発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:旅行法

Googleマップの便利さは言うもでもなく、どこへでかけても自分がいる場所を知ることができ、地図を見ることができます。Googleマップは地図の世界に革命をおこしました。

今回おすすめするのは、Googleマップの機能のひとつである「マイマップ」です。これをつかえば、自分のための専用地図を簡単につくることができ、さまざまに活用することができます。


■「マイマップ」をつくる
手順は以下のとおりです。

1. Googleにログインし、地図をひらきます。
2. Googleマップの検索欄をクリックします。履歴の下に表示される「マイマップ」をクリックします。
 
140827 マイマップ1

3. 「マイマップ」の「作成」をクリックすると、「マイマップ」ウインドウがひらきます。
4. 左上の「無題の地図」をクリックすると、入力欄がひらくので、「地図タイトル」と「説明」を入力します。「説明」は入力しなくてもかまいません。
5. 「無題のレイヤ」をクリックして、レイヤ名を入力します。
6. 検索欄に地名や建物名などを入力、検索して、それを地図上に表示させます。 

140827 マイマップ2

7. 表示された緑色のポインタをクリックし、ポップアップの下の「地図に追加」をクリックします。これで「マイマップ」へ登録されます。

140827 マイマップ3

8. Googleマップを普通にひらいて、検索欄をクリックすると「マイマップ」のリストが表示されるようになります。
9. 以上をくりかえしていけば、自分専用の独自な地図がつくれます。

「マイマップ」への登録はひとつずつ手動でもできますが、Googleドライブやエクセルのスプレッドシートからインポートして、たくさんのデータを一気に登録することもできます。



■ 事前に登録しておく
旅行先でたずねたい場所を事前にまとめたり、自宅や職場付近の飲食店マップをつくったり、ちかくに行ったときについでに寄り道できるようにあらかじめ登録しておいたり、さまざまに活用できます。

さらに共有機能をつかえば、移動経路入りの地図をブログやウェブサイトにはりつけることもできます。



■ 体験想起で旅をたのしむ
「マイマップ」は出かける前につくるだけでなく、帰宅後につくって活用する方法もあります。

出かけていって印象にのこった場所を「マイマップ」に登録しておいて、おりにふれて「マイマップ」を見なおし、それぞれの地点での体験を瞬時に想起するようにします

たとえば、その場所の目印となったイメージをおもいだします。何か まなんだことがあればその要点をおもいだします。

「マイマップ」は記憶情報を想起するためのインデックスとして利用できます。「マイマップ」にしめされた何カ所もの地点での体験を短時間でザァーッと想起すると、「圧縮体験」とも言えるおもしろいイメージ体験ができます。

このようなことをくりかえしていると、心のなかの整理が短時間ですすみ、自分の内面の見通しがよくなります

あたらしい旅のたのしみ方ができるのでオススメの方法です。



■ 特定の場所にむすびつけて記憶し、想起する
さらに、何か重要な事柄を学習し記憶したいときには、まだ行ったことがない場所にそれに関する本を持って行って、そこでその本を読んで理解し記憶します。その本の情報は、はじめておとずれたその場所の体験記憶として印象的に強烈に記憶されます。

そして、その場所を「マイマップ」に登録します。「マイマップ」でその地点を想起するたびに、その本と本の内容を想起することができます。「マイマップ」は情報インデックスとして利用できます。これは旅行先でもおこなうことができます。

すべての本についてこのような作業をする必要はありませんが、専門的な重要事項を記憶するときなどには有効です。



■ そのときの体験(記憶)にアクセスする
このように、どこかへ出かけたら、体験のひとまとまりを意識してつくるようにし、その目印あるいはインデックスとして、その地点を「マイマップ」に登録しておきます「マイマップ」を見て、その体験(記憶)に瞬時にアクセスできる仕組みをつくっておくと便利であり、アイデア発想のためにも役立ちます。

外国旅行に行く場合、現地語をつかってコミュニケーションをすると世界が一気にひろがります。英語圏以外の国でも英語が通じることはありますが、何といっても現地語です。

このときに役立つのが『旅の指さし会話帳』(情報センター出版局)です。現在までに、世界60ヵ国以上と地域の言葉をラインナップしています。

本書のなかにでているイラストを指でさして相手にしめし、また、相手に本書のイラストをさして発音してもらってコミュニケーションをしながら言葉をおぼえていきます。こうしていると、イメージと言葉が確実にむすびついて記憶されるのでとても効果的です。

140815 イメージと言葉

この学習法がおもしろいのは、自分が現地語をまなぶだけでなく、現地の外国人に日本語をおしえることにもなることです。まなびなら おしえ、コミュニケーションをしながら記憶ができ、とてもたのしいです。まったく現地語ができない場合でも本書を現地にもって行ってやってみるとよいです。

わたしはネパール語でやってきましたが、どこの国の言葉でも効果があがるでしょう。旅の一冊としておすすめします。

H.I.S.著『世界の絶景さんぽ』は旅行ガイドつき絶景写真集です。大自然・秘境・世界遺産・映画やアニメの舞台など60箇所をうつくしい写真とともに紹介しています。

旅行は、あらたな情報を収集したり、自分の世界をひろげるためにとても役立ちます。

本書は、見開き1ページで完結する構成になっていて、左ページに写真、右ページには次の項目がでています。

 キャッチフレーズ
 絶景までの道のり
 行きたい季節
 旅の予算
 Travel Plan
 道草の楽しみ
 絶景ごはん&おやつ



IMG_1322

索引地図(インデックス・マップ)


