発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:地球

さまざまな項目について第1位と最下位の国を知ることは、それぞれの項目についての「物差し」をつくることになり、国際情勢を客観的に理解することにつながります。

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大阪市立自然史博物館 展示室(ネイチャーホール)(平行法で立体視ができます)
 
情報処理能力を高め、空白領域にチャレンジしてくことは生命進化論的にみて自然なやり方です。
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160622 段階的発展

図1 段階的に発展する

生命は段階的に発展していきます。ポテンシャルを高める時期と、比較的短時間で大きく躍進する時期の2つの時期があることに気がつくことが大切です。
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写真1 ダーウィニウス・マシラエ(霊長類の化石、4700万年前)
「イーダ」の愛称で知られます。霊長類化石としてもっとも完全な標本のひとつです。
 
眼をつかいこなして情報をインプットし、手をつかいこなしてメッセージをアウトプットします。これは進化論的にみてもっとも自然なやり方です。
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写真1 両生類の足跡化石(古生代デボン紀中期、左足)
生物が、海のなかから陸上へ進出したことをしめす化石です。
(デボン紀:4億1900万年前〜3億5900万年前)


海の中で誕生した生物(生命)は、海から陸へ、空へ、宇宙へと進出し、空白領域をうめるように大躍進をつづけてきました。
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写真1 カンブリア大爆発で出現した生物(チェンジャン生物群)
約5億4100万年前、カンブリア時代になると生物の種類と数が爆発的に増えました。これは生物進化史上最大級の出来事であり「カンブリア大爆発」とよばれます。


約5億年前のカンブリア時代に生物は眼を獲得しました。これにより環境(外界)を認知する能力が飛躍的に向上しました。

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写真1 生命の痕跡がのこされている地球最古(37億年前)の岩石(片岩)
地球最古の生命の痕跡はグリーンランドの地層から発見されました。この地層中の岩石にふくまれる炭素(グラファイト)はバクテリアのような生物由来であることがあきらかにされています。つまり37億年前の地球の海にはバクテリアのような生物がいたということです。


特別展「生命大躍進」は、生命の進化と大躍進について体験的にまなぶことができるおもしろい企画展です。
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「若冲展」で『動植綵絵』(どうしょくさいえ)をみて、梅原猛著『人類哲学序説』をよむと、「草木国土悉皆成仏」(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)の現代的な意味(解釈)がわかります。イメージをみてから言語で確認するという順序がおすすめです。
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ロボット "ASIMO"

日本科学未来館にいくと、未来からの視点で現在をとらえなおすことができます。参加体験型の施設ですので、一方的に知識をあたえられるのではなく、さまざまなことをみずから主体的にかんがえることができます。
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東京都美術館(入り口)

若冲展に行って個々の作品を味わうと同時に、会場の三次元空間の中に自身をくみこんでみると、動植物が共生する生態系の再現空間を体験することができます。

東京・上野の東京都美術館で「生誕300年記念 若冲展」が開催されています(注1)。生誕300年を記念して、初期から晩年までの若冲の代表作がかつてない規模で結集しています。若冲(1716-1800)は、18世紀(江戸時代中期)に京都で活躍した画家です。続きを読む

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日本科学未来館「ジオ・コスモス」(平行方で立体視ができます)

日本科学未来館「ジオ・コスモス」は、地球をベースにした情報処理をすすめるための参考になります。
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日本科学未来館・展示「100億人でサバイバル」(交差法で立体視ができます)

危険から命をまもるためには、危険の種に気がつくことがまず必要です。
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わたしたち人間が生きている世界あるいは地球を「人間-文化-自然環境」系としてとらえなおすと多様な情報が統一的に整理できます。


世界には、実に多様な情報が大量に分布しています。わたしはこれらを整理するために、人間・文化・自然環境の三者に世界を区分し、下図のように配置しモデル化(図式に)してみました(図1)。これを「人間-文化-自然環境」系とよびます。系とはシステムということです。

160227 文化
図1 「人間-文化-自然環境」系


「人間-文化-自然環境」系において主体となるのはわたしたち人間です。人間の周辺領域には自然環境がひろがっています。そして人間と自然環境との相互作用(やりとり)によって文化が生じるとかんがえるのです(注)。文化とは、生活インフラ・産業・社会制度・学問・芸術・宗教などのすべてをふくみます。

