発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:音楽

情報処理の聴覚系はつかわずに視覚系だけをつかって楽譜を見るように書籍を見ることが可能です。

世界的指揮者の小澤征爾さんがオーケストラを指揮するテレビ番組が放映されていました。

演奏会当日、会場で舞台にでる直前に小澤さんは、かなりの速さで交響曲の総譜(スコア)をはやめくりしながら一気に見ていました。最後のページまで20秒ぐらいで見おわっていたようです。

実際に音にだして演奏するとその曲は40分ぐらいかかるのですが、楽譜を見るのでしたら約20秒しかかかりません。

そのとき小澤さんは、音楽を聞くのではなく見ていたのであり、聴覚ではなく視覚でとらえていたのです。つまり音を処理する回路(聴覚系)はつかわずに光を処理する回路(視覚系)をつかったのです。楽譜(音楽の記号)がわかれば音楽も見ることができるというわけです。


たとえば読書でも同様なことが可能です。

ある書籍を、かなりの速度でページをめくりしながら最後まで一気に3分間で見てしまいます。文字がわかれば書籍(言語)は見るだけでも理解することが可能です。とくに漢字は音には無関係で(発音しなくても)意味がわかります。

しかし音読や黙読をした場合は1〜2時間かかるかもしれません。黙読とは、声帯はつかわずに頭のなかで音を発する方法です。


音符や文字を音に変換することは可能です。しかし一方で音にはあえて変換しないで、音符や文字を見るだけにすることも可能です。楽譜を高速で見るように書籍を高速で見るということです。

ここに速読法の原理とおもしろさがあらわれています。人間の情報処理の仕組みにかかわる問題です。

音楽は、美術が視覚系の芸術であるのに対して聴覚系の芸術であるといってよいでしょう。しかし上記のように楽譜に着目し、人間の情報処理の仕組みという観点から音楽をとらえなおすといろいろおもしろいことがわかってくるとおもいます。


▼ 参考文献
栗田昌裕著『頭がよくなる速読術』中経出版 [Kindle版] 、2014年4月10日
頭がよくなる速読術 (中経出版)
 
 




感動のあるインプットがあって問題意識をもちつづければプロセシングはおのずとすすみ、アウトプットにむすびつきます。

シンガーソングライター&作家のさだまさしさんが『風に立つライオン』を作曲したときの経緯をかたっています(注)。

アフリカへ出向ででかけていって僻地医療に3年間とりくんだ日本人医師がいました。(さだまさしさんが)二十歳のころにこの医師に長崎で出あい、この人の「アフリカ」はすばらしいなとおもいました。

そしてあの先生のことを歌にしたいなとずっとおもっていました。しかしなかなか歌になりませんでした。

結局15年ぐらいたって1987年に歌ができました。


さださんの話を情報処理の観点から整理すると、日本人医師から話を聞いたということはさださんの意識のなかに情報をインプットしたということです。そして歌にしたいなとずっとおもっていた15年間の期間はプロセシングです。歌をつくる(作曲をするあるいは楽譜を書く)という行為はアウトプットです(図)。さださんの意識の内面では15年をかけて情報処理が徐々にすすんでいったということです。

150921 さだまさし
図 作曲までの情報処理の過程


大なり小なり感動的なインプットがあった場合、自分の意識の内面ではプロセシングがおのずとすすんでいきます。プロセシングには時間がかかるかもしれませんが、感動と問題意識があればアウトプットへといずれ発展していきます。

わたしたちも感動のあるインプットを大切にし、そして問題意識をもちつづけたいものです。


▼ 注:情報源(YouTube)

海外の異国を一人で旅行することは、自分自身のこれまでの生活をおのずと見なおしとらえなおすことにつながります。
「わたしは、これまでの生活をこのままつづけていてもよいのだろうか?」
日常生活から完全にきりはなされるからこそ、そして孤独であるからこそ人生の根本問題をかんがえることができるわけです。

旅は計画からはじまります。旅の計画ほどたのしいものはありません。計画と準備の段階こそ海外旅行の最高の部分であといってもよいでしょう。

海外旅行でどこかの街あるいは都市を訪問しようとおもったら、Google Earth とストリートビューをつかってバーチャルツアーを先にしてみるとよいです。

そしてもう一つのたのしみはかえってからあとの旅の回想です。つまり旅は、計画、行動(旅そのもの)、回想の3回たのしめるわけです(図)。


150831 超旅行法
図 旅行の3段階



航空券の購入からチェックイン(搭乗手続き)、出入国手続きなどがスムーズにいけば、あとは空の旅をたのしむだけです。

機内は音楽を集中してきくのに最高の場所になっています。以前は、ポータブル CD プレイヤーをもっていきましたが、今では、iPhone などのスマートフォンや iPod などがあるので便利です。ノイズキャンセリング・イヤホン(注1)もっていくとよいです。

海外旅行を快適なものとするコツはあまり移動しないことです。なるべく一ヵ所にしばらく滞在できればとてもゆたかな気分になれますし、体験もふかまります。

海外旅行では、英語によるコミュニケーション能力が重要です。単語をならべるだけでもかなりのコミュニケーションができます。

美術館や博物館をめぐることは海外旅行の大きなたのしみのひとつです。体験をふかめ思い出をつくるためには、ガイドブックで全体をまず概観してから、気に入った作品をえらびだし、それらをじっくり鑑賞するようにするとよいです。

一人でもさまになるレストランのさがし方は一人旅におけるきわめて重要なノウハウです。ヨーロッパ旅行では最大のノウハウであるといってもよいくらいです。

海外旅行でもっとも頻繁におこるトラブルは盗難です。いかにも「初めての海外旅行者」といったスタイルはとくにねらわれやすいです。世界でも例外的に治安がよい環境にすんでいる日本人は、世界全体の安全水準をみあやまっている場合が多いので注意が必要です。

パスポート・現金・クレジットカード・航空券などの貴重品はつねに身につけておきます


現地に行かなければできないことはあきらかです。本場の料理を味わう。美術館や博物館にいく。コンサートをたのしむ。買い物をする。写真をとる。ドライブをする。南半球で星空を見る・・・。あらたな発見があり、やっぱり来てよかったとおもえるはずです。


