発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

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旅先で意識して本を読むと、帰宅してからグーグルマップ上でその場所をみるたびにその本の内容がおもいだせるようになります。

わたしたちはさまざまな所に旅行します。旅行をしたときには、その土地で見たことや聞いたことなどが自然にインプットされ記憶されます。そして、帰宅してから地図上で旅行した場所をみるたびに、その土地で記憶されたことが思い出としてうかんできます。うかんできたことを体験記を書くなどのアウトプットにつなげることもできます。

この一連の流れは情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)にほかなりません。

この仕組みは読書のためにもっと意識的につかうことができます。

旅行先の特定の土地(場所)に行ったら、そこで本を読んでその内容あるいは要点を記憶するようにします。

そうするとその後、でかけたその場所を地図上でみるたびにその本のことがおもいうかぶようになります。このようなことをたとえば日本の各地でおこなえば、それらの場所を地図上でみるたびに、ここではこの本、こっちではあの本というようにそれぞれの本が想起できるようになります。つまり地図が、情報検索システムの役割をはたすようになるのです。

最近では、Kindle などの電子書籍がありますから、このようなことは旅行や出張にでかけたついでにおこなうことができます。でかけたついでに、その場所を意識しながら本を読んでかえってくるのです。自分の課題にとりくむうえで重要な書籍についてはやってみる価値があるとおもいます。

情報処理や記憶法では、情報をいかに想起してアウトプットにつなげるかがポイントになります。そのためには容易に情報を想起できる仕組みを用意しておく必要があります。その仕組みとしてグーグルマップなどの地図がつかえるのです。

これは、本の内容を「場所記憶」にしてしまう一種の空間記憶法です。


国立科学博物館で「大アマゾン展」が開催されています(会期:2015年6月14日まで)。アマゾンあるいは自然の多様性を知ることができる貴重な機会になっています(注1)。

これに関連しておもしろい本があります。伊沢紘生著『アマゾン探検記』です。密林がどこまでもつづく秘境アマゾン。その人跡未踏の奥深くに著者の伊沢さんが入っていったときの最初期の体験がつづられています。

目 次
案内人ホボ
“人食い魚” ピラニアの話
老学者の心配
ある男の人生観
アマゾンに生きる
少年

猟師

ジャングル生活
娘の心
息子と父
ナマケモノはなぜなまけ者か
威風堂々空を飛ぶ
チョウを捕る

裸族訪問
南で、北で
密林の道
ひからびたジャガイモ
緑の魔境の楽しみ方

巨大なジャングルでくらしながら、そこで出会った原住民との交流、さまざまな鳥獣虫魚の観察、釣りのたのしみなどを新鮮な目でとらえています。このようなゆたかな自然をとおしてアマゾン生態系の全体観を感じとることができます。

そしてアマゾンのジャングルには、この大自然のなかで環境と一体になって生活している人々がいました。

今なお西洋文明の影響をうけず、あるいはうけるのを拒絶して、裸で生活する原住民インディオと接触する機会は、長いアマゾン滞在中でもわずかしかなかった。

私の心に強烈な印象を残したものがあった。彼らが、自らの裸身にほどこした鮮やかなペインティングである。

あるときは、闊歩するジャガーのごとく、あるときは、舞うモルフォのように、いずれかの色のいずれかの線や円が、豊かな筋肉の動きに同調し、人を環境に埋没させ、また環境から引きたてた。

環境のなかにとけこみ、一方で環境に対して主体性を発揮する。これが人類の本来の生き方だったのではないでしょうか。

本書が出版されたのは1983年でした。今ではもうこのような人々は地球上にはいなくなったかもしれません。人類の本来の姿がここにはのこっていたのであり、今となっては大変貴重な記録です。

▼ 引用文献
伊沢紘生著『アマゾン探検記』どうぶつ社、1983年12月22日
アマゾン探検記

▼ 注2
伊沢紘生著『アマゾン動物記』とあわせて読んでみると理解がふかまります。
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-

▼ 追記
著者の伊沢紘生さんは、本書に記載されているような過程をへて、このあと、サル類の研究をふかめていったことがよくわかりました。

▼ 関連記事
アマゾンの多様性を大観する - 国立科学博物館「大アマゾン展」(1) -
アマゾンを歴史的時間的にとらえる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(2) -
アマゾンの多様性をメモする - 国立科学博物館「大アマゾン展」(3) -
アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-
さまざまな種がすみわけて生態系をつくっている - 伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』-
自然環境と共生して生きている人々がいる - アマゾン展 -


『ガイドブック『アンネの日記』を訪ねる』は『アンネの日記』をめぐって旅をするための旅行ガイドブックです。『アンネの日記』に興味のある人あるいはこれからオランダ旅行をする人におすすめします。テーマをもって旅行にでかけると体験がとてもふかまるとおもいます。

目 次
旅に出る前に
I 4歳まで暮らしたドイツ
II ドイツ脱出、アムステルダムへ 子ども時代のアンネ
III 隠れ家生活
IV アンネを助けた人々とオランダ市民の抵抗
V 強制収容所で
VI さらにアンネを知るために

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写真や地図がたくさんでていてとてもわかりやすいです。

旅行にでかける前に本書をみて、また現地に本書をもっていくとよいです。あるいは実際にはいかなくても旅行をしている気分になって読んでみると、『アンネの日記』の背景が地理的・空間的にとらえられて当時のことがよく理解できます。第二次世界大戦をあらたな視点からとらえなおすことができるかもしれません。



▼ 引用文献
『ガイドブック『アンネの日記』を訪ねる』新日本出版社、1999年5月10日
ガイドブック『アンネの日記』を訪ねる (新日本Guide Book)