人間と自然環境との相互作用のうち、自然環境から人間への作用はインプット、人間から自然環境への作用はアウトプットとよんでもよいです。




しかしヨーロッパ文明にはこのようなかんがえ方は元々ありませんでした。人間と自然とは別ものであり、人間と自然とは対立し、人間は自然を支配すればよいとかんがえていました。このような概念から文科系と理科系という相ことなる2大分野が生まれました。また文化財はあくまでも人間がつくったものであり、文化財の保護と自然の保護とは別々におこなわれていました。




しかしながら近年では、人間と自然とを分けてかんがえることは現実的でなくなったとかんがえる人々が増えてきました。

たとえば、1972年に、ユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」は、文化遺産と自然遺産をひとつの条約のもとで保護しようとしてます。

その後、世界遺産登録の概念は次第に変化し、1992年には、「文化的景観」というあたらしい概念が採択されました。これは、人間が自然とともにつくりあげた景観のことです。

現代では、人間と自然とを峻別するのではなく、人間と自然との交流さらに人間と自然との共生を重視するように変わってきています。ヨーロッパ系の文明人もかなり柔軟になってきました。




図1のモデルによれば、文化とは、人間と自然環境とのいわば "共同作業" の結果であり、人間と自然環境とは文化を介してかかわりあっているということになります。たとえば世界遺産における「複合遺産」などにその典型がみられます。

世界各地に分布する非常に多数の世界遺産について理解したり記憶したりするときにもこのモデルがつかえます。文化遺産と自然遺産とは下図のように位置づけられます。複合遺産はこのモデル全体ということになります。

160227 世界遺産
図2 世界遺産の位置づけ


このように、単純なモデルをつかうことは、世界を構成する多種多量な情報を整理するためにとても役立ちます。モデルをえがくことは情報処理の重要な方法のひとつといえるでしょう。


▼ 注
人間と自然環境との相互作用(やりとり)によって文化が生じるという仮説をたてたということです。

▼ 関連記事
登録基準に注目して世界遺産を理解する

▼ 参考文献
   




地球について知るための有効な方法のひとつとして世界遺産に親しむというやり方があります。そのためには世界遺産の写真集をまずは見るのが一番です。

写真集『世界遺産 地球への讃歌』(写真工房)は世界遺産の写真集として非常にすぐれています。著者(写真家)の富井義夫さんは25年間にわたって世界遺産を撮りつづけている「世界遺産フォト」の第一人者であり、今回は、膨大な彼の作品のなかから究極のベストショットを選択、地球が奏でる圧倒的な光景を集大成しました。


目 次
アメリカ(クルアーニーの巨大氷河ーカナダ&アメリカ合衆国/恐竜たちが眠るバッドランドーカナダ ほか)

中東・アフリカ(グレート・リフト・バレーーケニア/アフリカの最高峰キリマンジャロータンザニア ほか)

アジア(屋久島ー日本/流氷が着岸する知床半島ー日本 ほか)

ヨーロッパ・オセアニア(異彩を放つメテオラの奇景ーギリシャ/ユングフラウースイス ほか)


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掲載されているサイト(世界自然遺産)は世界各地の50か所、わたしたちが知らなかった地球の表情の数々におどろかされます。

富井さんは世界遺産をライフワークとし、これまでに海外取材歴206回、117の国と地域を旅し、歴訪した世界遺産サイトは447カ所にものぼるそうです(2012年11月現在)。

それぞれの写真には簡潔な解説と地図もついているので理解をさらにふかめたり、実際に旅行をしたりするときにも役立ちます。手元においておいてくりかえし見直す価値のある立派な写真集です。

世界遺産の写真集でしたら富井さんの写真集を第一におすすめします。



▼ 注
富井義夫(写真) 『世界遺産 地球への讃歌』写真工房、2012年11月15日
世界遺産×富井義夫「地球への讃歌」自然遺産編 (写真工房BOOKS)  