▼ 関連記事
異国に行って日常を見なおす - 野口悠紀雄著『「超」旅行法』(1)-
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単語をならべるだけでもかなりのコミュニケーションができる -『「超」旅行法』(6)- 
海外旅行のトラブルに対処する -『「超」旅行法』(7)-
Google Earth とストリートビューをつかってバーチャルツアーをする -『「超」旅行法(8)』-
 
▼ 引用文献
野口悠紀雄著『「超」旅行法』新潮社、1999年11月25日
Amazon:「超」旅行法 
楽天:【中古】 「超」旅行法 /野口悠紀雄(著者) 【中古】afb 

▼ 注1
ノイズキャンセリング・イヤホンをつかって難聴を予防する

 



ゼンハイザー(Sennheiser)のヘッドホンで音楽を聞くと、音楽の広がりや響きをとらえることができます。

前回のブログ記事「ノイズキャンセリング・イヤホンを比較する」で、ボーズのノイズキャンセリング・イヤホンを買うだけの予算があるなら、オーディオテクニカのノイズキャンセリング・イヤホンを買って、のこったお金で、よくできたオーバーヘッドのヘッドホンを買った方がよいとのべました。

ノイズキャンセリング・イヤホンを比較する >>

おすすめのオーバーヘッド・ヘッドホンはゼンハイザーのモデルです。下記モデルのいずれも音楽の広がりや響きをいかした音づくりをしています。


Sennheiser HD598 は家庭用のオープンエア型ヘッドホンです。
 
こまやかでやわらかい音、なめらかでつややかな雰囲気、音楽のゆたかな音場を感じとれます。ジャンルをとわずにあらゆる音楽をたのしくならします。かけ心地もとてもよいです。リラックスしながら音楽をたのしみたい方におすすめします。


Sennheiser HD-25-1 II はスタジオ仕様(モニター用)の密閉型ヘッドホンです。スタジオ仕様ですが家庭でつかってもまったくかまいません。

味つけがなく癖のない自然な音がクリアーな音像がうかびあがらせます。音のバランスもよく、音楽の組み立てをききとることができます。音楽の表現力がすばらしいです。音楽に集中して、音楽を追求したい方におすすめします。

オーバーヘッドのヘッドホンのなかでは小型なのでもちあるくこともでき電車のなかでもつかえます。

ただし耳あて部分が小さくて耳たぶに直接あたるため、HD598 よりもかけ心地はあまりよくありません。長時間かけていると耳がいたくなることがあります。


これらのモデルはいずれも響きをいかした音づくりしており、音場や音楽の雰囲気を十分につたえてくれます。上記いずれのモデルも自信をもっておすすめします。

ゼンハイザーは、1945年にドイツで創業したヘッドホンやマイクロフォンを専門とする音響機器メーカーであり、ヘッドホンとマイクロホンの世界的なブランドになっています。マイクロホンは世界中の名だたるコンサートホール・オペラハウス・劇場で使用され、また世界ではじめてのオープン型ヘッドホンを開発するなどヘッドホンの名機を生みだしてきました。サウンドのプロフェッショナルとして、ありのままのサウンドを再生するというテーマをおいつづけています。


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《予算をおさえたい方にはこちらをおすすめします》

ゼンハイザー オープン型ヘッドホン
HD558【国内正規品】





ノイズキャンセリング・イヤホンはいくつかのメーカーから販売されていますが、コストパフォーマンス・音質・音場・バランスにすぐれるオーディオテクニカをおすすめします。

ノイズキャンセリング・イヤホンを買いかえるにあたって eイヤホン や ヨドバシカメラ などでいろいろな製品を試聴してみました。

オーディオテクニカと同価格帯で、ソニー、パナソニック、JVCケンウッドからもノイズキャンセリング・イヤホンが発売されていますが、音質・音場ともにオーディオテクニカの方がすぐれています。ソニーの製品は、高音あるいはシャープネスを強調したような音でバランスがわるく、一聴しただけだと、解像度が高くていいような感じがすることがありますが長時間きくには適しません。

そして店頭でとくに目立つのが ボーズの QuietComfort20 です。これは無視するわけにはいきません。本年6月に新製品が発売されました。iPhone・iPod・iPad 対応 と スマートフォン対応の2種類があります。


この製品の特徴は圧倒的な消音性能にあります。ノイズキャンセリング効果はオーディオテクニカをうわまわります。

とくに人の声も遮断できる2段階式ノイズキャンセル機能もそなえているのはよいです。ノイズを消したままアナウンスなど周囲の必要な音だけを聞きとりたい場合には「Awareモード」にします。オーディオテクニカにはこのような機能はついていません(注)。

しかしわたしが試聴したかぎり音質と音のバランスがわるく、とくにアコースティック系の音楽やクラシック音楽にはまったく適しません。価格も高額(37,800円)でありコストパフォーマンスにもすぐれません。

ボーズを購入する予算がもしあるなら、オーディオテクニカを買って、のこったお金で、よくできたオーバーヘッドの普通のヘッドホンをもう1本かった方がよいでしょう。2万円台で非常によいヘッドホンが手にはいります。消音性能を最優先にするのでなければオーディオテクニカをやはりおすすめします。

ノイズキャンセリング・イヤホンをつかって難聴を予防する - オーディオテクニカ ATH-ANC23 - >>
音楽の広がりと響きをとらえる - ゼンハイザーのヘッドホン - >>


▼ 注
オーディオテクニカなどの一般的なノイズキャンセリング・イヤホンは、ノイズキャンセリング機能をオンにしても、人の声(正確には人の声の周波数帯の音)は聞こえるように安全対策を考慮して設計されています。もっとも音楽をかけているとそのような音(声)も聞こえないことが多いですが。



IMG_2120
オーディオテクニカ ATH-ANC23(ノイズキャンセリング )

飛行機や電車(とくに地下鉄)のなかでイヤホンをつかって音楽を聞くときは難聴を予防するためにノイズキャンセリング・イヤホンをつかうとよいです。

飛行機や地下鉄のなかの騒音はかなりのものです。このような騒音のなかでイヤホンをつかって音楽を聞こうとするとどうしても音量をあげなければなりません。しかしイヤホンで大音量で長時間きいていると難聴になるおそれがあると指摘されています(注1)。十分に注意しなければなりません。

