発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

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下の写真は、杉原厚吉著『錯視図鑑』の29ページから引用したものです。上のバナナと下のバナナとで、どちらが大きいでしょうか。

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下の写真③の2本のバナナは、上の写真②の2本のバナナの上下を入れかえておいたものです。バナナの先っぽにある黒い筋に注目してください。

どちらの写真でも、下のバナナの方が大きく見えるのではないでしょうか。これは、 錯視の一種です。

わたしたちは普段は気がつきませんが、このような錯視あるいは錯覚を、意外にもしているのではないでしょうか。事実を、ありのままに観察することはむずかしい場合があります。

しかし、これを目視だけにたよらずに、それぞれのバナナの長さを計測したり、体積を計算したり、あるいは、重量をはかってみれば、このような錯覚を修正することができます。長さや体積や重量に関する情報を取得することは、より一歩ふみこんだ情報収集になります。これは、いわゆるサイエンス(科学)の方法に通じます。サイエンスには基本的に定量性を重視する姿勢があります。

目で見て観察したのちに、必要に応じて、定量的データを得るということはしばしば有用です。このことは、食料品などを買うときに役立つことは言うまでもありません。


▼ 文献

『梅棹忠夫 語る』の第五章から最終章では、学問、人生、民族学博物館などについてかたっています。

「空想こそ学問の原点」という話からはじまります。

空想というのはわたしの生涯の大きな特徴やね。(中略)想像力というか、イマジネーションや。

想像力が重要であることを指摘しています。 想像力がとぼしいと、全体像がわからなかったり、ストーリーがえがけなかったりします。


つぎに、ひらめきについてです。

みんなひらめくけど、それをとらえることができまい。宇宙線は、全部同じように届いているんだけれど、それをとらえることができない。

これは、梅棹忠夫著『知的生産の技術』の「発見の手帳」の話です。ひらめいたらすぐにメモをとれる体制をつねにととのえておかなければなりません。現代では、スマートフォンのボイスメモが便利です。

iPhone を「発見の手帳」としてつかう - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(1)- >>


つぎに、知的生産物の整理についてのべています。

自分にとっての第一番は観察記録。これが第一。 (中略)自分の目で見た観察記録です。なぜ自分のオリジナルの観察を大事にしないのか。

みずからの観察とその記録の重要性について指摘しています。観察記録は、自分のファイルのなかでも中核的なファイルになるでしょう。そのような核心がしっかりしてこと、ファイリング・システムは成長するのだとおもいます。 


そして、民族学博物館創設のころの話です。

決断ということはひじょうに大事やな。決断して実行する。

泉さんにまかせたいと思っていたのだが、とつぜん亡くなられてしまった。だから、引き受けざるをえなかった。

請われれば一差し舞える人物になれ。

人には逃げてはならない状況がある。そのとき、ちゃんと舞ってみせることが必要だ。責任を果たす覚悟と能力がいる。  

こうして、梅棹さんは、国立民族学博物館の初代館長に就任し、同館の発展に尽力しました。


おわりに、梅棹さんの最後の言葉を引用しておきます。

わたしが、山に登り、世界の民族をたずねたのは、デジデリアム・インコグニチ、未知なるものへのあこがれだけやった。


▼ 関連記事

『梅棹忠夫 語る』では、梅棹さんが、まだ学生だったころ、自然学者・今西錦司から指導をうけたことがかたられています。

三校時代に世界の未開地の探検を夢見ていた仲間がいた。意気盛んやったが、強力なリーダーが必要であることを痛感していた。それは今西錦司をおいてほかにないと、今西さんを行きつけのおしるこ屋の二階まで引っ張りだし談判して、承諾を得たんや。

リーダーとしての今西さんの力量はめざましいものやった。行動の判断はもちろんのこと、フィールド・ワークを進めながら思索を深めていく手法を骨の髄までたたきこまれたな。


フィールド・ワークを進めながら思索を深めていく手法」というところがポイントです。今西錦司の指導・影響はとても大きかったことがうかがえます。

そして、実際に探検をすすめていきました。

北部大興安嶺縦断(一九四二年)をやった。探検隊の見習士官として訓練を受けた「今西グループ」のはじめての実戦でした。そのあと今西さんが所長だった西北研究所に行ってモンゴル調査もやった。

このような探検が、梅棹さんの仕事の基礎になっていることがわかりました。


▼ 関連記事
探検がフィールドワークに発展する 〜今西錦司編『大興安嶺探検』〜

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『梅棹忠夫 語る』は、梅棹忠夫さんの最後の語りが収録されている貴重な本です。

第一章「君、それ自分で確かめたか?」では、自分でみたもの以外は信用できないことが語られています。

自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分の頭で考える、これが大事や。

また、梅棹さんの評価を不動のものにした「文明の生態史観」について、つぎのようにのべています。

それはいまでもはっきり覚えている。一九五五年のカラコラム・ヒンズークシ。アフガニスタンで発想した。

このように、梅棹さんは、自分の足で現地をあるいて、そして発想しています。実際に出あるくということは重要なことです。

旅やフィールドワークを、どのように発想にむすびつければよいか、梅棹さんからまなぶことはたくさんあるとおもいます。


▼ 文献
語り手 梅棹忠夫、聞き手 小山修三『梅棹忠夫 語る』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社、2010年9月15日
梅棹忠夫 語る (日経プレミアシリーズ)

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上の絵は、近くで見ると風景ですが、遠くから見ると人物の頭部に見える だまし絵です。Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された企画展「だまし絵 II」の図録から引用しました。作者は不詳、17世紀初頭頃の作品です(注)。

近くで見るということは、対象を大きくとらえて細かく見るということであり、一方、遠くで見るということは、対象を小さくして大局を見るということです。つぎの対応関係に注意しなければなりません。

近くで見る:対象を大きくする
遠くで見る:対象を小さくする

自分が移動しなかった場合でも、対象を拡大したり縮小したりすると、自分が近づいたり遠ざかったりしたのとおなじ効果があります。

この絵はだまし絵であり、そのようにえがいているのでわかりやすいですが、現実の世界にいても、遠近によって見え方はかなりちがってくることに気がつくことはよくあります。

このようなだまし絵をたのしんでいると、かたよった見方をしていると、錯覚がおこるということがよくわかってきます。だまし絵の作者は、そのようなメッセージをユーモアをまじえてつたえようとしているのではないでしょうか。

対象を見るときには、遠くからも見て、近くからも見て、遠近のひろがりのなかで本当の姿をとらえるようにしなければなりません。


▼ 注(文献)
『だまし絵 II 進化するだまし絵』(図録)中日新聞社発行、2014年
 Bunkamura オンライン市場

▼ 関連サイト
視覚効果と先入観とがくみあわさって錯覚が生まれる - 特別企画「だまし絵 II」- 

 

一川誠著『錯覚学 知覚の謎を解く』(集英社新書)は、錯覚の実験をしながら、知覚の謎をときあかしていく本です。図もたくさん掲載されていますが、図版集というよりも理論書です。

錯覚の本がおもしろいのは、自分で実際に錯覚の実験をしながら読みすすめることができることです。同時に、自分の知覚の不思議さにも気づかされます。

第3章「二次元の網膜画像が三次元に見える理由」では、どのようにして奥行きや距離といった三次元の知覚を成立させているのか、図をつかって説明しています。両眼視差によって奥行きを知覚するステレオグラム(立体視図)は興味ぶかいです。

また、二次元動画で、簡単に、奥行きを強化するには単眼で見ればよいとのべています。

通常の2Dテレビの観察から強い立体的な知覚を成立させる方法がある。単眼観察するのである。特に、画素が微細なハイビジョンのディスプレーを単眼で観察すると、強い奥行きを感じる。片眼を閉じることにより、画像が平坦であることを示す両眼視差の他係がなくなり、多くの単眼的手がかりが示す奥行が見えやすくなるためだ。

第4章「地平線の月はなぜ大きく見えるのか」では、わたしたちの光の処理システムについてのべています。

眼に飛び込んできた光の一部の波長が網膜上の視細胞に当たり、それが神経の興奮を引き起こすことで知覚システムの処理が始まる。

第5章「アニメからオフサイドまで - 運動の錯視」では、テニスやサッカーでなぜ誤審がおきやすいのかを、錯視の観点から説明していて、非常におもしろいです。

第7章「生き残るための錯覚学」では、「進化の過程で錯覚・錯誤が発現」したことがのべられています。つまり、生物の環境への適応戦略のなかで知覚や錯覚、あるいは情報処理についてとらえることができるということです。