▼ 関連写真集
 





国立科学博物館の日本館をみれば、日本の自然の多様性とその歴史や危機についてまなぶことができます。

成毛眞・折原守著『国立科学博物館のひみつ』(ブックマン社)(注1)は、国立科学博物館の日本館のガイドブックです。本書を読んでからあるいは本書を片手に日本館を見学すれば日本の自然についての理解が一層ふかまります。


目 次
第1章 成毛眞の科博日本館マニアックツアー
 3階南翼 日本列島の素顔
 3階エレベーター前 日本の鉱物
 3階北翼 日本列島のおいたち
 2階南翼 生き物たちの日本列島
 2階北翼 日本人と自然
 1階南翼 自然をみる技法
第2章 筑波研究施設 自然史標本棟潜入取材
 陸生哺乳類剥製標本室
 人類標本室
 岩石・鉱物標本室
 動物液浸標本室
第3章 対談 成毛眞 X 折原守
第4章 特別展アーカイブ


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国立科学博物館には、日本館(休館)と地球館(新館)とがあり、本書は、日本館のみをとりあげています。地球館の方があたらしくて規模が大きいため注目されがちですが、本書を読めば日本館のすばらしさをあらためて見直すことができます。




日本は南北にながく、海にかこまれ、四季にめぐまれ、地震や火山の多い列島です。日本列島の自然の最大の特色は多様性にみちあふれているということです。

たとえばおなじ島国であるイギリスとニュージーランドと日本とを比較してみると、大陸との位置関係や気候や面積などは類似していますが、総種数と固有種数は日本の方が圧倒的に多いです。日本は多様性の宝庫であるといえます。

このような日本は、かつてはユーラシア大陸の東の縁辺部でした。そこが大陸から切りはなされて海の方に移動してきて列島を形成したとかんがえられています。このような非常に特異な自然史が大きな多様性を生みだしたといえます。

しかしながら、土地の高度な開発や外来種のもちこみによりこの多様性に危機がせまっています。日本館では、トキやノリやコケ類などの絶滅危惧種を紹介しています。近年とくに問題になっているのは、外国から人為的に はこばれてきて野生化した外来生物が日本の固有生物を絶滅させてしまうことです。




多様性のある日本列島では、比較的せまい範囲でたくさんの種類を見ることができます。簡単にいうと高密度で効率がよいということです。

一方、大陸へいくとその逆で、スケールが大きいために何事も大雑把で、大きなスケールの自然が帯状に分布しています。大陸では、非常に広大な地域を時間をかけて移動しないと多様な変化が見られません。簡単にいうと効率がわるいのです。

大陸とはちがい日本では自然の多様性を効率的に見ることができるので便利です。しかしミニチュア的自然がモザイク状に集合していて複雑でわかりにくいという側面もあります。

そこで国立科学博物館の日本館が役立ちます。日本館の中を1〜2時間かけてあるいてみれば日本列島の様子がよくわかります。是非一度いってみてください。


▼ 注1
成毛眞・折原守著『国立科学博物館のひみつ』ブックマン社、2015年7月25日

▼ 注2
国立科学博物館




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池上彰著『戦後史の学び方』



現代の自然科学は社会問題と密接にむすびついています。わたしたちは科学者と科学の動向についてつねに注目していかなければなりません。


池内了編著『これだけは読んでおきたい科学の10冊』(岩波ジュニア新書)は自然科学とその社会への影響を知るための読書ガイドです。本書をまず読んでそれぞれの要点をつかんでおくと、以下の「10冊」の本に挑戦しやすくなります。各章の最後には、さらにまなびたい人のために参考文献が紹介されていてとても役立ちます。


目 次
1 ワインバーグ『宇宙創成はじめの三分間』
2 ローズ『原子爆弾の誕生』上・下
3 吉田洋一『零の発見』
4 本川達雄『ゾウの時間ネズミの時間』
5 ローレンツ『ソロモンの指環』
6 カーソン『沈黙の春』
7 ワトソン『二重らせん』
8 モリソンほか『POWERS OF TEN』
9 ガモフ『不思議の国のトムキンス』
10 アインシュタイン、インフェルト『物理学はいかに創られたか』上・下


