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タグ:クラウド

150311 MacBook
「新しいMacBook」は3色(アップルのサイトから引用)

2015年3月9日(米国現地時間)アップルは、「ノートブックを再発明」とうたう新設計の12型ノートブック「新しいMacBook」を発表しました。重量は2ポンド(920g)、薄さは13.1mm、Mac 史上最薄最軽量を実現、カラー(仕上げ)は、シルバー・ゴールド・スペースグレイの3色です。2015年4月10日発売予定で、価格は148,800円からです(注1)。

数多くのレビューがインターネット上にすでにでていますので、ここでは、アップルのいう「ワイヤレスな世界のために完全装備」について強調しておきたいとおもいます。「新しいMacBook」は、ワイヤレス化がますますすすむ世界に対応できるように設計されています。

「新しいMacBook」には、ヘッドホン端子以外ではたった一つのポートしかありません。それは「USB-C ポート」とよばれるもので、充電・外部ディスプレイの接続・USB 3 速度によるデータ転送ができます。

このポートには従来の周辺機器は直接はつなげないのでアダプタを別途かわなければなりません(注2)。


これについては、「非常に不便であり、消費者のニーズを無視した進化」と批判する人もいます。

しかしアップルは、消費者の都合を“無視する”かのように数々の新製品をこれまでも開発してきました。たとえば、フロッピードライブの廃止、シリアルポートの廃止、ファイアワイアの廃止、CD-ROMドライブの廃止、ブルーレイにいたっては完全に無視しています。

したがって今回の「USB-C ポート」の件についてもおどろきではありません。むしろ当然の流れということでしょう(注3)。


アップルは、ワイヤレス・インターネットでつながれたクラウド(iCloud)をユーザーがつかうことを想定しています。クラウドのビジョンがまず先にあって、それにもとづいて商品を開発しています。つまりアップルは未来を先取りして技術革新をつづけているのです

ビジョンがなくて現状を維持しようとする人にとっては「消費者のニーズを無視した進化」という批判になるでしょうが、ビジョンがみえている人にとっては、なるべく効率的にあたらしい世界にすすんでいこうということになります(注4)。


クラウドのビジョンによれば、デバイスはすべてクラウドでつながるようになり、データもクラウドにおいておくようになります。あたらしいクラウドの時代に人類はこれから本格的に突入していきます

クラウドは機能的にはインターネットをつかうワイヤレスであり、このようなビジョンであればデバイスにおいて最後にのこるポートは電源のみということになります。その電源とても将来のいつかはケーブルがいらなくなるでしょう。たとえばソーラーパネルを搭載するなどして。

そして、クラウド・システムにおける情報処理の主体はあくまでも自分(人間)であって Mac や iPhone や iPad などのデバイスではありません。デバイスは情報処理をするときに役立つ単なる道具にすぎません。道具をつかいこなして一人一人が情報処理をすすめていくことがこれからはもとめらます。デバイスにただ依存していても情報処理はできません。わたしたちはクラウドに適応して主体性を発揮しながら情報処理をすすめていかなければなりません。


アップルの商品開発の歴史は、ビジョンをえがくことがいかに重要かを物語っているとおもいます。まずビジョンがあって、そして物が顕在化してきます。
 



注1:新しいMacBook >>
 
注3:MacBook Air の Retina ディスプレイ化を非常に多くのユーザーはまちのぞんでいましたし、それが消費者のニーズでした。しかしというか やはりというかアップルは、既存の製品のディスプレイをとりかえて現在のニーズにこたえるだけという陳腐なことはせず、未来を先取りした商品をまたしても投入してきました。「新しいMacBook」はこれからの MacBook ラインナップ開発の方向性をしめすものであり、現状の MacBook Pro が今後どのよにうに変更されるのかを予告する内容になっているとかんがえられます。

注4:近年の日本では「生きのこりをかけて!」という言葉がよくさけばれます。これは、過去の実績をなんとか維持してみがきをかけて、きびしい競争を生きのころうとするかんがえであり、そこには過去をみつめる視点があります。しかしアップルは過去にはとらわれず、そして現在のニーズも切りすて、未来のユーザーのニーズにこたえる新商品を開発しています。


