発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:宇宙

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写真1 第3展示室「新しい生命観 - 宇宙人はいるのか?」
パトリシア=ピッチニーニ《ザ・ルーキー》2015年
(平行法で立体視ができます)
「宇宙と芸術」展は宇宙をイメージするよい機会です。時間・空間・暦・フラクタルをキーにしてイメージするとおもしろいです。

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大観するときには、大きく広く短時間で見るようにします。空間的・構造的にまずとらえて、つぎに時間的な流れも想像するとわかりやすいです。

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宇宙の大規模構造をみることは大観の究極です。
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アポロ計画は人類史の "分水嶺" となり、わたしたち人間はこれをこえて ”地球人" になりました。宇宙にうかぶ地球を宇宙から見て、地球の一体性を認識することができました。


岡本典明(原稿・構成)『アポロ月面着陸 ダイジェスト写真集』(ブックブライト)(注1)は、米国 NASA が中心になってすすめたアポロ計画のダイジェスト写真集です。アポロ 11号、12号、14号、15号、16号、17号関連のとても鮮明な写真が掲載されています。
      
アポロ計画は、NASA が中心となってすすめた月探査計画であり、1969年7月20日にアポロ11号で人類最初の有人月面着陸ならびに探査に成功し、1972年のアポロ17号で終了しました。


アポロ11号は、1969年7月16日に、サターン V ロケットでうちあげられました。乗組員は次の3飛行士でした。
  • 船長:ニール=アームストロング
  • 司令船パイロット:マイケル=コリンズ
  • 月着陸船パイロット:エドウィン=オルドリン

7月20日午後4時17分(アメリカ東部夏時間)に、月着陸船「イーグル」が月の「静かの海」へ着陸しました。そして午後10時56分、アームストロング飛行士が人類ではじめて月面におりたちました。午後11時16分にはオルドリン飛行士もおりたちました。

2人は、およそ2時間半にわたって船外活動をおこないました。

3人の飛行士は、7月24日午後0時50分に地球へ帰還しました。飛行時間はのべ8日3時間18分でした。


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その後のアポロ計画では次の日にちに月面に着陸しました(注)。
  • 12号 1969年11月19日
  • 14号 1971年02月05日
  • 15号 1971年07月30日
  • 16号 1972年04月20日
  • 17号 1972年12月11日




本書には、アポロ計画で撮影された貴重な写真が何枚も掲載されています。それらのなかでわたしは、宇宙あるいは月からみた地球がうつっている写真にとくに注目しました。

宇宙から撮影した地球は、地球が、宇宙にうかぶ天体のひとつにすぎないことをわたしたち人間におしえてくれます。アポロ計画によって、わたしたち人間は、宇宙から(地球の外から)地球をながめるという体験をすることができました。歴史上はじめてすべての人々がこの体験を共有し、地球の一体性を理屈ではなくて直観的に理解しました

宇宙にうかんでいる小さな天体を見ると、人間をふくむ地球はひとつの運命共同体であることは誰の目にもあきらかであり、「宇宙船地球号」は現実のものとして意識されます。

アポロ計画以前は、人間は、村人か市民か国民か民族の一部でしかありませんでした。地球や人類といった概念をもっていた賢者や科学者はいましたが、彼らの概念は抽象的なものでしかありませんでした。

しかしアポロ計画以後、地球は、抽象的な概念ではなく具体的な存在になりました。地球は概念ではなく具体化されたのです。地球が具体的にイメージできるようになり、同時に人間は "地球人" になりました




このような地球の一体性を認識する意識改革がアポロ計画を通して人間におこったとかんがえてよいでしょう。これは歴史上もっとも大きな意識改革といってもよいかもしれません。アポロ計画は人類史の "分水嶺" となりました

地球の一体性を認識する意識改革がすすむと地域的な紛争などバカバカしくなってきます。宇宙から撮影した地球の写真は世界平和のために世界中に普及されるべきであり、意識改革はさらにすすめられなければなりません。わたしたち人間はこれからは "地球人" なのですから。