自然科学というと、最先端の研究に注目するのが一般的であり、名著とか古典といったとらえ方はあまりないですが、これらはいずれも名著あるいは古典といってもよい本です。




自然科学は非常にたくさんの分野が現代ではあってとても複雑そうにみえますが、基本的な方法はみなおなじで、次のようになっています。

  1. 課題を設定する
  2. データをあつめる
  3. 仮説をたてる

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そして仮説がただしいかどうかは実験をくりかえすことによって検証します。仮説を支持しないデータがえられた場合は仮説をたてなおします。実験とは科学の基本的な実践形態です。

また研究結果を発表(アウトプット)するときには、データ(事実)と仮説(解釈)とを区別して記述することがルールになっています。




上記の10冊の本のなかでわたしがまず注目したのは『沈黙の春』です。これは、農薬や化学物質による生態系の破壊を告発した最初の本でした。産業界からは大きな反発がおこりましたが、「沈黙の春」は今や現実のものとなっています。環境問題にとりくむ上でさけてはとおれない一冊です。

たとえば北イタリアのセベソは化学工場が爆発してゴーストタウンになりました。インドのボパールでは化学工場の爆発により2500人が死亡、被害者は20万人におよびました。ベトナム戦争では枯葉剤がつかわれ多くの人々がその後遺症で今でもくるしんでいます。

日本でも、水俣病・イタイイタイ病など枚挙にいとまがありません。そして原発事故・放射能汚染です。科学の結果が悪い方向にでたもっともシンボリックな事例が日本において生じてしまったことをわたしたち日本人は再認識しなければなりません。




つぎに『原子爆弾の誕生』です。原爆の誕生から使用までの歴史を多くの資料と、開発に参加した科学者たちへのインタビューをもとにくわしくたどりました。もとの英語の本は900ページにおよび、日本語訳は上・下あわせて1500ページにちかい大著です。純粋に真理探究をしていた物理学者が悪魔へと姿を変えた歴史的事件がここにはきざまれています。科学者はおそろしい時代をつくりだしてしまいました。

現代の科学者は研究をすすめるだけではなく社会的責任をおわなければなりません。一方、一般の人々も科学者の動向につねに注意していなければなりません。物理学や化学だけではありません。現代では生命科学も社会問題と密接にむすびついています。科学のつかい方をあやまるととんでもないことになります。




零の発見』もおもしろいです。現代人にとっては零(ゼロ)があるのはあたりまえであり、零(ゼロ)をみても何もおもわないかもしれませんが、零(ゼロ)が発見されたことによりどれだけ世の中が進歩したことか。

零(ゼロ)は中国にいって「空」(くう)と訳され、日本にもつたわってきました。




本書『これだけは読んでおきたい科学の10冊』を読んでおけば、ニュースや新聞・雑誌などをとおしてつたわってくる科学の最新の動向も理解しやすくなるとおもいます。



▼ 引用文献
池内了編著『これだけは読んでおきたい 科学の10冊』(岩波ジュニア新書)岩波書店、2004年1月20日
これだけは読んでおきたい科学の10冊 (岩波ジュニア新書)




生命の誕生と進化についてまなぶと、歴史的・時間的に生命をとらえなおすことができます。


『 生命の誕生と進化の38億年』(ニュートンプレス)(注1)は、生命の誕生と進化の歴史をイラストをつかって解説しています。


目 次
1 生命の誕生
2 生命のビッグバン
3 生命の進化と大陸の移動
4 生命の進化はなぜおきる?
5 イラストで見る進化の情景


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生命は、約40億年前から38億年前に誕生したとかんがえられています。最初の生命が誕生した場所は海の中であるとされ、海の中の熱水噴出孔がその有力な候補地です。

生命とは、自己複製と代謝の二大機能をもつのが特徴であり、これが生命と他の物とを区別する決定的な条件になっています。

今から5億4000万年ほど前には、原始的な生命が急激に多様化し発展した時期がありました。この出来事は「カンブリア爆発」あるいは「生命のビッグバン」とよばれています。環境の変化やあたらしい遺伝子の出現があったためとかんがえられています。

そしてその後の進化の結果 人類が出現してきました。人類は進化した順に、猿人→原人→旧人→新人(現代人)にわけられます。猿人の化石がアフリカでしか見つかっていないことなどから、最初の人類はアフリカで誕生したとかんがえられています。




