発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

カテゴリ: インプット

 
本書は、新聞(紙面)を読むことにより、次の7つの力をみがくことができると解説しています。

・書く力
・伝える力
・見せる力
・数字力
・ニュース力
・想像力
・コミュニケーション力
新聞の朝刊1部には、新書版の書籍2冊分の膨大な情報が詰まっていて、その紙面には、いろいろな工夫がなされています。たとえば、
・決められた紙面の中で、簡潔に分かりやすく伝える工夫
・忙しい人たちのために、見出しでパッと全体像をつかむ工夫
・文字だけでなく写真でも、記事内容を説明する工夫
これらのポイントを知るだけで、新聞は読みやすくなり、さまざまなスキルを磨く手助けになる

と著者はのべています。

新聞(紙面)を読む人は近年すくなくなってきているようですが、新聞は、情報処理あるいは速読の訓練のためにとても有用です。

新聞(紙面)がすぐれていることのひとつは一覧性です。大きな紙面、大きな空間に多種多様な情報が配置されています。ここではレイアウトも重要です。

その空間の中で情報をよみとり、そのレイアウト(構造)のなかで情報を記憶することができます。これは、空間を利用した情報処理の訓練になっているのです。しかも、書籍よりも紙面が圧倒的に大きいため、おおきな空間の中で情報処理にとりくむことができ効率がいいです。

情報は、ただ単に取得すればよいというものではなく、インプットの仕方を工夫しなければなりません。大きな空間をつかってまるごと一気にインプットすることはとても大切なことです。したがって、新聞は、読むのではなく、まず、「見る」ことが重要です

よくできたアウトプットをだすために、 空間的な情報処理訓練の教材・テキストとして新聞を活用していきたいものです。


文献:池上彰著『池上彰の新聞活用術』ダイヤモンド、2010年9月30日(電子版2012年7月1日)
 
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「モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」(国立西洋美術館)(注)を先日みました。

風景にそそがれたモネの「眼」の軌跡を、絵画空間の構成という観点から、他の作家の作品との比較しながらたどります。国内有数のモネ・コレクションをほこる国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画展です。

わたしはいつものように、館内をゆっくりあるきながら、まず、展示されているすべての作品を一気にみてしまいます。

そして次に、気に入った一枚の絵の前に行き、数分をかけてその絵を今度はじっくりとみつめます。そしてイメージトレーニングに入ります。今回は、クロード・モネ『セーヌ河の日没、冬』(1980年 ポーラ美術館蔵)を選択しました。

* 

目の前にひろがるその風景の全体をすっぽり心の中にいれたあと、夕日と夕焼け、それらがつくりだす陰影 、河・水・岸・対岸・木々、雲がつくりだす模様など、各要素の形と大きさをひとつひとつ丁寧にみていきます。

次に、今度は目を閉じて、今みた風景と各要素をありありとおもいだしてみます。自分自身の心の中で、モネの風景をイメージし、再現しとらえなおしてみるのです。

そして目を閉じたまま、今度は絵の世界の中へ入りこんでしまいます。わたしは、セーヌ河の河岸を自由にあるきまわり、そして空にまいあがります。上空からみると、みえなかったところも今度は自由に想像してみることができます。

東西南北からセーヌ河がうかびあがります。対岸の街並はどこまでもひろがっています。夕日はしだいにしずんでいき、夕焼け色のうつくしい世界がひろがります。その後、色彩感ゆたかな空間だけがのこり要素はなくなってしまいました。

そして、ふたたび美術館にもどってきます。

* 

このようなイメージトレーニングはとてもたのしい体験です。

対象の中に入りこみ、その世界を立体的にみて体験することにより、風景は、より鮮明に感動をともなってみえるようになります。 視野のひろがりのなかのそれぞれの場所でそれぞれの要素を記憶することもできます。

こうして、この日の美術展での体験は、一生に一度の、かけがえのない思い出となります。この日この場所をわすれることはもうありません。

このようなイメージトレーニングは、眼力の訓練でありますが、記憶法や能力開発の訓練にもなっています。


注:
「国立西洋美術館×ポーラ美術館 モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」
会期:2013年12月7日(土)~2014年3月9日(日)


▼ 参考文献:高橋明也監修『モネと画家たちの旅 -フランス風景画紀行-』西村書店、2010年1月15日

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旅をしながら内面世界をゆたかにする 〜『モネと画家たちの旅 -フランス風景画紀行-』〜
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色がまざって見える - 特別展「新印象派 光と色のドラマ」-
遠くからみて、近くでみて、離れてみる - 「モネ展」-
見る仕組みを知る - 藤田一郎著『「見る」とはどういうことか』-

