発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:環境保全

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「グレート・バリア・リーフ」の水槽(交差法で立体視ができます)

サンゴ礁は、そこに生息する魚たちの環境になっています。環境を、3次元空間で立体的にとらえることは生態系の理解や環境保全のために重要です。

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カピバラ(平行法で立体視ができます)
南米のアマゾン川流域におもに生息します。体長約 30cm、体重約 70kg にもなる世界最大のネズミの仲間です。前足と後足に水かきがあって泳ぎがとてもうまく、一日の大半を水中ですごします。水辺に生えるイネ科の植物をこのんで食べます。

立体視をしながら、対象に関する知識もふやすとスピーディな判断が可能になります。

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気候あるいは地球環境の変動と海流の循環とは大きく関係しています。注視していかなければなりません。

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企画展「シーボルト」(入口)(平行法で立体視ができます)

シーボルトは、日本の博物学と自然史研究の生みの親でした。日本の自然は多様性がとても大きいことを知ることが重要です。

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カルカドドン・メガロドン(交差法で立体視ができます)
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>)

海の食物連鎖について認識をふかめることは、海の生態系を保全することにつながります。

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160817c 都市国家
図1 都市国家のモデル

都市国家のモデルをつかって、情報処理をすすめ、自然環境と人間とが調和し、地域を活性化していくのがよいです。

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海は、地球上にのこされた最後の "フロンティア" といってよいでしょう。海に関する知識は、地球環境の保全にとりくむときに、あるいは水族館で海洋生物をみるときなどにも役立ちます。

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倉敷美観地区(入口)(交差法で立体視ができます)

景観を立体視することは空間や環境をとらえることにつながります。3次元の空間(入れ物)をしっかり把握し、人や物はそのなかの要素としてとらえるとおもしろいです。

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160807 場づくり
図1 情報処理と環境
 
情報処理の立場にたつならば、人と環境とはセットでとらえなければなりません。情報処理をすすめるためには環境の整備も必要です。

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ネパール中央動物園 入口

ステレオ写真をつかった立体視は見る能力をたかめる訓練になります。見る能力がたかまると情報処理能力もたかまります。
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カキツバタ
カキツバタはアヤメ科アヤメ属の植物です。湿地に群生し、5月から6月にかけて紫色の花をつけます。内花被片がほそく直立し、外花被片(前面に垂れ下がった花びら)の中央部に白ないし淡黄色の斑紋があることなどが特徴です。


ステレオ写真をつかって立体視をしながら内面空間を確立すると物事が立体的にあかるく鮮明にみえてきます。
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居住地の周辺に半自然地帯をつくって〈人間-半自然-自然環境〉系を構築することによって、生物多様性と自然環境を保全することができます。
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東京都美術館で「若冲展」が開催されていました。万物が共生する「若冲ワールド」を体験できる貴重な機会でした。
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これからの日本の電力をかんがえる場合、原子力発電に反対しているだけでは未来はひらけず、再生可能エネルギーの割合を増やす努力を具体的にしていかなければなりません。


日本科学未来館(注1)の「Lesson#3.11:5年前、そして5年間に起きたこと」(注2)ではこれからの電力についても展示解説しています。

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地図上の特定の場所に情報をむすびつけて理解し記憶すると、さまざまな情報が活用できるようになります。


今回は、代表的な「文化的景観」(文化的景観をもつ世界遺産)その2を理解し記憶してみたいとおもいます。 

興味のある場所についてはグーグルマップを「拡大表示」させ、「グーグルアース」にきりかえ、「ヘリコプター・ビュー」をしてみたり、画面下部に表示される写真を見たり、「ストリートビュー」や「360度パノラマ写真」をたのしんでみるとよいでしょう。

何かを理解したり記憶するときにはイメージをベースにするとよいです。言葉は、イメージを見るためのきっかけ(インデックス)としてつかったり、イメージを見た後の確認の道具として役立てるようにします。

視覚体験(イメージ)をあくまでも基本にした方が情報処理がすすむことはあきらかです。



1. ロワール渓谷
- ロワール川流域に貴族たちがきそって建てた城館群(フランス共和国)-


  • フランス中部のロワール渓谷にはおよそ130者城館が点在しています。
  • フランソワ1世が建てたシャンボール城はフランス・ルネサンスの最高傑作と評されています。レオナルド=ダ=ビンチも設計に関与したといわれます。