錯覚の研究は、このような観点から、危険回避や娯楽のあらたな可能性、あらたな表現手段の開発、生活の質の向上などに役立ちます。

知覚や錯覚は、情報処理の観点からみるとインプットとプロセシングです。これらにもとづいてわたしたちは行動していきますので、行動は、アウトプットととらえることができます。環境に適応するように行動するにはどのようにすればよいか、適応の観点から錯覚をとらえなおすという点はとても興味ぶかいです。


▼ 文献
一川誠著『錯覚学 知覚の謎を解く』(集英社新書)集英社、2012年10月22日
錯覚学─知覚の謎を解く (集英社新書)


▼ 関連記事
錯視や錯覚を実験する -『錯視と錯覚の科学』- 

 

梅棹忠夫著作集『知の技術』(梅棹忠夫著作集第11巻)には、岩波新書の『知的生産の技術』のほかに、「「知的生産の技術」の前後」、「知的生産の展開」、「フィールドでの知の技術」がおさめられています。

『知的生産の技術』のあとに、梅棹さんが、ワープロ、パソコン、口述筆記という、現代にも通じる知的生産の技術にとりくんだことが記録されています。

口述筆記については、梅棹さんが はからずも視力をうしなったために、周囲の人々に協力してもらって はじめたところ、原稿執筆や本の出版の速度がそれ以前よりもとても速くなったということです。

口述筆記は、今日では、スマートフォンをつかえばできるので、かなり多くの人々がとりくむようになりました。たとえば、講演録などをつくるときに、講演そのもは会場で録音して、オフィスにもどってその録音をあらためて聞きながら、今度は、文字におこすために、スマートフォンにむかってできるだけ正確にしゃべる、という方法がよくもちいられているようです(アップルストアの話)。

また、「フィールドでの知の技術」では、探検とは何かについてくわしくかたるとともに、特に、旅行やフィールドワークさきでの写真撮影についてページをさいています。写真は、現場での貴重な記録であり、つかいかた次第では非常に大きな効果を生みだすことになります。

本書をよんで、知的生産は、それ単独で効果をあげるというものではなく、旅行やフィールドワークとむすびついたときに大きな成果が生みだされるということがよくわかりました。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』から、知的生産の技術は、基本的にはつぎの3段階からなることがわかりました。

 1.「京大型カード」に記入する
 2.「こざね法」でまとめる
 3.文章を書く

これらを、現代の情報処理の観点からとらえなおすとつぎのようになります。

 1.ファイルをつくる
 2.ファイルを連携・結合する
 3.文章化

ファイルとは情報(データ)のひとまとまりのことです。

道具については、紙のカードやタイプライターは現代ではつかわず、スマートフォンとパソコン、付箋(ポストイット)をつかいます。


この3段階をくわしくみていくとつぎのようになります。

1.ファイルをつくる
これは、パソコンでファイルをつくることです。

ファイルにはかならずファイル名(見だし)をつけます。また、「京大型カード」の原則にしたがって、1ファイル1項目の原則をまもります。ブログを利用する場合は、1記事1項目の原則をまもります。

パソコンが便利なのは、テキストだけでなく、画像・音声・その他の資料も、型式にとらわれずにファイルにすることができることです。

パソコンやブログをつかっていれば、ファイルは時系列で集積されていき、個人文書館がおのずと形成されます。


2.ファイルを連携・結合する
課題を決め、関係のありそうなファイルをピックアップして、フォルダーにまとめます。エイリアスやショートカットを利用してもよいです。

フォルダーには適切な名称(見だし)をつけます。

フォルダーのなかに、さらにフォルダーをつくって階層構造にしてもよいです。一般的には階層構造になります。これが現代のファイリング・システムです。

このような階層構造をつくるときに、元のファイルのファイル名あるいはキーワードを、付箋(ポストイット)に書きだして「こざね法」をやってみるとよいです。

あるいはもっと簡略には、デスクトップで、フォルダーをつくり、アイコンをうごかしながら階層構造をつくってもよいです。

既存の順序にはとらわれずに、さまざまにファイルをならべかえ、あたらしいファイルのグループを編成します。

なお、あらたにつくったフォルダーは、より高次元の情報(データ)のひとまとまりととらえることもできます。つまり、フォルダーはより高次元の「ファイル」なのです。フォルダーをつかって整理するということは、元のファイルを、より高次元のファイルのもとで``統合している作業にあたります。


3.文章化
一般的には、第2段階までおこなえばよいという面もありますが、できれば文章化に積極的にとりくんだ方がよいでしょう。

ファイルによってあらたにつくった構造にもとづいて、文章化をすすめます。今度は、前からうしろへとテキストをつらねていきます。

元のファイルの情報(データ)を文章のなかにおりこんで書いていきます。元のファイルは、パソコン上でしたらアイコンをダブルクリックすればでてきますし、ブログでしたら検索機能をつかえばよびだせます。


■ ファイルは成長する
第1段階は、最初の小さなファイルとそれらの集積でした。

第2段階は、階層構造をつくる段階でした。ここで、フォルダーは、より高次元の「ファイル」ととらえることができます。フォルダーはやや大きな(中規模な)ファイル(中規模な情報のひとまとまり)とみなすことができます。ファイルのなかに小さなファイルがあるといった、入れ子構造をイメージできます。

第3段階は、文章を書く段階であり、ワープロをつかって書けば、結果的に、1つのあたらしいファイルができあがります。これも、文章としての情報のひとまとまりにはちがいないので、やはりファイルでです。第1段階、第2段階からみると、もっと大きなファイルです。第1段階の元のファイルは、第2段階の構造にしたがって、第3段階で1本の大きなファイルに統合されたわけです。

ファイルは、それが情報のひとまとまりになっているかぎり、小さくてもファイルであり、中規模でもファイルであり、大きくてもファイルでです。

つまり、情報のひとまとまりとは、どのようにでも柔軟に設定できるのです。電子書籍1冊も1つのファイルです。柔軟にかんがえることが大切です。

このような観点にたつと、ファイルでいう情報のひとまとまりとは、ひとつのメッセージのかたまりととらえた方がよいかもしれません。すなわち、1ファイル、1メッセージとするわけです。たとえば第3段階の文章化では、主題あるいは結論を1点にしぼりこめばファイルになるということです。

こうして、段階がすすむにつれて、ファイルは大きくなり成長していきます。結局、3段階の本質は、ファイルが成長していく過程でした。自分のファイル(メッセージ)を成長させるという精神でとりくむことが大事でしょう。


なお、旅行やフィールドワークに行って、現場で簡単なメモをとる、あるいは iPhone のボイスメモに簡単に記録をするとします。実はこれも、小さいですがファイルです。やはりファイルができます。最初の豆ファイルです。これは、いわば第0段階のファイルといってもよいでしょう。


▼ 参考文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日  

北海道で、恐竜の全身骨格の発掘がおこなわれているそうです(「恐竜大発掘 出るか !? 日本初の完全骨格」NHKサイエンスZERO、2013.11.23)。

北海道で日本の恐竜研究の歴史を塗り替える大発掘が行われている。見つかった化石は植物を食べることに究極に進化した「ハドロサウルス科」。発見された状況からは、日本で初めてのほぼ完全な全身骨格の可能性が高いのだ。

北海道大学総合博物館准教授の小林快次さんによると、きっかけは、博物館で保管されていた部分化石だったそうです。

最初に発見されて、博物館で7年間も、恐竜とわからずに保管されていたんです。いままで恐竜じゃないなとおもっていたものが恐竜だったりすることもありますので、最初の1個って一番大変なんです。1個みつかると2番目、3番目とつづきますので。

この話で注目すべき点は、博物館に標本が保管されていたことです。

標本を永久保存することは博物館の重要な仕事のひとつです。標本は、すぐには役にたたなくても、いつかは役にたちます。標本を保管する博物館の役割について再認識しました。長期的な研究、あるいは研究を次世代につなぐために博物館は有用です。

このように、標本を集積している博物館には潜在能力がねむっています。標本や資料を集積すればするほどポテンシャルは高まります。ポテンシャルとは量で決まるものであって、すぐに役にたつかどうかとか、質が高いかどうかといったことは二の次です。たとえば、ダムのポテンシャルはダム湖の水量で決まるのであって、水質で決まるのではありません。博物館の第一の役割はポテンシャルを高めることであると言ってもよいでしょう。

もうひとつの注目点は、標本や資料の鑑定ができる眼力をもった人材が必要だということです。これは養成するしかないでしょう。

そして、博物館と研究者がそろったときに成果があがります。ポテンシャルと人材の両者が必要です。

* 

これらのことを、個人の能力開発や問題解決にあてはめてかんがえるならば、第一に、テーマを決めたら、情報(正確にはファイル)をひたすら集積していくことが重要であり、これはポテンシャルを高めることにあたります。