▼ 関連記事
立体模型をみて構造をつかむ - アンネの「隠れ家」の模型 -
「隠れ家」の空間全体に意識をみたす - NHK 100分 de 名著『アンネの日記』-
旅をして、第二次世界大戦をとらえなおす -『ガイドブック『アンネの日記』を訪ねる』-

竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』は、前著『日本史の謎は「地形」で解ける』の続編です。前著にひきつづいて本書を読むと日本文明に関する理解が一層すすみます。

本書の中核をなすのは、第4章〜第7章の江戸の都市づくりに関する論考です。ここを中核にして、その前の時代の織田信長、その後の日本の近代化に関する論考を読むと、日本列島という地形のうえで日本文明がいかに成長したかについて理解をふかめることができます。

目 次
第1章 なぜ日本は欧米列国の植民地にならなかったか ①
第2章 なぜ日本は欧米列国の植民地にならなかったか ②
第3章 日本人の平均寿命をV字回復させたのは誰か
第4章 なぜ家康は「利根川」を東に曲げたか
第5章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ①
第6章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ②
第7章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ③
第8章 貧しい横浜村がなぜ、近代日本の表玄関になれたか
第9章 「弥生時代」のない北海道でいかにして稲作が可能になったか
第10章 上野の西郷隆盛像はなぜ「あの場所」に建てられたか
第11章 信長が天下統一目前までいけた本当の理由とは何か
第12章 「小型化」が日本人の得意技になったのはなぜか
第13章 日本の将棋はなぜ「持駒」を使えるようになったか
第14章 なぜ日本の国旗は「太陽」の図柄になったか
第15章 なぜ日本人は「もったいない」と思うか
第16章 日本文明は生き残れるか
第17章 【番外編】ピラミッドはなぜ建設されたか ①(注1)
第18章 【番外編】ピラミッドはなぜ建設されたか ②

たとえば徳川家康は、関東の弱点が関宿にあることを見ぬいたり、利根川を東にまげる大工事をおこなったり、東京湾岸に運河をつくったりして関東と江戸をみごとにつくりかえました。関東平野の改良と制御なしには江戸時代の繁栄はありえませんでした。またこの江戸と関東平野がその後の日本の近代化の基盤となりました。

家康らは、自然環境に一方的に支配されたり環境にただ適応して生きていたのではなく、自然環境に対して主体性を発揮してそれを能動的に改良したのです。そこには、自然環境とそこで生きる人々との相互作用をみとめることができます。大げさにいえば江戸と関東平野は自然環境と家康らの合作であったのです。そしてそのうえにたってその後の文明が成長できたというわけです。

著者の竹村公太郎さんの方法はこのように一般の人文学者とは大きくことなります。つぎのようにのべています(注2)。

歴史を芝居にたとえると、歴史の下部構造は舞台と大道具で構成された舞台装置である。歴史で活躍した英雄たちは、その舞台装置の上で演技する俳優たちである。俳優たちの演技を評論する人は多いが、舞台装置を評論する人はない。インフラに携わってきた私は、下部構造の舞台装置が気になってしまうのだ。

登場人物だけに注目するのではなくて彼らが行動していた「舞台」すなわち大地も同時に見ること、要素とともにそれが入っている空間全体を見るが大事だということでしょう。

徳川家康は、現場をあるいて地形を観察しつくしていた日本史上最高級のフィールドワーカーであったそうです。家康にはおよばないにしてもわたしたちも家康からまなび、まずは野外にでて、理屈をはなれて自分の目で自然を見ることからはじめたいものです。



▼ 引用文献
竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』(Kindle版)PHP研究所、2014年2月3日
日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)


▼ 注1
第17〜18章のピラミッドに関する論考も斬新です。このような視点は一般の考古学者にはないのではないでしょうか。歴史や文明を「基盤」からとらえなおすことが大切であることをおしえてくれるとともに、文明にはかならず「基盤」があることもしめしています。

▼ 注2
竹村公太郎さんは専門の歴史学者ではないことも自由な発想を可能にしているとおもわれます。専門の歴史学者は定説や学会の価値観にとらわれているので常識とはちがうことは言いづらい状況にあります。また学校教育の影響もあって言語をつかってかんがえる習慣を身につけている人が多いです。それに対して竹村さんはあきらかにフィールドワーカーです。あちこちにでかけていっていろいろなアイデアをおもいつく。たのしいことです。その根底にはマチュア精神があるのではないでしょうか。アマチュア精神は是非大切にしたいものです。

▼ 関連記事
歴史の流れを地形でとらえる 〜『地形から読み解く日本の歴史』〜
地形をみて歴史の謎をよみとく - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(1)-
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鎌倉から日本国をとらえなおす - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(3)-
現場をあるいて地形を観察する - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』-
五感をはたらかせて文明の下部構造をとらえる -『本質を見抜く力 - 環境・食料・エネルギー -』-
現場のデータから仮説をたてる - 竹村公太郎さんらの方法 -


竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』をたよりに、奈良・京都・鎌倉・江戸の地形と地理を見ることによってそれらの空間から日本史の大局をとらえなおすことができます。

たとえば、源頼朝は鎌倉にとじこもって幕府をひらき、鎌倉と京都、武士と天皇という「権力と権威の分離」を実行しました。権力も権威も掌握しようとした平家とはちがいます。徳川家康もこの基本原理をつかって国家統治をしました。そしてこの原理は今日の日本国にまでひきつがれていきます。

