本書は、勉強や学習の方法・技術について体系的に解説しています。

目次はつぎのとおりです。

第1章 勉強は楽しいものだ
第2章 勉強はスピーディにできるものだ
第3章 勉強は簡単にできるものだ
第4章 勉強をすればするほど元気になる
第5章 勉強はよく覚えられるものだ
第6章 勉強は役立つものだ

印象にのこった言葉を書きだしてみます。

能力を開発する際にはその能力を支える諸機能について、①自覚、②制御、③発展という3段階を実現することが重要です。これを「能力開発の3段階」といいます。(p.14)

ひとまとまりの学習ファイルをつくる。(p.43)
 
速読で情報を素早く入力する際に重要なことは、「確実に情報を入れる」ということです。(p.50)

「大・中・周」の目で本を見る(p.58)
最初はまず「ページの大きさ」を意識して眺めていただきた。このときのものの見方を「大きな目」と呼ぶ。
次に、段落のなす「形」を意識して眺めよう。
さらに、文字の群れがなす模様をとらえるようにページを眺めてみよう。

速めくりで学習範囲の大局を速やかにとらえる (p.64)

意識には表面意識と潜在意識とがあり、潜在意識は本人が自覚しないうちに95%以上の情報処理を行っています。これが高まると、大量の情報をすぐに処理できるようになります。(p.66)

「感動、不思議、発見、意外体験」が多かった人は、潜在意識の魚がよく繁殖しています。(p.75)

新規性があり、重要性もある情報に関しては、必ず「要点」を見出して、自分なりの要約をしておきましょう。(p.84)

「本は家、ページは部屋」と見なして読書をする (p.86)

出力をすることで、内面が統合される (p.93)

目次を毎日呼んで全体像を得る (p.110)

空間認知力を導入すると学習は簡単になる (p.118)

一芸を極めると見識力は高まります。
何か1つの分野で、深く学習したり、多様な経験をしておくと、別な分野でも適応が容易になるのです。(p.196)


第1章では、勉強や学習に関する基本的な考え方がのべられています。第2章では「速読法」について解説しています。第3章では「情報処理」の基本について解説しています。第4章では「健康法」について解説しています.第5章では「記憶法」について解説しています。第6章では、勉強法がさらに役立つことについてのべています。

本書の特色は、速読法・記憶法・健康法などを、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の体系のなかに位置づけて体系的に解説しているところにあります。つまり、速読法・記憶法・心象法・健康法・速書法などは、情報処理の一環として、学習という課題のもとで体系的に実践できるのであり、またそうすべきなのです。

たとえば、教科書や参考書を見る・読むことは、心のなかに情報をインプットすることであり、理解し記憶することなどはプロセシング、試験で答案を書く、小論文を書く、要点を書くことなどはアウトプットにあたります。

 インプット:教科書や参考書を見る・読む、など
 プロセシング:理解する、記憶する、考察する、など
 アウトプット:試験で答案を書く、小論文を書く、要点を書く、など


このように、たとえば、入学試験や資格試験を受験することは情報処理の実践的訓練としてとらえなおすことができ、このようにとらえなおせば各種試験を能力開発のために有効に活用することができます。試験会場はアウトプットの場であるわけです。

こうして学習のできる人は、年をかさねても、あたらしいことをインプットし、情報処理のしくみを改善し、よりよいアウトプットをだしていくことができます。つまり、何歳になっても、あたらしいことをまなび、心をととのえ、人生を改善していくことができるのです。学習は、子供や若い人だけのものではありません

ポイントは、学習も情報処理の一環であることを再認識し、情報処理の方法を身につけ、心の仕組みを改善していくことでしょう。速読法・記憶法・心象法・速書法などはそのための具体的な技術です。

また、自分の潜在意識を最大限に生かすためには、まず第一に、自分が本当にすきな分野、心底興味がある分野の学習からはじめることが重要です。このことにまず成功すれば、あとは大方うまくいくでしょう

なお、第4章では健康法として、「指回し体操」「眼球運動」「呼吸法」「手の運動」「足指の運動」「肩回し」「アゴの運動」「肩の急速上下運動」などが紹介されています。すぐに効果があらわれますので、勉強につかれたとき、あるいは情報処理の場をととのえたいときにやってみるとよいでしょう。


文献:栗田昌裕著『「栗田式」超スピード勉強法トレーニング―』PHP研究所、2004年9月10日