 

本書は、速読法を身につけるためのトレーニング本です。

多種多様な情報があふれる今日、速読法は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の中の第一場面、すなわち心の中に情報をインプットする方法としてとても有用です。私も長年、速読法(栗田式SRS速読法)の訓練をしています。

本書で私がおもしろいのとおもったのは、「速読の近道は風景の見方にある/写真を一分間見て、最大の情報を得る」(14ページ)から、「新聞の紙面を風景としてとらえて速読する」(32ページ) へとつらなり、「『画像メモリ』を自由に活用できるようにする」(56ページ)へと深化、そして「立体的に対象を見て視覚的知能を高める」(76ページ)に発展するところです。

こうして速読法の訓練は、眼力訓練から記憶法の訓練にもつながっているのです。

このような流れのなかで、「『きちんと見る』ことと、周辺視野で『大きく見る』こととを同時におこなう訓練」がくりかえされていきます。

著者は、「本を読んでわかるということは、読者の内面と本のページの上の情報との間に共鳴が生じることです。だから、速読力を高めるには共鳴力を高めることが大事なのだ」とおしえています。

「速読の訓練が、直観力を磨き、大局をとらえる訓練になってい」て、「潜在能力を最大限に開発するのに役立つ方法」になっています。こうして、能力開発の入口として速読訓練がなされていくのです。

他書とちがって大判で図解がみやすく、とてもわかりやすいです。速読法の入門書として本書をおすすめします。


文献:栗田昌裕著『これは使える!【図解】栗田式速読トレーニング』PHP研究所、2005年4月27日
 

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新聞の紙面は、見出し・記事要約・記事本文から基本的になっています。つまり、まず見出しがあって、最下段に記事本文があり、両者の中間に要約が配置されています。

記事要約は記事本文を要約した文であり、見出しはその要約を圧縮したフレーズです。要約は記事を統合し、見出しは要約を統合しています。

構造的にみると、見出しはいちばん高い位置にあり、記事本文は底辺にあって、見出しは、より高い位置からこまかい情報を統合しています。

このように、新聞の上にのっている情報群から3次元空間をイメージすることが可能です。要約と圧縮表現をすることにより、情報は3次元の立体空間をつくりだすことになるのです。

新聞を読むときにこのような立体空間をイメージすると情報処理の効率は格段にあがってきます。

フィールドワークでは、現地あるいは現場の観察が必須であり、そのためには観察力を常日頃から強化しておくことが重要です。

観察とは、言語(書籍)からではなく、視覚情報を環境から吸収することであり、イメージで外界をとらえることです。つまり、言語を通さないで風景などをダイレクトに感じとり、言語をもちいないで映像としてその場をとらえることです。

そのためには視覚をするどくするとともに、イメージ訓練をするのがよいです。たとえば旅先で風景をみたら、目をつぶってそれを思い出す(想起する)訓練をします。時間があれば、風景をみないで思い出しながらその風景をノートにスケッチしてみます。風景を見ながらスケッチする(うつしとる)のではありません。あくまでも想起するところに訓練の基本があります。どこまで正確に想起してイメージをえがけるでしょうか。

このようなイメージ訓練をしながら、風景を構成する地形や川・建物さらに人に意識をくばるようにします。

このような観察はフィールドワークの入口として機能し、観察がよくできるとその後のフィールドワークを大きく展開させることができます。そして、環境や地域をよりよく知ることにつながってきます。

フィールドワークや旅行をするときに、Googleマップと Google Earth はとても役にたちます。

まず、フィールドワークや旅行にいく前に、Googleマップと Google Earth をつかって こらからいく場所のパノラマ的なイメージをえて、その場の全体を心の中にすっぽりいれてしまいます。これは、部分をつみあげて全体をつかもうとするのとはまったくちがい、全体を一気に見てしまう行為です。

そのうえで現地にいき、こんどは地上からそれぞれの場所の細部を詳細にみます。

そして帰宅後、もう一度 Googleマップと Google Earth を見直せば、前回以上に全体がよく見えてきます。さらに、よい発想がうまれたり本質が見えてくるかもしれません。

このような簡単な行為をくりかえしているだけでも、心の中に地図の記憶が生じ、心のあらたな空間を確立することができます。

本ブログの課題のひとつである情報処理は「インプット→プロセシング→アウトプット」という3つの場面からなりたっています。そのなかのインプットとは、様々な情報を自分の心のなかに取り入れることです。