そこでおすすめするのがオーディオテクニカのノイズキャンセリング・イヤホン「ATH-ANC23」です(注2)。

わたしは海外出張が多いのでノイズキャンセリング・イヤホンを長年つかっています。これまでつかっていたものがこわれたのでこのたび買いかえました。

特徴はつぎのとおりです。
  • 騒音を約90%低減します。
  • ボリュームをそれほどあげなくても音楽をたのしめます。
  • クリップつきコントロールボックスにボリュームコントローラーがついているので手元で簡単に音量調整ができます。
  • 音質・音場のバランスが非常によいです。
  • 音楽を聞かないときでも耳栓としてもつかえます。
  • 単4電池1本が必要ですが、電池がきれた場合でも普通のイヤホンとしてつかえます。

航空機内でノイズキャンセリングをオンにして、しばらくしてからオフにすると機内の騒音がいかにすごいかがよくわかります。しかしノイズキャンセリングをつかうことで小さな音量でもしっかりと音楽を聞くことができるようになります。

IMG_2122

 
この ATH-ANC23 はコストパフォーマンスに非常にすぐれ、またバランスのよい音質・音場で音楽をたのしめます。オーディオテクニカのこれの前のノイズキャンセリング・モデルは風呂のなかできいているような変な残響があって今一つな音でしたが、これはかなり改善されていて問題はありません。

航空機アダプターが付属していますので機内で映画を見るときにもつかえます(映画でも大音量にする必要はありません)。航空機用アダプターなどをまとめてもちはこべるポーチつきで旅行に最適です。

また電車(とくに地下鉄)のなかで外国語のヒヤリングをするときにも役立ちます。音声がよく聞きとれるようになりますのでおすすめします。


近年、スマートフォンなどの普及でイヤホンを耳にしている人をよく見かけるようになりました。しかし大きめの音量で聞いていると聴力が悪化することを WHO(世界保健機関)も警告しています。

ノイズキャンセリング・イヤホン(ヘッドホン)は現代の必需品になりました。また刺激のつよい高音を聞きつづけても難聴になる可能性があります。高音やシャープネスを強調したイヤホン(ヘッドホン)はさけ、音質・音場のバランスのよいイヤホンを選択するのがよいでしょう。


■ まとめ
  • 難聴を予防する。
  • コストパフォーマンスにすぐれる。
  • 音質・音場のバランスがよい。
  • 音楽をたのしめる。
 


▼ 注1
WHO(世界保健機関)はオーディオプレーヤー・コンサート・バーなどの「大音量」「長時間」の騒音によって、世界中で11億人もの若者が永久に聴力を損なう危険にさらされていると警告しています。

WHO の調査によ ると、12歳〜35歳の人々の内、約4300万人が音楽による聴力損失を経験しているとのことです。また、聴力損失を経験する割合が増加している12歳〜35歳の人々の中でも、富裕国および中所得国の50%以上は個人所有のオーディオ機器を「安全ではない騒音レベル」で使用しています。 
 
出典:「音楽は1日1時間まで」とWHOが警告する理由とその対処法とは?

イヤホンで音楽などを長時間きいていると頭がいたくなることもあります。1〜2時間きいたら一旦やすむのがよいです。


▼ 注2:オーディオテクニカ・ノイズキャンセリングヘッドホン ATH-ANC23
オーディオテクニカはイヤホンのことを「インナーイヤー・ヘッドホン」とよんでいます。色は黒と白があります。ノイズキャンセリング機能をつかわないときには、バッテリーを消耗してしまいますのでノイズキャンセリングをオフにすることをわすれないようにします。
audio-technica カナル型イヤホン ノイズキャンセリング ブラック ATH-ANC23 BK IM


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航空券の購入からチェックイン(搭乗手続き)、出入国手続きなどがスムーズにいけば、あとは空の旅をたのしむだけです。

航空券は実にたくさんの種類がありますので、ウェブサイトをつかってよく比較・検討してから購入します。フラッグキャリア(その国を代表する航空会社)は母国の空港では一番よい施設をもっていてわかりやすいので、目的地のフラッグキャリアを利用するのもひとつの方法です

日本出国にあたり成田空港をつかう場合は、都心からとおいので時間の余裕をもってでかけるようにします。午前便の場合には前日に空港ちかくのホテルに泊まるとよいです。とくに旅行シーズンは、手続きに時間がかかるので十分な余裕をもって行動しなければなりません。

成田空港にかぎらず国際空港にはターミナルが通常複数あるので、自分のチェックイン・カウンターがどこにあるのか事前にかならず確認しておきます。タクシーを利用した場合は空港にちかづくと「どのエアラインですか?」と運転手がきいてきます。

チェックイン・カウンターで荷物をあずけるとクレイム・タグという半券をくれるので行き先を確認します。荷物にふるいタグがのこっていると誤送の原因になりかねませんのでチェックインの前に はがしておきます。

チェックインや出入国手続きのときには慣れないし緊張しているので手持ち荷物をおきわすれるおそれがあります。とくに外国においてそのようにならないために手持ち荷物はなるべく1個に限定するのがよいです。パスポート・航空券・クレジットカード・現金などの貴重品は1つの入れ物(ポーチなど)にいれ、つねに身につけておきます(かならず機内持ち込みにします)。

機内では、通路側の席をえらべば洗面所にいつでも容易に行くことができます。窓側の席なら上空からの眺めがたのしめます。以前は、チェックインのときに希望をつげていましたが、最近は、ウェブサイトでの予約時に希望の席を指定できるようになってきています。

機内は音楽を集中してきくのに最高の場所になっています。以前は、ポータブル CD プレイヤーをもっていきましたが、今では、iPhone などのスマートフォンや iPod などがあるので便利です。ノイズキャンセリング・イヤホン(注)もっていくとよいです。機内サービスのオーディオは機内放送のために音楽が突然とまることがよくあるのでつかわない方がよいです。


▼ 参考文献
野口悠紀雄著『「超」旅行法』新潮社、1999年11月25日
Amazon:「超」旅行法
楽天:【中古】 「超」旅行法 /野口悠紀雄(著者) 【中古】afb