生命の誕生と進化の研究から、地球の生命は、元ひとつのものから分化・発展してきたことはあきらかです。その結果が今日、生物多様性として認識されています。

生命は、分化する一方で生態系を成立させています。これは生命の世界は、分化しつつ体系化(システム化)されていることをあらわしています。分化しつつ体系化されるとは、発展しつつ維持されるということです。発展と維持というと一見 矛盾するようですが実際にはうまくいっています。

物事や組織は、発展する一方だと分解してしまいます。他方で維持しているだけだと発展できません。発展と維持の両者が必要です。生物多様性や環境問題にとりくむときにも、環境をただ維持・保守しようとするだけだとうまくいきません。発展しつつ維持されなければなりません。そのためには生命の進化や生態系について知ることが重要です。




ニュートン別冊『生物多様性』では生物の多様性について解説しています。生物多様性は空間的な見方です。一方、『生命の誕生と進化の38億年』では生命の進化を解説しています。進化とは歴史的・時間的な見方です。このように空間的な見方と時間的な見方をセットにしてとらえると認識が非常にふかまります




現代の進化論では、進化の仕組みを説明する仮説として、「遺伝子の突然変異→小さな差が生じた個体間での競争→自然選択」という説をうちだしています。しかしこの仮説によって「小進化」は説明できても、遺伝子の突然変異で生じた小さな差がどうして別の種に変化するのか? つまり「大進化」を説明することはできません。進化論の研究はつづきます。
 


▼ 注1
『 生命の誕生と進化の38億年』(ニュートン別冊)ニュートンプレス、2012年11月15日
生命の誕生と進化の38億年―いかに生まれ,いかに進化してきたのか? (ニュートンムック Newton別冊)

▼ 注2
『生物多様性』(ニュートン別冊)ニュートンプレス、2010年9月15日
生物多様性―地球の未来を考えるための重要ワード (ニュートンムック Newton別冊) 

▼ 関連記事
絶景から一歩ふみこむ -『地球科学を知る厳選33の絶景』(ニュートン別冊)-
生物多様性の減少をくいとめる -『生物多様性』(ニュートン別冊)-
歴史的・時間的に生命をとらえなおす -『生命の誕生と進化の38億年』(ニュートン別冊)-

▼ 参考書籍
地球の入門書として最適です。
空間的な見方がわかります。
 



歴史的・時間的な見方がわかります。



生物多様性の危機がつづいています。エコツアーに参加して生物多様性の危機について知るとともに、外来種のもちこみを根絶するなどして、生物多様性の減少をくいとめなければなりません。


ニュートン別冊『生物多様性』(ニュートンプレス)は、生物多様性の歴史と現状、その危機についてイラストを使ってわかりやすく解説しています。


目 次
1 生物多様性とは何か?
2 生態系の多様性
3 失われゆく生物の多様性
4 データでみる生物多様性 〜ミレニアム生態系評価〜
5 データでみる生物多様性 〜生物多様性条約目標達成状況〜


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現在、絶滅危惧種をもっとも多くふくむ生物グループは両生類であり、もっとも急速に絶滅がすすんでいるグループはサンゴです。保全活動を早急にすすめなければなりません。

日本では、沖縄本島北部に位置するヤンバルの森が非常にあぶない状況です。また小笠原諸島では、独自に進化した生物たちが姿を消しつつあります。ニホンカワウソ、ツシマヤマネコ、イリオモテヤマネコなども絶滅しようとしています。イヌワシにも危機がせまります。日本ですでに絶滅した種は、哺乳類4種、鳥類14種、汽水・淡水魚類4種、合計22種におよびます。

南米のアマゾンでは、開発・焼畑農業により森林が急速に減少しており大問題になっています。

世界中の島々では、外来種が在来種を減少させ、生物多様性がいちじるしく低下しています。




このような状況をかんがみ、個人でもできることとしてはたとえば次のようなことがあります。
  • エコツアーに参加して生物多様性の危機を知る。
  • 外来種を持ちこんだり捨てたりしない。
  • 省エネにとりくむ。




生物多様性とは、生物種の多様性、種内の遺伝的多様性、生態系の多様性のことをさします。生態系とは、そこに生息するあらゆる生物と生物、それらをとりまく環境が、密接な関係をきずいてなりたっているシステムのことです。すべての生物は生態系のなかでくらしています。