IMG_1324

ロフォーテン島(ノルウェー):『アナと雪の女王』の王国のモデルと言われる


IMG_1326

グナファト(メキシコ):シャーベットのような色の世界遺産



1.本書を一気に見る
左ページの写真をじっくり味わいながら、本書の全ページを一気に見ます。

2.Travel Plan を見ながら想像する
「想像の中で自由に世界を飛び周り、散歩するような感覚でワクワクしてほしい」と 著者らはのべています。

そこで、右ページの「Travel Plan」を見ながら、旅行をしている自分とそのまわりの風景を自由に想像してみます。実際にどうであるかよりも、想像をたのしむことが大切です。こうして、世界の絶景とともに自分の未来を身近に感じます。

3.旅行に行く
本書は著者が H.I.S.なので、行きたいところがあったらこの本をもって H.I.S.に行き、まずは相談してみるとよいでしょう。そして、行き先を決めたら航空券やホテルを手配します。希望をのべれば必要なことはすぐに手配してくれます。あとは実際に旅をして感動を体験してください。

以上の過程は、情報処理(1. インプット→ 2. プロセシング→ 3. アウトプット)の実践でもあります。

本書の最後にでている H.I.S.トラベルワンダーランド新宿本社は、わたしも何回か利用したことがあり、専門スタッフも多く、待たされることもなくすぐに対応してくれます。



▼ 文献:H.I.S.著『世界の絶景さんぽ』二見書房、2014年7月31日
世界の絶景さんぽ

好評上映中の映画『ビヨンド・ザ・エッジ - 歴史を変えたエベレスト初登頂 -』(エベレスト初登頂60周年記念作品)を見ました。

▼ 映画『ビヨンド・ザ・エッジ - 歴史を変えたエベレスト初登頂 -』


1953年5月29日、エドモンド=ヒラリーとテンジン=ノルゲイ(イギリス隊)が、 標高8848メートル、世界最高峰エベレストの初登頂をなしとげました。 本作は、当時の記録映像と再現ドラマによって、彼らの姿を克明におった本格的山岳ドキュメンタリードラマです。

 
エドモンド=ヒラリーらがヒマラヤに足をふみいれる前に、エベレストを征服しようと15回もの真剣な試みがすでになされていましたが、それらすべてが失敗におわり、13人がエベレストの斜面で命をおとしていました。

イギリス隊は、1921年に偵察隊をおくって以来、過去6度にわたり登頂失敗をくりかえしてきました。

1949年、ネパール側ルートが開通、列強が参入しはじめます。

1952年、スイス隊が登頂直前という記録をのこしました。

1953年、イギリス隊が挑戦。この機会をのがせば数年間はエベレストにちかづくことはできないという状況でした。

本作のメッセージにもあるように、未知の領域に人類が足をふみいれることは、人類の歴史を変えることであり、あらたな歴史をつくることです。それはパイオニアワークであり、人びとに大きな感動をもたらします。パイオニアワークだからこそ名声や評価をこえた感動があるのです。

いいかえると、2回目以降はパイオニアワークではなく、2回目以降に、おなじエベレストにのぼっても、のぼった人の自己満足はあっても、歴史は変えられず、感動ももたらしません。ここに、パイオニアワークとその理解のむずかしさがあります。


当時、人類は、地球第一の極である北極、第二の極である南極はすでに踏破し、そして地球最後の「極」(エベレスト)をめざしているという状況でした。これは、地球探検の歴史をつくりだしていく過程でした。

本作は、イギリス隊の当時の様子をかなり正確に、そして3D映像としてよみがえらせていてとても感動的です。エベレスト初登頂に興味のある方にとっては必見の映画でしょう。


▼ 関連記事
探検がフィールドワークに発展する 〜今西錦司編『大興安嶺探検』〜
未知の領域への人類の旅をたどる ~ 樺山紘一編『世界の旅行記101』~
南極点をめざした「地上最大のレース」 - 本多勝一著『アムンセンとスコット』-


▼ 参考文献
本多勝一著『日本人の冒険と「創造的な登山」』(ヤマケイ文庫)
本書を読むと、初登頂とパイオニアワークの意味について理解できます。

心のなかを整理しようとおもったら、これまでに自分で撮影してきた数々の写真を活用するとよいです。具体的にはつぎの手順をふみます。

 1.写真を見なおす
 2.印象的な写真を厳選する
 3.フェイスブックなどにアップロードする
 4.写真を見なおし体験をとらえなおす


1.写真を見なおす(インプット)
これまでに自分で撮影した写真はたくさんあるとおもいます。これらを、あまり時間をかけずに一通り見なおします。


2.印象的な写真を厳選する(プロセシング)
写真のなかから、特に思い出にのこっている写真や特に印象的な写真を厳選します。あれもこれもというのではなくて特別重要な写真のみを選択することが大切です。


3.フェイスブックなどにアップロードする(アウトプット)
厳選した写真を、簡単な見出し(言葉)をつけてフェイスブックなどにアップロードします。フィルム写真の場合はスキャニング、デジタル化してアップロードします。なんでもかんでもアップロードするのではなく、印象的な思い出の写真のみをアウトプットするようにします。(注:フェイスブックは公開・非公開の設定ができます。)
 

4.写真を見なおし体験をとらえなおす
アウトプットした写真は折にふれて見なおし、写真を撮影したときの空間・出来事・体験などをしっかり想起します。

そのときの出来事に、空間的・時間的なひろがりをさらにくわえて印象を強化します。また、よい感情をこめてこの作業をおこない、感情の味つけをして思い出をさらにみがきます。記憶をチェックして未整理な点があれば整理しなおします。