2. バリの文化的景観:パリ・ヒンドゥー哲学 トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」
- 人間と自然環境の調和がみられる灌漑システム(インドネシア共和国)-


  • 「トリ・ヒタ・カラナ」は、神と人、自然の調和をもたらす宇宙観を反映した概念です。
  • 「スバック」とは、寺院にあつめられた水を分けあう水利システムです。



3. パパハナモクアケア
- 多様な生き物がくらす世界最大級の海洋保護区(アメリカ合衆国)-


  • 北西ハワイ諸島の島々と環礁の集合体です。
  • ニホアとマクマナマという2つの島には、考古学的に重要な西欧化以前の定住跡がのこっています。



4. 首長ロイ・マタの旧所領
- 平和統一をなしとげた首長ゆかりの地(バヌアツ共和国)-


  • 17世紀初頭の伝説的な首長ロイ=マタの住居跡、臨終の地とつ垂らすフェルス洞窟、埋葬地などの遺跡が世界遺産に登録されています。



5. シングヴェトリル国立公園
- 国民統合の象徴(アイスランド共和国)-


  • 930年、アイスランドの入植者はこの地にあつまり、世界最古とされる民主的議会(全島集会)「アルシング」を開催して法律や規則をさだめました。
  • アルシングの遺構が自然環境とともに見られ、アイスランドの国家的な聖地になっています。



6. オルホン渓谷の文化的景観

- 遊牧民の生活を今につたえる(モンゴル国)-


  • 2000年にわたり自然と調和してくらした遊牧民の伝統や社会をつたえます。
  • 文字資料として貴重な「オルホン碑文」が発見されました。




世界遺産は多数ありますが、まずは、人間・文化・自然環境の全体にひろがりのある文化的景観に着目するのがよいでしょう。その他の世界遺産にも興味がつらなっていきます。



 

地図上の特定の場所に情報をむすびつけて理解し記憶すると、さまざまな情報が活用できるようになります。


今回は、代表的な「文化的景観」(文化的景観をもつ世界遺産)を理解し記憶してみたいとおもいます。 

ユネスコの世界遺産には「文化的景観」という概念があります。これは、人間が自然とともにつくりあげた景観をさします。この概念が適用された世界遺産は文化遺産に分類されるものの、文化遺産と自然遺産との境界に位置する遺産とされます。



1. 紅河ハニ族棚田群の文化的景観
- 独自の灌漑技術によりたもたれた棚田群 -




2. コルディリェーラ山脈の棚田
- 標高1000〜2000mの斜面にひろがる棚田 -




3. コロンビアのコーヒー農園の文化的景観
- 100年をこえて受けつがれてきたコーヒー栽培の営み -




4. リュウゼツランの景観とテキーラ村の古式産業施設群
- 先住民テウチトラン文化とテキーラ施設が混在した景観 -




5. ラヴォー地域のブドウ畑

- ブドウ畑と人間の営みが織りなす景観 -




6. アルト・ドウロのワイン生産地域
- ポート・ワインの源 -




7. トカイ地方のワイン産地の歴史的文化的景観
- 世界3大貴腐ワインのひとつ「アスーワイン」-




8. ビニャーレス渓谷
- 先住民の暮らしを伝える葉タバコの産地 -




9. 聖山スレイマン・トー
- 民間信仰とイスラム教信仰が混在する -




10. リヒタースフェルドの文化的および植物学的景観
- マナ族が、2000年以上にわたって自然環境を有効活用 -




11. トンガリロ国立公園
- 世界で最初に文化的景観がみとめられた -




12. 杭州にある西湖の文化的景観
- 日本や韓国にも影響をあたえた庭園設計 -




13. リオ・デ・ジャネイロ:山と海に囲まれたカリオカの景観
- 金の積出港としてさかえたリオの文化的景観 -




14. レドニツェ・ヴァルチツェの文化的景観
- リヒテンシュタイン公爵家の領地として発展した -





文化的景観を概念としてだけでなく、具体的な事例を通して理解し記憶することは重要なことです。文化的景観は、地球環境問題を解決し、人間と自然環境とが共生していくための重要な鍵となるでしょう。