日本列島では、鎌倉を原点にして武士団が次第に膨張していきました。そして戦国時代に突入、徳川家康によって領土国家・日本国が完成されました。「家康は事実上の最後の征夷大将軍」ということも理解できます。鎌倉からの過程に、空間的に国家が大きくなっていくダイナミクスを見ることができます。

この間、「権力と権威の分離」という基本原理はずっとはたらいていました。このように、現代の日本国にまでつづく「権力と権威の分離」という原理あるいは文化は鎌倉でデザインされたものであり、現代の日本国は鎌倉からはじまった、日本国は鎌倉の路線上にあるととらえなおすことができるのです。明治維新からではなくて。 現代の日本の体制の原点を鎌倉に見てみようというわけです。このようなことを意識しながら鎌倉をあるいてみるととてもおもしろいとおもいます。

空間(地形や地図や写真や絵)をつかって情報処理をすすめることのおもしろさは理屈ではなくて瞬時に大局がとらえれれる点にあります。最近では、Googleマップや Google Earth をつかってこれが簡単にできます。これは従来のいわゆる考えるという行為とはちょっとちがうかもしません。空間をつかって自然にわきあがってくるアイデアを大切にしたいものです。
 
そして大局がとらえられたら、つぎには自分の興味のある部分にはいりこみ、今度はこまかく見ていけばよいのです。



▼ 引用文献
竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(Kindle版)、PHP研究所、2013年10月1日
日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

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歴史の流れを地形でとらえる 〜『地形から読み解く日本の歴史』〜
地形をみて歴史の謎をよみとく - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(1)-
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鎌倉から日本国をとらえなおす - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(3)-
現場をあるいて地形を観察する - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』-
五感をはたらかせて文明の下部構造をとらえる -『本質を見抜く力 - 環境・食料・エネルギー -』-
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本ブログの前回の記事で、物語をイメージにし、それぞれのイメージを場所にむすびつけることが情報処理のために役立つことをのべました(注)。

物語 → イメージ → 場所

これは、本来は時間的な流れである物語を空間的にとらえなおす作業です。

時間 → 空間


しかしその逆のこともできます。ある地域の地図をみて、それぞれの場所に存在する造形(イメージ)に注目し、それらがつくられた年代をしらべてみると、その地域における物語あるいはその地域の歴史がわかってきます。

場所 → イメージ → 物語

これは、最初は空間的にとらえたものを時間的な(時系列の)流れとしてとらえなおすことです。

空間 → 時間

たとえば東京都の地図(あるいは Google Earth)をみるとさまざまな場所に特徴的な建造物があります。それらがつくられた年代を知れば、それらを今度は歴史的順序にならべてみることができます。つまり年表をつくったりあるいは文章を書いたりすることができます。

同様なことは自然の造形物できます。地質学者はある範囲を調査したら、化石や岩石や地形などのそれぞれが形成された年代を特定してその地域の自然史をあきらかにします。さまざまな化石や岩石や地形は空間的には今現在同時にみえているのですが、実際にはそれらはことなる時代にことなる条件下で形成されたものです。空間的に同時に存在するからといってすべてが同時に形成されたわけではない点に注意しなければなりません。

以上をまとめると、「物語→イメージ→場所」(時間→空間)という作業もできるし、その逆の「場所→イメージ→物語」(空間→時間)という作業もできるということであり、両者を自在につかいこなして時間と空間を往復できるようになると情報処理がすすみます。そのためにはイメージをうまくつかうことがポイントになってきます。

このようなことを意識しながら本を読んだり地図を見たりするとおもしろいでしょう。そしてつぎには実際に行ってみる、でかけてみる、旅行をしてみると体験がふかまりります。


▼ 注
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-


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東京国立博物館・表慶館

特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」が東京国立博物館で開催されています(会期:2015年5月17日まで、注1)。

今回は、第2展示室「釈迦の生涯」にあった「四相図」(しそうず)に注目してみます。物語と造形と場所とを簡潔にむすびつけた例として参考になります。

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「四相図」は、グプタ朝で花ひらいたサールナート派の作例だそうです。釈迦の生涯から代表的な4つの場面(① 誕生から出家、② 降魔成道、③ 初転法輪、④ 涅槃)をえらんで下から上にむけて配置されています(注2)。

① シッダールタ太子の誕生から出家までの場面である。向かって右にはマーヤー夫人がおり、右脇には生まれ出た子を受けるインドラ(帝釈天)があらわされる。その向かって左方には縦長の空間をつかって七歩を歩むシッダールタ太子が配される。左下には白馬カンタカにのって出家のために城を抜けだす様子がみられる。

② 降魔成道であり、釈迦の右脇に魔王マーラーが、マーラーの右脇と釈迦の左脇には、悟りをさまたげようと誘惑にやってきた魔王の娘3人がいる。

③ 初転法輪であり、椅子に腰かけて説法印をむすぶ姿がみられる。

④ 涅槃の場面であり、寝台上に横たわる釈迦が全体をしめくくっている。

このように釈迦の物語を造形にあらわしました。さらに興味ぶかいのは、4つの場面それぞれが特定の場所にむすびつけられていることです。つぎのようになっています。

① ルンビニー
② ボードガヤー
③ サールナート
④ クシナガラ

これらは四大聖地として原始仏典にも説かれ、その巡礼が推奨されています。

物語の場面をイメージ化して場所にむすびつけることにより、4つの聖地を地図上で確認すれば釈迦の生涯を一望できることになります。時系列の物語をイメージでとらえ、さらに場所でとらえることができるのです。時間的な流れを視覚的空間的にとらえなおすことができるというわけです。