▼ 注1
岡本典明(原稿・構成)『アポロ月面着陸 ダイジェスト写真集』ブックブライト、2014年6月9日
アポロ月面着陸: ダイジェスト写真集

▼ 注2
アポロ13号は事故のため月目に着陸しなかった。

▼ 関連記事
写真集をつかって地球を大観する



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写真1 月から見た 地球の出

東京・水道橋駅前、東京ドームシティにある 宇宙ミュージアム TeNQ(注1, 2)に行ってきました。宇宙を疑似体験し宇宙を身近に感じることができました。

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図1 フロアーマップ


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写真2 入り口

「シアター宙(そら)」では超高解像度の巨大な動画が足下にひろがり、月着陸船にのって月面を離陸していく疑似体験をすることができました。(残念ながら写真撮影は禁止でした(注3)。)


サイエンスの部屋では太陽系に関する展示・解説がとくに充実していました(写真3,4,5)。小惑星探査機「 はやぶさ」による小惑星「イトカワ」探査の成果も展示してありました。東京大学総合研究博物館の分室がおかれていて「太陽系博物学」の研究最前線を知ることができました。

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写真3 サイエンスの部屋

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写真4 火星の地表にたったような気分になれる

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写真5 火星の隕石


イマジネーションの部屋では、巨大スクリーンにうつしだされた「地球の出」(動画)が印象的でした(写真1)。


企画展示室では、火星ほどの大きさの天体ティアが原始地球に衝突して月ができる様子を動画で見ることができました。これは「ジャイアントインパクト説」(衝突起源説)といい、地球の衛星である月がどのように形成されたかを説明するもっとも有力な仮説です。

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写真6 ジャイアントインパクト


以上のように、この宇宙ミュージアムは気軽に宇宙をたのしめる博物館でした。宇宙から地球を見る、宇宙の視点で地球をとらえなおすことには非常に大きな意義があります。わたしたち人類は現代になって地球を大観できるようになったのです。大観とは、部分(局所)を集積して全体に到達することでもなければ、対象を要約して理解することでもありません。地球全体をまるごと一気に見る(まるごと情報をインプットする)ことです。

このような宇宙からの視点を人類がもったことは人類史上にのこる非常に大きな転換点であったといえます。一般の人々が宇宙に行けるようになるのはもうしばらく先になるそうですので、この宇宙ミュージアムをまずは利用してみるのがよいでしょう。


▼ 注1
宇宙ミュージアム TeNQ
入場は日時指定制です。休日などは混雑しますのでインターネットでチケットを事前に購入してでかけた方がよいです。

▼ 注2:TeNQ とは
TeN とは「天」「展」「点」をあらわし、Q は、「Quest(探究・冒険の旅)」「Question(問い)」「心がキューッ」「キュリオシティ(Curiosity/好奇心)」「究める」「球」をあらわしています。

▼ 注3
サイエンス・イマジネーション・企画展示室・つながる場所の各部屋はフラッシュをつかわなければ写真撮影ができます。

▼ 関連記事
宇宙開発により歴史が転換する -「宇宙博2014」-
地球ディスプレイ "Geo-Cosmos" で地球の全体像をつかむ - 日本科学未来館 -
地球儀を発想の出発点としてつかう

▼ 追記
大観という方法は、人がおこなう情報処理でいうインプットの重要な方法であり、また問題解決の第一段階目の方法でもあります。



千葉市、幕張メッセ・国際展示場で開催されている「宇宙博2014」を見ました(会期:2014年9月23日まで)。宇宙開発の技術博覧会であり、人類の宇宙開発の歴史を模型(一部実物)を通して知ることができした。

会場は、「人類の冒険」「NASA」「JAXA・日本の宇宙開発」「火星探査」「未来の宇宙開発」などのエリアにわかれ、約9千平方メートルの広大なフロアに約500点が展示されていて迫力がありました。