そのインプットの仕方には、簡単な方法からむずかしい方法まで3つのレベルがあります。

初級レベルのインプットは読書です。すでに体系化されている情報を自分の心にインプットします。そのために速読法を訓練するのもよいです。

中級レベルとしては、インターネット・新聞・雑誌・テレビなどから二次的断片情報を自分の課題にそって収集し読みこみますます。 断片情報があつまっただけではよくわからないので、 断片を編集したり統合したり体系化したりする作業が必要になってきます。ややむずかしいです。

上級レベルとしては、フィールドワークや実験をおこない一次情報を収集し読みこみます。フィールドワークは現地調査とよばれることもあります。みずから主体的に行動をおこさななければなりません。それぞれの専門分野ごとにやり方があり上級者向けです。専門学校や大学で専門的な訓練をうける必要がある場合が多いです。

インプットの訓練としは、まずは、読書あるいは速読からはじめるのがよいでしょう。

すぐれたサッカー選手は、1個のボールと周囲の選手の動きとを同時に見ることができ、ボールがどこへ飛んで行くかを予見できるそうです(NHKスポーツ解説)。つまりその選手は視野が非常にひろく、個と全の両者の変動を瞬時にとらえることができるということです。

たとえば、相手チームの選手Aにボールがきて、選手Aは選手Bにパスをしようとおもっています。選手Aのところにまだボールがあるのに、選手Bがけるボールが飛んでいく所がすぐれた選手にはわかります。Aではなく、そのあとのBがけるボールがどこへ飛んでいくかを、AとBとそれらの周辺にいる選手の動きから予見しているのです。予見のために、1個のボールの動きとともにフィールドの全体もが見えなければなりません。このような選手は視野が非常にひろく、中心視野とともに周辺視野をフル活用しているといえます。

視野をできるだけひろくすることは球技だけではなく速読やフィールドワークにも通じる重要なことです。

「オーディオの音質を向上させるのは、写真ではなく絵画の技法です。原音にこだわっている間は、生演奏を超えることはできません」(注)

そもそも音楽とは音の記録ではなく芸術です。たとえばベートーヴェンの交響曲第5番「田園」は、小鳥のさえずりや小川の流れ、村人の様子などを音であらわしていますが、ベートーヴェンは原音を再生しようとしたわけではなく、田園の原風景からエッセンスをとりだし、それらを音にたくして私たちにつたえようとしたのです。したがってすぐれた演奏をきけば、なまの現実をみる以上にそのエッセンスがよくわかるのです。

このように、絵画が現場の記録写真ではないように、音楽も音の記録ではなく、作曲家がメッセージをつたえようとしているのですから、私たちは絵画をみるように音楽をきいて、作曲家からのメッセージをうけとり理解することが重要です。

このような観点からオーディオ装置をとらえなおすと、いかに忠実に原音を再生するかではなく、どれだけ作曲家のメッセージがつたわるかが大事であることになります。


注:逸品館メルマガ 2012-4-28

151212 美術・言語・音楽

美術は視覚あるいは目の芸術であり、音楽は聴覚あるいは耳の芸術です。

これらに対し言語あるいは文学は、文字を見ることもできるし、音で聞く(あるいは音読する)こともできます。このような観点からは、言語は、美術と音楽との境界領域に位置づけることができます。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、考察をおこなう際に論敵を想定して、彼らとの問答形式で議論を展開していたことが「レスター手稿」に記録されている。こうした問答形式による論証法は、ソクラテスやプラトン、アリストテレスなど、古代ギリシアの哲学者たちがすでにもちいていた方法であるという(注)。

問答形式を利用して議論を展開する方法は現代においても非常に有効である。つまり、何らかのプレゼンテーションをする際に、感想や意見・批判を参加者から積極的にあつめ、それにこたえる形で議論をすすめる。

ウェブサイトに「質問&回答集」をつくってもよい。自分の発表に対する反対意見や批判は一見するとマイナスのようであるが、このような問答形式を採用することにより、それらは重要な情報として機能し、あらたな情報を生みだしていく。問答形式は、聴衆や読者あるいは論敵との共同作業をすすめるようなものであり、これにより探求はさらにふかまっていくことになる。

このように、感想や意見・批判は重要な情報であるのだから、何かを発表するときには、周囲から意見などが出やすいようにあらかじめ工夫しておくことが大切だろう。たとえば、発表をする前に、感想や意見を記入する用紙をあらかじめくばっておくのがよい。



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▼ 注
裾分一弘・片桐頼継・A.ヴェッツォージ監修『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』(図録)、TBSビジョン・毎日新聞社発行、2005年


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