このときは、1つ1つのファイルの質の高さよりも、量が優先されます。すぐに成果をあげようとするのではなく、とにかく、ファイルをたくさんつくり蓄積していくことです。ブログやフェイスブックなどをつかうと効率的です。同時に、テーマに関する記憶情報も強化するとよいでしょう。

第二に、対象を見る目、観察力、眼力を日頃からやしなうことがもとめられます。それぞれの専門分野で訓練方法や固有技術があるでしょうから、テーマを決めて専門的にとりくむのがよいでしょう。

このように、ポテンシャルを高め、眼力をきたえることは大事なことです。


▼ 関連記事
情報の本質はポテンシャルである 〜梅棹忠夫著『情報論ノート』〜 

『錯視と錯覚の科学』(Newton 別冊)は、錯視と錯覚に関する大変おもしろい本です。ページをめくりながら、錯視や錯覚がどのようにおこるか、自分で実験することができます。錯視や錯覚を実体験してみてください。

内容は、つぎのように多方面にわたっています。

1 動く錯視
2 明るさと色の錯視
3 形と空間の錯視
4 残像・残効・消える錯視
5 その他の錯視・錯覚
6 錯視研究の最前線

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「中央の+をじっとみていると、周囲の青・赤・黄のパッチが消えていくようにみえる」など、本当に不思議な体験をしました。

本書は、見るということに関してつぎのように説明しています。

眼に入ってきた光情報は、網膜で神経情報(電気信号)に変換され、脳の視床にある外側膝状体を通って、まず後頭葉にとどき、そこで情報をこまかく分解します。

その後、分解された情報は、より高次の脳領域に送られ、動きの情報や空間の情報を処理し、それらの情報がどういう意味をもつか理解します。そこで、分解された情報は再構築されます。

脳は、途切れ途切れになった映像をつなぎ合わせる機能を備えています。

このように、わたしたちの脳は、電気信号を処理し、再構築して映像をつくりだしているのです。そしてわたしたちは、その映像を「見ている」とおもっています。このような脳の情報処理のなかで、さまざまな錯視と錯覚も生まれてくるのです。 

本書をつかって実験をすれば、このようなことがわかってきます。

このようなことから、たとえば、ある道をあるいていて、奥行きが実際よりもながく感じられたり、あるいは、行きよりも帰り道の方が短く感じることなども、一種の錯覚としてとらえることができます。

また、錯覚がおこるときには、これまでの経験や、対象をとりまく環境や背景の影響・効果もあります。経験とは、時間的な過去であり、環境・背景は空間的なひろがりです。わたしたちは、自分固有の時間・空間の制約のなかで対象をとらえてしまいます。ありのままに見ることは非常にむずかしいことです。

時間・空間の効果と、錯視のテクニックとがシンクロナイズしたときに、錯覚は最大限になるでしょう。特に、その人が、未来にむかって特定の偏見をもっていた場合、過去だけでなく未来の時間的効果も、現在の錯覚にあらわれてくるのではないでしょうか。

錯覚の研究は、インプットとプロセシング、認識とは何かという課題についていろいろなことをおしていくれます。本書にもあるように、脳の情報処理が科学的に解明されてきたので、このようなことが科学的に議論できるよになってきました。

わたしなどは、錯覚の研究がもっとすすんで、その原理がわかれば、その原理をつかって、たとえば、苦しみを軽減したり、よろこびを倍増させたりすることもできるのではないかと想像したりしています。


▼ 参考記事
視覚効果と先入観とがくみあわさって錯覚が生まれる - 特別企画「だまし絵 II」-
平面なのに絵が飛び出す - 目の錯覚を利用した3Dアート -
中心をくっきりうかびあがらせると周囲の輪郭もはっきり - 顔の輪郭がはっきりした人 -
脳の情報処理の仕組みを理解する 〜DVD『錯覚の不思議』〜


▼ 文献
『目の錯覚はなぜおきるのか? 錯視と錯覚の科学』(Newton 別冊)ニュートンプレス、2013年4月15日

『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)は、自然界で見られるさまざまな形を写真で紹介しているおもしろい本です。光では見えない小さな物から宇宙の構造まで、さまざなま規模であらわれる自然界の幾何学図形を見ることができます。

つぎの形の写真が掲載されています。

1章 円と球
2章 渦とらせん
3章 六角形
4章 その他の多角形
5章 フラクタル
6章 さまざまな曲線
7章 『自然の幾何学』研究最前線

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写真1(本書 38-39ページ)


本書に親しんでおけば、散歩をしながら、あるいは旅行をしながら自然を見るとき、これまでとはちがった観点から自然をとらえなおすことができます。自然にはこんな一面もあったのかと、とても新鮮な感動がえられることもあります。

本書を手元においておき、折にふれて見なおし、自然観察のために役立てるとよいでしょう。


また、自然の形からあらたな着想がえられることがあるかもしれません。

たとえば、株式会社エーイーティーというオーディオ関連機器メーカーでは、「自然の理を製品設計に昇華し実現した超強度の製品群」を製作しているそうです(写真2、3)。

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写真2(株式会社エーイーティーのカタログより)


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写真3 (株式会社エーイーティーのカタログより)


また、建築家のガウディは、自然界の幾何学的な形を建築にとりいれました。自然界がもつ完璧な機能に注目し、らせんや局面など生物の基本的な構造を多用しました。自然の機能にうつくしさを見いだし、うつくしい形は構造的にも安定していることをあきらかにしました。



わたしが注目するのは、本書第5章のフラクタルです。

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写真4(本書 96-97ページ)
 

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写真5(本書 98-99ページ)

この野菜は、全体を見るとしずく型をしている。そして、一つ一つの突起を見ると、これもしずく型をしている。この突起をさらに細かく見ると、より小さなしずく型があらわれる。このように、「全体と部分が自己相似する形」を、「フラクタル」という。(98ページ)


野外をあるいているときに気をつけていると、フラクタルが結構みつかります。フラクタルを見ると、部分を見て全体が想像できたり、全体を見て部分が想像できたりします。相似な形態を見つける目がやしなわれます。

植物の観察がとてもたのしくなります。風景のなかにもフラクタルはあります。

自然あるいは宇宙の基本構造はフラクタルになっているのではないかとわたしはかんがえています。

自然界には実に多様な形があって手におえないように感じますが、フラクタルを中心にすえて自然を見なおしてみると、自然の見方が一気にひろがります。

是非、フラクタルに注目して見てください。


▼ 文献
『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)ニュートンプレス、2011年12月15日
自然の幾何学―写真で楽しむ (ニュートンムック Newton別冊)

梅棹忠夫著『知的生産の技術』第4章「きりぬきと規格化」では、新聞のきりぬきや各種資料の整理とそれらのいかしかたについて説明しています。

ながい中断ののち、一九五〇年ころから、わたしはやや体系的に新聞記事のきりぬきをはじめるようになった。こんどかんがえた方式は、スクラップ・ブックをやめて、ばらの台紙にはる、というやりかたである。

そして、記事の大小にかかわりなく、台紙一枚に記事ひとつという原則をかたくまもることにした。

わたしも以前はこの方式にしたがって新聞のきりぬきをしていました。しかし、デジタルカメラが発明されてからは、記事の写真をとって保存する方式に変えました。現在ではきりぬきはせず、有用な記事をみつけては iPhone で写真をとってMac の iPhoto に保存しています。

* 

台紙にはる、という操作がひとつの規格化であるとともに、オープン・ファイルのフォルダーにいれるという操作もまた、ひとつの規格化である。これによって、台紙にはった紙きれ以外のもの、さまざまなパンフレットやリーフレットのたぐいも、みんなこれにいれればおなじ形になる。

わたしも以前はこの方式をつかっていて、オープン・ファイルのフォルダーが本棚の大部分を占有していました。

しかし、変化がおきたのは、富士通のドキュメントスキャナー ScanSnap が発売されてからです。これにより、書類・パンフレット・写真・名刺などを高速でスキャンして保存できるようになりました。

ドキュメントスキャナーは、従来のフラットベッドスキャナとはちがい、膨大な資料のスキャン、デジタル化が手軽にできます。書類や資料の山にうずもれてこまっていた人にとっては救世主になりました。これで、書類や資料、映像や音声などの形式にとらわれずに一つのフォルダに統合・保存し、活用できるようになりました。こんな素晴らしいことはありません。