こうして、たのしかった思い出を再利用していけば気分がよくなり、過去にさかのぼって心の内面を快適に整理することができます。


■ 写真をアイコンとして活用する
アップロードした写真は、それを撮影したときの空間や体験の標識(目印)であり、アイコンの役割をはたします。

140704 写真 体験

図1 写真は体験のアイコン(標識)である


 140704 アイコン 情報

図2 アイコンは情報の表面構造である



写真はアイコン(標識)であり、情報の本体は体験であり記憶です。アイコンは表面構造、体験や記憶は情報の本体です。情報は、記憶として心のなかに保持されています。

この作業は、コンピュータにたとえてみれば、ストレージ(記憶装置)にデータバンクを構築していくのと似ています。写真(アイコン)を見て記憶を想起することは、コンピュータでいうと情報の検索に相当します。

写真をアイコンとして活用すれば、体験の情報ファイルを心のなかに再構築することができます。これは、写真そのものを分類整理する作業ではなく、心のなかの整理です。よくできたファイルをつくり、 心の中にしっかりファイルしなおせば、心はととのい、情報の活用もできるようになります。


■ 体験を俯瞰し、未来を展望する
上記の手順1〜4をくりかえしていると、これまでの体験を一瞬で俯瞰し、過去の記憶を心の内面世界で一望できるようになり、自分の人生を風景のようにながめられるようになります

過去の意味を再発見できれば、未来に対するアイデアがでやすくなり、展望が生じてきます。


▼ 参考ブログ
ラベル法により心の中を整理する

場所に情報をむすびつけて記憶する方法は空間記憶法の一種であり、記憶法の基本中の基本です。

今回は、日本の世界遺産を例にして記憶法の基本を実践してみます。テキスト(参考書)としては、 世界遺産検定事務局『きほんを知る世界遺産44 - 世界遺産検定4級公式テキスト -』(注)をつかいます。 手順はつぎのとおりです。

 1.名称を見て、場所を想起する
 2.地図(場所)を見て、名称を想起する
 3.目を閉じて、場所と名称を同時に想起する
 4.地図(場所)を見て、目印写真を想起する
 5.地図(場所)を見て、キーワードを想起する
 6.同様にして、各場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していく


1.名称を見て、場所を想起する
以下のリスト(世界遺産の名称)を見て、それぞれの世界遺産の場所(日本地図上の位置)をおもいだします。日本地図は見ないでイメージします。それぞれの場所を正確に想起できるでしょうか。

 ア:知床
 イ:白神山地
 ウ:平泉 -仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-
 エ:日光の社寺
 オ:小笠原諸島
 カ:富士山 -信仰の対象と芸術の源泉-
 キ:白川郷・五箇山の合掌造り集落
 ク:古都京都の文化財
 ケ:古都奈良の文化財
 コ:法隆寺地域の仏教建造物群
 サ:紀伊山地の霊場と参詣道
 シ:姫路城
 ス:石見銀山遺跡とその文化的景観
 セ:広島平和記念碑(原爆ドーム)
 ソ:厳島神社 
 タ:屋久島
 チ:琉球王国のグスク及び関連遺跡群
 ツ:富岡製糸場と絹産業遺産群

おもいおこせなかった場所についてはテキストあるいはインターネットで場所を再確認します。


2.地図(場所)を見て、名称を想起する
下の地図を見て、それぞれの場所(ア〜ツ)の世界遺産の名称を正確におもいだします。今度は、リストは見ないで地図だけを見て名称(登録名)を正確に想起するのです。 特に、名称が長い世界遺産については注意します。

140704 日本の世界遺産_edited-1



3.目を閉じて、場所と名称を同時に想起する
目を閉じて(何も見ないで)、ア〜ツまで、場所と名称を同時に想起します。


4.地図(場所)を見て、目印写真を想起する
テキスト(注)には、各世界遺産の代表的な写真がのっています(見開きの左ページの大きな写真)。それらを記憶します。そして、地図を見ながら、ア〜ツまで順番に写真(イメージ)を想起します。これらの写真は、各世界遺産の目印写真となります。

IMG_1276

写真 目印写真の例「富士山」(左ページの写真)


5.地図(場所)を見て、キーワードを想起する
テキストには、各世界遺産について、下記のキーワードについて解説されています。これらを記憶します。

 ア:季節海氷域、食物連鎖、しれとこ100㎡運動
 イ:ブナ、クマゲラ、ニホンカモシカ
 ウ:藤原清衡、浄土思想、中尊寺
 エ:東照宮、寛永の大造替、神仏習合
 オ:陸産貝類、適応放散、外来種
 カ:富士山本宮浅間神社、登拝、富士講
 キ:豪雪地帯、養蚕、大家族制
 ク:桓武天皇、平安京、応仁の乱
 ケ:天平文化、聖武天皇、盧舎那仏
 コ:聖徳太子、世界最古の木造建築、飛鳥時代
 サ:神仏習合、文化的景観、熊野詣
 シ:池田輝政、真正性、昭和の大修理
 ス:灰吹法、間歩、文化的景観
 セ:原子爆弾、原爆ドーム、負の遺産
 ソ:弥山、平清盛、台風や高波などの被害
 タ:宮之浦岳、植物の垂直分布、屋久杉
 チ:按司、中城城跡、勝連城跡

地図(ア〜チ)を見て、これらのキーワードを想起します。


6.同様にして、地図上の場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していく
以下同様にして、 地図上の各場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していきます。記憶したら、地図を見なおして、ア〜ツについて順番に想起する練習をします。
 