日本でしたら、里山に文化的景観が見られるとおもいます。





▼ 参考文献
     


人間と自然環境とが共生するうえで文化的景観の概念が重要です。地球環境問題の解決の鍵のひとつが文化的景観にあるといえます。


ユネスコの世界遺産には「文化的景観」という概念があります。これは、人間が自然とともにつくりあげた景観をさします。この概念が適用された世界遺産は文化遺産に分類されるものの、文化遺産と自然遺産との境界に位置する遺産とされます。モデル(模式図)であらわすと下図のようになります。

160305b 文化的景観
図 文化的景観の位置づけ


ある地域において、人間の生活領域の周辺には自然環境がひろがっています。人間と自然環境と相互作用、相互のやりとり(注1)によって文化的景観が形成されます(注2)。




文化的景観には次の3つのカテゴリーが設定されています。


  1. 意匠された景観:人間によって設計・創造された景観。庭園・公園・宗教的空間など。
  2. 有機的に進化する景観:社会や経済・政治・宗教などの要求によって生まれ、一方で自然環境に対応して形成された景観。「残存する景観」と「継続する景観」に分けられます。
  3. 関連する景観:自然の要素が大きな影響をあたえ、宗教的・芸術的・文学的な要素とつよく関連する景観。


人間と自然環境とが共生するうえで文化的景観は非常に重要な概念です。地球環境問題の解決の鍵が文化的景観にあるといってもよいでしょう。


▼ 注1
人間と自然環境との相互作用のうち、自然環境から人間への作用はインプット、人間から自然環境への作用はアウトプットとよぶことができます。

▼ 注2
西欧文明には、文化的景観という概念は元々ありませんでした。西洋文明では人間と自然とを峻別し、人間は自然を支配すればよいとかんがえていました。こうしたところから文科系と理科系という2大分野が生まれました。しかし近年になって、これではやっていけない状況が増え、西欧系の人々の中にかんがえ方をあらためる人々が出てきました。文化的景観はこのような思想の変化もあらわす重要な概念です。



地図とイメージをつかって、特定の場所に情報をむすびつけると様々な情報が記憶・活用できるようになります。


今回は、代表的な絶滅危惧種を世界遺産を通して理解し記憶してみたいとおもいます。

世界的な自然保護NGOであり、野生生物に関する国際的な知見をたばねるIUCN(国際自然保護連合)は、絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」を作成しており、このリストには現在、約2万種の野生生物が掲載されています。絶滅危惧種について知ることは地球の現状を理解するために重要なことです。



1. ヴィルンガ国立公園 
- マウンテンゴリラやカバの貴重な生息地 -

 
  • ヴィルンガ国立公園 はコンゴ共和国最古の国立公園であり、マウンテンゴリラの保護を目的として1925年に設立されました。
  • 総面積 7900k㎡、エドワード湖と、ヴィルンガ火山群があります。
  • マウンテンゴリラや東ローランドゴリラなどの22種の霊長類にとっての貴重な生息域になっています。
  • 「ジョンバ・サンクチュアリ」はゴリラの聖域として公開されています。
  • エドワード湖畔には、およそ2万頭のカバが生息しています。
  • 隣国のルワンダ内戦で発生した大量の難民が流入し環境が悪化したことにくわえ、密猟があとをたたず生態系が危機に瀕しています。
  • 1994年に危機遺産に登録されました。



2. コモド国立公園

- 世界最大のトカゲが生息する島 -


  • インドネシア共和国の南東部、コモド島やフロレス島といった小スンダ島の島々からなります。
  • コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)の生息地です。
  • コモドオオトカゲは、皮を目的に乱獲されたことで生息数が激減し、危急種に指定されています。



3. 四川省のジャイアントパンダ保護区群
- 世界のジャイアントパンダの30%が生息 -


  • 中国四川省の7つの自然保護区と9つの風景保存区がジャイアントパンダ保護区群として自然遺産に登録されています。
  • ジャイアントパンダは、森林伐採や密漁で激減し、絶滅危惧種になっています。
  • 現在、約500頭(全頭数の約30%)が生息しています。
  • そのほかにも、レッサーパンダ、ユキヒョウ、ウンピョウなどの絶滅危惧種も生息しています。