そして地球が人類に提供している資源、自然からの恵みをまとめて「生態系サービス」とよびます。木材や農作物、家畜、魚介類、水、洪水や気候の調整、観光資源など、さまざまな恩恵をわたしたち人間は生態系からうけています。

しかし現代の人間は、生態系が供給できる供給量の範囲をこえてより多くの生態系サービスを利用してしているのが現状です。

一方で、土地の開発など人間の活動によっても生態系は破壊されています

生態系の過剰な利用と、過剰な開発が自然環境を破壊してさまざまな生物の生存を危機においやり、生物多様性を減少させているのです。生物種の数の減少あるいは生物多様性の減少は環境破壊の指標です。




このような自然環境の破壊、生物多様性の減少は〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルでとらえなおすことができます(下図)。

160203 生態系
図 インプットとアウトプットが過剰になった

 
生態系サービスとは、自然環境から人間社会への物質やエネルギーなどのインプットです。一方の開発とは、人間社会から自然観環境への作用(土地の改変や不要な物質の排出など)でありアウトプットです。

インプットとアウトプットの両者が過剰になり、自然環境を圧迫して自然環境を破壊しているのです。人間社会と自然環境とのバランスはあきらかにくずれました。地球は有限の空間ですから、過剰にインプットし過剰にアウトプットすればバランスがくずれるのは当然です。もう限界にきています。



▼ 『生物多様性』(ニュートン別冊)ニュートンプレス、2010年9月15日
生物多様性―地球の未来を考えるための重要ワード (ニュートンムック Newton別冊)
 
▼ 追記
〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムは個人レベルでもおこっていますが、人類あるいは地球レベルでもおこっています。

▼ 関連記事
絶景から一歩ふみこむ -『地球科学を知る厳選33の絶景』(ニュートン別冊)-
生物多様性の減少をくいとめる -『生物多様性』(ニュートン別冊)-
歴史的・時間的に生命をとらえなおす -『生命の誕生と進化の38億年』(ニュートン別冊)-
立体視をして眼力をきたえる - やんばる亜熱帯園 -

▼ 関連参考書籍
  




近年は絶景ブームになっています。絶景をみたらさらに一歩ふみこんで、地球の成り立ちや歴史にもおもいをはせると絶景の印象が一層ふかまります。


『地球科学を知る厳選33の絶景』(ニュートンプレス)は世界の33カ所の絶景を紹介した写真集です。地球46億年の壮大ないとなみを写真でたどることができます。


目 次
1 歴史の章 激動の46億年
2 地の章 大陸移動が生みだす風景
3 火の章 マグマがつくる新たな大地
4 水の章 水・氷・生命の風景
5 風の章 風化と乾燥地の風景


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「1  歴史の章」では、地球史46億年を写真でたどります。マグマオーシャンから始まり、生命誕生、全球凍結、超大陸の出現、大絶滅など激動の歴史がありました。

「2 地の章」では、大陸移動が生みだした壮大な風景をみることができます。大山脈や褶曲、地溝や男装、湖などの絶景がひろがります。

「3 火の章」では、火山の噴火とマグマの活動についてみることができます。火山の噴火、溶岩、マグマの巨大化石など地球のエネルギーを感じることができます。

「4  水の章」では、水と氷の世界をみることができます。水と氷がつくりだした地形はダイナミックです。また水があふれるさわやかな景観にはいやされます。

5 風の章」では、一転して荒涼とした風景がひろがります。自然にできたとはおもえない絶景に出会えます。これは自然の "彫刻" でしょうか。


* 


絶景ブームが近年おこっている背景には、多くの人々にとって、ただの風景を見るだけではあきたらなくなってきたということがあります。絶景写真集をみて絶景を旅する。絶景をもとめる人が増えました。

本書の絶景写真を理屈ぬきでまずはながめてみるのがよいでしょう。そして興味が生じた絶景についてはその成り立ちや歴史についての解説を読んでみます。本書は写真集としても、地球科学の入門書としてもたのしめる一冊です。"地球史への旅" の入り口としてもつかえます。


▼ 引用文献
『地球科学を知る厳選33の絶景』(ニュートン別冊)ニュートンプレス、2014年9月10日
地球科学を知る厳選33の絶景 (ニュートン別冊)