140909 宇宙博2014
会場マップ&音声ガイドリスト


人類の宇宙開発の歴史の概要はつぎのとおりです。

 1957年 世界初の人工衛星・スプートニク1号うちあげ(旧ソ連)
 1959年 ルナ2号、初の月面到達(旧ソ連)
 1961年 ガガーリンがボストーク1号で大気圏外へ(旧ソ連)
 1969年 アポロ11号が月面着陸。アームストロング船長が初の月面第一歩(米国)
 1976年 火星探査機バイキングが火星到着(1975年うちあげ、米国)
 1977年 探査機ボイジャー1号、2号うちあげ(米国)
 1981年 スペースシャトル・コロンビア初うちあげ(米国)
 1998年 国際宇宙ステーション建設開始(2011年完成)
 2005年 はやぶさがイトカワ到着(2003年うちあげ、2010年帰還、日本)
 2012年 火星探査機キュリオシティが火星到着(2011年うちあげ、米国)
 2012年 ボイジャー1号が太陽系を脱出(米国)


IMG_1347アポロ月着陸船
アポロ月着陸船


IMG_1343アポロ月面車
アポロ月面車


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アポロ司令船と帰還時につかったパラシュート


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月から見た地球(地球も天体の一つにすぎない)


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火星探査機キュリオシティ


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未来の宇宙船ドリームチェイサー


■ 月面への第一歩
宇宙開発のなかで最大の偉業は1969年7月20日人類の月到達です。月着陸船は、重量を軽くし、安全性を高めるために何度も改良されました。最初の課題は、コックピットの窓と座席の重量でした。最終的には宇宙飛行士は立ったまま飛行し、小さな三角形の窓で視界を確保することにしました。また、月着陸船をささえる脚の数にも変更がかさねられました。3本がもっとも軽い形状ですが、1本が破損すると安定性がうしなわれ、5本だと安定しますが重量が大きくなります。結局、4本で決着しました。


■ 歴史的転換をもたらす
人類による宇宙開発の歴史は人類が宇宙へと活動領域をひろげていく過程であり、人類が活動空間を大きくひろげて宇宙へ進出したことは、人類の歴史的な転換となりました

一方で人類は、地球も、宇宙のなかの天体のひとつにすぎないことを認識し、地球は小さな存在になりました。地球が小さくなることによってグローバル化(全球化)がもたらされました。宇宙開発の歴史は、グローバル化の歴史でもあったのです

会場には、月から見た地球の写真も展示されていました。この情景に、人類の歴史的な転換が圧縮されています。人類は、月に到着したことによりひとつの「分水嶺」をこえたのです


■ イメージ体験をする
宇宙にでて、みずからの空間を一気にひろげて、一瞬にして全体を見てしまい、対象を小さくしてしまう。技術革新は人の世界観も転換していきます。宇宙博を利用すればこのようなイメージ体験をすることができます。これは、山を一歩一歩のぼっていくような、情報をひとつひとつつみあげて認識していく作業とは根本的にことなる体験です。

なお、スペースショップに行くと公式ガイドブック(2200円)を売っています。はじめに、スペースショップに行って、公式ガイドブックの見本を見て概要をつかんでから各展示を見た方が効率よく理解がすすむとおもいます。



▼ 参考書
立花隆著『宇宙からの帰還』中公文庫、1985年7月1日

本書は、次元について、イラストをつかってくわしく解説しています。本書を見ることで次元に関する理解をふかめることができます。

ポイントをピックアップします。

次元とは、1点の位置を決めるために必要な数値の個数であると定義できる。

0次元:大きさをもたない「点」の中では、位置を決めようがないので、「点」は0次元である。

1次元:「直線」は、基準となる点を決めておき、そこからの距離に相当する1個の数をあたえれば1点の位置がきまるので、1次元である。曲線でも同じことがいえるので曲線も1次元である。

