場所に情報をむすびつけて記憶する方法は空間記憶法の一種であり、記憶法の基本中の基本です。
今回は、日本の世界遺産を例にして記憶法の基本を実践してみます。テキスト(参考書)としては、 世界遺産検定事務局『きほんを知る世界遺産44 - 世界遺産検定4級公式テキスト -』(注)をつかいます。 手順はつぎのとおりです。
1.名称を見て、場所を想起する
2.地図(場所)を見て、名称を想起する
3.目を閉じて、場所と名称を同時に想起する
4.地図(場所)を見て、目印写真を想起する
5.地図(場所)を見て、キーワードを想起する
6.同様にして、各場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していく
1.名称を見て、場所を想起する
以下のリスト(世界遺産の名称)を見て、それぞれの世界遺産の場所(日本地図上の位置)をおもいだします。日本地図は見ないでイメージします。それぞれの場所を正確に想起できるでしょうか。
ア:知床
イ:白神山地
ウ:平泉 -仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-
エ:日光の社寺
オ:小笠原諸島
カ:富士山 -信仰の対象と芸術の源泉-
キ:白川郷・五箇山の合掌造り集落
ク:古都京都の文化財
ケ:古都奈良の文化財
コ:法隆寺地域の仏教建造物群
サ:紀伊山地の霊場と参詣道
シ:姫路城
ス:石見銀山遺跡とその文化的景観
セ:広島平和記念碑(原爆ドーム)
ソ:厳島神社
タ:屋久島
チ:琉球王国のグスク及び関連遺跡群
ツ:富岡製糸場と絹産業遺産群
おもいおこせなかった場所についてはテキストあるいはインターネットで場所を再確認します。
2.地図(場所)を見て、名称を想起する
下の地図を見て、それぞれの場所(ア〜ツ)の世界遺産の名称を正確におもいだします。今度は、リストは見ないで地図だけを見て名称(登録名)を正確に想起するのです。 特に、名称が長い世界遺産については注意します。
3.目を閉じて、場所と名称を同時に想起する
目を閉じて(何も見ないで)、ア〜ツまで、場所と名称を同時に想起します。
4.地図(場所)を見て、目印写真を想起する
テキスト(注)には、各世界遺産の代表的な写真がのっています(見開きの左ページの大きな写真)。それらを記憶します。そして、地図を見ながら、ア〜ツまで順番に写真(イメージ)を想起します。これらの写真は、各世界遺産の目印写真となります。
写真 目印写真の例「富士山」(左ページの写真)
5.地図(場所)を見て、キーワードを想起する
テキストには、各世界遺産について、下記のキーワードについて解説されています。これらを記憶します。
ア:季節海氷域、食物連鎖、しれとこ100㎡運動
イ:ブナ、クマゲラ、ニホンカモシカ
ウ:藤原清衡、浄土思想、中尊寺
エ:東照宮、寛永の大造替、神仏習合
オ:陸産貝類、適応放散、外来種
カ:富士山本宮浅間神社、登拝、富士講
キ:豪雪地帯、養蚕、大家族制
ク:桓武天皇、平安京、応仁の乱
ケ:天平文化、聖武天皇、盧舎那仏
コ:聖徳太子、世界最古の木造建築、飛鳥時代
サ:神仏習合、文化的景観、熊野詣
シ:池田輝政、真正性、昭和の大修理
ス:灰吹法、間歩、文化的景観
セ:原子爆弾、原爆ドーム、負の遺産
ソ:弥山、平清盛、台風や高波などの被害
タ:宮之浦岳、植物の垂直分布、屋久杉
チ:按司、中城城跡、勝連城跡
地図(ア〜チ)を見て、これらのキーワードを想起します。
6.同様にして、地図上の場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していく
以下同様にして、 地図上の各場所に、重要な情報をむすびつけて記憶していきます。記憶したら、地図を見なおして、ア〜ツについて順番に想起する練習をします。
以上の空間記憶法では、最初に、名称をみて場所を想起する(名称→場所)、場所を見て名称を想起する(場所→名称)が基本になります。
そのあとは、場所を見て情報を想起できるように訓練をつんでいきます。ポイントは想起訓練にあります。
地図は、情報の想起(検索)のためのインデックスとして利用できます。
今回は、簡単な例をつかって説明しましたが、たとえば、世界の世界遺産などについて記憶する場合も、数は多くなりますが、同様な方法をもちいればよいわけです。
注:世界遺産検定事務局『きほんを知る世界遺産44 - 世界遺産検定4級公式テキスト -』世界遺産アカデミー、2014年4月8日
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