以上の空間記憶法では、最初に、名称をみて場所を想起する(名称→場所)、場所を見て名称を想起する(場所→名称)が基本になります

そのあとは、場所を見て情報を想起できるように訓練をつんでいきます。ポイントは想起訓練にあります

地図は、情報の想起(検索)のためのインデックスとして利用できます

今回は、簡単な例をつかって説明しましたが、たとえば、世界の世界遺産などについて記憶する場合も、数は多くなりますが、同様な方法をもちいればよいわけです。


注:世界遺産検定事務局『きほんを知る世界遺産44 - 世界遺産検定4級公式テキスト -』世界遺産アカデミー、2014年4月8日

▼関連ブログ
日本地図にイメージをむすびつけて記憶する -日本列島記憶法- 

アメリカ西海岸を旅しながら旅行英会話を習得するDVDです。

情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からは次のような練習をするとよいです。

1.DVDを視聴する
目と耳をしっかりはたらかせて、映像と音声を心の中にきちんとインプットします。

2.映像(イメージ)を想起する
映像を消して、音声だけを聞いて、映像(イメージ)を連続的におもいだします。アイマスクをするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。

3.音声を想起する
今度は、音声を消して、映像だけを見て、音声をおもいだします。耳栓をするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。さらに、重要な英単語やフレーズをノートに書きだしてみます(アウトプットしてみます)。

1にもどり再確認し、不確実なところは再度インプットします。必要に応じて〔1→2→3〕をくりかえします。

外国語の習得のためには、普通の視聴をただくりかえしているだけでは効果があがりません。ポイントは想起訓練にあります。

想起をくりかえすことで記憶は強化されます。同時に、想起することの楽しさや快感を味わうこともできます。きちんとインプットができるようになれば想起もより快適になります。
 

■ 海外旅行への応用
このようなDVDをつかった練習は、実際に、アメリカ旅行をするときにも役立ちます。

1.インプット
アメリカ旅行をしながら周囲をしっかり見て、映像(イメージ)と音声、その他の感覚を心のなかにインプットします。

2.イメージを想起
ホテル(あるいは自宅)にもどったら、目を閉じて、現地で見たこと(イメージ)をなるべく連続的に想起します。

3.音声を想起
次に、印象的なイメージを想起しながら、英語の音声を想起します。必要に応じて、重要な英単語やフレーズをノートに書きだしておきます(アウトプットしておきます)。

結局、DVDも海外旅行も、見聞きして、記憶して、想起する、ということです。 旅行の連続的な体験を連続的に想起すること、旅行のたのしさや快感とともに想起することがとても大切です。うつくしい風景や印象的な場面を想起することはそれ自体が気持ちよいことであり、また、心の情報処理を快適なものにします。

旅行は、現地にいるときだけがたのしいのではなく、むしろ、かえってきてから本当の味わいがふかまってくるものです。同時に、このような想起の過程を通して外国語も体験とともに身についてきます。

重要な英単語やフレーズをノートに書きだしておけば、それは体験のラベル(標識)になり、現地での体験を統合する役割をはたすと同時に、体験を想起するためのインデックスになります。ノートに記録された英単語を見なおすことにより、その場の体験をイメージとしておもいおこすことができわけです。言葉は想起の道具にもなるのです。

このように、DVDをつかった練習は海外旅行にそのまま応用することができ、外国語の訓練は情報処理を通じて海外旅行の味わいと体験を深化させることになります。


DVD:『トラベラーズ・イングリッシュ 3 アメリカ西海岸編』エキスプレス、2008年03月28

注:記憶法は、狭義では、情報の「記銘→保持→想起」をさしますが、広義では、「インプット → 記銘・保持・想起 → アウトプット」の全体をさします。


▼関連ブログ
 DVDをつかって、イメージとともに英語をおぼえる

世界遺産の基本をまなぶためのテキストです。

日本の世界遺産が17件、似たような特徴をもつ世界の遺産17件、代表的な世界の遺産10件の合計44件をわかりやすく解説しています。

記憶法の観点、特に、情報をファイルするという観点から見て本書はとても参考になりますのでここに紹介します。

本書の12ページには、日本の世界遺産17件の検索地図がでています。

IMG_1272

写真1 日本の世界遺産の検索地図


検索地図には、それぞれの世界遺産の場所とともに、目印となる写真と遺産の名称がしめされています。 

IMG_1274

写真2 目印写真&遺産名がしめされている


そして、それぞれの〔目印写真&遺産名〕の下にしめされているページにとぶと、それぞれの遺産のくわしい解説を見ることができます。

IMG_1269

写真3 解説ページの例


上記の検索地図上の〔目印写真&遺産名〕は、コンピュータ・ファイルにおける〔アイコン&ファイル名〕に似ています。ここにひとつのアナロジー(類似性)を見ることができます。

140623a

図1 コンピュータ・ファイルの構造

コンピュータ・ファイルは、それぞれの情報(データ)に対して一つのアイコンとファイル名がつけられフォルダにファイルされます。〔アイコン&ファイル名〕は情報の表面構造(上部構造)であり、その下に情報の本体が下部構造として存在します。〔アイコン&ファイル名〕は情報のラベル(標識)の役割をになっており、わたしたちは、アイコンあるいはファイル名をダブルクリックすることにより情報の本体を見ることができます

これと似ていて、本書の検索地図上の〔目印写真&遺産名〕は〔アイコン&ファイル名〕(ラベル)の役割をはたし、指定されたページへとぶと、その世界遺産の解説、つまり情報の本体を見ることができます。ユーザーは、アイコンをダブルクリックするようにして解説ページをひらくことができるわけです。


 ■ 記憶法を実践する
記憶法の訓練としては次のようにします。

1.インプットする
本書をじっくり見て、各ページを心のなかにインプットします。

2.解説ページをイメージとして想起する
検索地図上の〔目印写真&遺産名〕を順番に見て、各遺産の解説ページを、イメージ(画像)としておもいだす訓練をします。 まず、各ページのレイアウト(構造)をおもいだし、つぎに、レイアウトのなかで、どのような情報(要素)がどこに配置されていたかをおもいだすようにします。