2次元:「面」は2次元である。縦と横の目盛りを指定する数値(たとえばX=4,Y=3)をあたえれば1点の位置が決まる。

3次元:私たちの暮らす空間は、基準となる点から縦,横,高さの方向の三つの数値で位置を決めることができることから、3次元であるといえる。

次元の数は、点が動くことができる軸の数(自由度)とも一致する。1次元では一つ、2次元では縦,横の二つの軸がある。3次元では縦,横,高さの三つの軸がある。

1次元には「かたち」はないが、2次元では「かたち」が登場する3次元では、2次元にはない「立体」が登場する

ある次元の数をもつ空間は、それよりも低次元の空間を内部に含むことができる。

低い次元で不可能なことでも高い次元なら可能である
。 

私たちがものを見るとき、眼球の奥にある「網膜」は、外界からの光を受けとる「2次元」のスクリーンである。そのため、そのスクリーンには物体の像が並行的に映し出される。左右の眼球ははなれた位置にあるため、各スクリーンに映しだされる2次元像は同じにはならない。脳は、左右の網膜に写る像の「ずれ」をもとにして奥行き情報を補っている。私たちが見る3次元像とは、こうして脳内で再構成された「間接的な3次元像」にすぎないのである

アインシュタインにより提唱された「特殊相対性理論」により、3次元空間と1次元の時間はつねに一体となって変化することから、空間(3次元)と時間(1次元)をあわせたものが「4次元時空」とよばれるようになった。

アインシュタインは、「一般相対性理論」により、重力の正体が「4次元時空の曲がり」であることを示した。

物理学者たちは、現実の世界が4次元(以上の)空間であるかどうかについて、何らかの実験結果が今後数年のうちに得られるだろうと期待している。

「超ひも理論」では、宇宙は10次元時空であるとする。

私たちが住む3次元空間は、9次元空間に浮かぶ1枚のブレーン(膜)にすぎないと考えるのが「ブレーンワールド」仮説である。


このように本書は、0次元の世界から高次元宇宙まで、次元の不思議な世界を解説しています。

情報処理の観点からは「4次元時空」をフルにつかうことが重要です

たとえば、文章を前から後ろへ順番に(時間をつかって)音読・黙読するのは1次元的です。1次元だと直列的にしか情報を処理できず、大量情報を一気にインプットしようとすると脳はつまってしまいます。

そこで、視覚領域を活用して次元を2次元に高めると、情報の並列処理が可能になり、情報処理の効率は高まります。たとえば、近年のコンピュータは複数のプロセッサを並列させて情報処理をすすめていることからも、並列処理の有効性がわかります。

さらに、次元を3次元に高めれば情報処理の効率はもっと高まり、とりあつかえる情報量は圧倒的に増え、大量の情報が処理できるようになります。ここでは、わたしたちがすんでいる3次元空間をうまくつかうことがポイントになってきます。何かを記憶するときも、 イメージをえがくときも3次元空間の中でおこなった方がよいのです。

そして、3次元空間に1次元の時間をくわえて「4次元時空」にすればもっとよいわけです。 「4次元時空の中の1点は、場所と日時を指定すれば決めることができます。わたしたちは「4次元時空」のなかの1点に存在して暮らしてるのであり、わたしたちの人生は「4次元時空」における軌跡にほかなりません。したがって、「4次元時空」をフルにつかいきることは情報処理の観点からも生き方の観点からも自然な方法です。

たとえば、毎日、おなじルートを通勤しているだけで、ただ時間だけがながれていくといった生活は1次元的な生き方です。時間だけしかつかわないと1次元的な人生になってしまい、情報処理の効率も効果もいちじるしく低い状態にとどまり、とりあつかえる情報も非常にかぎられてしまいます。

そのような人はとにかく旅行にでかけることです。これだけですぐに1次元を打破でき、「4次元時空」の存在になれます

このように、次元を高めて「4次元時空」のひろがりとして人生を実践すれば、とりあつかえる情報量は格段に増え、ゆったりとした大きな世界のなかで余裕をもって情報処理ができ、ゆたかな情報とともに生きていくことが可能になります

なお、もし、5次元以上をとりあつかえるとすれば、情報処理の性能はさらにあがることになります。もしかしたら潜在意識は、もっと高い次元ではたらいているのかもしれないとかんがえるととても興味深いですが、現時点ではこれ以上の議論はできません。


文献:『次元とは何か 0次元の世界から高次元宇宙まで』(改訂版)(Newton別冊)、ニュートンプレス、2012年5月15日
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