150519 四大聖地
四大聖地の位置(Google マップ)


地図上(地球上)の特定の場所に特定の情報をむすびつけて記憶したり処理する方法はプロセシングの方法としてとくに有用です。旅行法としても活用できます。仏教の聖地をめぐる旅もこのようなことを意識しながらおこなうとより充実したものになるとおもいます。



▼ 注1
東京国立博物館・特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」

▼ 注2
東京国立博物館・日本経済新聞社・BSジャパン編集『特別展 コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流』2015年3月17日、日本経済新聞社発行
(展示会場は撮影禁止のため図録の写真を撮った。) 

▼ 関連記事
インド仏教美術をみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(1) -
展示室に意識をくばって仏教史の大きな流れをつかむ - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(2) -
各作品が出土した場所を地図でみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(3) -
各作品の制作年代を年表でみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(4) -
情報処理の3場面「大観→並列→統合」を実践する - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(5) - 
1枚のイメージで物語をあらわす - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(6)「ムーガパッカ本生」-
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-

時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -




モンベル・フラッシュライト・クールキャップは太陽光で充電が可能な LED ライトつきのキャップです。アイデア商品です。暗いところでの作業のために、夜間のランニングやウォーキングで、キャンプで、防犯や災害時にも役にたちます。

バッテリーは太陽光で充電できるのが特色です。あるいは別売の「マルチコネクター充電ケーブルセット」を使用すればパソコンなどの USB 端子からも充電することができます。

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明るさは 0.5 ルーメン、照射距離は 9m、照射モードは点灯と点滅の2パターンになっていて、照射角度は上下4段階に調節できます。

重量は 106g、カラーはブラックとホワイト、サイズは S/M(54~58cm)と M/L(57~61cm)の2種類です。

電子パーツのついたツバ芯をとりはずして本体を洗濯することもできます。通気性と消臭機能をそなえ、夏でも快適に着用できます。

また、おもちの USB 変換ケーブルを併用することで携帯電話の非常用電源としても使用できます。


類似商品として「フラッシュライト ストレッチ O.D. キャップ」もあります。こちらはコットンのような風合いと高い伸縮性をそなえているのが特徴です。

ハンドルをまわして充電する電池交換不要の高輝度 LED ライトです電池をいれる必要がないので、いざというときにかならず役にたちます。アウトドアで、暗いところでの作業で、防犯のために、災害時に有用です。わたしはこれを常備しています。

ライトは点灯・強点灯・点滅と三段階の調節が可能です。重量は 98g、サイズは 約 81×49×38 mm、明るさは 15ルーメン(注)、ライト点灯時間は約1分間充電したとき約10分(LOWモード)です。


 
この製品には、頭につけてつかうヘッドライト式(ヘッドバンドつき)のものもあります。頭につけてつかうので両手が自由になり、暗闇での作業や行動のときに便利です。本体はヘッドバンドからとりはずして手でもってつかうこともできます。

コンパクト・フラッシュライト同様にハンドルをまわして充電できるので電池交換不要、ライトは LOW・HIGH・点滅と3段階の調節ができます。

ライト点灯時間は約1分充電時で約 90 分(LOWモード)とコンパクト・フラッシュライトよりもかなり長いですが、明るさは6ルーメンであり暗くなります。重量は 100g、サイズは 約 81×49×38 mm です。

わたしはこちらも常備しています。

明るさをとるか長い点灯時間をとるかによってどちらかを選択してもよいですが、できれば両方を常備しておいて用途にわけてつかいわけるとよいです。

これらは、何といっても電池切れの心配をしなくくてすむのがよいです。ライトが暗くなってきたらハンドルをグルグルまわすだけです。常備品としておすすめします。


▼ 注:ルーメンとは
ルーメンとは明るさをしめす値です。光源から発せられる光の総量をあらわした光学単位で、方向や距離に関係なく光源の本来もっている性能を表現できます。LEDは、消費電力に対する明るさが種類や仕様によってことなるためワットのような消費電力では明るさをしめすことができません。

エムパワード LED ソーラーランタンは、空気でふくらませてつかう円筒形の LED ソーラーランタンです小型・軽量・防水、おりたためてソーラー充電式というとてもユニークな製品で、アウトドアで、暗いところでの作業で、防犯のために、災害時にも役立ちます。このような製品がもとめられていました。

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昼は充電して夜は点灯、電源がないところでも毎日つかえます。バッテリーは約3000サイクルの充放電が目安、太陽電池でリチウムポリマー電池に充電、直射日光約8時間で満充電です。LED であかるさも十分です。

上下にストラップがついているので上を照らすとき以外にも、上にぶら下げて下を照らすときにも便利です。

サイズは、使用時は 直径10.5cm × 高さ10.5cm。折りたたみ時は 2.5cm まで小さくなります。非常もちだし袋に入れても邪魔になりません。防災のための備蓄にもとても適しています。重量はたったの約75gで子様やお年寄りでも持ちはこびが簡単です。

ビーチボールのように空気でふくらませる防水なのでキャンプや登山で雨に降られても大丈夫です。停電時のお風呂・台所・トイレなどの水回りでも安心です。

懐中電灯(ハンディライト)としてもランタンとしてもつかえる 2way ライトです。アウトドアで、暗いところでの作業で、防犯のために、災害時にも役立ちます。このような製品がもとめられていました。

アウトドア製品で有名な「ドッペルギャンガーアウトドア」ブランドの「マキシマスパーク」という製品です。

普通につかえばハンディライト、ヘッド部分を押しだせばランタンにはやがわりします。アルミニウム製でしっかりしたつくりになっています。

もっとも小さなタイプは単三電池1本だけ、中型のものは単四3本、大型のものは電源リチウムイオン乾電池18650 × 1本 または CR123 × 2本をつかいます。

