発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

カテゴリ: 情報処理全般

本書は、次元について、イラストをつかってくわしく解説しています。本書を見ることで次元に関する理解をふかめることができます。

ポイントをピックアップします。

次元とは、1点の位置を決めるために必要な数値の個数であると定義できる。

0次元:大きさをもたない「点」の中では、位置を決めようがないので、「点」は0次元である。

1次元:「直線」は、基準となる点を決めておき、そこからの距離に相当する1個の数をあたえれば1点の位置がきまるので、1次元である。曲線でも同じことがいえるので曲線も1次元である。

2次元:「面」は2次元である。縦と横の目盛りを指定する数値(たとえばX=4,Y=3)をあたえれば1点の位置が決まる。

3次元:私たちの暮らす空間は、基準となる点から縦,横,高さの方向の三つの数値で位置を決めることができることから、3次元であるといえる。

次元の数は、点が動くことができる軸の数(自由度)とも一致する。1次元では一つ、2次元では縦,横の二つの軸がある。3次元では縦,横,高さの三つの軸がある。

1次元には「かたち」はないが、2次元では「かたち」が登場する3次元では、2次元にはない「立体」が登場する

ある次元の数をもつ空間は、それよりも低次元の空間を内部に含むことができる。

低い次元で不可能なことでも高い次元なら可能である
。 

私たちがものを見るとき、眼球の奥にある「網膜」は、外界からの光を受けとる「2次元」のスクリーンである。そのため、そのスクリーンには物体の像が並行的に映し出される。左右の眼球ははなれた位置にあるため、各スクリーンに映しだされる2次元像は同じにはならない。脳は、左右の網膜に写る像の「ずれ」をもとにして奥行き情報を補っている。私たちが見る3次元像とは、こうして脳内で再構成された「間接的な3次元像」にすぎないのである

アインシュタインにより提唱された「特殊相対性理論」により、3次元空間と1次元の時間はつねに一体となって変化することから、空間(3次元)と時間(1次元)をあわせたものが「4次元時空」とよばれるようになった。

アインシュタインは、「一般相対性理論」により、重力の正体が「4次元時空の曲がり」であることを示した。

物理学者たちは、現実の世界が4次元(以上の)空間であるかどうかについて、何らかの実験結果が今後数年のうちに得られるだろうと期待している。

「超ひも理論」では、宇宙は10次元時空であるとする。

私たちが住む3次元空間は、9次元空間に浮かぶ1枚のブレーン(膜)にすぎないと考えるのが「ブレーンワールド」仮説である。


このように本書は、0次元の世界から高次元宇宙まで、次元の不思議な世界を解説しています。

情報処理の観点からは「4次元時空」をフルにつかうことが重要です

たとえば、文章を前から後ろへ順番に(時間をつかって)音読・黙読するのは1次元的です。1次元だと直列的にしか情報を処理できず、大量情報を一気にインプットしようとすると脳はつまってしまいます。

そこで、視覚領域を活用して次元を2次元に高めると、情報の並列処理が可能になり、情報処理の効率は高まります。たとえば、近年のコンピュータは複数のプロセッサを並列させて情報処理をすすめていることからも、並列処理の有効性がわかります。

さらに、次元を3次元に高めれば情報処理の効率はもっと高まり、とりあつかえる情報量は圧倒的に増え、大量の情報が処理できるようになります。ここでは、わたしたちがすんでいる3次元空間をうまくつかうことがポイントになってきます。何かを記憶するときも、 イメージをえがくときも3次元空間の中でおこなった方がよいのです。

そして、3次元空間に1次元の時間をくわえて「4次元時空」にすればもっとよいわけです。 「4次元時空の中の1点は、場所と日時を指定すれば決めることができます。わたしたちは「4次元時空」のなかの1点に存在して暮らしてるのであり、わたしたちの人生は「4次元時空」における軌跡にほかなりません。したがって、「4次元時空」をフルにつかいきることは情報処理の観点からも生き方の観点からも自然な方法です。

たとえば、毎日、おなじルートを通勤しているだけで、ただ時間だけがながれていくといった生活は1次元的な生き方です。時間だけしかつかわないと1次元的な人生になってしまい、情報処理の効率も効果もいちじるしく低い状態にとどまり、とりあつかえる情報も非常にかぎられてしまいます。

そのような人はとにかく旅行にでかけることです。これだけですぐに1次元を打破でき、「4次元時空」の存在になれます

このように、次元を高めて「4次元時空」のひろがりとして人生を実践すれば、とりあつかえる情報量は格段に増え、ゆったりとした大きな世界のなかで余裕をもって情報処理ができ、ゆたかな情報とともに生きていくことが可能になります

なお、もし、5次元以上をとりあつかえるとすれば、情報処理の性能はさらにあがることになります。もしかしたら潜在意識は、もっと高い次元ではたらいているのかもしれないとかんがえるととても興味深いですが、現時点ではこれ以上の議論はできません。


文献:『次元とは何か 0次元の世界から高次元宇宙まで』(改訂版)(Newton別冊)、ニュートンプレス、2012年5月15日


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ネパール王国探検記―日本人世界の屋根を行く (1957年) (カッパ・ブックス)

ネパール王国探検記 (講談社文庫)

フィールドワークの記録をいかに書くか、『ネパール王国探検記』はそれを知るための原点となる非常に重要な本です。

1953年、ヒマラヤの巨峰マナスル登山隊の科学班の一員であった川喜田二郎は、ネパール王国に約半年間にわたって滞在し、ヒマラヤ山麓を踏査しました。本書はそのときの学術探検記です。おもに文化人類学的視点から当時のネパールの様子を詳細に記録しています。

川喜田が参加したのはマナスル第一次登山隊、この隊は、13名からなる登山班のほかに2名からなる科学班がつくられ、川喜田はこの科学班のメンバーでした。


ネパールの首府カトマンズはロマンチックな町だった。まず驚かされるのは、お寺の多いこと。まるでお寺で埋まっているかと思うばかりだ。見慣れないヒンズー教のもののほかに、日本の寺院建築から受ける印象と通じる木造のものが少なくない。