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Apple の最新サービスである iCloud の進歩がつづいています。そのなかでも、iCloud Drive はとても便利です。iCloud Drive をつかうと次のようなことができます。
  • あらゆる書類を、クラウド上の iCloud Drive に保存しておけます。
  • iCloud Drive に保存した書類に、どのデバイスからでもアクセスできます。
  • Mac の Finder から、iCloud Drive のファイルが操作できます。
  • ファイルおよびフォルダを、すべてのデバイスで最新の状態にたもつことができます。
  • あたしいファイルおよびフォルダを、iCloud 対応のアプリケーションから作成することができます。
  • 複数のアプリケーションから同じファイルを編集することができます。


iCloud Drive を使うには、すべての iOS デバイスで iOS 8、そしてMac の場合は OS X Yosemite が必要です。
  • iOS 8 を搭載した iPhone、iPad、または iPod touch
  • OS X Yosemite を搭載した Mac
Windows の場合は、Windows 7 以降を搭載し、Windows 用 iCloud がインストールされている Windows パソコンが必要です。

お持ちのデバイスが iCloud Drive に対応するかどうか確認してください。


iCloud Drive へのアップグレードは、iCloud.com にサインインすればできます。iOS デバイスでは、「設定」→「iCloud」→「iCloud Drive」オンとすすめばアップグレードできます。


iCloud にサインアップすると 5 GB の無料ストレージがつかえるようになります。容量がもっと必要な場合は、追加購入することもできます。



なお、そもそも、クラウドストレージとは何かというと、その名前の通り、クラウドにおかれたファイル保管庫です。具体的には、Apple のサーバーに、Apple ID 所有者全員分のファイル保管庫が用意されていて、Apple ID 単位で同じ保管庫にアクセスしますので、複数のデバイスを所有していても、同じApple ID を設定しているかぎり、同じファイルが表示される仕組みになっています。

たとえば、Mac の Pages で書類を作成して iCloud Drive に保存すると、ほかのデバイスからでもその Pages のファイルにアクセスすることができます。インターネットに接続されていれば、すべてのファイルは自動で同期されます。

クラウドストレージを活用することで、「つくった書類を家にわすれた!」といった失敗がなくなりますし、Mac で書きかけの書類を、出張先で iPhone でひらいてつづきを編集するといったことができるようになります。

Mac OS X を、「Mavericks」から最新の「Yosemite」(バージョン10.10.1)にアップグレードしました。

「Yosemite」の最大の特色は、iOSデバイス( iPhone / iPad )と Mac との連携機能です。

iOS デバイスと Mac との連携機能をつかいたくて、かつ、約2年前よりもあたらしい Mac をもっている人は、「Yosemite」にアップグレードする価値があるとおもいます。ただし、iOS が iOS 8 である必要があります(注:ふるい Mac ですと、不具合が生じたり、処理速度がおそくなったりするので注意が必要です)。


「Yosemite」は、iOS 同様に、フラットデザインになり画面の見た目の印象がかわりました。フラットデザインは iOS との連携を視覚的にも強調しています。

「Yosemite」の新機能は、「Handoff」や「電話」、「iCloud Drive」などさまざまです。以下に、注目の機能について要約してみます。

  • Handoff」を使うと、iOS デバイスでの作業をそのまま Mac にひきついだり、Mac から iOS デバイスにひきつぐことが可能です。
  • Mac 同士または iOS デバイス同士でしかできなかった「AirDrop」によるファイル転送が、Mac と iOS デバイス間でもできるようになりました。
  • iPhone の通信回線を使ってインターネットに接続できる「Instant Hotspot」は、Wi-Fi 環境がない場所でも、Macからインターネットに接続できる機能です。
  • iCloudでは、「iCloud Drive」というオンラインストレージが使用できるようになり、Mac の Finder から簡単にアクセスできるようになり、あたらしいフォルダーもつくれます。あらゆる種類のファイルをすべて iCloud の中に安全に保存でき、保存したものには、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windowsパソコンからいつでもアクセスできます。iCloud では 5GB のストレージを無料で利用できます(それ以上のストレージは有料です)。
  • Mail Drop」は、メールアプリで大容量の添付ファイルを送信できる機能です。大きなファイルのやりとりが多いMacユーザーにはつかってほしい機能です。
  • 新しい「Safari」はより高速で動きもなめらか、iOSデバイスでひらいているページを Mac でも参照できるようになりました。
  • iPhone にかかってきた電話を Mac で受けたり、Mac から iPhone を通して電話することができます。Mac での作業中にバッグの中に iPhone を入れたままにしておいても大丈夫です。また、SMS/EMS を Mac のメッセージアプリでやりとりできる機能も追加されました。