全モデルに米国 CREE 社製の LED が使用されていて小型のものでもかなりの明るさがあります。また全モデルにハンドストラップが付属していて暗いところでの落下を防止できます。

これからライトを購入される方にはこの 2wey ライトをおすすめします。

『海外旅行安全対策マニュアル』は海外旅行でのトラブルの実例とその対処法を解説した本です。海外旅行にいくまえに本書をよく読んでトラブルに関する過去の旅行者の経験と対処法を知っておけば、旅行中の危険回避にかならず役立ちます。危険とは、旅行者の心の隙をねらいうつようにやってきます。しっかりとした心構えをあらかじめこちらがもっていれば危険は回避できるものです。

海外旅行のトラブルの実例としてはつぎのようなことについて解説しています。

・病気になって病院に行かなければならない。
・いかさま賭博で所持金をまきあげられた。
・バイクでのひったくりに抵抗したばかりに大けが。
・知らず知らずのうちに麻薬の運び屋になった。
・ニセ警官にだまされてお金を取られてしまった。
・割り勘にしたつもりがなんと無銭飲食に。
・クレジットカードのごまかしで、多額の請求が。
・ニセのガイドにだまされ大金をだましとられた。
・ソフトクリームをつけられ後でポケットをみると・・・
・ニセのボーイにパスポートをだまし取られた。


目 次
準備編
 海外安全情報の収集
 ツアー選びと航空券
 旅行会社とのトラブル集
 パスポートは海外旅行の必需品
 ビザの知識
 安全な旅のお金とは
 旅行中の病気・ケガに備える
 海外旅行傷害保険の正しい知識
 旅をたのしく

出国〜現地到着編
 空港で(出国)
 機内で
 トランジットとトランスファー
 入国書類
 到着(入国)
 空港は危険な場所!

現地滞在編
 ホテルにて
 町歩きで
 コミュニケーション術
 トラブル事例と対処法
 紛失・盗難の対処
 こんな場所でもトラブル発生
 病気・ケガの予防と対処
 病気・ケガのトラブル事例と対処法
 テロ、戦争、天災・・・シリアスなケースへの対応
 
帰国編
 帰国までにしておくこと
 空港で
 帰国したら

資料編

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安全対策の根本原則は「命がいちばん大事」ということです。ここを基本にて安全対策をしておけば危険を回避することができます。マイナス思考をする必要はまったくありません。過去の旅行者の経験を知り、あらかじめそこから教訓をまなんでおくことが大切です。


▼ 引用文献
ブルーガイド編集部編『海外旅行安全対策マニュアル』実業之日本社、2014年2月5日
マイメロディといっしょ 海外旅行安全対策マニュアル (わがまま歩き旅行会話)



『一生使える旅鞄&旅雑貨』は、スーツケースや旅行用ポーチそして便利な雑貨など旅に役立つグッズを紹介しています。どのようなブランドがあるのかもよくわかります。

目 次
拍数別だから選びやすい!
定番のスーツケース徹底比較&達人のバッグの中身大公開!!
 7拍8日編
 2拍3日編
 ボストンバッグ編
 アウトドアバッグ編

旅の専門店スタッフのベタ惚れ雑貨! 

旅慣れた大人の “愛用旅雑貨” 100!

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旅は、日常とはちがう贅沢な時をすごすことですから、大切な時間をより快適にたのしみたいものです。
 
グッズに関する旅の基本原則はできるだけ荷物を軽くすることです。したがって旅行グッズをえらぶときは、できるだけ軽くて丈夫なものをということになります。また、1つで多数の機能をもつグッズ(それをもっていけばいろいろなことにつかえるグッズ)も結果的に荷物を軽くできるのでおすすめです(注)。

たとえばトロリーケース(スーツケース)は、近年は、非常に軽くて丈夫なものが販売されています。あずけ荷物の重量制限がきびしくなっていることもあるのでできるだけ軽いものがよいです。

なお本書にも記載されているとおり、機内に荷物をもちこみたい場合は、大きさ(サイズ)に十分注意してください。飛行機の座席数が100席未満と100席以上とでは機内持ち込みサイズがことなります。



▼ 引用文献
『一生使える旅鞄&旅雑貨』(e-MOOK)宝島社、2014年11月28日
MonoMax別冊 一生使える旅鞄&旅雑貨 (e-MOOK)

▼ 注
「いろいろなことにつかえる」というかんがえ方は薬にも適用できます。あれもこれもすべての薬をもっていくことは不可能ですから、複数の症状につかえる比較的用途がひろい薬があればそれを選択してもっていくとよいです。


『はじめての野外活動』は、野山あるき・野外泊・火起こし・ナイフの使い方・ロープワークなど野外活動の基本をイラストと写真をたくさんつかってわかりやすく紹介した野外活動ガイドブックです。野外活動をたのしむだけでなく危険への対処法など災害時にも役立つノウハウも満載されていてとてもためになります。

目 次
1章 野外を歩く
2章 野外で泊まる
3章 野外で火を起こす
4章 ナイフを使う
5章 野外で食べる
6章 野生の恵みを活用する
7章 ロープワークの基本を覚えよう
8章 とっさに身を守る
9章 野外の基本技を身につける

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類書の『楽しい自然ウォッチング』が自然観察に重点をおいているのに対して、本書は、野外活動やキャンプに重点をおいています。観察と行動は表裏一体の関係にありますので、両書をあわせて読んでみるとよいでしょう。 