3.再確認する
よくおもいだせなかったところはページをひらいて再確認します。

ここでは想起訓練が大事です。〔目印写真&遺産名〕をみて、その中身(解説ページ)を想起することは情報の本体をよびおこすことであり、コンピュータでいうと、アイコンをダブルクリックして情報をひらくことに相当します。ダブルクリックでファイルがひらけるように、迅速に情報が想起できるように練習します。

このとき、心のなかに適切に情報がファイルされていれば想起もしやすいです。一方で、こような訓練をくりかえすことにより、さまざまな情報を心のなかによりよくファイルできるようになります。


■ 旅行ファイルをつくる - 応用例 -
たとえば旅行にでかけたら、見たり聞いたりした体験のひとまとまりごとに、印象的な1枚の目印写真を用意します。そして、それぞれの写真に見出し(言葉)をつけてフェイスブックにアップロードします。

この〔写真&見出し〕は〔アイコン&ファイル名〕の役割をはたすことになります。そして、〔写真&見出し〕を折にふれて見なおしながら、その下部構造である旅行体験を想起します。

140623b

図2 旅行の体験ファイルの構造(写真&見出しのみがフェイスブックにあわわれる)
 
重要なことは、おもいつきでやみくもに写真をアップロードするのではなく、 体験のひとかたまりを意識してつくることです。体験のひとかたまりを心のなかにしっかりファイルするようにします。そのためには、元来は連続していた旅行体験を、要所要所で区切って、よくできた情報のユニットをつくることがもとめられます。

旅行体験をファイルしていくことは、大きな旅行ファイルを心のなかにつくることになり、このようにしておけばそのファイルはのちのち活用しやすくなります。

このようなファイリングの行為に世界遺産の知識もくわえていけば、旅行はいままで以上にたのしい体験になるでしょう。
 

文献:世界遺産検定事務局『きほんを知る世界遺産44 - 世界遺産検定4級公式テキスト -』世界遺産アカデミー、2014年4月8日

ポーラ美術館のコレクションのなかから、19-20世紀のフランスの風景画を特集して、北部から南部までのフランス各地にわけて紹介、モネと印象派の画家たちの旅20世紀の画家たちの旅、さらに想像の世界の旅に案内してくれる風景画集です。

2007年9月〜2008年3月にポーラ美術館で開催された展覧会の図録を書籍として出版したものです。

画家たちが実際に旅し、えがいた場所によって風景画を分類していて、えがいた場所や土地とのむすびつき、その土地がはたした役割に焦点をあてています。

目次は以下の通りです。

I. パリ近郊 -近代風景画の揺籃
II. パリを離れて -自然との対話
III. 南へ - 光、色彩、エキゾティシズム
IV. 想像の旅

本書は、それぞれの風景画とともにフランスの地図を掲載していて、その風景の場所を地図上で特定できるところに特色があります

フランスに行ったことがある人は旅の記憶を想起しながらたのしむことができ、これから行く人にとってはフランス風景ガイドになるでしょう。

1ページが単位になり、画家・題・地図・解説文・写真・風景画がセットになっていてレイアウト的にもとてもわかりやすい構成になっており、旅をしながら風景を見るように、ページをめくってたのしむことができます。

IMG_1246


情報処理の観点からいうと、風景を見るようにページをめくることは速読法に通じます

地図上の特定の場所にむすびつけてイメージをとらえることは空間記憶法に通じます

風景をえがいたり、想像したりすることは心象法そのものです

いうまでもなく画家がえがいた風景画は、外界の風景をそのままうつしとったものではなく、心のなかに外界を一旦とりいれて(インプットして)、それを編集・加工(プロセシング)、その結果を絵画としてアウトプットしたものです。風景画とは、画家の心のなかを通りぬけてきたものであり、それは画家の情報処理の結果です。情報処理の観点からみるとこれは心象法にあたり、 画家はいわば「心象法のプロ」です。

このように本書は、旅によって、速読法や記憶法や心象法などに総合的にとりくめることをおしえてくれます

わたしたちが実際に旅をしたときも、風景を見て、写真をとったりスケッチをしたり、また、印象的な風景を記憶して心のなかにとりこんだり、あるいは自由に想像の世界をふくらませたりして、内面世界を構築していけばよいのです。本書を味わい参考にして、あるいは実際の旅をして、心の世界をさらにゆたかにしていきたいものです。


本書は写真集であり、北海道から沖縄までの日本各地の名勝・名所67ヵ所を、普段見ることができない空からの映像で紹介しています。サブタイトルは「雲に乗った気分で見てみよう」です。

山・川・海・橋・ダム・タワー・城など、 ページをめくるたびに雲にのったような気分になってたのしむことができます。

見ているだけでもたのしいですが、ここではさらに一歩ふみこんで、記憶法の教材としての本書のつかい方を紹介します。次の通りです。

 1. 最後まで本書を一気に見ます。
 2. 掲載地インデックス(140-141ページ)を見ながら、各イメージを順番に想起します。
 3. 再度、本書を見て確認します。

1. まず、本書を、あまり時間をかけずに最初から最後まで一気に見て、 写真(イメージ)を心のなかによくインプットします。 それぞれの写真についている見出し・説明・地図もよく見ます。

2. 140-141ページに、掲載地インデックスとして日本地図と掲載リストがのっています(下の写真)。今度は、このインデクスだけを見て(本書中の写真は見ないで)、それぞれの写真(イメージ)を 01番から順番におもいだします。どこまで正確に想起できるでしょうか。
 
IMG_1158


3. 再度、本書をよく見て、写真(イメージ)を順番に確認していきます。おもいだせなかったイメージはどれだったでしょうか。よくおもいだせなかったイメージについては、再度、写真を見て綿密にインプットしなおすようにします