ひとことでいえば、「Yosemite」と iOS 8 は、クラウド時代の本格的な幕開けをもたらすことになるでしょう。これからの時代は、Mac や iPhone や iPad は端末として機能することになるので、これらのハードウェアにはとらわれすぎずに、あくまでも、クラウドのシステムをつかっていくという立場にたった方がよいでしょう。

「Yosemite」にアップグレードして、あたらしいクラウドあるいは連携機能をためしてみる価値は十分にあるとおもいます。


Apple - OS X Yosemite - 概要 >>


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アップルストア表参道

アップルストア表参道に行ってきました。国内のアップルストアでは最大サイズのガラスパネルを使用した全面ガラスばり構造の建物で、表参道との一体感をかもしだしていました。展示スペースは、アップルストア銀座や渋谷よりもはるかに大きく、広々としていました。

注目は、Mac の最新 OS X「Yosemite」と iPhone/iPad との連携機能「Continuity」を実体験できるスペースが用意されていたことです。MacBook Pro と iPhone 6 と iPad Air 2 が1セットになって多数展示されていました。

ここでは、「Handoff」、「Instant Hotspot」、Mac で電話 などのあたらしい機能を実際にためすことができます。

「Handoff」とは、Mac と iPhone/iPad の間で、一方のデバイスでおこなっている作業をもう一方のデバイスにひきつげる機能です。

「Instant Hotspot」とは、Wi-Fi 環境がなくても iPhone があれば、Mac がインターネットにつながるとても便利な機能です。ただし、キャリア側で、テザリングのオプションに加入していないとつかえませんので注意してください。ソフトバンクモバイルの場合は 500円/月(加入から2年間は無料)がかかります。



これらの連携機能は、どこのアップルストアでも体験できますので、まずは、店に行ってためしてみるのがよいでしょう。使用方法がわからないときは、ちかくのスタッフがおしえてくれます。

また、あわせて、最新のクラウド(iCloud)も実際にためしてみるとよいとおもいます。

ある分野の最先端の技術を知ることは、その分野の全体像(大局)をつかむためにも役立ちます。

これからの時代は、個々のハードウェアよりも、このようなシステムや仕組みの方が重要になり、Mac や iPhone や iPad などは、システムのなかの端末としてすべてあつかわれるようになります。今後は、端末にとらわれるのではなく、システム全体を道具としてつかいこなしながら、みずからが主体になった情報処理をすすめていくことが重要でしょう。 


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携帯用無線 LANルーター(トラベルルーター)の “ちびファイ3” です。ホテルの有線LAN端子と接続するだけで、その場ですぐに、無線LAN環境を構築することができます。

最近は、iCloud などのクラウドを利用する人が増え、無線LAN環境がつねに必要なケースが多くなってきています。

しかし、旅行や出張先で、ホテルに入ってから有線LANしか利用できなかったり、無線LANが用意されていても速度がおそかったり、3G や LTE の電波状態がわるかったりしてこまることがあります。

そのようなときに “ちびファイ3” が役立ちます。

プラグをおこしてそのままコンセントにさしこみ、ホテルのLANコネクターとつなげるだけです。USB充電器やACアダプタは必要ありません。

小型軽量であるため旅行に持っていくことができ、簡単に、無線LAN環境をつくれます。


まとめ
  • 無線LAN環境を構築できるトラベルルーター。
  • コンセントにさしこみ、LANコネクターにつなげるだけ。
  • 旅行に最適。

注)LANケーブルは別途もっていくか、ホテルでかりてください。

iPhone 6 Plus に機種変更したので iPhone についていろいろしらべていたら、iPhone 6 & 6 Plus のCMがダサいと話題になっていることを知りました。



