人類が、地球をどのようにイメージしてきたかを歴史的におしえてくれる図版集です。さまざまな時代の、いろいろな国の人々がえがいた地球のイメージをわかりやすく紹介しています。子供むけの本ですが大人が見ても十分たのしめます。

目次はつぎのとおりです。

第1章 島みたいな地球
 あぶなっかしくバランスをとっているのだ
 大地の下には、べつの世界があるの?
 地球の下にあるもの
 
第2章 多角形の地球
 四角い地球
 正方形の地球
 多角形の地球
 三角形の地球
 
第3章 円形の地球
 盾のようなかたち
 円形の地図
 だ円形の地図
 円形で、山がある
 円形で、ふくらんでいる地球
 
第4章 球のかたちをした大地
 完全な球形
 小さな地球
 洋梨のような地球
 地球の中は・・・・・
 まんまるじゃないよ!
 地球のかたちについて論争が起きた!
 地球の中が空洞だって?

第5章 現在の地球
 想像上の実験
 地球の中への旅 

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図 インド・紀元前5世紀の地球の想像図
(世界の創造に参加したヘビのうえにカメがのり、そのうえに大地をささえるゾウがのっていて、大地には空までとどく大きな山がある)
 

本書を見ると、人類が、地球の形をさぐる探究、世界を認識する旅をしてきたということがよくわかります。

また、その時代のあるいはその地域の抽象的な世界観と、実際に観察された事実(データ)とをくみあわせてイメージをえがいてきたということもわかります。

わたしたちは今では、地球の形はほぼ球形であることを知っていますが、地球の内部については今でも想像するしかありません。

地球や世界を認識するときの基本的な行為はイメージングあるいは想像(イマジネーション)であり、このことは昔も今もかわりません

イメージをえがいたり想像したりすることは、人類の意識のはたらき、心のなかの情報処理のもっとも基本的な行為であるといってよく、本書は、人類の心の歴史の一面をおしえているともとらえられます。

自分がくらしている世界、わたしたちが存在する空間を適切にイメージしたり想像したりすることは非常に重要なことであり、そのために本書はとても参考になります。


文献:ギヨーム・デュプラ文・絵(博多かおる訳)『地球のかたちを哲学する』西村書店、2010年6月20日