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ノイズキャンセリング・イヤホンをつかって難聴を予防する





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レストランで一人で食事をたのしむ -『「超」旅行法 』(4)-
ガイドブックで概観してから、気に入った作品をじっくり鑑賞する - 海外の美術館・博物館めぐり /『「超」旅行法 』(5)-
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海外旅行のトラブルに対処する -『「超」旅行法』(7)-
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物体に反射する反響をよく聞くようにするとその空間の全体状況が認識しやすくなります。

目の不自由な人は物体に反射する音を聞いて、その物体と自分との距離や自分のいる空間を認知しているそうです。つまり、物体そのものは見えなくても反響をとらえれば物体の空間配置や空間の状況を認識することができるということです。

* 

たとえばコンサートホールで音楽を聞いてみると、楽器から直接発せられる音以外にホールの天井・壁・床などに反射する反響があり、これがゆたかな響きを音楽にくわえることに成功しています。

ホールによって反響はさまざまであり、東京文化会館とサントリーホールと東京芸術劇場とオーチャードホールとでは響きはあきらかにことなります。それぞれの響きがそれぞれのホールの特色あるいは個性をうみだしています。

あるいはオーディオで音楽を聞くときに、録音されている反響に耳をかたむけることによって、どのような部屋あるいはホールで録音したのかを想像することができます。

非常にひろいホールでの録音ではとおくの壁に反射した反響がきこえます。せまいスタジオ録音の場合はすぐちかくに壁があることがわかります。響きが録音空間をあらわしていることはオーディオファンはよく知っていて、反響を聞いただけでどこのコンサートホールをつかって録音したかをいいあてる人もいます。


このように、見えても見えなくても反響をしっかり感じとることは空間の状況を認知するためにとても役立ちます。直接音だけにとらわれているとその場の全体状況はわかりません。対象物だけを集中的に見ているとその周辺や背景が見えなくなるのとおなじことです。

直接的なことだけでなく、その周辺にひろがる響きをとらえることは物事の背景や本質を知ることにも通じるとおもいます。


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定額制音楽配信サービス「Apple Music」はストリーミングをつかったサービスですので、Wi-Fi につながっていないときのために、とくに気に入った曲はスマートフォンなどにダウンロードしておくとよいでしょう。

Apple Music は、スマートフォンや Mac/PC が Wi-Fi とつながっているときは問題はありませんが、つながっていないときには、Wi-Fi につながっているときに楽曲をダウンロードしておいてオフラインできくか、データ通信を利用してストリーミングできくという2通りの方法があります。


ダウンロードをする場合は、iOS のときは、「三点リーダー」(・・・)をタップしてオプションを表示させ「オフラインで再生可能にする」を選択します。ダウンロードされオフラインでもきけるようになると iPhone の場合は アルバム・ジャケットあるいは楽曲に iPhone マークがつきます。また「My Music」のアルバム/プレイリストの項目に「オフライン再生可能な項目を表示」が用意されていので、これを有効にすると iPhone 内に保存された曲のみを表示できます。

Mac/PC の iTunes の場合はクラウド・ボタンをクリックします。ダウンロードされるとクラウドマークがきえます。

一般的には、気に入った曲については Wi-Fi につながっているときに iPhone などにダウンロードしておくのがよいでしょう。

* 

一方、モバイル利用時にデータ通信(4G/3G通信)をつかう場合は、キャリア(通信会社)のプランにもよりますが、パケット通信料が圧迫され、データ容量が大きくなると課金されますから注意が必要です。

Apple Music をデータ通信ではつかわない場合は、iPhone の[設定]→[iTunes & App Store]でモバイルデータ通信を OFF にしておきます。この設定は、App の自動ダウンロードにも適応されるので注意してください。


▼ 追記 
アップル上級副社長のエディ=キュー氏は、「Apple Music のビットレートは接続環境(Wi-Fi か 3G/4Gか)によって変わる」と発言しています。Apple Music のビットレートは公式には 256kbps と発表されていますが、3G/4Gをつかってきくときにはもう少し低くなるようです。つまりデータ通信ではやや音質がおちるということです。

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定額制音楽配信サービス「Apple Music」は、あたらしいサービスを音楽ファンに提供する仕組みであり、情報化時代のあたらしいビジネスモデルといえるでしょう。

Apple Music は、スタートしてまだ何日もたっていませんが音楽ファンにとってはうれしい衝撃になっています。今後、音楽をめぐるあらたなライフスタイルが創出されていくことになるとおもわれます。

* 

目玉ともいえるサービスは「For You」です。これは、機械的に単にはじきだしたリストとはちがい、各ジャンルの専門のキュレーター(選曲家)がアップルにはいて、「人の手によるキュレーション」がはいっているとのことです。ユーザーが曲を再生すればするほど提案の精度があがり、ユーザーがこのむとおもわれる選曲がよりなされるようになっていきます。あたらしい楽曲やアーティストとつぎつぎに出会える仕組みです。

まずは「For You」をたのしんでみるとよいでしょう。

わたしはクラシック音楽をおもにきいて、今まできいたことのなかった演奏家の演奏がつぎつぎにきけるようになりました。またおなじ曲をさまざまな演奏家でききくらべることも簡単にできるようになりました。今までは、このようなことはコストや労力の関係でできませんでした。音楽への入り口が大きくひろがったといった感じです。


Apple Music はただ単に音楽をきくための装置ではなく、音楽をめぐるあたらしいサービスを提供する仕組みになっています。「My Music」「For You」「New」「Connect」などのサービスが集約的にシステム化されていて、わたしたちユーザーはそのサービスを利用し、そのために利用料を支払うことになります(ただしトライアル期間の3ヵ月間は無料)。

これは、不特定多数の人々に物を販売するという従来のビジネスではなく、それぞれのユーザーにそれぞれに適したサービスを提供する情報産業です。サービスのなかに音楽や情報や提案やコネクトなどが総合的にふくまれているのです。そもそも音楽自体が人々の心をゆたかにするサービスであるととらえなおすこともできるでしょう。

Apple Music にみられるこのようなやり方はほかの分野にも波及するのではないでしょうか。情報化時代のあらたなビジネスモデルを Apple Music にみることができます。音楽以外の分野の人々にとっても非常に参考になるとおもいます。


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アップルの定額音楽配信サービス「Apple Music」がはじまったことは、情報処理技術のクラウド化が今後ますます すすむことをしめしています。