たしかにひどいCMです。

iPhone 5 のCM(下)がよかっただけに目立ちます。



そもそもアップルは、iPhone や iPad を通して、商品のスペックがどうだとか、性能がどれだけよくなったとかいうことよりも、あらたな生活のシーンあるいはライフスタイルをユーザーに提案してきました。

ここに、製造業(物づくり)の会社と情報産業の企業との決定的なちがいがあります。

たとえば、iPhone 5 のCMに見られるように、あたらしい撮影のシーン、撮影のあらたなスタイルを生みだしました。

あるいは、iPhone や iPad の録音で一般につかわれている MP3 はCDよりも音質はおとります。しかし、そのようなスペックよりも、あたらしい音楽のシーン、音楽をきくあらたなスタイルを生みだしたことに意味があります。

このような観点から iPhone 6 & 6 Plus をとらえなおすと、たしかに、大きさが大きくなってつかいやすくなり、性能も上がりましたが、あたらしいシーン、あらたなスタイルを生みだすという点では弱いといわざるをえません。

しかし、むしろ今後は、ハードウェアではなく、あたらしいサービスに注目した方がよいでしょう。

具体的には、iCloud をつかったクラウドコンピューティングがあたらしいシーン、あらたなスタイルを生みだしていくとかんがえられます。iCloud 同期にとどまらず、iCloud Drive、ファミリー共有、iCloud フォトライブラリ、iTunes Match などのあたらしいサービスがつぎつぎにつかえるようになりつつあります。こでは、iPhone とか iPad とか Mac などのデバイスにはとらわれずに、ユーザーが主体となってこのようなサービスをつかいこなすシーンが想像できます。

今はまだ、そのような段階への過渡期であるために、iPhone 6 のCMは現在のところは中途半端な内容になっているとおもわれます。

デバイス(ハードウェア)にとらわれるのではなく、クラウドの発展をとらえ、さらに、クラウドをつかった情報処理にこれからは注目していきたいものです。

 
▼ 関連ブログ
クラウドサービスが進展している 
iCloudのシステムを主体的につかいこなす 

「失速する iTunesミュージック 焦るアップルの過剰マーケティングにU2のボノもあきれる」という記事を見つけました(Yahoo!ニュース/ダイヤモンド・オンライン、10月29日)。

アップルの音楽ダウンロードサービスの「iTunes music」が、2014年初頭から13%も売上を落としたことが話題になっているそうです。
iTunes music のようなダウンロード型サービスにかわって台頭してきているのはストリーミングサービスです。ストリーミングは、自分のストレージに楽曲を保存・所有せずにインターネットを介して聞けるサービスであり、最近のユーザーはもっと軽快な方法で音楽をたのしみたいとおもうようになってきています。

このあたりの事情はクラウドについて理解するとわかってくるとおもいます。クラウドとはグーグルがおこなっているようなサービスであり、データはストレージにではなくクラウドにおいておき、ネットでいつでもアクセスできる仕組みになっています。最近、クラウドがいよいよ本格化しはじめたということが言えるでしょう。

この意味では、iPhone も iPod、iPad、Mac もまだクラウドストレージにはなりきっていません。最近発売され話題沸騰中の iPhone 6 においてでもそうです。ストレージ方式をまだひきずっているのです。

いずれ、デバイスはすべてクラウドデバイスになる時がやってきます。そのとき、情報革命はさらに一段 先にすすむことになるでしょう。

アップルは、ヘッドフォンとストリーミングサービスの会社であるビーツを30億ドルで買収、アップルの iTunes も来年には、ストリーミングサービスを iTunes に統合するとのことです。

ソニーという日本の世界企業から、グーグルというアメリカの世界企業へ転職しためずらしい人物の体験談です。2つのことなる大企業の対比をとおして、時代の大きな転換を読みとることができます。

目次はつぎのとおりです。

第一章 さらばソニー
第二章 グーグルに出会う
第三章 ソニーからキャリアを始めた理由
第四章 アメリカ留学
第五章 VAIO創業
第六章 コクーンとスゴ録のチャレンジ
第七章 ウォークマンがiPodに負けた日
第八章 グーグルの何が凄いのか
第九章 クラウド時代のワークスタイル
第十章 グーグルでの日々
第十一章 グローバル時代のビジネスマインドと日本の役割