カトマンズを発って5日目のことだった。私たちのコースは、海抜1300メートル以上もある「ネパール谷」の盆地から、いったんは海抜2000メートル以上のカカニ丘を越え、それから一挙に亜熱帯の谷間へくだっていたのである。

われわれの歩んできた道、それはカトマンズとポカラとを結んで東西に走る、いわばネパールの東海道だ。

ヒンズー教の人生観が支配しているらしい亜熱帯では、同時にカースト制度の社会ができあがっているらしい。カースト制度というのは、インドの社会を支配する有名な階級制度である。それぞれの階級をなすカーストは、ほかのカーストとは絶対結婚しないといわれる。上級のカーストの者はとりわけ下級のカーストの者を不浄扱いし、ばあいによっては、体に触れることも厳禁する。各カーストには、それぞれ職分というものがあり、ほかの職業を自由にえらぶことができない。

カリ・ガンダキ。この大河は、はるかなチベット高原に源を発し、やがて、世界屈指の2巨峰 -ドーラギリとアンナプルナ- の間で大ヒマラヤを真っ二つに断ち割り、氷河の水をあつめつつさらに南へ、亜熱帯の世界へと休みない旅を続けている。

カリ・ガンダキ上流に位置するトゥクチェ。ここでくらすタカリー族の富裕階級は、高等教育を受けさせるために、自分の子弟ををインドの大学に送っていて、私が訪れた当時にはすでに、パナレス大学を卒業したマスター・オブ・アーツが一人生まれていた。

トゥクチェを過ぎると、峡谷はしだいに打ちひらけていく。いつのまにか私たちはすっかり様子のちがった世界に来ていたのだ。それは高原と砂漠の国である。たった数日行程のうちに、なんという変わりようだったろう。ここはチベット人の世界である。

チベット人の世界にふみこんでから、いちばん目につくもののひとつはおびただしいチョルテン(仏舎利塔)である。

チベット人がくらすカルチェ村にすみこんで。いたるところに牧場があった。耕作地がおしまいになっているところよりずっと上の方まで。

死体を粗末にするチベット人は、死体の霊魂のゆくえについては、どうやら非常に関心を抱いているらしい。この村では、人が死ぬとラマは彼の霊の死後の運命を占うのである。

愛することも厳しく、憎むことも徹底している。喜びにつけ悲しみにつけ、チベットの空のように鮮烈で深い。

純粋に遊牧的な生活をするチベット人にくらべて、半農半牧で定住生活をする農耕チベット人のほうに一妻多夫の割合が多いのは、定住生活のために財産をたくわえる見込みが多いためである。そのため、家産を分割すると不利になる事態が、いっそう頻繁に起こるからであろう。

熱帯の悪疫の流行する風土が教えた、衛生学的な経験の知恵と、それとむすびついて発展した心理的な物差しが、カースト社会の形成にたいして、ひとつの必要条件を与えてはいなであろうか。

私はまず、ノートに書き付けた記録を、片っ端から一枚ずつのカードに分解して書き写してゆく。カードの上端に、内容を一行で簡潔にあらわしたキャッチ・フレーズを書きこむ。

カードをバラバラ見ながら、思いつくままに、さらに小分けの項目を紙きれにひとつずつ書く。それから、そのメモを書きつけた紙きれを、机の上いっぱいに並べて、ああでもない、こうでもない、と思いながら順序だてる。それがすむと、それにしたがって、原稿を書き下ろすための第何章第何節というプログラムをつくる。そのプログラムどおりにカードを並べる。カードをくくりながら原稿書きにかかる。

人間というものは、表現してみなければ知識が身につかないものである。

ヒマラヤに住む人びとの映像がだんだんはっきりした形をとってきた。

紀行の形を借りて説いたフィールドワークの方法論への執着は、ついにKJ法となり、『発想法』『続・発想法』という諸著作へと展開してきたのである。


本書は、今から61年前におこなわれたネパール王国のフィールドワークのようすを紀行として記録するとともに、最終章では、ヒンズー文化・チベット文化・漢文化について、比較しながらそれぞれを考察をしています。

本書には、体験記録と方法論の二重構造が存在します。ひとつは、当時のネパール王国を知る貴重な記録であり、もうひとつはフィールドワーク方法論です。

フィールドワークとKJ法、情報処理の仕方についてまなぶうえで、本書は大いに参考になります。


本書では、取材法・取材学について解説しています。

取材法・取材学にとりくむにあたっても、取材活動の全体がひとつの情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)になっていることに気がつくことが重要です。ここに、取材法(フィールドワーク)を体系化する原理があります。

つまりつぎのとおりです。

 野外観察や聞き取り:インプット
 情報の選択・要約・編集など:プロセシング
 記録をつける:アウトプット

情報処理の観点から、取材法やフィールドワークをとらえなおすことには大きな意味があります。

本書の中心である、第2章「探検の方法」から「探検の五原則」と、第3章「野外観察とその記録法」から取材法の要点を書きだしておきます。

・探検の五原則
「探検の五原則」とは取材ネットの打ち方に関する原則である。テーマをめぐり、以下の原則にしたがってデータを集めよということである。
 
 (1)360度の視覚から
 (2)飛び石づたいに
 (3)ハプニングを逸せず
 (4)なんだか気にかかることを
 (5)定性的にとらえよ

・個体識別
 個々の現場に臨んだら、個体(もしくは個々のことがら)となるひとくぎりのものごとを発見する。これを「個体識別」とよぶ。ハッと思う個々のものごとにはなんでも注視の姿勢をとる。

・座標軸的知識
 個々のものごとのあいだにありそうな関係を枚挙してみる。その関係を観察したりたずねてみる。こうして「座標軸的知識」を構築する。

・点メモ
 観察した事柄について、点々と簡略化した記録をつけていく。これを「点メモ」とよぶ。この時点では完璧な記録をとる必要はまったくない。ハッと気づいたとき、すぐ「点メモ」するのが修業の根本である。