4. ソコトラ諸島
- インド洋に浮かぶ固有種の宝庫 -


  • ソコトラ諸島は、インド洋の北西部、アラビア半島と「アフリカの角」の中間にうかぶ4つの島と二つの岩の小島からなります。
  • 大陸移動の際にゴンドワナ大陸から分離し隔絶されたために固有種の割合が高いです。
  • リュウケツジュ(竜血樹)は樹脂が赤いのが特徴で、薬品や染料として古来から重宝されてきました。
  • 近年は、島の乾燥化がすすみ、固有種の半数が絶滅の危機にあります。



5. リオ・プラタノ生物圏保護地域

- 約380種の鳥類が生息する熱帯雨林帯 -


  • ホンジュラスのプラタノ川流域に密林地帯にあります。
  • コンゴウインコベアードバクなどの絶滅危惧種のほか、約380種もの鳥類が生息しています。
  • 沿岸地帯には、マングローブやココヤシが繁茂しています。
  • 河口付近には、危急種になっているアメリカマナティが生息しています。
  • 危機遺産リストに掲載されています。



絶滅危惧種について理解するときには、世界遺産などを通して、地球上の具体的な場所に情報をむすびつけて理解し記憶するとよいです。これは情報を、特定の場所にむすびつけて「ファイル」するといった方法であり、「空間記憶法」の一種です。

たとえば「マウンテンゴリラ」といえば 、「コンゴ・ヴィルンガ国立公園」の場所が世界地図上(あるいは地球儀上)ですぐにおもいうかべられるようにし、一方で地図上で「コンゴ・ヴィルンガ国立公園」の場所を見たら「マウンテンゴリラ」がすぐにイメージできるようにしておきます。

あるいは「コモドドラゴン」といえば、「インドネシア南東部」の場所が世界地図上(あるいは地球儀上)ですぐにおもいうかべられるようにし、一方で地図上で「インドネシア南東部」の場所を見たら「コモドドラゴン」がすぐにイメージできるようにしておきます。

あるいは「ジャイアントパンダ」といえば、「中国四川省」の場所が世界地図上(あるいは地球儀上)ですぐにおもいうかべられるようにし、一方で地図上で「中国四川省」の場所を見たら「ジャイアントパンダ」がすぐにイメージできるようにしておきます。

以下同様です。

いずれも地図(グーグルマップあるいは地球儀)とイメージをつかうのがポイントです。地図とイメージがおぼえられたら、それらに言葉をむすびつけて記憶量をふやしていけばよいでしょう。そうしないで言葉だけでおぼえようとしているとうまくいきません。このような「場所記憶」あるいは「空間記憶法」は受験勉強でもつかえます。


▼ 参考文献
  


世界遺産の「登録基準」に注目するとそれぞれの世界遺産をよりふかく理解できます。


地球環境問題にとりくんだり地球の保全をすすめていくうえで「世界遺産」について理解することはとても重要なことです。2015年7月現在、世界遺産の登録件数は1031件、163の国と地域に世界遺産が存在しています。日本では15件が登録されています。

世界遺産において特に重要なのが「登録基準」です。これを知ることによって世界遺産の理解が一層ふかまります。登録基準は以下の10項目です。
 

文化遺産
(ⅰ)人類の創造的資質を示す傑作(KW:傑作)
(ⅱ)文化交流を証明する(KW:文化交流)
(ⅲ)文明や時代の証拠を示す(KW:時代の証拠)
(ⅳ)建築技術や科学技術の発展を証明する(KW:建築・科学技術)
(ⅴ)独自の伝統集落や、人類と環境の交流を示す(KW:環境との交流)
(ⅵ)歴史上の出来事や伝統・宗教・芸術と関連する(KW:歴史・伝統)

自然遺産
(ⅶ)自然美や景観美、独特な自然現象を示す(KW:自然美)
(ⅷ)地球の歴史の主要段階を証明する(KW:地球史)
(ⅸ)動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す(KW:進化と生態系)
(ⅹ)絶滅危惧種の生息域で、生物多様性を示す(KW:生物多様性)

※ KW:キーワード


上記の(ⅰ)〜(ⅵ)のいずれかの基準で登録されると「文化遺産」に、(ⅶ)〜(ⅹ)のいずれかで登録されると「自然遺産」に、両方の登録基準にまたがるものは「複合遺産」になります。

