud Drive をつかうときの現時点での注意点
iCloud Drive を利用するためには、サービスのアップグレードが必要です。

その場合、Mac では、OS を最新の Yosemite にアップグレードしないとつかえません。アプリの対応の問題がありますので、 Yosemite へのアップグレードには慎重さが必要です。

Mac の OS が10.9 Mavericks 以前の場合、Yosemite、iCloud Drive にアップグレードしてしまうと、それまでの Documents in the Cloud が利用できなくなってしまうので注意が必要です。

Mavericks あるいはその他の OS の場合でも、HTML5 が使えるブラウザで、iCloud.com にアクセスすれば、iCloud Drive のなかを確認できます。Yosemite にアップグレードしていない Mac や、iCloud コントロールパネルをインストールしていない Windows の場合です。

Mac OS X 10.9.5 Mavericks がシャットダウンあるいは再起動しなくなりました。歯車がグルグルまわっています。

そこで、電源ボタンをおしつづけて「強制終了」、再度、電源ボタンをおして「起動」し、すぐに「option」をおします。

右側の「復旧ディスク」を選択すると、「復旧ディスク」で起動し、「OS X ユーティリティ」が表示されます。

「OS X ユーティリティ」の「ディスクユーティリティ」をクリック、「ディスクを検証」を実行し、ディスクに問題がないことを確認しました。(もし問題がある場合は「ディスクを修復」をクリックします。)

「OS X ユーティリティ」にもどり、「Time Machine からバックアップから復元」を選択、指示にしたがって復元をすすめます。

インストール先は初期化されたのち、バックアップされ、もとどおりに復元されました。問題なくシャットダウンできるようになりました。

かかった時間は、容量約500G、Thunderbolt 接続で、約2時間でした。


「復旧ディスク」で起動後、OS が入っているディスクを初期化し、OS X を再インストール(クリアインストール)し、その後、OS 以外のデータを「Time Machine からバックアップ」する方法もあります。システム正常化のためにはこちらの方が確実です。

この場合は、Wi-Fi 接続パスワードと Apple ID パスワードを聞いてきますので、あらかじめそれらを用意しておく必要があります。注意してください。


今回は利用しませんでしたが、「インターネット復元」というのもあります。

起動可能なインストーラをあらかじめ作成しておく方法もあります。


いずれにしても、常に、バックアップ・ストレージを用意し、「システム環境設定」→「Time Machine 」を 常に「入」にしておく必要があります。

それにしても、システム復元が本当に短時間で簡単にできるようになりました。ADSL ではなく光回線をつかえばもっと短時間でできます。10年以上前は、システム復元のために1日かかったり、アップルストアへもっていったりして本当に大変でした。

「失速する iTunesミュージック 焦るアップルの過剰マーケティングにU2のボノもあきれる」という記事を見つけました(Yahoo!ニュース/ダイヤモンド・オンライン、10月29日)。

アップルの音楽ダウンロードサービスの「iTunes music」が、2014年初頭から13%も売上を落としたことが話題になっているそうです。
iTunes music のようなダウンロード型サービスにかわって台頭してきているのはストリーミングサービスです。ストリーミングは、自分のストレージに楽曲を保存・所有せずにインターネットを介して聞けるサービスであり、最近のユーザーはもっと軽快な方法で音楽をたのしみたいとおもうようになってきています。

このあたりの事情はクラウドについて理解するとわかってくるとおもいます。クラウドとはグーグルがおこなっているようなサービスであり、データはストレージにではなくクラウドにおいておき、ネットでいつでもアクセスできる仕組みになっています。最近、クラウドがいよいよ本格化しはじめたということが言えるでしょう。

この意味では、iPhone も iPod、iPad、Mac もまだクラウドストレージにはなりきっていません。最近発売され話題沸騰中の iPhone 6 においてでもそうです。ストレージ方式をまだひきずっているのです。

いずれ、デバイスはすべてクラウドデバイスになる時がやってきます。そのとき、情報革命はさらに一段 先にすすむことになるでしょう。

アップルは、ヘッドフォンとストリーミングサービスの会社であるビーツを30億ドルで買収、アップルの iTunes も来年には、ストリーミングサービスを iTunes に統合するとのことです。

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