・ラクガキ
 簡単な絵にした方がわかりやすいときは絵をかいておく。これを「ラクガキ」とよぶ。

・その場の記録
「点メモ」と「ラクガキ」は野帳とかフィールドノートに記入する。これを「その場の記録」とよぶ。

・データカード(まとめの記録)
 永年保存ができ、しかも関係者で共有できるようにするために、今度は「データカード」に完全な文章としてデータを記入する。一単位のことがらにつき一枚の「データカード」にする。各カードに一行見出しをつける。

・データバンク
 データカードをファイルし「データバンク」をつくる。

情報処理の観点から上記を整理するとつぎのようになります。

 インプット:野外観察(個体識別など)。
 プロセシング:情報の選択、要約、座標軸的知識形成など。
 アウトプット:点メモ、ラクガキ、データカード、データバンク。

野外観察は、外部の情報を心のなかに入れることですからインプットに相当します。

インプットされた情報はその人の心の中で選択され、要約、編集されます。これはプロセシングです。

そして、「点メモ」などを書くことは、心の中にいったん入った情報をノートなどに書き出すことであり、これはアウトプットになります。

そもそも、何をメモするか、その時点で、情報を選択するという(あるいは情報を評価するという)、その人独自の情報処理がなされています。おなじものを見ても、メモをする事柄が人によってちがってくるのは、情報処理の仕方が人によってちがうからです。

本書で論じている取材法・取材学では、情報処理のプロセスの中で、観察・聞き取りなどインプットに重点がおかれています。一方、川喜田二郎が創案した「KJ法」はプロセシングに重点がおかれています。したがって、取材法(フィールドワーク)と「KJ法」は相互補完の関係にあります

また、情報処理の第3場面のアウトプットの典型は文章化であり、たとえば、本多勝一さんの「日本語の作文技術」などを練習すればアウトプットも強化され、情報処理の3場面がバランスよく実践できるようになります。

なお、「データカード」「データバンク」は、現代では、紙のファイルはつかわず、パソコンやブログをつかいます。たとえば、1件1記事の原則でブログ記事を書き、それぞれに見出しをつけて蓄積していけば、「データバンク」が自動的に形成され、検索も簡単にできるようになります。1記事がデータカードに相当します。ブログにはさまざまな機能が付属していて、情報活用のために大変便利です。あるいはフェイスブックやツイッターをつかうのもよいでしょう。


文献:川喜田二郎著『「知」の探検学』(講談社現代新書)講談社、1977年4月20日

 

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関連ブログ:
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仏像の見方・たのしみかたがよくわかる本です。

仏像に関する本は多数ありますが、この本はとても見やすく、わかりやすいです。1ページあるいは見開き2ページをつかって写真とともに簡潔に解説されています。わかりやすくつたえるためにはレイアウトも重要だということを再認識させてくれます。
 
第1章「やさしい仏像の見方」では、如来、菩薩、明王、天部、羅漢・高僧についてそれぞれ説明しています。

 
1)如来(にょらい)とは、真理の世界から来た者の意で、仏陀と同意です。釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来、薬師如来、毘盧遮那如来、大日如来などです。

2)菩薩(ぼさつ)とは、自らの覚りを求めるとともに、人々の救済を願い、福徳をもたらす仏をさしています。弥勒菩薩、聖観音、十一面観音、不空羂索観音、千手観音、如意輪観音、馬頭観音、准胝観音、文殊菩薩、普賢菩薩、虚空蔵菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩、日光菩薩・月光菩薩などです。

3)明王(みょうおう)とは、如来の教えに従わないものたちを忿怒相(ふんぬそう)の恐ろしい姿で懲らしめ、教化しようとする、密教の仏たちの総称です。不動明王、愛染明王、五大明王、孔雀明王、大元帥明王などです。

4)天部(てんぶ)とは、バラモン教やヒンズー教の神々が仏教に取り入れられたものの総称で、仏やその教えを護り、人々に現世利益をもたらす役目があります。梵天、帝釈天、金剛力士、八部衆、二十八部衆、四天王、毘沙門天、十二神将、吉祥天、弁財天、鬼子母神などです。

5)羅漢・高僧(らかん・こうそう)は、釈尊の高弟や最高位の僧、宗派の開祖など、仏教の普及に深くかかわった人々です。十大弟子、十六羅漢、 無著・世親、達磨大師、聖徳太子、義淵、行基、鑑真、空海、最澄などです。


情報処理・問題解決の観点からは、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)に注目するとよいでしょう。

文殊菩薩は「智を象徴する菩薩」です。それに対して普賢菩薩は「行(行動)の菩薩」です。虚空蔵菩薩は「憶力をさずける菩薩」です。虚空(こくう)とは「何もさまたげるものがない空間」の意であり、記憶は、このような広大な空間をつかっておこないます。空間記憶法は大昔から実践されていたわけであり、注目しなければなりません。

本書をつかって、 インドから日本までいたる東洋の広大な精神世界を、仏像たちを通して具体的に認識することができます。精神的・抽象的なことがらを、仏像を見ることにより、視覚的にとらえなおすことができるのです。

また、本書全体を心の中にインプットすることにより、東洋の精神世界全体の仏像による見取り図(スケッチ、インデックス)が心の中に生じます。抽象的なことがらは記憶しにくいですが、仏像はとても記憶しやすくできています。活用していきたいものです。


文献:熊田由美子監修『仏像の辞典』成美同出版、2014年2月20日

iCloud(アイクラウド)の機能を徹底的に解説した入門書です。iCloud をつかえば、iPhone や iPad を Mac や Windows と簡単に連携することができます。本書をよめば iCloud をすぐにつかいこなせるようになります。

iCloud をつかうと、写真や連絡先・メール・カレンダーなどの各種ファイル同期したり、iOS のバックアップが簡単にできます。Mac でも Windows でもつかえ、iPhone から iCloud の設定をおこなえばすぐに利用可能となります。

くわしくは本書をご覧いただければわかりますが、ここでは、「フォトストリーム」についてのみのべておきます。フォトストリームをつかうと ことなるデバイス間で撮影した写真を同期したり共有でき大変便利です。