このような訓練をしていると、日本列島の特定の場所(位置)に、67のイメージをむすびつけて記憶することができます。日本地図は、記憶想起(情報検索)のためのインデックス・チャートとしてつかえるようになります。

イメージが記憶できたら(想起できるようになったら)、本書のなかのそれぞれの説明(言語情報)もイメージにあわせて記憶します。イメージを想起することによって、その説明がおもいだせるようにします。

地図上の場所(位置)を見てイメージが想起でき、地名を見てイメージが想起でき、イメージをみて地図上の位置や地名や説明が想起できるようになるのが理想です。

このやり方は、日本地図(日本列島)を記憶のベースにして、その上で、場所と地名とイメージとその説明をむすびつけ統合・定着させていることになります。

この方法を実践していれば、国内ニュースを見たり国内を旅行したときに、さらに、あたらしい情報をむすびつけ記憶することも簡単になります。

従来のいわゆる地理学も、このような記憶法の観点からとらえなおすととても有用になります。

従来の勉強法ですと、大学ノートなどを用意して、それぞれの地域ごとに要点を箇条書きにまとめて記憶しようとしていました。

しかし、今回紹介した方法は、日本地図(日本列島)そのものをいわば記憶の「ノート」として活用するやり方です。日本列島は膨大な情報をたくわえることができ、また日本地図は、記憶想起(情報検索)システムとして成長していきます。

ポイントは、それぞれの地点について、目印となる写真を1枚ずつ用意するということです

本書にのってない場所で、 すでに行ったことがある場所 、興味のある地点についても、 本書を参考にして情報を整理・記憶していけばよいでしょう。


文献:斉藤香編集『日本縦断 空の旅』パイインターナショナル、2014年2月22日

◆楽天市場ブックス
【楽天ブックスなら送料無料】トラベラーズイングリッシュ4 オーストラリア編 [ 林美貴子 ]

オーストラリアのシドニーからメルボルンそしてエアーズロックまで、観光名所をめぐりながら日常英会話を紹介していくDVDです。シリーズ「トラベラーズイングリッシュ」の第4弾「オーストラリア編」です。

DVDをつかって外国語をおぼえるためには次の方法をつかうと効果的です。

 1. DVDを普通に視聴します。
 2. 画面を消して、音声だけを聞いて、映像を想起します。
 3. 音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。

1.DVDを視聴
まず、DVDを普通に視聴します。映像と音声を、心のなかにしっかりインプットすることを意識します。

2.映像を想起
次に、画面を消して、目をとじて音声だけを聞きながら今みた映像を想起します。どこまで正確におもいだしてイメージをえがくことができるでしょうか。やってみてください。

3.音声を想起
今度は逆に、音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。どこまでおもいだせるでしょうか。英会話だけではなく、風の音や物音、料理の音など周囲の音もおもいだすようにします。

第2段階をへてこの第3段階であらためて映像を見なおすと、おもっていた以上にあざやかに鮮明に映像が見えてきます。新鮮な感覚体験がえられ、これだけでも意味があります。

上記の方法のポイントは想起の訓練にあります。

くりかえし普通にDVDを視聴して、おぼえよう、おぼえようとするよりも、想起をする練習をした方が記憶は定着します。想起できるようになるということは、情報が記銘でき心のなかで保持されるということです。

情報処理の観点からいうと、想起は、そのままアウトプットにつながってきます。おぼえようとしてウンウンとうなっているだけだと、インプットばかりやっていて、プロセシングとアウトプットの訓練をおこなっていないことになります。記憶は、心の中にインプットされた情報を想起し、アウトプットをだすためにすることです。

上記の方法をつかって、イメージを見て言語をおもいだし、言語を聞いてイメージをおもいだす訓練をしていると、イメージと言語とはむすびつき、両者を統合して活用できるようになってきます。

そもそもイメージは、言語情報をふくめたくさんの情報をたくわえることができます。

このDVDは、英会話をおぼえることを目的にしていますが、このような教材を参考にして、どの分野でも、DVDをつかえば記憶と想起の訓練が比較的短時間でたのしく手軽にできることを知るべきでしょう。

興味ぶかいDVDを視聴したら、すぐに想起する練習をするとよいです。DVDなどの視聴覚機器が発達したお陰で、記憶や学習はずいぶんたのしく手軽にできるようになりました。


DVD:「トラベラーズ・イングリッシュ 4 オーストラリア編 」( 英語で旅する)(TRAVELERS ENGLISH 4 Australia)

グーグルが無料で提供するサービスのひとつ“Google Earth”画像を通して、自然を見る目、地球を見る目をやしなうための事例集です。

書名は『地球の歴史』となっていますが、地学の専門書でななく、一般向けのわかりやすい本です。Google Earth でとらえたそれぞれの画像に対してていねいな説明文がついていて、Google Earth 画像を見ながら理解をふかめられます。内容は次のとおりです。

1 自然をみる
2 災害をみる
3 地球史をみる

ドイツの町・ネルトリンゲンのクレーターやエジプト王家の谷も掲載されていて興味深いです。

このような「鳥瞰映像」を手に入れるためには、以前は、高い山に行くとか飛行機から見たりすることにかぎられていましたが、Google Earth が開発されたことによって「鳥瞰映像」が簡単に手に入るようになりました。 Google Earth をつかえば上空から擬似的に地球をながめられ、空中散歩が自由にできます

たとえば、書物を読んだり見たりしたとき、その場所を、Google Earth をつかって鳥瞰的にも確認すれば、理解がふかまるだけでなく記憶も鮮明に綿密になります。アイデアもでやすくなるでしょう。

かつて旅行などをして実体験をした場所についても、Google Earth によってより大きな視点から見なおし、とらえなおすことにより、体験をさらにふかめる効果が生じます。鳥瞰映像と実体験とをくみあわせることにより、中身のある全体像を構築することができるのです。