国内外をとわず、それぞれの世界遺産に接したときに、どの登録基準によって世界遺産に登録されたのかを知ると、その世界遺産の性格を端的にとらえることができ、またそれを保全していくために何に力を入れているのか、あるいはや問題点や課題がわかりります。

たとえば日本の世界遺産のひとつである「富士山 - 信仰の対象と芸術の源泉 -」の登録基準はつぎの2項目です。
 
 (ⅲ)文明や時代の証拠を示す
 (ⅵ)歴史上の出来事や伝統・宗教・芸術と関連する

つまり富士山は文化遺産として登録されたのであり、自然遺産でも複合遺産でもありません。本来なら複合遺産として登録されるべきだったおもいますが、自然遺産としての条件をみたさなかたのでしょう。問題・課題がうきぼりになってきます。

世界遺産は、情報量が非常に多くてとらえにくいといった感じがしますが、登録基準に注目することによっていろいろなことがわかってきます。

世界遺産には、保全活動などを実際にすすめていくという能動的・実学的側面があります(注)。この点が、従来の地理や歴史の勉強とはことなりおもしろいところです。


▼ 注
世界遺産に登録されたことによって観光客が殺到しオーバーユースになるという問題が一部に生じています。これについてはあらためて検討します。

▼ 参考文献
   




国立科学博物館の日本館をみれば、日本の自然の多様性とその歴史や危機についてまなぶことができます。

成毛眞・折原守著『国立科学博物館のひみつ』(ブックマン社)(注1)は、国立科学博物館の日本館のガイドブックです。本書を読んでからあるいは本書を片手に日本館を見学すれば日本の自然についての理解が一層ふかまります。


目 次
第1章 成毛眞の科博日本館マニアックツアー
 3階南翼 日本列島の素顔
 3階エレベーター前 日本の鉱物
 3階北翼 日本列島のおいたち
 2階南翼 生き物たちの日本列島
 2階北翼 日本人と自然
 1階南翼 自然をみる技法
第2章 筑波研究施設 自然史標本棟潜入取材
 陸生哺乳類剥製標本室
 人類標本室
 岩石・鉱物標本室
 動物液浸標本室
第3章 対談 成毛眞 X 折原守
第4章 特別展アーカイブ


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国立科学博物館には、日本館(休館)と地球館(新館)とがあり、本書は、日本館のみをとりあげています。地球館の方があたらしくて規模が大きいため注目されがちですが、本書を読めば日本館のすばらしさをあらためて見直すことができます。




日本は南北にながく、海にかこまれ、四季にめぐまれ、地震や火山の多い列島です。日本列島の自然の最大の特色は多様性にみちあふれているということです。

たとえばおなじ島国であるイギリスとニュージーランドと日本とを比較してみると、大陸との位置関係や気候や面積などは類似していますが、総種数と固有種数は日本の方が圧倒的に多いです。日本は多様性の宝庫であるといえます。

このような日本は、かつてはユーラシア大陸の東の縁辺部でした。そこが大陸から切りはなされて海の方に移動してきて列島を形成したとかんがえられています。このような非常に特異な自然史が大きな多様性を生みだしたといえます。

しかしながら、土地の高度な開発や外来種のもちこみによりこの多様性に危機がせまっています。日本館では、トキやノリやコケ類などの絶滅危惧種を紹介しています。近年とくに問題になっているのは、外国から人為的に はこばれてきて野生化した外来生物が日本の固有生物を絶滅させてしまうことです。




多様性のある日本列島では、比較的せまい範囲でたくさんの種類を見ることができます。簡単にいうと高密度で効率がよいということです。

一方、大陸へいくとその逆で、スケールが大きいために何事も大雑把で、大きなスケールの自然が帯状に分布しています。大陸では、非常に広大な地域を時間をかけて移動しないと多様な変化が見られません。簡単にいうと効率がわるいのです。

大陸とはちがい日本では自然の多様性を効率的に見ることができるので便利です。しかしミニチュア的自然がモザイク状に集合していて複雑でわかりにくいという側面もあります。

そこで国立科学博物館の日本館が役立ちます。日本館の中を1〜2時間かけてあるいてみれば日本列島の様子がよくわかります。是非一度いってみてください。


▼ 注1
成毛眞・折原守著『国立科学博物館のひみつ』ブックマン社、2015年7月25日

▼ 注2
国立科学博物館




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