また、もとの資料のほとんどはのこしておく必要はなくすててしまうので、資料の保管スペースを心配しなくてすむようになりました。

こうして、台紙もオープン・ファイルのフォルダーもなくなりました。そして、パソコンのフォルダーをつかうようになりました。

ドキュメントスキャナーは他社からも発売されていますが、性能やコストパフォーマンスにすぐれる 富士通 ScanSnap を絶対におすすめします。




梅棹さんは写真の整理のむずかしさについてものべています。

しかし現在では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真は、Mac でしたら iPhoto というすぐれた写真アプリがあるので整理はむずかしくありません。整理・保存の心配をしないで大量に写真をとることができるようになりました。

デジタルカメラ以前のフィルム写真については、わたしは、保存していたすべての写真を ScanSnap でスキャンしてしまいました。デジタルデータになりましたので Mac であっという間に整理がつきました。元の写真はおいておくと場所をとるので、重要なもの以外はすててしまいました。

iPhone でとった写真は、iPhone の「設定」→「写真とカメラ」で「自分のフォトストリーム」を ON にしておけば、Mac に同期され、iPhoto で整理することができます。新聞記事などの撮影した資料もこうして活用できます。 新サービスとして「iCloud フォトライブリー」がはじまりましたが、わたしはまだつかっていません。これがつかえるようになればもっと便利になるでしょう。


また梅棹さんは、資料や情報の単位化についてのべています。

スクラップ・ブックにはったり、そういうことをしないで、いっさい台紙にはりつけるというのは、どういう意味か。それは、ひとことでいえば、規格化ということなのだ。

それによって、おおきい記事もちいさい記事も、みんな、おなじ型式をあたえられて、単位化されるのである。そして、その規格化・単位化が、その後のいっさいのとりあつかいの基礎になっている。分類も、整理も、保存も、すべてそのうえでのことである。

じつは、カードの使用そのものが、一種の規格化であった。カードに記入することによって、いっさいの思想・知識・情報が、型式上の規格をあたえられ、単位化されるのである。

資料や情報はまず単位化しなければなりません。情報を単位化するということは、情報処理の観点からいうとファイルをつくるということですファイルとは、情報あるいはデータのひとまとまりであり、ひとつの単位です。この単位から創造的作業がはじまるのです。ファイルの概念を理解し、ファイルを操作・活用することがこれからの情報産業社会では特に重要になってくるでしょう。

『知的生産の技術』はふるい本であるにもかかわらず今でも読みつがれているのは、知的生産の原理が書かれているからです。また、梅棹さんご自身がどのように進歩してきたか、その過程が、最初の一歩から書かれていることもこの本をおもしろくしている要因です。つまり、ストーリーをたどりながら原理がまなべるのです。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日
知的生産の技術 (岩波新書)


『知的生産の技術』の第2章「ノートからカードへ」で梅棹忠夫さんはカードの原理についてのべていて、この原理は今日でもとても役にたちます。カードは「知的生産の技術」の中核的な原理といえるでしょう。

まず、梅棹さんはノートの話からはじめています。 

追加さしこみ自由自在の、いわゆるルース・リーフ式のノートほうが(大学ノートよりも)便利だ、ということになる。かいた内容を分類・整理するためにも、ページの追加や順序の変更ができたらよいのに、とおもうことがしばしばある。
ルース・リーフ式のよい点だけをいかしたのが、ちかごろ売りだされているラセンとじのフィラー・ノート式のものであろう。きりとり線と、つづりこみ用の穴とがついている。一冊のノートになんでもかきこみ、あとできりとり線からきりとって、分類してルース・リーフ式にとじる。片面だけを利用し、内容ごとに — 学生なら学科ごとに — ページをあらためることにしておけば、追加、組みかえ、自由自在である。

わたしも、中学生のころは大学ノートをつかっていましたが、高校生になってからはルース・リーフ式のノートに切りかえ、大学生のときにもそれをつかいつづけました。

そのご大学院生のころよりフィラー・ノートをつかいはじめ、「知的生産の技術」にしたがって片面(表面)だけに記入し裏面は空白にしておき、ノートが一冊おわるごとにページを切りとり、二穴ファイルにファイルするといことをくりかえしていました。このフィラー・ファイルは蓄積されて、そのトータルの厚さは約2メートルぐらいにまでなりました。

結局、今世紀に入って iPhone をつかいはじめるまでは、フィラー・ノートはいつでもどこへでも持ちあるいて つかっていました。今でも、ヒマラヤのフィールドワークに行くときには予備ノートとしてフィラー・ノートを持っていきます。


つぎに、梅棹さんはカードについてかたります。

ノートのことを、くどくどしくのべたのは、じつはカードのことをいいたいからであった。

見方をかえれば、ルース・リーフ式やフィラー・ノート式ののーとは、じつは一種のカードなのである。すでにのべたように、それは、ページのとりはずし、追加、組みかえが自由になっている。そして、そのつかいかたにおいても、項目ごとにページをあらためる、あるいは片面だけを使用する、ということになると、それは要するに、みんなカードの特徴にほかならないではないか。
 
ノートの欠点は、ページが固定されていて、かいた内容の順序が変更できない、ということである。ページを組みかえて、おなじ種類の記事をひとところにあつめることができないのだ。

「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわして、あらたな組みあわせを発見するところにあるといえるでしょう。固定した観念にとらわれずに発想せよということだとおもいます。 

そして、有名になったあの「京大型カード」ができあがったときの様子がのべられていす。

自分で設計したものを、図書館用品の専門店に注文してつくらせた。それが、いまつかっているわたしのカードの原型である。

このカードは、たいへん評判がよくて、希望者がたくさんあったので、まとめて大量につくって、あちこちに分譲した。

ついにわたしは、文房具店の店先で、わたしのカードが製品として売られているのを発見した。その商品には、「京大型カード」という名がつけてあった。わたしは、いさぎよくパテントを京大にゆずることに決心した。

わたしも、『知的生産の技術』を読んで「京大型カード」を買った一人です。東京・日本橋の丸善まで買いにいきました。こうして、フィラー・ノートをカード式につかう方法とカードそのものをつかう方法を併用する期間がながくつづきました。


一方で、カードの苦労についてものべています。

いずれにせよ、野帳からカードに資料をうつしかえるという操作をふくんでいた。口でいえばかんたんだが、じっさいにはこれは、容易ならない作業である。野帳の分量がおおいと、野外調査からかえってからカードができるまでに数ヶ月を要したりした。


この問題は、わたしの場合は iPhone と Mac をつかうことにより解消されました。

iPhone で記録したデータは iCloue により Mac に同期されます。現場のデータはそのまま Mac で処理することができるので、転記の手間はかかりません。

カードという形にこだわるのであれば iPhone と Mac に付属しているアプリ Keynote をつかえばよいです。1枚1枚のスライドはカードとしてつかえます。これにはボイスメモ(ボイスレコーダ)機能もついていますし、写真などをペーストすることもできます。Keynote に現場でデータをどんどん記録していけよいです。あとで、カード(スライド)を入れかえたり、あたらしいカード(スライド)を挿入したりできます。

Mac 上で情報を処理するときには、Keynote の「表示」から「ライトテーブル」を選択すれば、画面上にカードを縦横にならべて、入れかえ・組みかえ・追加・挿入・削除などを自由にたのしむことができます。プレゼンテーション用のスライドや資料もできてしまいます。

しかし、形にこだわらないのであればワープロソフト(Pages など)をつかえばよです。コンピューターが発明されて、データ(ファイル)の入れかえ、挿入、組みかえなどは、カット&ペーストで自在にできるようになりました。どのようなアウトプットの形式を選択するかによってアプリをつかいわければよいでしょう。

先にもふれましたが、「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわしてしまって、あらたな組みあわせを発見するところにあり、固定観念にはとらわれずに発想することであると言ってよいでしょう。形にとらわれるよりもその原理・本質に気がつき、それを利用することの方が重要だとおもいます


iPhone と Mac を iCloud で同期させるときの現時点での注意点は、OS のバーションです。

iPhone の iOS を最新の iOS 8 にアップグレードした場合は、Mac OS も最新の Yosemite にアップグレードしないと、最新の iCloud Drive がつかえず、Keynote と Pages の同期はできません(注)。これは重大な問題です。

つまり、iCloude を使う場合はつぎの組みあわせでつかわなければなりません。

 iOS 7:Mavericks
 iOS 8:Yosemite

Mac OS X を Yosemite に当面アップグレードする予定のない人は、iOS を iOS 7 のままにしておいた方がよいです。

新 iPhone の場合など、iOS 8 になっている場合、iOS 8 にした場合は、Mac OS X を Yosemite にアップグレードせざるを得ません。Mac OS X のアップグレードにあたっては、アプリの対応のおくれなどの不備もありえますので慎重さが必要です。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日 
知的生産の技術 (岩波新書)