なお、山で道に迷ったときにはどうするか。とくに引用しておきます。

特に下り道での道迷いに注意しよう
道に迷ったのでは?と感じたら地図とにらめっこして、必ず来た道を一旦戻ること。間違っても沢沿いに下ろうとしてはいけない。標高100m以下の低山でも必ず滝が出現して進退きわまってしまう。(28ページ)

道にまよったら元来た道をひきかえす。これが鉄則です。



▼ 引用文献
松本徳子企画・構成『はじめての野外活動 生きる知恵を身につける』
JTBパブリッシング、2012年3月15日
はじめての野外活動 (るるぶDO)

▼ 関連記事
身近なところから自然観察をはじめる -『楽しい自然ウォッチング』-
 

『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』は、最低限必要な旅のノウハウを習得したうえで、自分自身の旅のスタイルをつくりだし、それを発展させていくために役立つガイドブックです。普通のガイドブックにはでていなこともでているちょっと変わった本です。さまざまな旅の先人たちのコラムが多数掲載されていておもしろいです。

CONTENTS
1章 旅に出るために 事前準備編
2章 旅に出るために 飛行機・空港編
3章 旅と滞在の日々を過ごす 日常と旅立ち編
4章 世界が旅人を待っている 各地のトラベルホットスポット編
5章 トラブルは旅の明暗をわける 危機対処編
6章 上手な「帰国」は旅を宝物にする

現代の旅の特徴はそのスタイルのいちじるしい多様化です。一人旅・はじめて・女子旅・ツアー・カップル旅行・・・。

本書をとおして、これから旅にでたいとおもっている人は基本的なノウハウを習得し、またすでに何回もでかけている人は自分流の旅のスタイルを確立するようにするとよいでしょう。

現地を実際に見る、現場で事実をおさえる、一次情報をつかむことはやはり必要なことです。不思議におもったり発見したり感動したりすることは旅にでてこそできることです。インターネットや電子書籍で二次情報が簡単に手に入る時代になったからこそ、一次情報の重要性が増してきたといえるのではないでしょうか。旅行は一次情報をインプットするための重要な手段です。



▼ 引用文献
丸山ゴンザレス &世界トラベラー情報研究会編著『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』辰巳出版、2013年11月1日
旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ


中村元著『ブッダ入門』は、仏教の開創者であるゴータマ=ブッダの生涯と思想を解説したブッダ入門書です。神話的な聖者としてではなく、一人の人間としてブッダの姿を学術的にのべているのが特色です。春秋社が主催した連続講演会の記録をもとに執筆された解説書であり、ブッダをたたえる神話・伝説を記述したいわゆる仏伝ではありません。

目次
第一章 誕生
 一 はじめに
 二 家系と風土
 三 釈尊の誕生
第二章 若き日
 一 幼き日々
 二 若き日の苦悩
 三 結婚
 四 出家
第三章 求道とさとり
 一 釈尊とマガダ国王ビンビサーラ
 二 道を求めて
 三 真理をさとる
第四章 真理を説く
 一 説法の決意
 二 釈尊の説いたこと
 三 伝道の旅へ
第五章 最後の旅
 一 釈尊とヴァッジ族の七つの法
 二 終わりなき旅路
 三 最後の説法

著者が実際に現地を訪問したときの見聞をおりまぜながらかたっているのでとてもわかりやすく、読んでいると実際に行ってみたくなります。

ブッダはルンビニー(現ネパール領内)で誕生しました。「釈迦の誕生は紀元前463年、亡くなったのは紀元前383年」という説を著者は提出していますが、確定的なことはいえないそうです。29歳で出家して、その後ブッダガヤーの菩提樹の下で悟りをひらき、サールナートで説法をはじめ、故郷をめざしてあるいている途中のクシナーラーで入滅しました。

ブッダの生涯については、ルンビニー、ブッダガヤー(ボードガヤー)、サールナート、クシナーラー(クシナガラ)という聖地(場所)にむすびつけてとらえることができ、理解しやすくてありがたいです。特定の場所(地図上の位置)にむすびつけて情報を理解し記憶しておくと、あとでそれらの情報がつかいやすくなります。

またブッダが生きた時代の背景にも注目しておきたいとおもいます。

釈尊は、出家してから七日目に、当時最大の国であったマガダ国の首都、王舎城におもむいたといわれています。(中略)当時の都市は城郭で、城壁でとり囲まれていたので、王舎城というのです。この「城」を日本のお城の意味で解釈すると、ちょっと食い違います。むしろ都市ですね。(87ページ)

王舎城(注)の城壁の跡が今でも見られ、城壁の中全体が都市だったそうです。つまり当時の国家は基本的には都市であり、国の規模はまだ小規模であったのであり「都市国家」とよぶことができるでしょう。

のちに、王舎城のマガダ国はあちこちの都市を征服してインド統一にのりだしていくことになります。それにともない首都はパータリプトラ(現パトナ)にうつされます。そして前3世紀、マウリヤ朝アショーカ王の時にインド初の統一帝国がきずかれました。

つまりブッダが活動した時代は、いくつもの都市国家同士が戦争をはじめた非常にきびしく残酷な時代だったということができます。多くの都市国家が滅亡して領土国家(帝国)が建設されていった時代です。都市国家が崩壊して都市国家の時代がおわりつつあり、領土国家(帝国)の時代へとうつりかわっていく大きな歴史的転換期にブッダは生まれたとかんがえられます。