要点を書きだしてみます。

一九九五年、社長が大賀さんから井出伸之さんに代わった。

社長も、前年、二〇〇〇年六月に出井さんから安藤さんに代わっていた。新設されたカンパニーのプレジデントには何人かの若手が抜擢されたが、私もその中の一人だった。

ソニーは、トリニトロンというソニーの歴史を作り上げて来た優れたCRT技術で圧倒的に強いテレビ事業を継続して来た。CRT時代の終焉は、まさに死活問題であった。

ビジネスの常、世の常であるが、あまりにも強いポジションを確保し過ぎると、逆にそれが大きな足枷になって次の勝負で大敗を喫する事例は枚挙にいとまがない。

本質的に私が問題だと感じたのは、結局テレビグループでは、テレビの定義があくまでも「受像機」ということであり、それ以上の発想がないように思えたことだ。

「ソニーショック」二〇〇三年四月の決算発表で、ソニーの想定外の業績悪化が明らかになった。

二〇〇五年六月、出井さんや安藤さんなど、当時の執行部が一斉に退陣した。

ソニーを変える、という自分の強い思いを実らせることは、残念ながら遂に出来なかった。

二〇〇六年三月三一日に、私は、二二年間勤めたソニーを辞めた。

二〇〇七年四月一六日、グーグルに入社した。

グーグルはすべてが新鮮であった。ソニー時代にさんざん苦労したネットの中に新しい収益源を見つけ出す、というテーマは、グーグルにあってはごくごく日常の話でもあり、ソニー時代にあんなに苦労したことがまったく嘘のようだった。

二〇%ルールというものがある。これは、持ち時間の二〇%は本業以外のテーマに使うことを奨励するものである。

グーグルの全容を表現しようとすれば、「クラウド・コンピューティングの世界を構築する会社」と定義するのが最もふさわしいと思う。

ウェブの世界では、まずやってみることが大事。それでユーザーが支持してくれればそれでよく、ダメならばすぐに撤退すればいい。大事なのはスピードである。そのためには、カジュアルさが不可欠なのだ。

インターネットの世界では、スピードが最も重要で、やるリスクよりやらないリスクのほうが高い。

楽しみながら仕事をする術を知っている人が強い。


■ 工業化から情報化へ転換した
本書でのべられている、ソニーからグーグルへという流れは、著者の転身であると同時に、製造業(工業)から情報産業への時代の転換もあらわしています。ソニーは製造業の企業ですが、グーグルは情報産業の企業です。本書のなかにでてくるアップルも情報産業の企業です。
 
この意味では、商品競争とか勝負とかいうまえに、ソニーとグーグルとでは、そもそものっている「土俵」がちがったのです。時代は、高度情報化へとすでに大きく転換しました。

この高度情報化という大転換の背景にはグローバル化という世界の潮流があります

グローバル化は、まず、工業のステージ(工業化)が先行し、 それに、情報産業のステージ(情報化)がつづきました。1990年代に、情報化への主要な大転換がおこったとかんがえてよいでしょう。したがって、ソニーとグーグルはそれぞれことなる2つのステージの見本とみなせます。

140725 工業化情報化

ちかごろ、近年のソニーの経営陣らのことをわるくいう評論家がいますが、時代の潮流の大きな転換があった以上、誰がやってもむずかしかったのではないでしょうか。ふるい骨格がのこったまま改革するのは困難でしょう。

本書は、観念的・抽象的にではなく、ご自身の具体的な実体験をとおして時代の大転換についておしえてくれます。実際の仕事をしていない評論家の単なる論評とはちがいます。


■ 情報はまずスピードである
グーグルに転職して著者は重大な発見をしました。「大事なのはスピードである」とのべています。

情報化時代における仕事(情報処理)は、まず第一にスピード、すなわちできるだけ速くやることが重要です。質の高さを求めるのは二の次です。完璧を期して着実にゆっくりやるのではなく、7〜8割のできでも速くやった方がよいのです。そのためには常にカジュアルでなければなりません。
 