音楽は以前は、レコードあるいはCDをショップで買ってきてきくものでした。それが、iTunes などがでてきてダウンロード購入をしてきくものになり、そして今度はストリーミングとクラウドをつかってきく仕組みに発展しました。

 (1)レコードあるいはCDを買ってきてきく
 (2)ダウンロードしてきく
 (3)ストリーミングとクラウドをつかってきく

これと同様な流れはアプリについてもありました。

 (1)CD-ROM を買ってきてパソコンにインストールしてつかう
 (2)ダウンロードしてインストールしてつかう
 (3)クラウド・アプリを利用する

さまざまなアプリが今日ではクラウド化してきています。最近では、会計ソフトがつぎつぎにクラウド化して話題になりました。

クラウドは、データ(各種ファイル)をクラウドにおいておき、必要なときにアクセスしてつかうのが特色です。

このような観点からは、ウェブメールもそもそもクラウドだったわけです。あるいはつかい方にもよりますがツイッターやフェイスブックやブログもクラウドです。

こうしたクラウド化の流れからいうと書籍もいずれクラウド化するのではないでしょうか。

 (1)書店で本を買ってきて読む
 (2)電子書籍をダウンロード購入して読む
 (3)ストリーミングで読む

現在は(1)と(2)が混在している段階です。こまかい技術は別にして将来的には(3)がおこり、書籍も所有する必要がなくなるのではないでしょうか。書籍も物ではなくなり、情報処理のひとつの手段として位置づけられます。


このように、購入して所有するという仕組みから、必要なときに必要な情報(ファイル)にアクセスして利用するという仕組みに変化していくとかんがえられます。これは非常に大きな変化です。

そして物を得るということから情報処理をするということに主眼がおかれるようになります。こうした情報化の流れは今後ともつづき、物質社会から情報社会へと世の中は転換してくのでしょう。

したがってこれからはひとりひとりが情報処理能力をみにつけ、みずからが情報処理の主体になることがもとめられます。クラウドとそれにつながる各種デバイス(端末)はそのための道具です


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▼ 追記
アップルは、2015年4月に「写真」アプリを登場させて写真もクラウドに対応させました。撮影した写真のオリジナルはクラウドにおいておけばよいようになりました(ただし一般的には iCloud Drive の増量が必要です)。アップルの開発の流れをみているとクラウド化の様子がよくわかります。
「iCloud フォトライブラリ」と「iCloud Drive」をつかう - アップル「写真」アプリ(1)-




アップルの定額音楽配信サービス「Apple Music」がはじまってまだ2日目ですが、今までとは世界がちがってきました。これは、音楽とのあらたな出会いを提供する仕組みととらえることができます。

注目すべきは「For You」というあたらしいサービスです。これにより、知らなかった楽曲やアーティストを発見しやすくなりました。

わたしたちユーザーが検索して必要な情報をさがしだす仕組みももちろんありますが、For You は、各ユーザーの使用状況にもとづいてユーザーそれぞれに適した情報を Apple Music が提案します。そしてユーザーが Apple Music をつかえばつかうほど For You は充実していきます。

このあたらしいサービスは、不特定多数の人々に物を販売するという従来のビジネスとはあきらかにちがいます。

そしてユーザーは、For You にしろ検索にしろとにかくまず1回きいてみればよいのです。購入ではないのですからどの曲でも自由にきくことができます。その結果、どうってことなければもうきかなければよいし、気にいれば何回もきけばよいということになります。

今までは、iTunes でプレビュー(曲のごく一部)をまずきいてみて購入するかどうか判断し、そして本当に必要だとおもわれるものを購入するという手順でした。そこでは、買ったけれどもどうってことなかったという商品もいくらかありました。しかし、これからはそのようなことはなくなります。未知の領域に安心してはいっていけます

こうして Apple Music はあたらしい音楽ポータルになるのだとかんがえられます。

さまざまな機能を集約・統合して見通しをよくし、直観的に誰もがつかえるようにしたアップルのトータル・デザインもみのがせません。

ユーザーそれぞれのニーズにこたえるこのようなサービスは、たとえば美術作品や電子書籍などについても将来的にはおこなわれるようになるのではないでしょうか(注)。

ユーザーにとっては情報収集の手段がふえるわけで、(自分の心のなかへの)情報のインプットがより効率的・効果的になるとかんがえられます。


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▼ 注
Amazon や楽天などでもこのようなサービスを一部でおこなっていますが、将来的にはもっと大規模におこなわれるようになるとおもわれます。




アップルの定額音楽配信サービス「Apple Music」がスタートしました。これで、ストリーミングとクラウドをつかって膨大な楽曲を手軽にたのしめるようになりました。


Apple Music をつかうためには iOS(iPhone/iPad/iPod)と iTunes(Mac/PC)を最新バージョンにアップデートしなければなりません。Android には現段階では対応していませんが今秋から対応するとのことです(注1)。


つぎに、iOS でしたら「ミュージック」アプリ、Mac あるいは PC でしたら iTunes をたちあげます。初期設定画面がでてきて Apple Music のトライアルメンバーに登録するかどうかきいてきます。

3ヵ月間は無料トライアルで利用できます。3ヵ月たつと自動的に下記の課金がはじまります。利用を継続しない場合は課金前に登録を解除することができます。

 個人メンバーシップ:980円/月
 ファミリーメンバーシップ(最大6人):1480円/月


メンバーシップに登録すると、「お気に入りジャンル」の初期設定画面になります。これはあとで、「アカウント設定」→「好きなアーティストを選択」で変更できますから、ふかくかんがえずにタップ(クリック)して先にすすみます。


あたらしい「ミュージック」アプリあるいは iTunes の画面になり、いくつかのタブがでてきます。

For You」:自分の検索や好みのアーティストを反映した楽曲やアルバムが自動的に表示されます。Apple Music をつかえばつかうほど「For You」の提案がよくなっていくとのことです。

New」:楽曲やアーティストをあらたに自分でみつけることができます。検索をつかっていろいろさがしてみるとよいでしょう。膨大な数の楽曲がでてきます。

あとはタップ(クリック)してきくだけです。これだけたくさんの曲が自由にきけるのというのは正直いっておどろきです。

Radio」:インターネットラジオをジャンル別できけます。BGM にはいいのではないでしょうか。

Connect」:自分がフォローしたアーティストから、日々の活動や新譜、ライブ情報、写真やビデオなどのアップデートがとどく仕組みで、すきなアーティスト専用のソーシャルメディアのような仕組みだそうです。アーティストのページには「Follow」ボタンがあり、これをクリックすると「Connect」に新規投稿が表示されるようになります。