▼ 注:iCloud Drive をつかうときの現時点での注意点
iCloud Drive を利用するためには、サービスのアップグレードが必要です。

その場合、Mac では、OS を最新の Yosemite にアップグレードしないとつかえません。アプリの対応の問題がありますので、 Yosemite へのアップグレードには慎重さが必要です。

Mac の OS が10.9 Mavericks 以前の場合、Yosemite、iCloud Drive にアップグレードしてしまうと、それまでの Documents in the Cloud が利用できなくなってしまうので注意が必要です。

Mavericks あるいはその他の OS の場合でも、HTML5 が使えるブラウザで、iCloud.com にアクセスすれば、iCloud Drive のなかを確認できます。Yosemite にアップグレードしていない Mac や、iCloud コントロールパネルをインストールしていない Windows の場合です。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』はふるい本ですが、実に45年間にわたって読みつがれている名著です。本書のかんがえ方や原理は今でもそのままつかえます。というよりも、むしろ本書は現代の情報化を先取りした内容になっていて、今日の高度情報化社会でこそ大きな意味を生みだしています。時代が本書においついたと言ってもよいでしょう。

たとえば、第1章「発見の手帳」ではつぎのようにのべています。

「発見」というものは、たいていまったく突然にやってくるものである。毎日みなれていた平凡な事物が、そのときには、ふいにあたらしい意味をもって、わたしたちのまえにあらわれてくるのである。たとえば宇宙線のような、天体のどこかからふりそそいでくる目にみえない粒子のひとつが、わたしにあたって、脳を貫通すると、そのときひとつの「発見」がうまれるのだ、というふうに、わたしは感じている。
「発見」には、一種特別の発見感覚がともなっているものである。いままでひらいていた電気回路が急にとじて、一瞬、電流が通じた! というような、いわばそういう感覚である。そういう感覚があったときに、わたしはすばやく「発見の手帳」をとりだして、道をあるきながらでも、いそいでその「発見」をかきしるすのである。「発見」は、できることなら即刻その場で文章にしてしまう。もし、できない場合には、その文章の「見出し」だけでも、その場でかく。あとで時間をみつけて、その内容を肉づけして、文章を完成する。
「発見」には、いつでも多少とも感動がともなっているものだ。その感動がさめやらぬうちに、文章にしてしまわなければ、永久にかけなくなってしまうものでる。

「発見」についてとても興味ぶかいことを言っています。「発見」とは、外から何かがやってくる瞬間的な出来事であり、それをとらえる人がいてはじめて「発見」になります。そして「発見」には感動がともないます。つまり、外部(環境)とその人(主体)の両者がそろってこそ「発見」はなりたつのであり、そこには環境と主体との共鳴ともいえる現象がおこっているのです。

わたしも学生のころより本書を愛読し、フィールドノート(発見の手帳)やカード、ラベルなどをさかんにつかってきました。

しかし、いま現在は、このような紙でできた道具はほとんどつかわなくなりました。

今つかっているのは、iPhone  と タッチペン(スタイラスペン)と MacBook Pro です。

梅棹さんの「知的生産の技術」を“現代の道具”をつかって実践しているのです。むしろ、情報機器が発明されたために「知的生産の技術」は現実的に日々実践できるようになりました。前世紀の梅棹さんのころには情報機器がなかったために、紙の道具をつかって苦労しながら情報処理をしていたと言えるでしょう。

現代の「発見の手帳」としては iPhone がつかえます。iPhone は、iPhone 6 Plus がでてきてディスプレイが大きくなり一段とつかいやすくなりました

iPhone や Mac には「メモ」というアプリがついているので、これに「発見」を書きこんでいけばよいです。1行目は見出しにして、2行目以降に本文を書きます。どんどん書いていけばファイルが蓄積され、1行目の見出しだけの一覧(リスト)が自動的にできます。キーワード検索も簡単にできます。

iPhone にはボイスメモというすぐれた機能もついているので、何かを発見したりおもいつたときには iPhone にむかってしゃべれば「メモ」に文字として記録されます。ボイスメモはおどろくほど進歩していて、その文字変換精度の高さは驚異的です。

また、博物館や図書館などのなかにいたりして声がだせないときには、手書きメモソフト、たとえば「最速メモ」などをつかって、タッチペン(スタイラスペン)でメモをとります。「最速メモ」などは App Store から無料でダウンロードできます。タッチペンをつかわないで指で書いてもよいです。余裕があるときにはキーボードをつかってももちろんかまいません。

さらに便利なのは、iCloud 同期が自動的に瞬時に機能して、iPhone に書いたことはそのまま Mac で読むことができ、そのデータを Mac 上で自由に活用できます。「最速メモ」は Mac の iPhoto で見ることができます(iPhone「設定」で「写真」アクセスを許可にしておきます)。iPhone でとらえた情報はすぐに Mac で編集・処理ができるのです。

こうして、 iPhone は「発見の手帳」になりました。

iPhone のようなスマートフォンには、カメラ、ビデオ、地図、コンパス、時計、天気予報などもついてい、これ一台をもちあるいていれば大抵のことはできるので、実際には「発見の手帳」以上の取材の読具として機能しています。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日 
知的生産の技術 (岩波新書)


▼ 関連ブログ
イメージ能力と言語能力とを統合して情報を処理する 〜 梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』〜
情報の本質はポテンシャルである 〜梅棹忠夫著『情報論ノート』〜
情報の検索システムをつくる 〜梅棹忠夫著『メディアとしての博物館』〜
 

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国立科学博物館 


東京・上野、国立科学博物館で開催中の企画展「ヨシモトコレクションの世界」を先日みました(会期:2015年 1月18日まで)。多数の剥製標本を通して生物の多様性を実感することができました。


国立科学博物館ヨシモトコレクションとは、日系二世の実業家ヨシモトさんが、1957年から1995年にかけて世界中から狩猟によって得た標本群のことです。1997年から1998年にかけて、ハワイ・オアフ島のW.T.ヨシモト財団より国立科学博物館へ寄贈されました。

哺乳類・鳥類・爬虫類の標本約400点からなり、種数は全173種(鳥類13種、爬虫類2種)をふくみます。その多くは全身が剥製としてのこされており、内訳は全身剥製267点、頭部剥製98点、半身剥製7点、なめし皮7点、頭骨1点、角8点、牙10点です。

剥製の製作を手がけたのは、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル市のクラインバーガー社で、その優秀な技術は、動物の細部を見事に再生しているといえます。特に頭部に浮き出した血管の様子や、肛門周辺の造形は見事で、またいくつかの標本では生きていたときの行動を再現して作製されています。すべての個体について捕獲した時期と場所が記録されており、また各ハンティングの記録は付帯資料としてキャビネットにおさめられています。

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ヨシモトコレクションは今回の企画展示のほか、国立科学博物館・地球館3階や1階に常設展示されていて見る者を圧倒しています。もしこのコレクションがなかったなら、国立科学博物館の動物展示はかなり貧弱なものになったでしょう。

このコレクションをきずいたヨシモトさんとは、日系二世の実業家としてハワイで大成功をおさめたのち、世界各地で狩猟をおこない、動物の剥製の製作をすすめました。そして晩年には自然保護を推進するようになりました。

剥製標本は立体でリアリティがあったため体験的に動物について理解をふかめることができました。動物写真を図鑑で見ているのとちがい迫力がありました。また、せまいスペースのなかで多数の標本をみることができたので、動物の多様性を短時間・高密度で実感することができました。

動物の多様性をとらえる場合、つぎのような段階を踏むとよいでしょう。

 (1)図鑑で見る
 (2)博物館で見る
 (3)動物園で見る
 (4)フィールドワークをおこなう

(1)図鑑で見れば、地球上で知られているほとんどの動物を写真や絵で体系的に見ることができます。
(2)写真や絵は平面的(2次元)ですが、展示標本は3次元であり、いろいろな角度から動物を立体的にとらえることができます。
(3)博物館の標本は死んだ動物ですが、動物園では実際に生きている動物を見ることができます。より現実にちかづきます。
(4)フィールドワークをおこなえば、野性の動物を生態系のなかに位置づけて見ることができます。しかし、フィールドワークでは動物に出会える機会は少なくなり、ガイドや専門的なやり方が必要になります。