このようにブッダという一人の人間の一生を知ると同時に、ブッダが生きた時代の背景もあわせてとらえることが大切だとおもいます(図)。

150421 一生と時代的背景
図 人の一生と同時に時代的背景もとらえる



▼ 注
王舎城は、パーリ語で「ラージャガハ」、サンスクリット語で「ラージャグリアハ」といい、現在のインド・ビハール州・ラージギルです。周囲は連山でかこまれ、その中は平地で都市になっていて、連山に城壁をめぐらせて敵から都市を防御していました。Google Earth でみると連山が確認できます。当時のインドでもっとも文明がすすんでいた都市のひとつでした。

Google Earth <ラージギル(王舎城)>


▼ 引用文献
中村元著『ブッダ入門』春秋社、1991年9月10日
ブッダ入門

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時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -

3D ルンビニ - ブッダの生誕地 -
3D ネパール国立博物館(1)「仏教美術ギャラリー」



『世界遺産で見る仏教入門』は、世界遺産をたどりながら仏教伝来の足跡について知ることができる本です。地図と写真が豊富で仏教の旅ガイドとしてつかえます。どこを旅行しようかとかんがえながら見ると理解がとてもふかまります。

つぎの世界遺産について紹介しており、仏教関連の世界遺産はほとんど網羅しています。

第1章 原始仏教
 仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)
 インドの世界遺産 
 ・ブッダガヤの大菩提寺
 ・サーンチーの仏教建造物群
 ・アジャンター石窟群
 ・エローラ石窟群
 ・エレファンタ石窟群
 ・カジュラーホの建造物群
 パキスタンの世界遺産
 ・タフティ・バヒーの仏教遺跡群とサライ・バロールの近隣都市遺跡群
 ・タキシラ

第2章 南伝仏教
 タイの世界遺産
 ・古代都市スコタイと周辺の古代都市群
 ・古都アユタヤ
 スリランカの世界遺産
 ・古都シギリヤ
 ・聖地アヌラーダプラ
 ・ダンブッラの黄金寺院
 ・古都ポロンナルワ
 ・聖地キャンディ
 アンコール(カンボジア)
 ボロブドゥール寺院遺跡群(インドネシア)

第3章 北伝仏教
 バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン)
 中国の世界遺産
 ・莫高窟
 ・雲崗石窟
 ・龍門石窟
 ・峨眉山と楽山大仏
 ・大足石刻
 ネパールの世界遺産
 ・サガルマータ国立公園
 ・カトマンズの谷
 ラサのポタラ宮歴史地区(チベット)
 オルホン渓谷文化的景観(モンゴル)
 石窟庵と仏国寺(韓国)

第4章 日本の仏教
 古都奈良の文化財
 ・元興寺
 ・薬師寺
 ・唐招提寺
 ・興福寺
 古都京都の文化財
 ・比叡山延暦寺
 ・清水寺
 紀伊山地の霊場と参詣道

第5章 民衆の仏教
 平泉 ― 仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群
 古都京都の文化財
 ・西本願寺
 ・天龍寺
 ・龍安寺
 紀伊山地の霊場と参詣道
 富士山 ― 信仰の対象と芸術の源泉
 日光の社寺

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上記の世界遺産には仏教伝播の足跡がきざまれていますので、これらをたどれば仏教の伝播と仏教史の大局について理解することができます。それぞれの世界遺産の名称と位置を確認し記憶しておくとよいでしょう。仏教の伝播については地図上の矢印でわかりやすくしめされています。

仏教の原点は仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)です。ここを原点にしてアジアの地理的空間をとらえるとよいです。これから仏教の旅をはじめるのでしたらネパールのルンビニーにまず行き、そこから旅をスタートさせることをおすすめします。ルンビニーは、仏教に関する認識あるいは思考の出発点にしてもよいです。原点を決めておくと、あとで道にまようことがあっても原点にもどってかんがえなおす、あるいはやりなおせばよいということになります。


第1章ではネパール・インド・パキスタンの世界遺産を紹介しています。仏陀はルンビニーで生まれ、ブッダガヤで悟りをひらきました。最初の仏教は仏陀の教えでした。しかしその後、仏像の制作や石窟の開削がはじまりました。

東南アジアでは上座部仏教がおもに採用されました。上座部とは、戒律を厳格にまもることをとなえた保守派のことで、戒律の緩和をとなえた大衆部に対し、上座(長老層)が多かったことからその名がつけられました。

一方、中国では大乗仏教が採用されました。そしてその大乗仏教が中国から日本へつたえられました。


世界遺産は情報量が多くかつ情報が正確であり、またアクセスも一般には容易であるため旅の候補地にしやすいです。仏教の旅をするのでしたら本書をまずみて行き先を決め、つぎにその地域のくわしいガイドを見るようにするとよいでしょう。旅をしている自分を想像しながら見ていると認識はよりふかまってきておもしろいです。

なお本書は、東京国立博物館で開催されている特別展「インドの仏」とあわせてみると効果が倍増します。



▼ 引用文献
島田裕巳監修『世界遺産で見る仏教入門』世界文化社、2014年6月5日
世界遺産で見る仏教入門

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『楽しい自然ウォッチング』は、自然観察(自然ウォッチング)のためのガイドブック(入門書)です。写真が豊富で見ているだけでもたのしめます。身近な自然の見方から、次第にふかく自然に接する方向へすすむ構成になっています。

目次
第1章 街あるきで自然発見
第2章 命あふれる里山へ行こう
第3章 森の木を探検しよう
第4章 海遊び 川遊びを楽しもう
第5章 鳥たちに会いに行こう
第6章 畑で野菜をつくろう
第7章 気象と季節の歳時記