プレイリストや楽曲には、「」ボタンと「ハート」ボタンが用意されていて、「+」ボタンをおすと、プレイリストや楽曲を「My Music」に追加できます。「ハート」ボタンは音楽の好みを Apple Music に記録する役割があります。

My Music の音楽は、オフラインできくためにデバイスにダウンロードすることもできます。インターネットにつながっていない場面でも音楽をたのしめます。iOS の場合は「三点リーダー」をタップしてオプションを表示させ「オフラインで再生可能にする」を選択します(各曲にマークがつきます)。iTunes の場合はクラウド・ボタンをクリックします。


「iTunes Store」はこれまでどおり のこっていて、1曲ごとにあるいはアルバムごとに購入できますが、1曲150円とかアルバム2000円とかで購入することは今後はなくなるのではないでしょうか。ひと月に1枚以上のアルバムを買っていた人にとっては Apple Music の方が割安です。

また「iTunes Match」は一般的には必要ないとおもいます。「使わない」をクリックするとタブそのものが消えます。

 
Apple Music の特色は、ストリーミングサービス音楽ライブラリーのクラウド化です。楽曲を買うという今までの仕組みからは大きく変化することになります。

米国では3700万曲(日本国内向けは数百万曲)ともいわれる膨大な楽曲に自由にアクセスできるようになり、また、自分のライブラリ全体が「iCloudミュージックライブラリ」に自動的にアップロードされ、同一の Apple ID をもつデバイスでいつでもどこでもきけるようになります(注2)。

Apple Music をつかって集約的に手軽に音楽がたのしめるようになったことは、クラウドの時代が本格化してきたことをしめす一例といえるでしょう。今後、クラウドをどうつかいこなし、クラウドとどうつきあっていけばよいのか、よくかんがえて準備をしておかなければならないとおもいます。


▼ 注1
2015年秋には、Android にくわえて Apple TV でも Apple Music がつかえるようになる予定です。

▼ 注2
iOS デバイスで Apple Music を利用するかしないかは「設定」で操作できます。「設定」→「ミュージック」にはいり、「Apple Music を表示」をオン、「iCloudミュージックライブラリ」をオンにすると利用できます。利用しない場合はオフにします。

なお「iCloudミュージックライブラリ」は「iCloud Drive」とは別物でありリンクはしていません。

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ストリーミングを利用した加入型音楽サービスがはじまる - アップルミュージック -




IMG_2353
サントリーホール

サントリーホールでパイプオルガンの演奏をきき、ホールの共鳴空間にひたることができました。

サントリーホール・オルガン・プロムナード・コンサート(注)

ベートーヴェン作曲
アレグレット ハ長調(M.M.カチョル編曲)
音楽時計のための5つの小品から
 アダージョ・アッサイ ヘ長調
 メヌエット:アレグレット ハ長調
 アレグロ ト長調
オルガン・トリオ
 第1番 ト短調
 第2番 変ホ長調
 第3番とフーガ ホ短調

オルガン:マリア・マグダレナ・カチョル
(2015年6月25日) 

パイプオルガンとは鍵盤楽器のひとつであり、音階状に配列した大小様々のパイプに空気を送風して音を発する仕組みになっています。サントリーホールのパイプオルガンはパイプ総数5898本、世界最大級のパイプオルガンであり、大小さまざまなパイプが組みあわさり、繊細な音から壮大な音までその響きはすばらしいです。

パイプオルガンは普通の楽器とはことなり、楽器がホール(建物)の一部になっていて、ホールの建設時に楽器がくみこまれているところに特徴があります。パイプオルガンにとってはホールの空間全体が共鳴箱になっていて、ホール全体がいわば楽器になっているとかんがえるとわかりやすいでしょう。

普通の楽器の場合は、バイオリンやギターをみればあきらかなように弦の下に共鳴箱があり、そこで音が増幅・共鳴してわたしたちにつたわってきます。しかし今回は、それとはことなり共鳴箱のなかにはいって音楽をきくような体験です共鳴箱という異空間のなかで響きそのものを体験するといった感じです。ここでは楽器の音をきくというようりも、自分の意識が共鳴空間全体にひろがっているような独特の体験ができます。

サントリーホール・オルガン・プロムナード・コンサートは、毎月1回、昼休みに公開している無料コンサートです。行けば誰でも入場できます。ほかの楽器では味わえないパイプオルガンの世界はおすすめです。



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NHKホールでホルン協奏曲をきき、ホルンの響きをたのしみました。

指揮:アンドリス=ポーガ
ホルン:ラデク=バボラーク
管弦楽:NHK交響楽団 
曲目:
 モーツァルト『交響曲 第1番 変ホ長調 K.16』
 モーツァルト『ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412』(レヴィン補筆完成版)
 R.シュトラウス『ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11』
 ラフマニノフ『交響的舞曲 作品45』
 (2015年6月13日、NHKホール)

ラデク=バボラークは世界的なホルンの名手であり、わたしもかねてから注目していたのでききにいきました。

ホルンは、数ある楽器のなかでも特に響きを重視する楽器です。響きとは楽器からでる直接音というよりも、コンサートホールの反響板や壁などに反射してホールの空間全体にひろがる音の波動です。これは、直接音(演奏)そのものの周囲にひろがり、ホールの空間を全体的にみたすものです(図)。
150617 演奏と響き
図 演奏の周囲に響きがひろがりホールをみたす。


演奏・響き・ホールを図のようなモデルでとらえるとホールも楽器であるといわれるゆえんがよくわかります。響きが充実してこそゆたかな音場が形成されます(注)。

響きの空間は、主体である演奏者にとっては環境ですから、ホールも「主体-環境系」としてとらえることができます。

このように直接きこえてくる音(演奏)だけに集中するのではなく、ホールの空間全体にも意識をくばり、その空間を感じとってそこに没入できれば、よりふかく音楽を味わえるとおもいます。