(1)から(4)にいくにしたがって動物に出会える頻度は低くなりますが、より現実の状態を知ることができます。

このような認識の段階の全体像を踏まえて博物館の動物展示を利用すれば、動物に関する理解がすすむとともに、ヨシモトさんの功績が後世まで生かされるとおもいます。

つぎのデータベースも有用です。


▼ 関連ブログ
哺乳類の進化と絶滅をまなぶ -太古の哺乳類展- 
具体例を蓄積して理解をふかめる -ダーウィンフィンチのクチバシ- 

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100年ぶりに発見されたノート=Antarctic Heritage Trust New Zealand提供
(CNN.co.jp から引用)


英国の南極探検隊がのこしたフィールドノートが氷の下から100年ぶりに発見されたそうです(cnn.co.jp/2014.10.29)。


英探検家ロバート=スコットがひきいる南極探検隊のメンバーが書きのこし、雪の中に埋もれていた1冊のノートです。ノートの持ち主は、1910~13年のスコット隊に参加した医師で写真家のジョージ=レビックであり、スコット隊が1911年に南極大陸に上陸した際、アデア岬の基地で撮影した写真の説明を鉛筆でつづっていました。

レビックが撮影した写真は、英国ケンブリッジ大学のスコット極地研究所に保管されていて、ノートの説明をこの写真と照らし合わせて読むこともできます。

スコット隊は1912年1月に南極点に到達しましたが、世界初をあらそったノルウェーのアムンゼン隊にわずか33日の差で先を越され、敗北しました。スコットらの一行はこの帰りに遭難死しました。

南極点へは同行しなかったレビックら6人のチームは夏の間アデア岬で調査活動をつづけ、氷穴で冬を生き延びた後、エバンス岬の基地へ移動しました。

写真を見るとかなり丁寧に記録をつけていたことがわかります。南極探検史を知るうえで貴重な資料になるとおもいます。

情報処理の観点から見ると、現場で記録をとることはアウトプットにあたります。旅行や調査にでかけてさまざまな物を見たら、写真を撮るだけでなく、要点を記録しておくことが大切です。見ることはインプット、フィールドノートに要点を書くことはアウトプットです。

このような現場で第1のアウトプットをしておけば、帰国後あるいは帰宅後にそれらをまとめてブログや旅行記・報告書などを書くこと(第2、第3のアウトプット)ができます。記録は、現場体験の最初のアウトプットとしてとても重要です


英国スコット南極探検隊の様子はつぎの書籍で知ることができます。
 
スコット隊はたしかに敗北しましたが、未知の領域をめざすパイオニアワークは、たとえ敗れても堂々としたやり方だとおもいます。スコット隊は極点到達だけをめざすのではなく、フィールドワークもおこない、岩石などの資料を採集するとともに貴重な記録をとりました。


▼ 関連記事
南極点をめざした「地上最大のレース」 - 本多勝一著『アムンセンとスコット』- 

iPhone 4 から iPhone 6 Plus に機種変更をしました。iPhone 6 にするか iPhone 6 Plus にするか、その決め手はわたしの場合はディスプレイの大きさではなく、「光学式手ぶれ補正」がついているかどうかでした。

「自動手ぶれ補正」はどちらにもついていますが、「光学式手ぶれ補正」は iPhone 6 Plus にしかついていません。写真をたくさん撮る方はこの点に注意した方がよいでしょう。「自動手ぶれ補正」と「光学式手ぶれ補正」についてアップルのサイトでつぎのように説明しています。

自動手ぶれ補正

自動手ぶれ補正は、短い露出時間に4枚の写真を撮影してモーションブラーや手ぶれを補正します。そして、ノイズ、モーションブラー、手ぶれが最も少ない部分を合成して1つの画像を作ります。

光学式手ぶれ補正

iPhone 6 Plusには、A8チップ、ジャイロスコープ、そしてM8モーションコプロセッサと連係する光学式手ぶれ補正機能が初めて搭載されました。モーションデータを測定してレンズを緻密に動かすことで、十分な明るさがない場所での手ぶれを補正します。長時間露光と短時間露光で撮られた画像を合成して、被写体のぶれを低減することもできます。ほかにはないソフトウェアとハードウェアの統合により、光が少ない環境での写真をより美しいものにします。


わたしは、旅行に行くときには一眼レフカメラも持っていきますが、普段のスナップ写真は iPhone で撮るようになり、iPhone で十分なのでコンパクトデジタルカメラはつかわなくなりました。

このたび、光学式手ぶれ補正が iPhone にも搭載されたことにより、コンパクトデジタルカメラはますます必要なくなるでしょう。光学式手ぶれ補正の効果はとても大きいです。特に暗いときや暗いところではシャッター速度をかせぐことができ、いつでもブレのない写真を撮ることができます。写真をたくさん撮ったり、フェイスブックやブログに写真をアップロードする方は光学式手ぶれ補正がついた製品を買った方がよいとおもいます。

なお、iPhone 6 および iPhone 6 は、カメラレンズが本体から若干とびだしていますので取りあつかいに注意が必要です。iPhone カバーをつけてつかった方がよいでしょう。

『NHK 100語でスタート!英会話』(DVD+BOOK)の第2弾、オーストラリア編です。

本書で紹介している「100語」は、英会話でもっともよくでてくる重要な100のキーワードを、「コーパス」の結果をふまえて厳選したものです。「コーパス」とは、英語の使用データをコンピューターに大量にたくわえた言語資料のことであり、この100のキーワードを記憶することによって、英会話の約70%をしめる語彙が身につき、英会話の土台をしっかり構築できます。本書をつかって「あらたな100語の旅路へ」出発してみましょう。

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100のキーワードは以下のとおりです。〔〕内は、各場面(スキット)を想起するためのヒントです。

01 have (1) 〔マイクがホテルに到着する。〕
02 say 〔電話を切ったエドに、妻のサラが話しかける。〕
03 get (1) 〔マイクとエドは散歩しながら話している。〕
04 make (1) 〔エドがツアーガイドになる。〕
05 do (1) 〔ワインを飲みながら話している。〕
06 do (2) 〔トラムに乗ろうとしている。〕
07 will 〔マーケットに行く。〕
08 would 〔エドの家で食事をとる。〕
09 go (1) 〔食事が終わってくつろぐ。〕
10 go (1) 〔レストランでメニューをながめる。〕
11 come (1) 〔ビールを飲みながら話している。〕
12 come (1) 〔メルボルン博物館にやってくる。〕
13 be (1) 〔アボリジニの作品を見る。〕
14 be (1) 〔上司に見つかったらヤバイぞ!〕
15 what 〔かくれているエドのところにマイクとサラがやってくる。〕
16 which 〔ジュースを飲みながらあるいている。〕
17 see (1) 〔教会のなかを見学する。〕
18 see (2) 〔ショップでサラは帽子をえらぶ。〕
19 look (1) 〔トリムカーレストランでメニューを見る。〕
20 look (2) 〔料理がはこばれる。〕
21 know 〔ヤラヴァレーをおとずれる。〕
22 think 〔ワインテイスティングをする。〕
23 seem 〔ジラリンガにやってくる。〕
24 feel 〔コアラにミルクをやる。〕
25 want (1) 〔エドの家にて明日の出発について話している。〕
26 want (2) 〔サラにおねがいをしている。〕

27 like (1) 〔タスマニアのホバートに到着する。〕
28 like (2) 〔ガイドブックを手にしている。〕
29 can 〔ショッピングをしている。〕
30 could 〔ぬいぐるみを買う。〕
31 who 〔釣りをしている。〕
32 when (1) 〔エドは帰りたがっている。〕
33 take (1) 〔羊毛刈りをする。〕
34 take (2) 〔ユーカリの木を見る。〕
35 give 〔草原をあるきながら話している。〕
36 bring 〔バーベキューが焼ける。〕
37 tell (1) 〔野生動物公園にやってくる。〕
38 tell (2) 〔タスマニアデビルを見ている。〕
39 ask (1) 〔カンガルーに話しかける。〕
40 ask (2) 〔ウォンバットを抱いている。〕
41 talk 〔写真を撮っている。〕
42 speak 〔自転車に乗る。〕
43 hear 〔ホバートにもどってくる。〕
44 listen 〔音楽テープをわたす。〕