いわゆる写真だけではなく、メモや書類を iPhone や iPad で撮影しておけば、自分は何もしなくても自動的にほかのデバイスでもすぐに利用できるようになります。Mac の iPhoto をつかっている方は写真やメモが自動的に保存され便利です。

「最速メモ」のようなメモアプリをつかえば、iPhone や iPad で書いた手書きメモが Mac に自動的に同期され活用できるになります。

iCloud にはほかにも役立つ機能が満載です。


文献:『iCloud徹底活用マニュアル』英和出版社、2013年12月25日
 
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定性的データを処理する方法である「KJ法」の原典です。今回は、その中核である第Ⅳ章「狭義のKJ法Ⅰランド」について解説します。

KJ法とは「データをして語らしめる」方法であり、具体的には、ブレーンストーミングやフィールドワークでえられた定性的データ(数量化できないデータ)を図解化して処理していく技術です。

これは、既存の仮説を確認したり、すでにできあがっている体系を学習したりするための方法ではなく、その逆の、あらたに仮説を発想したり、新規に体系を構築したりするための方法です。


以下に要点を整理します。
 
KJ法の手順は大局的にはつぎの通りです。

 《取材》→《KJ法1ランド

取材とは、フィールドワーク、記録類からの抜粋、討論、その他によりデータを取得することです。

KJ法1ラウンドの手順は以下の通りです。

 《ラベルづくり
   ↓
 《グループ編成》(ラベル拡げ→ラベル集め→表札づくり)
   ↓
 《図解化》(空間配置→図解化)
   ↓
 《叙述化》(文章化または口頭発表)

・ラベルづくり
 取材によって得られたデータをラベルに記入します。1枚1項目の原則にたって、1枚のラベルがひとつの「志」をもつように書きます。

・グループ編成
「ラベル拡げ」:データ化したラベルを自分の前に縦横にならべます。
「ラベル集め」:拡げられたラベルをすべて読み、「志」が似ていると感じられるラベルを集めてセットにします。セットにならない「一匹狼」がのこってもよいです。
「表札づくり」:セットになったラベルの内容を要約し、あたらしいラベルに「表札」として記入して、セットの上にのせクリップでとめます。

 グループ編成は、ラベルの束が数束以内、最大10束以内になるまでおこないます。

・図解化
「空間配置」:模造紙をひろげ、ラベルの束をすわりのよい位置に空間的に配置します。
「図解化」:
 模造紙にラベルを貼り付け、各グループごとに島どりをし、表札を転記、関係記号を記入します。
 各島に、「シンボルマーク」を記入します。「シンボルマーク」とはその島が情念的に訴えかける意味内容をズバリと表現したものです。
 図解の表題と註記を記入します。註記は、(1)とき、(2)ところ、(3)出所、(4)作製者、の順に記します。

・叙述化
 図解の内容をよく噛みしめて味わい、内容をストーリー化します。


以上をふまえ今回は、KJ法の上記の手順を、情報処理(インプットプロセシングアウトプット)の観点からあらためてとらえなおしてみます。

まず取材は、見たり聞いたりして情報を取り入れることでありインプットに相当します。

「KJ法1ラウンド」のうち、「ラベルづくり→グループ編成→図解化」は、定性的データをもとにしてイメージを形成していくプロセスであり、プロセシングに相当します。「ラベルづくり→グループ編成→図解化」の手順を「イメージ化」とよぶこともできます。

叙述化(文章化または口頭発表)は、メッセージを相手につたえることであり、外部にむかって情報をアウトプットすることです。叙述化は「言語化」とよぶこともできます。

したがって、情報処理の観点からKJ法をとらえなおすと以下のように整理できます。

 1.インプット:取材(観察・聞き取りなど)
 2.プロセシング:イメージ化
 3.アウトプット:言語化(叙述化)

取材については、 観察や聞き取りをあらたにおこなうことが基本ですが、過去に観察したこと、過去に聞き取ったこと、心のなかにすでにインプットされている情報を活用してもよいです。過去に見聞きしたことは記憶として心の中にすでに蓄積されています。そのためにはブレーンストーミングをおこない、過去の情報を想起します。通常は、まずブレーンストーミングをして記憶を想起し、そのつぎに取材にでかけて、あらたな観察や聞き取りをした方が効果的です。

KJ法で図解をつくっていくプロセスはイメージをつくっていくプロセスにほかならず、イメージをえがくことは情報処理の基本です。

KJ法によるイメージ化の特色の第1は、似ているデータをあつめるところにあります。ここでは類似性の原理をつかっていて、似ている情報はそもそも自然にあつまってくるのです。KJ法は類推の技術化といってもよいです。

第2の特色は、複数のラベルの内容を「表札」に統合・要約するときにおこなう圧縮表現です。この圧縮表現は、空間を利用した情報処理の次元を高め(情報処理の次元を2次元から3次元に上げ)、情報処理を加速しその効率を一気に高めます

第3の特色は、イメージ(図解)の中に言語がうめこまれていることです。このために、アウトプットの言語化がとても効率的にやりやすくなります。

このように、KJ法を、現代の情報処理の観点からとらえなおすことは重要なことであり、これにより全体の見通しがとてもよくなります。 


文献:川喜田二郎著『KJ法 -渾沌をして語らしめる-』中央公論社、1986年11月20日


文化発展に関する仮説を提唱している本です。川喜田二郎がしてきた仕事を時系列でたどりながら、仮説を形成していく過程をよみとることができます。

KJ法にとりくんだことがことがある方で、川喜田の半生の概要をてっとりばやく知りたい方にもおすすめできる本です。

川喜田は、パターンとして生きざまとして確立した文明としてつぎの7つの文明をあげています。
中国文明、ヒンドゥー文明、チベット文明、イスラーム文明、ビザンチン文明、ラテン文明、西欧文明があります。これら7つの文明は気候帯とほぼ一致します。また、独自の大宗教(高等宗教)と結びついているのが特色です。

こうして、まず、環境と人間と文明に関して大観し、地球の大局をつかんでいます。

これを踏まえて、つぎに、フィールドワークとアクションリサーチに入ります。具体的な地域としては、日本の東北地方(北上山地)とヒマラヤ山村を選択しています。ここで、KJ法をつかって情報収集とそのまとめをおこない、地域性について理解していきます。