▼ 注
NHKホールはふるい多目的ホールであり、現代のほかのコンサートホールにくらべて音響がわるいことが知られていますが、今回の演奏はそんなことを感じさせないすばらしい演奏でした。ラデク=バボラークは、めったにあらわれない歴史的なホルン吹きだとおもいました。


▼ ラデク=バボラークのおすすめミュージックはこちらです。

※ R.シュトラウス『ホルン協奏曲第1番』がはいっています。ただしピアノ伴奏です。


※ バッハ『無伴奏チェロ組曲』をホルンで演奏した前代未聞の名演です。





米アップルは、ストリーミングを利用した新サービス「アップルミュージック」(注1)を6月30日からはじめると発表しました。月9.99ドル(約1200円、最初の3ヶ月は無料)で3000万曲がきき放題になるそうです。

6月8日(日本時間の9日未明)、アップルが自社製品に対応するソフトウェアやサービスなどの開発者向けに発表するWWDC(ワールドワイド・デベロッパー・カンファレンス)が開催され基調講演がありました。

あたらしい「アップルミュージック」は定額制の音楽配信サービスであり今度の方式はストリーミング方式になるのが最大の特徴です。これはダウンロード方式(スマートフォンやパソコンなどのデバイスにいろいろな楽曲を購入して保存する方式)とはことなり、ききたい音楽をサーバーから受信しながら逐次再生する仕組みです。

楽曲やアルバムを購入して自分のライブラリ(ストレージ)に追加していく必要はなくなり、毎月の加入料を支払うことで、音楽配信サービスに登録されているすべての楽曲を自由にたのしめるようになります。「アップルミュージック」は加入型音楽配信サービスです。


このような加入型音楽配信サービスが出現してきた背景にはクラウドの発展があります。クラウドでは、データはストレージにではなくクラウドにおいておき、インターネットをつかっていつでもデータにアクセスすることがきます。

そもそも、アップルの音楽ダウンロードサービスの iTunes music は売上を落としつつありました。ダウンロード型サービスにかわってストリーミングの加入型サービスが台頭するのは時代の潮流でしょう(注2)。

「アップルミュージック」をみてもクラウドが本格化しつつあることがわかります。


▼ 注1

▼ 注2
ストリーミング型の音楽配信サービスということでは、アップルの iTunes でもインターネットラジオがすでにありました。インターネットにつながっていれば、iTunes でインターネットラジオを無料で利用できます。

非常に多数のラジオ局があり、あらゆる分野の膨大な楽曲が放送されています。作曲家別・楽器別の放送もたくさんあります。Mac の場合は iTunes をたちあげてインターネットラジオのアイコンをクリックすればすぐに利用できます。iPhone や iPad の場合でしたら、インターネットラジオ・アプリを App Store から入手(無料)すればきくことができます。ただしあくまでも放送ですから一方的に楽曲がながれてきます。バックグラウンドミュージック用にはいいのではないでしょうか。

今度の「アップルミュージック」は有料ですからインターネットラジオよりもつかい勝手がよくなり、これまでよりも音楽がたのしみやすくなるのだとおもいます。

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わたしたちは、目・耳・舌・鼻・皮膚などの感覚器をつかって環境(外界)からたえず情報をとりいれています(インプットしています)。

たとえば料理を食べるときには舌をつかって味を感じとります。

しかしいつも感じることとして、料理の見た目や香りも味に大きく影響しているということがあります。料理を見ておいしそうだと感じたり、香りをかいで気分がかわったりします。スパイスの効果などは特に重要です。

つまり味覚は視覚や臭覚の影響も大きく、舌だけでなく目や鼻からはいってくる情報も総合してわたしたちは料理を味わっているわけです。

音楽を聞くときもそうです。たとえばコンサートホールで生演奏を聞くときには聴覚で音を感じるだけでなく、演奏者や楽器が発する空気振動を皮膚感覚でうけとめたり、演奏者の躍動的な動きを視覚的にとらえて感情をゆさぶられたりしながら総合的に音楽を感じとります。

このように現場に行った方が感覚器が総動員されるので味わいや感動が大きくなることが多いです。現場に足をはこぶことは大事なことです。

したがって情報のインプットは、自分の感覚器を最大限につかって総合的におこなったほうがよいといえます。対象に意識をもっていくときにはもっている感覚をフルにつかったほうがよく、その後の情報の増幅や処理もそうしたほうがすすみやすいとおもわれます(図1)。

150324 総合的にインプット
図1 インプットは総合的におこなう
 

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感覚器をつかって情報をインプットする 〜 岩堀修明著『図解・感覚器の進化』〜

▼ 参考文献


iPhone などのスマートフォンが普及したためにイヤホンの市場が爆発的に拡大し、イヤホンの試聴ができる実店舗も増えてきました。わたしは出張・旅行が多く、旅先で音楽をたのしむためにイヤホンを長年つかっています。

実店舗でイヤホンを試聴するときには、最低価格のイヤホンと最高価格のイヤホンとを最初に聞きくらべて、イヤホンの世界の両極端をまず知ってしまうのがよいです。そのうえでよさそうなほかのイヤホンを試聴します。

すると、それぞれのイヤホンを、最低と最高との両極端のあいだに位置づけてランクづけすることができます。ランクづけとは評価といいかえてもよいです。

このように試聴とは評価をすることです。そして極端を知るということは全体像(大局)をすばやくとらえるためにとても役立ちます。ということはそもそも評価とは全体像がとらえられていてはじめてできることだといえるでしょう。

そして全体像をとらえながら評価をしていると、つぎには、各製品が何をもとめているのかがわかってくることが多いです。 

このような手順をふまずに、やみくもに片っ端から試聴をつづけていると何がなんだかわけがわからなくなってきます。極端を知ることは評価のためには絶対に必要なことです。

これは極端なことを実行するということでは決してありません。極端は知るだけでよいです。最低と最高の極端を知って大局をつかみ、個々の製品を評価するということです。そして選択して購入します。

このような手順は、イヤホンにかぎらずほかの商品を購入するときにも役立つでしょう。



iPhone などのスマートフォンで音楽をたのしんでいる方は多いとおもいます。最近のスマートフォンは音質が非常によくなってきており、とくに iPhone 6 および 6 Plus は音質がとてもよいです。アップルは音づくりにも力をいれています。