45 should 〔マイクは、日本の伊豆にやってきた。〕
46 must 〔マイクはケンジと出会う。〕
47 may 〔食堂にやってくる。〕
48 might 〔旅館に到着する。〕
49 find (1) 〔露天風呂に入る。〕
50 find (2) 〔日本食を食べる。〕
51 mean 〔金山に来る。〕
52 put (1) 〔神社に来る。〕
53 use 〔散歩中に飲物を買う。〕
54 work 〔仕事について話している。〕
55 have (2) 〔ケンジのアパートにやってくる。〕
56 get (2) 〔ベッドについて心配する。〕
57 leave (1) 〔ケンジの部屋で明日の予定について話している。〕
58 leave (2) 〔書き置きを読む。〕
59 keep (1) 〔マイクはカバンをぬすまれたと勘違いする。〕
60 keep (2) 〔マイクはエイミーを追いかける。〕
61 need 〔マイクはエイミーに電話をかける。〕
62 try 〔ランチの約束をする。〕
63 call 〔マイクとケンジはバーで話している。〕
64 turn 〔レストランでエイミーと再会する。〕
65 believe 〔再会をよろこぶ。〕
66 become 〔レストランのテーブルで話している。〕
67 run 〔誤解が解ける。〕
68 help 〔ケンジはマイクに感謝する。〕
69 and/so/but 〔メアリーがエドに電話をかける。〕
70 if 〔マイクが日本に行ったことをメアリーは知らなかった。〕
71 hold 〔エドがマイクに電話をする。〕
72 hope 〔マイクは、オーストラリアへむけて出発する。〕

73 when (2) 〔オーストラリアでマイクはエドと再会する。〕
74 as 〔メアリーが泊まっているホテルにマイクとエドはやってくる。〕
75 pay 〔マイクはお金を持っていない。〕
76 buy 〔マイクとエドはメアリーの話をしている。〕
77 that 〔メアリーはダイアンに電話をする。〕
78 that/which 〔メアリーとダイアンは再開する。〕
79 move 〔スイミング・ラグーンに来る。〕
80 follow 〔マイクは落ち込んでいる。〕
81 begin 〔乗馬をする。〕
82 start 〔ブーメランを投げる。〕
83 stop 〔サーフィンをする。〕
84 happen 〔メアリーの写真を見せる。〕

85 make (2) 〔モートン島にやってくる。〕
86 let 〔砂すべりに挑戦する。〕
87 suppose 〔イルカの餌付けに挑戦する。〕
88 wonder 〔メアリーとダイアンが話をしている。〕
89 remember 〔マイクとエドはケアンズに車でむかっている。〕
90 forget 〔昼食をわすれる。〕
91 show 〔メアリーとダイアンは熱帯雨林にやってくる。〕
92 watch 〔マイクとエドも熱帯雨林にやってくる。〕
93 write 〔マイクがメアリーに手紙を書いている。〕
94 meet 〔メアリーとマイクが再会して抱き合う。〕
95 break 〔写真を見せている。〕
96 set 〔レストランに行く。〕
97 change 〔ホテルのプールサイドでくつろぐ。〕
98 put (2) 〔旅行について話をしている。〕
99 pick 〔グリーン島の浜辺ですごす。〕
100 mind 〔マイクが船に乗りおくれる。〕



■ DVDをくりかえし視聴する

DVDをくりかえし視聴しながら、視聴覚体験を心のなかにしっかりインプットします。

聞きとれないところ、意味のわからないところについてはテキストをじっくりみ見て確認し、記憶します。



■ マイクがおとずれた場所を地図で確認する

マイクは、オーストラリアの、メルボルン(Melbourne)、ヤラヴァレー(Yarra valley)、ジラリンガ(Jirrahlinga)、タスマニア(Tasmania)、ゴールドコースト(Gold Coast)、ケアンズ(Cairns)、モートン島(Moreton Island)、グリーン島(Green Island)、また日本の伊豆、東京をおとずれました。

これらの位置を地図上で確認し記憶しておきます。地図は、記憶を定着させるためのもっとも基礎的な基盤です。

マイクがおとずれた場所を地図上でつないで大局をとらえると、 ストーリーがつくりだす空間(範囲)がとらえられ、全体が小さく見えてきて情報がとりあつかいやすくなります。

また、世界地図や地球儀でオーストラリアを見るたびに本書をおもいだし、その内容をつかうことができるようになります。情報が、オーストラリアの大地につながれているといった感じです。



■ 100の場面(スキット)を想起する

上記の 01〜100までのキーワードと想起のためのヒントを順番にみて、各場面(スキット)をイメージ(動画)として想起します。どこまで正確におもいだせるでしょうか。

それぞれの場面(スキット)は、キーワードが上部構造、スキットの動画が下部構造であるととらえることができます。

141013 キーワードと動画

図1 各場面(スキット)は、上部構造であるキーワード、下部構造である動画からなる


イメージがよくおもいだせない場面(スキット)についてはDVDを再度みて確認し記憶しなおします。

イメージがしっかり想起できるようになったら、話されていた英会話も記憶し、想起してみます。スキットの会話すべてを記憶する時間がないようでしたら、キーワードがふくまれている一文(例文)を記憶し想起できるようにします。

ポイントは、イメージを、言語の記憶のベースとしてつかうことです。イメージは記憶の基盤になります。



■ 100個のファイルを完成させる

図1において、上部構造のキーワードはラベル(標識)、下部構造は視聴覚体験あるいは情報の本体であり、これは1個のファイル(情報のひとまとまり)ととらえなおすことができます。

140927 ラベルと情報の本体380px

図2 ファイルの構造


キーワードはその場面を圧縮したラベル(標識)である一方、場面を想起するための引き金(手段)です。

キーワードと例文を想起しつかえるようになるためには、見通しのよいファイルをつくることが必要です

そのためには、各場面を的確にインプットして、下部構造をしっかり構築するようにします。

また、出来事がおこっているひとつの空間を意識し、スキットをひとまとまりとしてとらえるセンスをみがきます。場面のひとまとまりとは、視聴覚体験のひとまとまりであり情報のひとまとまりです。ひとまとまりをはっきりさせるためには、前の場面から次の場面に転換するときの境界をしっかり確認するようにします。境界を明確にとらえることが肝要です。

また、DVDをたのしみながら見て、よい感情とともに記憶し想起すると学習効果は格段に高くなります。その意味では、最初の教材えらびも大事です。オーストラリアに興味があって是非いってみたい、あるいは行ったことがあるというのでしたら効果は非常に高くなるにちがいありません。DVD教材はほかの国のものもありますので自分にあった教材を検討するとよいでしょう。

こうして、視聴覚体験をファイルとして完成させ、見通しがよいファイルができると、ある場面がひとまとまりとして瞬時におもいだせるようになります。想起ができるということはキーワードがつかえるようになるということです。



■ つらなったファイルをイメージする

DVDで見られるストーリーは、このような100個のファイルがつらなってできたものです。ファイルがつらなっていることをイメージしてください。すると心のなかで体験が整理され、ファイルの見通しはさらによくなり、記憶が保持されるようになります。


141013 つらなったファイル

図3 ファイルがつながっているイメージ



■ ファイルを成長させる

このようにして100個のファィルをつくり、これらをストーリーにそってつなげておけば、ファイルが核になって英会話力をさらにのばしていくことができます。100個のファイルとこれらのつらなりはひとつの体系であり、もやや断片のよせあつめではありません。

そして、キーワードをくりかえしつかえばつかうほどファイルは強固なものになります。このようなファイルの体系は生き物のようにはたらいて成長していきます。



■ 海外旅行でファイル作成を実践する

上記の方法は海外旅行にそのまま応用できます。

旅行をしながら、それぞれの場面を意識し、場面のひとまとまりごとに一個のキーワードあるいはキャッチフレーズをあたえてノートに書きだしていきます。キーワードやキャッチフレーズはラベルであり、ラベルを書く作業はアウトプットですから、1回かきだすごとに情報処理を1回することになります。

そして、ひとつの情報処理をすると同時に1個のファイルが形成されることになります。

1回の旅行で、できれば100個のファイルをつくるとよいですが、100という個数にこだわる必要はありません。数がすくなくてもしっかりとしたファイルをつくることが大切です。

こうして、体験のひとまとまりを意識して、体験をファイルにし、体験ファイルを集積していけば、それは自分独自のつかえるデータバンクになります。



▼ 引用文献
投野由紀夫著『NHK 100語でスタート!英会話 オーストラリア編』(DVD+BOOK)日本放送出版協会、2005年10月25日
NHK100語でスタート!英会話 (オーストラリア編) (NHK出版DVD+BOOK)


▼ 参考文献
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月 


▼ 関連ブログ
視聴覚体験とキーワードで情報の玉をつくる 〜 DVD『NHK 100語でスタート!英会話 〜アメリカ編』〜

『世界の旅行記101』は、古今東西の代表的な旅行記101を9章にわけて概説しています。人類がどのように地球を旅行し探検し、地球を認識してきたかをたどることができます。