そして最後に、文明と地域の両者を踏まえて、「文化発展の3段階2コース説」という仮説を提唱しています。これは、文化は、素朴から文明へと発展するものであり、「素朴→亜文明→文明」と「素朴→重層文化→文明」という2コースがあるとする説です。

詳細につきましては本書をご覧いただきたいとおもいますが、ここでは、仮説形成には3つのステップがあることを協調しておきたいとおもいます。

(1)グローバルにとらえる
(2)地域を研究する
(3)仮説を立てる

(1)では、地球を大観し大局をつかみます。これが、仮説形成のための前提になります。

(2)では、具体的な地域を個別に調査・研究し、データをあつめ、現場の事実をおさえます。

(3)前提と事実を踏まえ、仮説を発想します。

このように、前提→事実→仮説という3つのステップを踏んで仮説は形成されます。

ひとつのおなじ前提に立っていても事実がちがえば仮説もことなります。また、事実がおなじでも前提がことなれば仮説もことなってきます。たとえは、おなじ事実を目の前にしても、世界観(前提)がことなるために、仮説もことなるというのはよくあることです。

他人の仮説をみるときも、自分が仮説をたてるときも、前提と事実をしっかりおさえなければなりません。


文献:川喜田二郎著『環境と人間と文明と』古今書院、1999年6月3日
 
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潜在意識とその開発法について解説した本です。著者は以下のようにのべています。大変興味深いです。
潜在意識はいわば「自分の知らない自分」とも呼ぶべき存在である。人生のほとんんどはその潜在意識が動かしている私たちは知らない自分に操られている

潜在意識はフロイトが発見するよりもはるかに前に、古代からさまざまな分野で追求されてきた。ヨーガ、瞑想、それ以外の宗教的な行、武道などの身体鍛錬、気功など。

潜在意識の開発には3段階がある。第1は自覚、第2は制御、第3は発展である。

精神活動の全体を「会社」にたとえると、表面意識は「社長」に、潜在意識は「従業員」にたとえられる。( 会社モデル/35ページ)

精神活動のモデルとして「海」を用いると、陸地や島にあたるところは表面意識、海中の領域は潜在意識にたとえることができる。(海のモデル/39ページ)

精神活動を「森」にたとえると、潜在意識は森の内部に対応し、表面意識は森の周囲、文明化された領域に対応させることができる。(森のモデル/39ページ)

精神活動の全体が、生態系のなす仕組み(エコロジカルシステム)と類似の仕組みをもっている。環境保護の問題意識や方法論が能力開発の技術と直結する。

潜在意識の特性として、「心の場を広げる力」がある。これは、情報処理のキャパシティを広げて、大量の情報が処理できるようにすることである。それに対して、表面意識の特性は、発想を確認し、定着させ、具体的な形として実現させることである。

首や肩は潜在意識の掲示板であり、首こりや肩こりを自覚することは、潜在意識のひずみを自覚することである。首こりほぐしや肩こりほぐしは潜在意識のバランスを正す技術である。

速読法の秘訣は、中心視野からではなく周辺視野から情報を入れることである。周辺視野から入れた情報は潜在意識にダイレクトに入り処理される

旅行は潜在意識を活性化する。旅は潜在意識の大掃除である。潜在意識を変える一番確かな状況は、異空間に3日以上いることである。風景の背景に注目し、周辺視野の機能を高め、潜在意識にインパクトをあたえる。よい状態を維持するために、感動を振り返り、感受性を維持し、知的高揚を保つ。


著者は、速読法を入口とするSRS能力開発法(SRS=スーパー・リーディング・システム)をおしえています。わたしもこの訓練を長年つづけています。

SRS能力開発法のそれぞれの分野(速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法など)についての著書が多数出版されていて潜在意識についても解説されていますが、潜在意識に特化した著作は本書のみであり、本書を読むと潜在意識を基礎とした能力開発の全体像がつかみやすくなります。

栗田博士の速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法などの著作とあわせて本書を読むとわかりやすいでしょう。

潜在意識に興味のある方はもちろん、SRSの講習を受講したことがある方にとって必読の書だとおもいます。SRSの講習を受講された方には復習になるととともに、各分野の講習を総合的体系的にとらえなおすことができ、見通しが一気によくなるとおもいます。


文献:栗田昌裕著『潜在意識開発法』KKロングセラーズ、1999年3月5日

国立科学博物館の企画展「ダーウィンフィンチ -ガラパゴス諸島で進化を続ける鳥-」をみました。

ダーウィンフィンチは、南米沖のガラパゴス諸島とその北方ココ島にのみに生息する小型の鳥類であり、そのクチバシのちがいが進化をしめす具体例として知られています。本展では、アメリカ自然史博物館からかりうけたダーウィンフィンチの貴重な研究用剥製を展示してそれを解説しています。チャールズ=ダーウィンはこの鳥から進化論の着想を得たといわれています。

ダーウィンフィンチ類は、ホオジロ類の仲間であるフウキンチョウ科の鳥が200〜300万年前にガラパゴス諸島にたどりつき、昆虫食・花蜜食・種子食・雑食の食性に適応して、クチバシの形状が大きく異なる15種もの多様な種に分化しました。

国立科学博物館の解説によりますと、15種のダーウィンフィンチは以下の7つのグループ(亜種)にわかれます。

1)サボテンフィンチ類:長いクチバシ
 サボテンの実や葉・花・花蜜をたべます。

2)種子食地上フィンチ類:がっしりとしたクチバシ
 花・花蜜や地面に落ちた種子をひろってたべます。

3)昆虫食樹上フィンチ類:太いクチバシ
 主に昆虫をたべます。

4)キツツキフィンチ類:頑丈でまっすぐなキツツキ型のクチバシ
 樹木に穴をあけカミキリムシの幼虫や樹皮の下にかくれた昆虫などをたべます。

5)ココスフィンチ:細長いクチバシ
 雑食で、フルーツや花蜜・昆虫・草の種子などをたべます。

6)植物食樹上フィンチ:オウムをおもわせるクチバシ
 葉や芽や木の実などをたべます。

7)ムシクイフィンチ:もっとも細いクチバシ
 木の葉などについた昆虫などをつまみとってたべます。

以上のようにダーウィンフィンチは、餌という環境条件に適応するために、特徴的なクチバシの形を進化させました。この例は、ただ一つの祖先種から多様な形質の子孫が短期間に出現するという適応放散の代表例です。