このようにして、Google Earth をくりかえしながめて、全体像を心のなかにいれていく作業をつづけていけば、やがて、地球全体が心のなかに入ってきます。

本書の事例を参考にして、Google Earth を折にふれてつかいこんでいくのがよいでしょう。


文献: 後藤 和久著『Google Earth でみる地球の歴史』(岩波科学ライブラリー149)岩波書店、2008年10月7日

◆楽天市場 
【中古】 Google Earthでみる地球の歴史 岩波科学ライブラリー/後藤和久【著】 【中古】afb

本書は、国立民族学博物館初代館長・梅棹忠夫が撮影した写真(一部スケッチ)と、彼が書いた文章とをくみあわせてフィールドワークのすすめかたの要点をつかむための事例集です。

本書を見れば、梅棹忠夫がのこした写真と言葉から、世界を知的にとらえるためのヒントを得ることができます。

本書は次の8章からなっています。

第1章 スケッチの時代
第2章 1955年 京都大学カラコラム・ヒンズークシ学術探検隊
第3章 1957-58年 大阪市立大学第一次東南アジア学術調査隊、1961-62年第二次大阪市立大学第二次東南アジア学術調査隊
第4章 日本探検
第5章 1963-64年 京都大学アフリカ学術調査隊、1968年 京都大学 大サハラ学術探検隊
第6章 ヨーロッパ
第7章 中国とモンゴル
第8章 山をみる旅

梅棹忠夫は、「あるきながら、かんがえる」を実践したフィールドワーカーであり、彼が、世界をどのように見、どのような調査をしていたのか、それを視覚的・言語的に知ることができます。

本書の特色は、写真と文章とがそれぞれ1セットになっていて、イメージと言語とを統合させながら理解をすすめることができる点にあります。知性は、イメージ能力と言語能力の二本立てで健全にはたらきます

イメージ能力をつかわずに言語能力だけで情報処理をすすめていると効果があがりません。学校教育では言語能力を主としてもちいてきましたが、これはかなりかたよった方法であり、すべてを言語を通して処理しようとしていると、大量の情報が入ってきたときにすぐに頭がつまってしまいます。

そこでイメージ能力をきたえることにより、たくさんの情報がインプットでき情報処理がすすみます。そのような意味で、写真撮影はイメージ能力を高め、視覚空間をつかった情報処理能力を活性化させるために有効です

写真は、言語よりもはるかにたくさんの情報をたくわえることができます。たとえば写真を一分間見て、目を閉じて見たものをおもいだしてみてください。実にたくさんの情報を想起することができます。あとからでも写真をみてあらたな発見をすることもあります。

こうして、写真と言語の両方で記録をとっていると、イメージ能力と言語能力とを統合することで相乗効果が生じ、視覚空間と言語空間は融合していきます

現代では、ブログやフェイスブックやツイッターなどをつかって、写真と言語とをくみあわせてアウトプットすることが簡単にできます。旅行やフィールドワークに行って、ブログやフェイスブックなどにそのときの様子をアップするときには上記のことをつよく意識して、梅棹流の形式で表現してゆけばよいでしょう。


文献:梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』勉誠出版、2011年5月31日

本書は、次元について、イラストをつかってくわしく解説しています。本書を見ることで次元に関する理解をふかめることができます。

ポイントをピックアップします。

次元とは、1点の位置を決めるために必要な数値の個数であると定義できる。

0次元:大きさをもたない「点」の中では、位置を決めようがないので、「点」は0次元である。

1次元:「直線」は、基準となる点を決めておき、そこからの距離に相当する1個の数をあたえれば1点の位置がきまるので、1次元である。曲線でも同じことがいえるので曲線も1次元である。

2次元:「面」は2次元である。縦と横の目盛りを指定する数値(たとえばX=4,Y=3)をあたえれば1点の位置が決まる。

3次元:私たちの暮らす空間は、基準となる点から縦,横,高さの方向の三つの数値で位置を決めることができることから、3次元であるといえる。

次元の数は、点が動くことができる軸の数(自由度)とも一致する。1次元では一つ、2次元では縦,横の二つの軸がある。3次元では縦,横,高さの三つの軸がある。

1次元には「かたち」はないが、2次元では「かたち」が登場する3次元では、2次元にはない「立体」が登場する

ある次元の数をもつ空間は、それよりも低次元の空間を内部に含むことができる。

低い次元で不可能なことでも高い次元なら可能である
。 

私たちがものを見るとき、眼球の奥にある「網膜」は、外界からの光を受けとる「2次元」のスクリーンである。そのため、そのスクリーンには物体の像が並行的に映し出される。左右の眼球ははなれた位置にあるため、各スクリーンに映しだされる2次元像は同じにはならない。脳は、左右の網膜に写る像の「ずれ」をもとにして奥行き情報を補っている。私たちが見る3次元像とは、こうして脳内で再構成された「間接的な3次元像」にすぎないのである

アインシュタインにより提唱された「特殊相対性理論」により、3次元空間と1次元の時間はつねに一体となって変化することから、空間(3次元)と時間(1次元)をあわせたものが「4次元時空」とよばれるようになった。

アインシュタインは、「一般相対性理論」により、重力の正体が「4次元時空の曲がり」であることを示した。

物理学者たちは、現実の世界が4次元(以上の)空間であるかどうかについて、何らかの実験結果が今後数年のうちに得られるだろうと期待している。

「超ひも理論」では、宇宙は10次元時空であるとする。

私たちが住む3次元空間は、9次元空間に浮かぶ1枚のブレーン(膜)にすぎないと考えるのが「ブレーンワールド」仮説である。


このように本書は、0次元の世界から高次元宇宙まで、次元の不思議な世界を解説しています。

情報処理の観点からは「4次元時空」をフルにつかうことが重要です

たとえば、文章を前から後ろへ順番に(時間をつかって)音読・黙読するのは1次元的です。1次元だと直列的にしか情報を処理できず、大量情報を一気にインプットしようとすると脳はつまってしまいます。