本書のなかで著者ものべているように、このような面で、日本人の完璧主義は大きな欠点となっています。たとえば、ハイビジョンとかハイファイの開発といった質の高さを追求する仕事はあとまわしにすべきなのです。発想の転換が必要です。 

情報化社会における仕事(情報処理)は速くやる(速くアウトプットする)ことを最優先にしなければなりません。非常な重大な指摘を著者はしています。


▼ 文献
辻野晃一郎著『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』新潮社、2011年5月27日




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クラウドの時代に入って、高速モバイル通信が急速に整備されつつあり、「LTE」というあたらしい用語が目につくようになりました。

そこで、インターネットで「LTE」についてしらべたところ、「NTT東日本 FLET’S光」のウェブサイトに次のような説明がありました。

■ モバイル通信の規格である
「3G」(スリージー)、「4G」(フォージー)、「LTE」(エルティーイー)といった用語はモバイル通信の規格をあらわしています。

「3G」や「4G」の「G」は Generation(世代)の意味の頭文字です。かつては「1G」、「2G」がありました。いま注目されているのは次世代高速通信規格である「4G」です。

■ LTEは4Gの一種である
「LTE」とは、Long Term Evolution(長期的進化)の略で、「4G」のなかの一種です。

「LTE」は、以前は「3.9G」として位置づけられていましたが、「LTE」を「4G」とする通信業者が増えたため、最近では「4G」の一種としてとらえるのが一般的になりました。

「LTE」は下り75Mbps〜100Mbps、「3G」よりも高速であるため、動画視聴やアプリダウンロードのためにむいています。

■ スマートフォンなどを購入するときに参考にする
モバイル通信の規格についてあらかじめ知っていれば通信速度などが判断でき、スマートフォンなどを購入するときの参考になります。

たとえば、NTTドコモ「Xi」(クロッシィ)、ソフトバンクモバイル「SoftBank 4G LTE」などが「LTE」サービスを提供しています。また「WiMAX」は4G(3.9G)に相当する通信規格です。

■ Wi-Fiは、無線LANルーターを介して光回線につながっている
一方で、「Wi-Fi」とよばれる通信方式がひろくつかわれています。

「Wi-Fi」は、光回線(有線)につながれた無線LANルーターと通信します。無線LANルーターは、数メートル〜数十メートル圏内に設置しなければ通信ができません。したがって、「3G」「4G」「LTE」とはちがい、つかえる場所が限定されてしまいます。

しかし、最大数百Mbps対応の規格もあり、非常に高速で快適な通信ができます。

■ プラチナバンドは障害物につよい
また「プラチナバンド」とよばれる通信方式もあります。これは「特定の周波数帯域の電波」を意味します。携帯電話・スマホでは、1.5〜2GHz(ギガヘルツ)の帯域の電波がつかわれますが、プラチナバンドはそれよりも低い700〜900MHz(メガヘルツ)の帯域の電波を利用できます。

障害物にさえぎられにくい特性があり「高い価値のある周波数帯域」という意味で「プラチナバンド」とよばれます。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルでは一部のサービスで「プラチナバンド」をつかっています。

以上のように、「LTE」について理解し記憶しようとおもったら、その一語だけをとりだして理解し記憶しようとするよりも、それに関する周辺用語もあわせて全体的にとらえたほうが、各用語の比較もでき、理解が一気にすすみます

つまり、 なるべくたくさんの関連情報を一度に頭にインプットした方が理解がすすむということです。

情報処理の観点からいうと、インプットでは、なるべくたくさんの情報をまるごとインプットしてしまったほうが、あとのプロセシングにおける理解や記憶のたすけになるわけです。たくさんインプットするとおぼえきれないとおもうのはまちがいです。記憶の場は意外に大きいものです。

たとえば、本を2~3ページよんで理解できなくても、そのまま読みすすめていくと、一冊全部よみおわってみたら結果的には理解できたという経験は誰にでもあるものです。

情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)を意識して、まずは、まるごとすべてをインプットしてしまう方がよいです。情報はおのずと処理されてきます。

本書は、「脱パソコン時代」をきりひらくクラウドについて解説しています。

今まさに、「パソコンの時代」がおわり、「クラウドの時代」がはじまりました情報革命は今後はクラウドを中心にすすんでいきます。クラウドについてはやめに理解をすすめておくことは重要なことです。