その性能を生かすためにはよくできたイヤホンをあらたに購入したほうがよいです。付属のイヤホンでは性能が生かしきれません。

今回わたしは、東京・秋葉原にある eイヤホン(注1)という実店舗で、内外で定評のあるオーディオテクニカ(audio-technica)のイヤホンの試聴をしてきました。

おすすめのイヤホンはつぎの2点です。 

1. audio-technica IM Series ATH-IM50(アマゾンで 4,680円)
圧倒的なコストパフォーマンス、音質と音のバランスがよく聞きづかれしません。
 

このひとつ上位モデルあるである IM Series ATH-IM70 (アマゾンで 9,200円)は、解像度は ATH-IM50 よりも若干よくなるかもしれませんが音のバランスがわるいのでおすすめしません。


2. audio-technica IM Series ATH-IM01(アマゾンで12,500円)
もうすこし予算がある方にはこちらをおすすめします。音質・バランスにくわえて解像度も高いです。わたしは普段はこれをつかっています。



オーディオテクニカの IM シリーズは概して性能がよく、現段階では、オーディオテクニカのほかのシリーズよりもこのシリーズがおすすめできます。モニターイヤホンとされていますが、モニタリングでプロがつかうだけでなく一般の消費者がつかってもまったく問題はありません(注2)。

息づかいまで、再現する。 IM(イヤーモニター)シリーズ  >>

ただし、このシリーズにかぎりませんが価格と性能とは比例しません。これはほかの家電製品についてもいえることです。高性能でありながら量産されているために価格が低くおさえられているケースは非常に多いです。

IM シリーズで最上位モデルの ATH-IM04(アマゾンで 42,500円)は音質・解像度ともにたしかによいですが、価格が ATH-IM01 の3.4倍であるのに対して、性能は1.5倍もいかないのではないでしょうか。1.3倍程度。これだけお金をかけるならオーバーヘッドのヘッドホン(いわゆるヘッドホン)を買ったほうがよいとおもいます。

音楽をたのしむという観点からは ATH-IM50 あるいは ATH-IM01 をおすすめします。


まとめ
・オーディオテクニカのイヤホン ATH-IM50 あるいは ATH-IM01 がおすすめ。
・オーディオテクニカの IM シリーズは概して性能がよい。
・価格と性能とは比例しない。


▼ 注1
eイヤホン >>
このお店は、どこかの量販店とはちがって店内に大きな音楽がながれていないのでじっくり試聴することができます。

▼ 注2
オーディオテクニカでは、いわゆるイヤホンのことを「インナーイヤーヘッドホン」とよび、いわゆるヘッドホン(頭にかけてつかうレシーバー)を「オーバーヘッドヘッドホン」とよんでいます。本記事では、「インナーイヤーヘッドホン」を一般的なイヤホンと記述しました。

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ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)組曲《展覧会の絵》をききました(アレクサンドル=ラザレフ指揮、日本フィハーモニー交響楽団、杉並公会堂、2015年3月15日)。

ロシアの作曲家・ムソルグスキーは、友人・ハルトマンの遺作絵画展でみた10枚の絵の印象を音楽にしました。

ムソルグスキーは、絵(イメージ)をみてそれを音楽にしましたが、わたしたち聴衆はそれとは逆に音楽をきいて絵(イメージ)をおもいうかべます。これは「耳でたのしむ展覧会」であり、同時にとても効果的なイメージ訓練です。

10枚の絵がそれぞれ曲になっていて表題がついています。会場で配布されたプログラムノートから表題と解説を引用しておきます(注)。ただし、音楽をききながらイメージをするときには言葉にはあまりとらわれずに自由に想像をふくらませてかまいません。

第1曲:こびと
北欧神話の精霊・ノームがグロテスクに描かれる。

第2曲:古い城
中世の城にこだまする吟遊詩人の歌をエキゾチックに歌いあげる。

第3曲:チュイルリー宮殿の前庭
庭園での子どもたちのはしゃいだ姿が表情豊かに描かれる。

第4曲:ビドウォ
「ビドウォ」とはポーランド語で牛の群れのこと。重々しい牛車の響きの中に、ロシア帝国時代の暗くみじめな農奴の生活が浮かぶ。

第5曲:からを付けたひよこの踊り
元気いっぱいのひよこたちがあっちこっちと飛び跳ねる。

第6曲:サミュエル・ゴールデンベルグとシュミュレ
かたや威張った金持ち、かたや卑屈な貧乏人という、対照的なユダヤ人のおしゃべり。

第7曲:リモージュの市場
リモージュはフランス中部の町。おかみさんたちの威勢の良いおしゃべりが市場を縦横無尽に飛び交う。

第8曲:カタコンブ(地下墓地)
古代ローマ時代、迫害されたキリスト教徒たちの墓。こここでムソルグスキーは「死者とともに死者の言葉で」という表題で“プロムナード”を挿入し、亡き親友春とマンの追憶に浸る。

第9曲:鶏の足の上に建つ小屋
ロシア民謡の魔女バーバ・ヤガーの家。中空を自在に飛び回るような豪快さと、怪しげな呪文を思わせる昼間部が鮮やかなコントラストを描き出す。

第10曲:キエフの大きな門
ハルトマンが設計したキエフ市の門の重厚な印象。

こうして《展覧会の絵》は堂々とクライマックスをむかえ、わたしたちは光の世界へといざなわれます。


今回の方法は、音楽をインプットして絵(イメージ)を想像するというやり方でした。情報処理の観点からみると、イメージ訓練あるいは想像することはプロセシングのなかでもとくに重要な方法といえるでしょう(図1)。
150315 音楽と心象法
図1 音楽をきくことはインプット、想像することはプロセシング
(<インプット→プロセシング→アウトプット>は情報のながれ)


何かをアウトプットしようとおもったら、先にイメージをえがいて、イメージをおもいうかべながらアウトプットしたほうがうまくいくとおもいます。



▼ おすすめの音源
Amazon デジタルミュージック:展覧会の絵
こちらは 辻井伸行さんの演奏によるピアノ(オリジナル)版です。

▼ 注
曲のはじまりと各曲(各絵)の間には「プロムナード」というみじかい前奏曲あるいは間奏曲が演奏されます。この「プロムナード」はムソルグスキー自身が絵と絵のあいだをあるいている姿を表現しているといわれています。


▼ 参考文献

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