▼ 関連記事
絶景から一歩ふみこむ -『地球科学を知る厳選33の絶景』(ニュートン別冊)-
生物多様性の減少をくいとめる -『生物多様性』(ニュートン別冊)-
歴史的・時間的に生命をとらえなおす -『生命の誕生と進化の38億年』(ニュートン別冊)-

▼ 関連参考書籍
 



アポロ計画は人類史の "分水嶺" となり、わたしたち人間はこれをこえて ”地球人" になりました。宇宙にうかぶ地球を宇宙から見て、地球の一体性を認識することができました。


岡本典明(原稿・構成)『アポロ月面着陸 ダイジェスト写真集』(ブックブライト)(注1)は、米国 NASA が中心になってすすめたアポロ計画のダイジェスト写真集です。アポロ 11号、12号、14号、15号、16号、17号関連のとても鮮明な写真が掲載されています。
      
アポロ計画は、NASA が中心となってすすめた月探査計画であり、1969年7月20日にアポロ11号で人類最初の有人月面着陸ならびに探査に成功し、1972年のアポロ17号で終了しました。


アポロ11号は、1969年7月16日に、サターン V ロケットでうちあげられました。乗組員は次の3飛行士でした。
  • 船長:ニール=アームストロング
  • 司令船パイロット:マイケル=コリンズ
  • 月着陸船パイロット:エドウィン=オルドリン

7月20日午後4時17分(アメリカ東部夏時間)に、月着陸船「イーグル」が月の「静かの海」へ着陸しました。そして午後10時56分、アームストロング飛行士が人類ではじめて月面におりたちました。午後11時16分にはオルドリン飛行士もおりたちました。

2人は、およそ2時間半にわたって船外活動をおこないました。

3人の飛行士は、7月24日午後0時50分に地球へ帰還しました。飛行時間はのべ8日3時間18分でした。


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その後のアポロ計画では次の日にちに月面に着陸しました(注)。
  • 12号 1969年11月19日
  • 14号 1971年02月05日
  • 15号 1971年07月30日
  • 16号 1972年04月20日
  • 17号 1972年12月11日




本書には、アポロ計画で撮影された貴重な写真が何枚も掲載されています。それらのなかでわたしは、宇宙あるいは月からみた地球がうつっている写真にとくに注目しました。

宇宙から撮影した地球は、地球が、宇宙にうかぶ天体のひとつにすぎないことをわたしたち人間におしえてくれます。アポロ計画によって、わたしたち人間は、宇宙から(地球の外から)地球をながめるという体験をすることができました。歴史上はじめてすべての人々がこの体験を共有し、地球の一体性を理屈ではなくて直観的に理解しました

宇宙にうかんでいる小さな天体を見ると、人間をふくむ地球はひとつの運命共同体であることは誰の目にもあきらかであり、「宇宙船地球号」は現実のものとして意識されます。

アポロ計画以前は、人間は、村人か市民か国民か民族の一部でしかありませんでした。地球や人類といった概念をもっていた賢者や科学者はいましたが、彼らの概念は抽象的なものでしかありませんでした。

しかしアポロ計画以後、地球は、抽象的な概念ではなく具体的な存在になりました。地球は概念ではなく具体化されたのです。地球が具体的にイメージできるようになり、同時に人間は "地球人" になりました




このような地球の一体性を認識する意識改革がアポロ計画を通して人間におこったとかんがえてよいでしょう。これは歴史上もっとも大きな意識改革といってもよいかもしれません。アポロ計画は人類史の "分水嶺" となりました

地球の一体性を認識する意識改革がすすむと地域的な紛争などバカバカしくなってきます。宇宙から撮影した地球の写真は世界平和のために世界中に普及されるべきであり、意識改革はさらにすすめられなければなりません。わたしたち人間はこれからは "地球人" なのですから。


▼ 注1
岡本典明(原稿・構成)『アポロ月面着陸 ダイジェスト写真集』ブックブライト、2014年6月9日
アポロ月面着陸: ダイジェスト写真集

▼ 注2
アポロ13号は事故のため月目に着陸しなかった。

▼ 関連記事
写真集をつかって地球を大観する



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