このような現場のデータにもとづく具体例をまなぶことは物事の理解を促進させます。具体例を知れば知るほど物事の理解はふかまります。具体例は、一般論では気がつくことができない盲点をおしえてくれこともあります。具体例を知ることにより安易な一般論から脱出することもできます。具体例をファイルしてたくさん蓄積するることにより理解がふかまるだけでなく選択肢も増えてきます。

企画展や展覧会などでの体験をうまく活用して、具体例の体験的なファイルを増やしていくことが重要です。


▼ 関連記事
3D 国立科学博物館(記事リンク集)

▼ 参考文献
日本ガラパゴスの会著『ガラパゴスのふしぎ』ソフトバンク クリエイティブ、2010年3月25日
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本書は、ダーウィン・進化論・生態系・不思議な生き物・環境保全などについて多数の写真とともに解説していて、ガラパゴスの入門書・ガイドブックとして有用です。21ページおよび124〜128ページに、ダーウィンフィンチのクチバシについて解説されています。ただし、本書におけるダーウィンフィンチの分類は、国立科学博物館の分類とは若干ことなっています。


ジョナサン・ワイナー著『フィンチの嘴 ガラパゴスで起きている種の変貌』(ハナカワ・ノンフィクション文庫)早川書房、2001年11月30日
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ダーウィンフィンチのクチバシについてさらにくわしく知りたい方はこちらをお読みください。エルニーニョや大干ばつなどによって変化する種子の大きさに合わせて、フィンチのクチバシの大きさも変化することなどが記述されています。

 

発想法とは、アイデアを生みだしていく方法のことです。本ブログでは、旅行やフィールドワークを通して、さまざまに発想していく方法、あるいはそのためのヒントをとりあつかっています。野外科学とKJ法を基礎にしていて、現場でえられた情報を処理し、アイデアを発想し、問題を解決することをめざしています。

情報処理とは、〔インプット→プロセシング→アウトプット〕の3場面からなります。本ブログでは、人を、情報処理をする存在としてとらえ、人がおこなう情報処理をとりあげています。情報処理により、よくできたアウトプットをだすことをめざしています。


問題解決
とは、情報処理を累積しながら、課題にとりくみ問題を解決していくことです。本ブログでとりあげている方法はつぎの7つのステップからなります。

  1. 課題設定
  2. 情報収集
  3. 状況判断
  4. 現地調査
  5. 目標設定
  6. 計画実施
  7. 検証評価
上記の問題解決の7ステップの各ステップの内部において、情報処理をくりかえします。この過程でアイデアが発想できれば、問題解決は大きく前進します。

本ブログであつかっている発想法は、情報処理と問題解決の方法の全体を包括していますが、一方で、情報処理と問題解決をむすびつける役割も果たしています。 

 
「野外科学」とは現場の科学のことであり、現場でいかに情報収集をして、どのようにそれらをまとめて発想していくかを論じています。
第I章では、「野外科学」の概念について解説しています。

「野外科学」の姿勢・方法は未解決の課題を追求する探検であり、未開拓の空白領域をうめていく行為です。それはあたかも、どんな魚が釣れるかしらずに出かけてゆく魚釣りのようなものです。既存の仮説を検証すればよいというのではなく、あらたに仮説を発想したり、アイデアをうみだすことをめざします。

第 II 章では、野外調査法と記録の仕方についてのべています。具体的にはつぎのようにします。

(1)観察とインターヴューによって現場で情報収集(取材)をし、その結果を、現場ノート(フィールドノート)に記録します。現場でとったノートや日記は非常に重要です。真の権威は現場のデータにあります。

(2)データのまとめのために「データカード」をつかいます。情報のひとかたまりごとに、1枚ずつのカードにしていきます。「データカード」の実例(77ページ)は参考になります。

(3)調査結果の組み立て、文章化とアイデアや仮説の発想のために、「データカード」を1枚ずつ見ながら、要点を「紙切れ」に書きだします。それらの「紙切れ」を平面的にひろげ、もっともすわりのよい位置に空間配置をします。この空間配置を見ながら文章化をすすめます。このとき、「データカード」をもういちど見直しながらその内容をおりこんでいきます。あらたにおもいついたアイデアや仮説も書きとめます。

第Ⅲ章と第Ⅳ章は、野外科学の実践事例としてネパール探検とチベット探検のことが具体的に記載されています。

本書はふるい本ですが、原理的には今でも大変有用であり、本書でのべられている方法を現代の情報技術をつかっておこなえばよいのです。

上記(1)では、紙のノートをつかってもよいですが、タブレットやパソコンが現代では有用でしょう。

上記(2)のためのはブログが有用です。情報のひとかたまり(1ユニット)ごとに記事を書き、その記事を要約した見出しを各記事の上部につけていきます。ブログ1件が1枚の「データカード」に相当します。

ここでは、複数の内容を1つの記事におしこまないことが重要です。内容が2つある場合は、記事も2つに分けます。1記事1項目主義です。このようにすると、記事の要点を適切にフレーズにして見出しをつけることができます。

上記(3)では、各ブログの見出しをポストイットやラベルに書きだし、これを空間配置し、それを見ながらワープロをつかって文章化します。そのとき、ブログの記事(本文)を参照しながら、その記事をおりこんでいきます。

ポストイットやラベルを空間配置をするときに、既存の分類項目にとらわれないようにすると、あたらしいアイデアや仮説がうまれやすいです。既存の分類項目にとらわれない空間配置からの方が発想がでてきます。