本書から要点をピックアップします。

パソコンの次に、モバイル端末時代が来る。

クラウド・コンピューティングの定義は、「遠くにあるデータ・センターのアプリケーションを、インターネットなどの広域データ・ネットワークで様々な端末から利用するIT(情報処理技術)利用法」です。

ディバイスもクラウドをより使いやすくするために進化します。脱パソコン・ビジネスの本命はモバイル・ディバイスです。

クラウドは、イノベーション(革新)です。つまり、既存のサービスや商品、制度や価値観を破壊するとということです。ほとんどの商業メディアは生き残ることができないでしょう。マス・メディアに限らず、あらゆる場面においてイノベーター(破壊者)としてのクラウドは強敵です。

クラウドのための高度な放送通信インフラ(ブロードバンド)は急速に構築されつつあります。

アプリケーションとビッグ・データは、クラウド・データ・センターに集中していきます。

ユーザーは、クラウドにつながったクラウド・ディバイスをつかって、クラウド・サービスを利用するようになります。

現在の iPhone や iPad や アンドロイド携帯は、 アプリケーションが基本的にネイティブ・プログラムになっていて、クラウド・アプリケーション(ウェブ・アプリケーション)になっていないため、クラウド・ディバイスではありません。

クラウドに最適化されたクラウド・ディバイスは、これから出現することに気がついておかなければなりません。

クラウド・アプリケーション(ウェブ・アプリケーション)がつかえるのがクラウド・ディバイスです。HTML5という最新のウェブ規格を採用したウェブ・アプリケーションに注目しなければなりません。

そのクラウド・ディバイスはクラウド・サービスを利用しやすいように、ディバイスとサービスとの融合設計の結果として出現してくるはずです。どのようなクラウド・サービスがこらから提供されてくるのか注目されます。

情報洪水におぼれるのではなく、多種多様で大量の情報を処理しながらゆたかな生活をおくるために、クラウド利用の準備を順次すすめておくのがよいでしょう。


iCloud(アイクラウド)の機能を徹底的に解説した入門書です。iCloud をつかえば、iPhone や iPad を Mac や Windows と簡単に連携することができます。本書をよめば iCloud をすぐにつかいこなせるようになります。

iCloud をつかうと、写真や連絡先・メール・カレンダーなどの各種ファイル同期したり、iOS のバックアップが簡単にできます。Mac でも Windows でもつかえ、iPhone から iCloud の設定をおこなえばすぐに利用可能となります。

くわしくは本書をご覧いただければわかりますが、ここでは、「フォトストリーム」についてのみのべておきます。フォトストリームをつかうと ことなるデバイス間で撮影した写真を同期したり共有でき大変便利です。

いわゆる写真だけではなく、メモや書類を iPhone や iPad で撮影しておけば、自分は何もしなくても自動的にほかのデバイスでもすぐに利用できるようになります。Mac の iPhoto をつかっている方は写真やメモが自動的に保存され便利です。

「最速メモ」のようなメモアプリをつかえば、iPhone や iPad で書いた手書きメモが Mac に自動的に同期され活用できるになります。

iCloud にはほかにも役立つ機能が満載です。


文献:『iCloud徹底活用マニュアル』英和出版社、2013年12月25日
 
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近年急速に発達してきた「クラウド」に関する解説書です。

今後のITの進歩を予測するうえで、もっとも注目しなければならないのは「クラウド」であるといってよいでしょう。「クラウド」は、私たちのワークスタイルを着実にかえていきます。

本書の要点を以下にまとめておきます。
「クラウド」(雲)とはインターネットのこと指し、「クラウドコンピューティング」とは、グーグルやアマゾンがおこなっているサービスのことです。この用語は、グーグルCEOであるエリック・シュミットが2006年に講演した際に初めて使ったと言われています。

「クラウドコンピューティング」は、自分のコンピューターでデータを処理するこれまでの仕組みとはちがい、インターネットでつながれた外部のコンピューターに膨大なデータ処理をおこなわせるシステムです。グーグルやアマゾンなどは、個人のパソコンのかわりにデータ処理をおこない、その結果をインターネット経由でユーザーに提供してくれます。