古今東西、旅行記はとてもたくさんあるので、まず本書を見て、興味を感じる本があったら原書にあたるという方法をとるとよいとおもいます。

以下の旅行記の概要が掲載されています。

I ギリシア・ローマ旅行記
 1 歴史
 2 アナバシス
 3 ガリア戦記
 4 エリュトゥラー海周航記
 5 ギリシア案内記

II 東洋旅行記
 6 インドの不思議
 7 旅路での出来事に関する情報の覚書
 8 モンゴル旅行記
 9 東方見聞録
 10 イブン・バットゥータ旅行記
 11 コンスタンチノープル征服記
 12 東方案内記
 13 東洋遍歴記
 14 朝鮮幽因記
 15 熱河日記
 16 中国訪問使節日記
 17 朝鮮・琉球航海記
 18 ペルシャ放浪記
 19 紫禁城の黄昏

III 大航海時代
 20 ギネ―発見征服誌
 21 航海日誌
 22 ヴァスコ・ダ・ガマのインド航海記
 23 新世界
 24 最初の世界一周航海記
 25 ペルーおよびクスコ地方征服に関する真実の報告
 26 パナマ地峡遠征記
 27 新大陸自然文化史

IV 宗教と旅
 28 仏国記(法顕伝)
 29 大唐西域記
 30 南海寄帰内法伝
 31 入唐求法巡礼日記
 32 行歴抄
 33 日本巡察記
 34 天正遣欧使節記
 35 日本史
 36 東方伝道史

V 探検の時代
 37 世界周航記
 38 太平洋探検
 39 世界周航記
 40 ビーグル号航海記
 41 暗黒大陸
 42 ユア号航海記
 43 世界最悪の旅
 44 西太平洋の遠洋航海者
 45 中央アジア踏査記
 46 さまよえる湖
 47 コン・ティキ号探検記
 48 悲しき熱帯

VI 紀行文学
 49 旅日記
 50 モーツァルトの手紙
 51 フランス紀行
 52 イタリア紀行
 53 ある旅行者の手記
 54 ライン河
 55 赤毛布外遊記
 56 オランダ・ベルギー絵画紀行
 57 アンコール詣で
 58 サハリン島
 59 ジャック・ロンドン放浪記
 60 デルスー・ウザーラ
 61 私のアメリカ発見
 62 アフリカの緑の丘
 63 ソヴィエト旅行記

VII 外国人と日本人
 64 海東諸国記
 65 セーリス日本航海記
 66 海游録
 67 江戸参府旅行日記
 68 江戸参府随行記
 69 ベニョフスキー航海記
 70 江戸参府紀行
 71 ペルリ提督日本遠征記
 72 江戸と北京
 73 日本奥地紀行
 74 日本旅行日記

VIII 日本人の旅行記 - 江戸時代まで
 75 伊勢物語
 76 土佐日記
 77 十六夜日記
 78 韃靼漂流記
 79 東海道名所記
 80 おくのほそ道
 81 東遊雑記
 82 江戸旅日記
 83 北槎聞略
 84 東西遊記
 85 江漢西遊日記
 86 東韃地方紀行
 87 管江真澄遊覧記
 88 秋山紀行
 89 島根のすさみ
 90 蕃談
 91 西游草

IX 日本の旅行記2 - 近代以降
 92 特命全権大使・米欧回覧実記
 93 南嶋探検
 94 赤松則良半生談
 95 チベット旅行記
 96 あめりか物語
 97 満韓ところどころ
 98 三千里
 99 日本アルプス
 100 支那游記
 101 海南小記


人類の旅行史・探検史の全体像を知るうえで貴重な一冊です。特に、その地域に最初の一歩をしるし、あたらしい世界を記述した旅行記はパイオニアワークとして大きな価値があります。

人類は、既知の領域から未知の領域へと旅をする存在であるととらえることもできます。人類は旅行や探検をし、またそれを記述することでみずからの空間をひろげてきました。このような、空間をひろげる歴史を知ることはとても大事なことです


文献:樺山紘一編『世界の旅行記101』新書館、1999年10月5日
世界の旅行記101 (ハンドブック・シリーズ)

海外旅行をたのしみながら英会話を習得する DVD『トラベラーズ イングリッシュ』の第5巻 ニュージーランド南島編です。今回のニュージーランド南島編では、ニュージーランドの非常にうつくしい風景を満喫することができます。 

チャプターリストはつぎのとおりです。

1 ニュージーランド到着、乗り継ぎ
2 トレッキング・ツアーに参加
3 ギブソンバレーのワイナリー
4 バンジージャンプに挑戦
5 ダニーデン〜タイエリ渓谷鉄道
6 ダイアロア岬、野生動物見学ツアー
7 クライストチャーチ


■ 旅のルート

ニュージーランド南島のクライストチャーチ国際空港に到着、国内線に乗り継ぎをしてクィーンズタウンに移動します。

つぎの日、マウント・アスバイヤリング国立公園で往復16キロメートルのルートバーン・トレッキングを体験します。

そのごワイナリーを見学し、バンジー発祥の地でバンジージャンプにも挑戦します。

南島第二の都市ダニーデンへ移動、鉄道の旅でゆたったりとすごし、オタゴ半島でオットセイ・アシカ・ペンギンなどの野生動物を見て感動。

ダニーデンからは、最終目的地、南島最大の都市クライストチャーチまでの旅を堪能します。



■ 視聴覚体験を記憶する

DVDをつかった英会話学習では、つぎのような手順をふむと記憶が定着します。

1.DVDを視聴して情報をインプットする
目と耳をしっかりはたらかせて、映像と音声を心の中にきちんとインプットします。

2.映像(イメージ)を想起する
映像は消して、音声だけを聞いて、映像(イメージ)を連続的におもいだします。アイマスクをするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。

3.音声を想起する
今度は、音声を消して、映像だけを見て、音声をおもいだします。耳栓をするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。さらに、重要な英単語やフレーズをノートに書きだしてみます(アウトプットしてみます)。



■ ニュージーランドを記憶の場にする

記憶するときには、ニュージーランドの大きな空間を記憶の場(記憶のベース)にして、そのなかに、各シーンや英語のフレーズをむすびつけて記憶するようにします。ニュージーランドの大きな空間のなかに各シーンがうめこまれているとイメージし、ニュージーランドの場を記憶の倉庫としてつかいます。

DVD『トラベラーズイングリッシュ』のシリーズには、ほかにも、オーストラリア編・アメリカ編・イギリス編などもあります。ほかの国でも同様に、その国の大きな場のなかに、それぞれの場面やフレーズをうめこむ(ファイルする)ように記憶していけばよいのです。

そのためには、その国の地図をイメージできるようにしておく必要があります。

140905 ニュージーランド南島 地図
ニュージーランド南島の地図(Googleマップ)


今回の旅では、クライストチャーチ国際空港に着陸後、クィーンズタウンに移動、その後、ダニーデン(ダニーディン)をへて、クライストチャーチにもどったことを地図上でイメージします。



■ 世界地図は、記憶想起のインデックスとしてつかえる

このように、それぞれの国の空間を記憶の場(記憶倉庫)として機能させ、世界地図上でその国を見ることにより、その国の空間にうめこんだ記憶情報を想起できるようにしておきます。

『トラベラーズイングリッシュ』などをつかってこのような記憶法を実践していけば、世界地図は、記憶情報を想起するためのインデックスとしても利用できるようになります。これは一種の空間記憶法です。

そのためには、世界地図あるいは地球儀をよく見なおして、それぞれの国がどこにあるのか、その場所とエリア、訪問した都市の位置をしっかり記憶しておくことが必要です。各国の分布がイメージとしていつでもおもいだせるようにしておきます。地図の記憶は記憶の基礎になります。



■ あたらしい内面空間をつくる

DVDの各シーンを新鮮な目でながめ、視聴覚体験をきちんとインプットし記憶することは、ニュージーランドの空間を心のなかにきざみこむことにもなります。それに感動がともなえばなおよいです。

この視聴覚体験は、あたらしい記憶の空間を心のなかにつくることであり、これにより、あたらしい状況に適応するためのあらたな心の準備や情報処理がはじまります。このような視聴覚体験は、あたらしい心のとびらをひらくことにもなってくるのです。

そしてもっと興味がわいてくれば、ニュージーランドを実際に旅行してみて、今度は、本当の旅の体験をたのしめばよいでしょう。


▼ DVD
トラベラーズ・イングリッシュ 5 ニュージーランド南島編 [ 英語で旅する TRAVELERS ENGLISH 5 New Zealand South Island ] (エキスプレス)


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