なお、空間配置や図解化のために役立つソフトとしては OmniGraffle があり、これをつかえばポストイットやラベルはいりません。

このような行為をくりかえすことにより、ひとつの課題(問題解決)に首尾一貫してとりくむことができるようになります。

文献:川喜田二郎著『野外科学の方法』(中公新書)中央公論社、1973年8月25日

ソフト:OmniGraffle
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近年急速に発達してきた「クラウド」に関する解説書です。

今後のITの進歩を予測するうえで、もっとも注目しなければならないのは「クラウド」であるといってよいでしょう。「クラウド」は、私たちのワークスタイルを着実にかえていきます。

本書の要点を以下にまとめておきます。
「クラウド」(雲)とはインターネットのこと指し、「クラウドコンピューティング」とは、グーグルやアマゾンがおこなっているサービスのことです。この用語は、グーグルCEOであるエリック・シュミットが2006年に講演した際に初めて使ったと言われています。

「クラウドコンピューティング」は、自分のコンピューターでデータを処理するこれまでの仕組みとはちがい、インターネットでつながれた外部のコンピューターに膨大なデータ処理をおこなわせるシステムです。グーグルやアマゾンなどは、個人のパソコンのかわりにデータ処理をおこない、その結果をインターネット経由でユーザーに提供してくれます。

クラウドが発達してくると高機能パソコンは必要なくなり、どんなデバイスを使うかは問題ではなくなります。いずれ、クラウドに特化したクラウドデバイスが登場するでしょう。

クラウドを活用したワークスタイルやビジネスとして、「ライフログ」と「クラウドソーシング」がトレンドです。

「ライフログ」は、私たちの日常生活における行動の記録(Web閲覧履歴、ブログ、写真投稿、改札の通過記録、携帯の位置情報など)です。これらの情報を処理して、個々人にメリットのあるサービスを提供することができます。

「クラウドソーシング」とは、ネットワークを通じてさまざまな人々とコラボレーションしながらひとつの物事をつくりあげていくことです。

これからは、データや知識を個人が独り占めするのではなく、クラウド上でデータと知識を共有し、それらを相互に活用して知的アウトプットをする時代になります。ここでは、どんな知識を持っているのかではなく、知識を活用して、どんな行動をとるのかが重要になります

以上のように、「クラウド」は私たちの世界を着実にかえつつあります。今日、地球規模の巨大な情報の「雲」が形成され、大きくうごきはじめたといってもいいでしょう。

これまでは、「情報量がおおすぎて、情報があふれかえっている」と多くの人々が形容していました。しかし、情報があふれかえってこまったというのではなく、巨大な情報の「雲」が形成され、それが運動をはじめたのです。これは、大げさにいえば人類と地球の進化です。

このような「クラウド時代」にあっては、「どんな行動をとるのか」が重要だと著者はのべています。

つまり、クラウドのもとで自分は何をしたいのか、自分自身の主体性がもとめられるのです。クラウドが何かをしてくれるということではありません。そのためには、クラウドを活用しながら、情報処理能力や問題解決能力を個々人が身につけなければならないでしょう。速読法・記憶法・速書法・発想法などの能力を身につけることが重要だとかんがえる理由がここにもあるのです。


八子知礼著『図解 クラウド早わかり』(kindle版)、KADOKAWA、2013年12月17日デジタル版初版発行
 

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関連ブログ:iCloudのシステムを主体的につかいこなす

「一番多くのアサギマダラに出会った人」による、海をわたる謎の蝶アサギマダラの研究書です。アサギマダラは、春と秋に、1000kmから2000kmもの旅をするそうです。

著者は、アサギマダラの羽に標識を書いて飛ばし、遠隔地で再捕獲する「マーキング」とよばれる方法で地道にしらべていきます。最遠例としては、「福島県から台湾までの約2200kmの距離を移動して生き延びている」ことを確認しました。

小さな蝶が台湾までしかも比較的短期間で移動するということは常識ではかんがえられず、大変なおどろきであり興味がつきません。

本書をよんでわたしは2つの点で感動しました。

ひとつは、マーキングとよばれる方法で10年間にわたり地道にデータを蓄積し、アサギマダラの移動の全容をあきらかにしたことです。著者は、「その旅は偶然に動く『物』の移動とは異なり、心を持った雲が動き、日本列島を群雲のように動くのです」とのべ、アサギマダラを「心をもった生命体」としてとらえています。

アサギマダラは「より広い範囲をとらえて『大局判断』をしながら移動している」と推測し、「大域をつかさどる仕組みがあるはずだ」と説明しています。

もうひとつは、著者は、分析ではなく確率をつかって移動の謎の解明にアプローチしていますが、その先にある「確率を超えようとする性質」について言及していることです。

「分析的な研究では事実の断片しかわからず、蝶の移動すら予測できない」ので、「より包括的、総合的なアプローチとして、アサギマダラを小集団や大集団とみなして確率的に把握する方向で考えている」のだそうです。

分析的方法(あるいは実験的方法)は科学者がごく普通にもちいている方法であり、また確率は、数学者・統計学者などもとりくんでいて、分析と確率までは既存の学問の範囲で理解できるとおもいます。

しかし最後に、「確率を越えようとする性質」について言及し、確率のさらに先の世界があることを示唆しているのです。そして、「心をもった生命体」としてアサギマダラをとらえた著者は「心の世界にも法則があるのではないか」とのべています。

本書は、謎を探究することのおもしろさをおしえてくれるとともに、生命の本質について重大な問いかけををわたしたちにしていると感じました。


文献:栗田昌裕著『謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?』PHPエディターズ・グループ、2013年9月20日発行
 

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仮説を形成することは発想法のなかでもとくに本質的な行為です。

哲学者の梅原猛さんは、縄文人がつくった土偶について大胆な仮説をうちだしています(注)。仮説をいかに形成するかという点で参考になります。


縄文時代の土偶は縄文文化のかがやかしき遺物ですが、それが何を意味するのかは謎でした。梅原さんは、まず、すべての土偶に共通する事実を枚挙し、つぎのようにまとめました。