そこで、視覚領域を活用して次元を2次元に高めると、情報の並列処理が可能になり、情報処理の効率は高まります。たとえば、近年のコンピュータは複数のプロセッサを並列させて情報処理をすすめていることからも、並列処理の有効性がわかります。

さらに、次元を3次元に高めれば情報処理の効率はもっと高まり、とりあつかえる情報量は圧倒的に増え、大量の情報が処理できるようになります。ここでは、わたしたちがすんでいる3次元空間をうまくつかうことがポイントになってきます。何かを記憶するときも、 イメージをえがくときも3次元空間の中でおこなった方がよいのです。

そして、3次元空間に1次元の時間をくわえて「4次元時空」にすればもっとよいわけです。 「4次元時空の中の1点は、場所と日時を指定すれば決めることができます。わたしたちは「4次元時空」のなかの1点に存在して暮らしてるのであり、わたしたちの人生は「4次元時空」における軌跡にほかなりません。したがって、「4次元時空」をフルにつかいきることは情報処理の観点からも生き方の観点からも自然な方法です。

たとえば、毎日、おなじルートを通勤しているだけで、ただ時間だけがながれていくといった生活は1次元的な生き方です。時間だけしかつかわないと1次元的な人生になってしまい、情報処理の効率も効果もいちじるしく低い状態にとどまり、とりあつかえる情報も非常にかぎられてしまいます。

そのような人はとにかく旅行にでかけることです。これだけですぐに1次元を打破でき、「4次元時空」の存在になれます

このように、次元を高めて「4次元時空」のひろがりとして人生を実践すれば、とりあつかえる情報量は格段に増え、ゆったりとした大きな世界のなかで余裕をもって情報処理ができ、ゆたかな情報とともに生きていくことが可能になります

なお、もし、5次元以上をとりあつかえるとすれば、情報処理の性能はさらにあがることになります。もしかしたら潜在意識は、もっと高い次元ではたらいているのかもしれないとかんがえるととても興味深いですが、現時点ではこれ以上の議論はできません。


文献:『次元とは何か 0次元の世界から高次元宇宙まで』(改訂版)(Newton別冊)、ニュートンプレス、2012年5月15日

  
沖縄美ら海水族館(ちゅらうみすいぞくかん)は、4階からはじまり、3階の水族館入口から入館して2階、1階へと、浅海から深海へともぐっていくような構造になっています。各フロアには、沖縄の海を象徴する下記のテーマがもうけてあり、あるきながら海の素晴らしさと大切さを体験することができます。


IMG_0979
沖縄美ら海水族館(巨大水槽のなかをジンベイザメがおよぐ)


 4階:大海への誘い
 3階:サンゴ礁への旅
 2階:黒潮への旅
 1階:深海への旅


こうして この水族館では、海の垂直構造のなかでの海洋生物の棲み分けをじっくりみることができます。

このように、それぞれの海洋生物を、水族館の垂直構造の中に位置づけてみることは、空間のなかのそれぞれの場所に各生物あるいは各情報(各要素)を位置づけて理解し記憶することになります。このような空間を活用する方法は、ものごとの理解と記憶を容易にし促進させます。

美ら海水族館のようなすぐれた構造的な水族館をたのしみながら大いに利用したいものです。

【送料無料】水族館?An Aquariu...

【送料無料】水族館?An Aquariu...
価格:2,966円(税5%込、送料込)

楽天ブックス 



フィールドワークでは、現地あるいは現場の観察が必須であり、そのためには観察力を常日頃から強化しておくことが重要です。

観察とは、言語(書籍)からではなく、視覚情報を環境から吸収することであり、イメージで外界をとらえることです。つまり、言語を通さないで風景などをダイレクトに感じとり、言語をもちいないで映像としてその場をとらえることです。

そのためには視覚をするどくするとともに、イメージ訓練をするのがよいです。たとえば旅先で風景をみたら、目をつぶってそれを思い出す(想起する)訓練をします。時間があれば、風景をみないで思い出しながらその風景をノートにスケッチしてみます。風景を見ながらスケッチする(うつしとる)のではありません。あくまでも想起するところに訓練の基本があります。どこまで正確に想起してイメージをえがけるでしょうか。

このようなイメージ訓練をしながら、風景を構成する地形や川・建物さらに人に意識をくばるようにします。

このような観察はフィールドワークの入口として機能し、観察がよくできるとその後のフィールドワークを大きく展開させることができます。そして、環境や地域をよりよく知ることにつながってきます。

フィールドワークや旅行をするときに、Googleマップと Google Earth はとても役にたちます。

まず、フィールドワークや旅行にいく前に、Googleマップと Google Earth をつかって こらからいく場所のパノラマ的なイメージをえて、その場の全体を心の中にすっぽりいれてしまいます。これは、部分をつみあげて全体をつかもうとするのとはまったくちがい、全体を一気に見てしまう行為です。

そのうえで現地にいき、こんどは地上からそれぞれの場所の細部を詳細にみます。

そして帰宅後、もう一度 Googleマップと Google Earth を見直せば、前回以上に全体がよく見えてきます。さらに、よい発想がうまれたり本質が見えてくるかもしれません。

このような簡単な行為をくりかえしているだけでも、心の中に地図の記憶が生じ、心のあらたな空間を確立することができます。
スポンサーリンク

↑このページのトップヘ