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街のなかにある自然からはじまり、周辺にある里山、もっととおくの森、さらに海や川、動物たちの観察、気象や季節の観察というようにすすんでいきます。巻末には自然観察ができる全国の森のリストがでています。

街のなかでは「マイツリー」を決めて定点観察をすることを提案しています。季節のうつりかわりがつかめます。また里山は、自然体験のためにとくにおすすめです。休日にでかけてみるとよいでしょう。

本書のすべてにとりくむ必要はありませんので、自分の興味がある分野をピックアップして、まずは自然に接して、自然に対する感性をみがくようにするとよいです。


情報処理の観点からみると自然観察とは目をつかって自然から情報をとりいれること、自分の意識のなかに自然の情報をインプットすることです(図1)。感性をみがくとはインプット能力を高めることです。これには理屈ではなく実践的なとりくみが必要です。身近なところから自然観察を是非はじめてみてください。

150417 自然観察
図1 自然観察とは自然から情報をインプットすること



▼ 引用文献 
松本徳子企画・構成『楽しい自然ウォッチング』JTBパブリッシング、2012年4月1日
楽しい自然ウォッチング (るるぶDO)

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世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」によせられクチコミ評価を独自に集計した旅行ランキング本の日本編です。実際に行ってよかった観光地やホテル・レストランなど様々なジャンルをランキング形式で紹介していて、旅の行き先やスタイルをきめるために役立ちます。また、ランキングというあたらしい視点から日本のよさを再発見することもできます。

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CONTENTS
特集 都道府県別代表観光スポット
1 外国人に人気の日本の観光スポット
2 人気の公園
3 無料観光スポット
4 人気のテーマパーク
5 人気のビーチ
6 日本の城
7 外国人に人気の日本のレストラン
8 朝食のおいしいホテル
9 100年以上の老舗宿
10 海辺のホテル&旅館

また Column としてつぎのランキングもでています。

外国人がクールと評価した日本の観光スポット 5
桜の名所 10
紅葉の名所 10
工場見学&社会科見学 5
動物園 10
水族館 10
ローカル線 5
展望スポット 10


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自分がかつておとずれた場所がランキングに入っているか入っていないか、入っていた場合の順位はどうかなどを見るだけでもおもしろいです。ランキングを意識することにより、ただ単に平面的に見ていたときよりも立体的によりふかく対象が見えてきます。

ランキングで観光地をとらえなおすというのは最近あらわれてきたあたらしい視点といえるでしょう。旅行や観光地に関する情報もあふれかえるようになって全体像や大局がつかみにくくなってきたために、ランキングを基軸にして情報を整理・紹介するトリップアドバイザーのようなポータルサイトが出現してきした。本書は「書籍版ポータル」といってもよいでしょう。

本書の利点は国内観光に関する大局がとりあえずつかめるところにあります。大局がつかめるとつぎの一歩がふみだしやすくなります。本書でランキングされた人気観光地に行ってみるのもよいですし、ランキングに入っていないあまり人が行かない所(秘境)をさがして行ってみるのもよいでしょう。


▼ 引用文献
『トリップアドバイザー 旅行なんでもランキング 日本編』昭文社、2014年12月1日 
トリップアドバイザー 旅行なんでもランキング 日本編 (国内 | 観光 旅行 ガイドブック)

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絶景に接し、絶景を心のなかにとりこむ 〜 詩歩著『死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編』〜


加藤芳樹著『アウトドアで役立つ185のコツ』は、山・川・海など野外をたのしむための準備やポイントを写真とイラストでわかりやすく解説しています。アウトドアライフの入門書としておすすめします。

目次
第一章 アウトドア装備のコツ
第二章 テント生活を楽しむコツ
第三章 食事タイムを楽しむコツ
第四章 フィールドを歩くコツ
第五章 楽しみを広げるコツ
第六章 トラブルを回避するコツ

第一章「アウトドア装備のコツ」ではウェアとシューズについて解説しています。とくにレインウェアについては必読です。

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第二章「テント生活を楽しむコツ」では、キャンプ、テント、寝袋、マット、明かりなどについて解説しています。とくにヘッドランプについては必読です。

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第三章「食事タイムを楽しむコツ」では、調理道具、飲料水、食材、火などについて解説しています。野外での食事は本当にたのしいものです。

第四章「フィールドを歩くコツ」では、ザック、パッキング、あるき方、天候予測、地図の読み方などについて解説しています。アウトドアの持ち物については必読です。

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第五章「楽しみを広げるコツ」では、花、紅葉、動物、釣り、海岸、写真撮影などについて解説しています。

第六章「トラブルを回避するコツ」では、危険な動植物、至芸線、雪・川・海の危険回避などについて解説しています。


アウトドアをたのしみたい場合、野外で何をするかをまずは決めて、それにあわせてウェアや道具をそろえることになります。そのために本書はとても参考になります。

ウェアや道具を買うのでしたらモンベル(実店舗あるいはネットショップ)がおすすめです(注1)。何でもそろいます。わたしはこれまでに、石井スポーツ、好日山荘、ニッピンなどをわたりあるきましたが、最後にモンベルに到達しました。価格はリーズナブルで、質は高く、接客もよいです。イベントや社会活動などもとてもすぐれています。


▼ 注1
モンベル(mont-bell)(公式サイト)
モンベル(mont-bell)(Amazon ネットショップ)
 

▼ 引用文献
加藤芳樹著『フィールドライフをもっと楽しむ! アウトドアで役立つ185のコツ』(コツがわかる本)メイツ出版、2009年7月15日
アウトドアで役立つ185のコツ (コツがわかる本!)


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