1「土偶は女性である」
2「土偶は子供を孕んだ像である」
3「土偶は腹に線がある」
4「土偶には埋葬されたものがある」
5「土偶はこわされている」


そして、これらにもとづいて次のような考察をしました。


1と2から、土偶は、子供の出産にかかわっているものであると考えられる。

3から、 妊娠した女性が死んだとき、腹を切って胎児をとりだしたのではないだろうか。

4から、死者の再生をねがって埋葬したのではないだろうか。

5から、あの世はこの世とあべこべの世界であるという思想にもとづいて、この世でこわれたものはあの世では完全になるのであるから、こわれた土偶はあの世へおくりとどけるものとしてつくられたのではないだろうか。 土偶は死者を表現した像であり、死者の再生の願いをあらわしていると考えられる。土偶の閉じた目は再生の原理を語っている。


以上から、「妊娠した女性が死んだとき、腹を切って胎児をとりだし、その女性を胎児とともに土偶をつけて葬ったのではないか」となり、そして最後に、土偶は、「子をはらんだまま死んだ妊婦と腹の子をあわれんでの、また、再生をねがっての宗教的儀式でつかわれた」という仮説を形成しました。

このように、土偶の謎をときあかすためには、すべての土偶に共通する事実を枚挙し、それらの事実すべてを合理的に説明しうる仮説をかんがえればよいわけです。

梅原さんは、仮説形成の仕事をつねにしています。仮説形成の観点から梅原さんの著作に注目していきます。


▼ 注
梅原猛監修『縄文の神秘』(人間の美術1)学習研究社、1989年11月3日(初出)
梅原猛著『縄文の神秘』(学研M文庫)学研パブリッシング、2013年7月9日
 
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情報処理の1サイクルは「インプット→プロセシング→アウトプット」です。この1サイクルをおわってみると何らかの反応が内外にあらわれてきます。その反応をとらえてあらたなインプットにむすびつけるのがよいです。

「インプット→プロセシング→アウトプット」→反応→次の情報処理

このように情報処理を回転させ循環させ、さらには、サイクルをスパイラルにして情報処理のレベルをあげていくのが理想です。情報処理の回転は問題解決へとつらなります。じっとしていると不安定ですが、回転させることによって安定します。コマの原理とおなじで、回るものはたおれません。

情報処理や問題解決をすすめるうえでもっとも必要なことは当事者の主体性です。

私は長年、発展途上国で環境保全の仕事をしていますが、発展途上国がいわゆる援助漬けになり、発展途上国の人々が援助慣れしてしまった事例を数多くみてきました。先進国からの援助をうければうけるほど、その人は、みずから学び、成長し、発展する貴重なチャンスをうしなってしまいます。そこには主体性はありません。

このような状況から私は援助活動はせず、環境保全活動に徹するようにしています。

必要なことは、ご自身の主体性であり自立と自律です。これは日本人でもおなじです。依存心をすて主体性をもって自立・自律の道をすすんでいかなければなりません。

第221回SRS特別講習「活知法(活知応用学習法)」を受講し以下をまなびました。

「活知」とは生きた知識のことであり、「活知法」とは、命が宿った生きた知識を活用する作業の全体をいいます。生きた知識を重点的にまなび、そこを起点にしてそれをふくらませる作業を通して学習効果を高めることができます。生きた知識は心の中で成長していきます。すると、ある分野に関して体系的な理解ができるようになり、その本質を知ることができます。

活知法を通してSRS記憶法をとらえなおすこともできます。人生を旅しながらゆたかな体験記憶をふやしていきます。「いつ」「どこで」という時間と空間をおさえて記憶することがポイントです。さらに、知識を響かせる「エコーイング」により、知識を潜在意識に周知させます。また、「要」「集」「観」「展」「創」「力」のポイントを踏んで出力(速書)をします。

断片的な知識をあつめているだけでは意味がなく、体系的な理解をして本質を知ることが重要だとおもいました。体系には本質があり、本質は原理といってもよく、しばしばそれは仮説として提案されるとかんがえられます。活知法を実践し、「活知」をふくらませるようにして認識をふかめ、新たな世界や未来を予感することができるようになりたいものです。

『仕事を10倍速くきちんとこなす技術』(注)には、仕事をすすめるための基本的技術「確速仕事法」あるいは「確速達成法」についてくわしく解説されています。

仕事の基本は情報処理をおこなうことであり、この情報処理とは、入力→処理→出力というプロセスからなっています。

この情報処理の体系の中に、速読法、整理法、記憶法、速書法、健康法の各技術を位置づけて実践していくのがよいです。入力系では速読法、出力系では速書法をつかい、これらの間に位置する処理系では、整理法・記憶法が役立ちます。各技術をバランスよくもちいて、自分の内面、心をととのえるとともに体もととのえられます。なお、ここでいう整理法とは内面(心)をととのえることであり、机の上の紙の書類を整理することをさしているわけではありません。

こうして情報処理の効率をあげ、心身を引きしめ、しまりをよくしていきたいものです。

注:栗田昌裕著『仕事を10倍速くきちんとこなす技術』PHP研究所、2009年
仕事を10倍速くきちんとこなす技術

DVD『ヒマラヤ動物紀行』(飯島正広)を見ました。

ネパール南部・亜熱帯のチトワン国立公園から、ソルクーンブ・エベレストの近く、そしてツルのヒマラヤ越え(アンナプルナ越え)と多様な動物をみていきます。それぞれの動物は環境に適応して生きています。環境がことなれば動物もことなるので、それぞれの動物は環境の指標にもなっています。動物を見れば環境がわかり、環境がわかると動物が見えてきます。

動物と環境とはセットにしてとらえなければなりません。動物-環境系が一つのシステム(体系)です。それがわかれば生命を高い次元でとらえなおすことができます。

人間は、基本的に情報処理をする存在です。つまり、環境から情報を取り入れ、情報を処理し、その結果を環境にアウトプットしています。

よくできた情報処理ができると、人間と環境との適切な相互作用をうみだすことができます。すると人間と環境とは調和し、人は環境に適応できるようになります。人間は、環境から一方的に影響をうけるのではなく、環境をうまく利用するという観点も重要です。

このようにかんがえると、環境は、単なる生活の枠組みということでなく、ひろい意味で人間の延長であり、大きな意味での自分の部分にもなってきます。
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