クラウドが発達してくると高機能パソコンは必要なくなり、どんなデバイスを使うかは問題ではなくなります。いずれ、クラウドに特化したクラウドデバイスが登場するでしょう。

クラウドを活用したワークスタイルやビジネスとして、「ライフログ」と「クラウドソーシング」がトレンドです。

「ライフログ」は、私たちの日常生活における行動の記録(Web閲覧履歴、ブログ、写真投稿、改札の通過記録、携帯の位置情報など)です。これらの情報を処理して、個々人にメリットのあるサービスを提供することができます。

「クラウドソーシング」とは、ネットワークを通じてさまざまな人々とコラボレーションしながらひとつの物事をつくりあげていくことです。

これからは、データや知識を個人が独り占めするのではなく、クラウド上でデータと知識を共有し、それらを相互に活用して知的アウトプットをする時代になります。ここでは、どんな知識を持っているのかではなく、知識を活用して、どんな行動をとるのかが重要になります

以上のように、「クラウド」は私たちの世界を着実にかえつつあります。今日、地球規模の巨大な情報の「雲」が形成され、大きくうごきはじめたといってもいいでしょう。

これまでは、「情報量がおおすぎて、情報があふれかえっている」と多くの人々が形容していました。しかし、情報があふれかえってこまったというのではなく、巨大な情報の「雲」が形成され、それが運動をはじめたのです。これは、大げさにいえば人類と地球の進化です。

このような「クラウド時代」にあっては、「どんな行動をとるのか」が重要だと著者はのべています。

つまり、クラウドのもとで自分は何をしたいのか、自分自身の主体性がもとめられるのです。クラウドが何かをしてくれるということではありません。そのためには、クラウドを活用しながら、情報処理能力や問題解決能力を個々人が身につけなければならないでしょう。速読法・記憶法・速書法・発想法などの能力を身につけることが重要だとかんがえる理由がここにもあるのです。


八子知礼著『図解 クラウド早わかり』(kindle版)、KADOKAWA、2013年12月17日デジタル版初版発行
 

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関連ブログ:iCloudのシステムを主体的につかいこなす

アップルストア銀座のワークショップ「iCloud」に参加し、iCloudについて理解することができました。


USBケーブルをつかってデバイス(端末装置)を同期をするのではなく、iCloudとWi-Fiをつかって自動的に同期できるようになったところが大きな改革です。iPhoneとiPadのバックアップも自動的にしてくれます。Macは、これまでは“旗艦”(システムの中枢)として機能していましたが、もはやデバイスの一種になりました。


こらからはハードウェア中心ではなく、クラウドを中心にして総合的なシステムが構築され、様々な情報処理がすすむとかんがえられます。つまり、iPhone・iPad・Macといった端末装置(ハードウェア)にとらわれるのではなく、クラウドから端末装置をとらえなおし、総合的な情報処理システムを構築することがもとめられます。あたらしい総合的情報処理システムは、ハードウェア開発の延長線上ではなく、クラウドを中心にしてあらたにデザインしなければなりません。iCloudシステムの全体像をつかむことが重要です。


そしてユーザーは、このシステムをつかって何ができるかというよりも、自分が何をしたいのかを明確にすることがまず必要です。たとえばiPadは従来のコンピューターとはちがい、ユーザーの目的に応じて自在につかいこなすことができるデバイス(端末装置)です。iPadとiPhoneとMacとを適切につかいわけるのがよいです。iCloudシステムの中核になるのはコンピューターではなくユーザー、つまり自分自身(人間)です。コンピューターに何かをしてもらおうというのではなく、自分自身(人間)こそが情報処理システムの中核的存在にならなければなりません。主体性がもとめられます


たとえば、フォトストリームをONにすると自動的に写真が保存され、すべてのデバイスでおなじ写真が見られるようになります。様々なメモや記録の保存・閲覧方法としてこれは応用ができます。また、あたらしい音声入力をつかえば、文章化にかかる時間はこれまでの約4分の1に減ります。


ジョブズが、iPhoneやiPadそしてiTunesをなぜ開発したのかがわかりました。未来を見通していたジョブズのビジョンにあらためて感心しています。

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