イメージを言葉に、言葉をイメージに変換します。構造的情報のなかに点的情報をうめこみます。ストーリー化します。
今年度(2021年度)の NHK ラジオ英会話のテキストには「ながめる英語図鑑」の連載があり、この方法をつかえば、イメージと言葉をむすびつけながら語彙力を簡単にアップできます。たとえば「部屋をながめる①」という題の絵が8月号のテキストにはでています。





  • まず、テキストの絵をみて、それぞれの番号の物(対象)とそれをあらわす英単語をおぼえます。

  • つぎに下図のように、絵にでている英単語をかくします。
  • 1番から順番に、物(イメージ)をみながらその単語をいいます(あるいは書きだします)。


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  • 今度は、絵はみないで、下の単語リストをみながらそれぞれの物をイメージします(おもいうかべます)。
  • 日本語訳をおもいだすのではなく物をイメージします。
  • イメージがはっきりおもいうかぶようになるまで練習します。


  1. living room
  2. blind
  3. heater/air conditioner
  4. furniture
  5. curtains
  6. floor lamp
  7. throw pillow
  8. sofa
  9. coffee table
  10. rug


  • さらに今度は、絵も単語もみないで(目をとじて)、絵の全体をおもいおこし、1番から順番に、それぞれの物をイメージしながら英単語をいいます。
  • 絵全体におけるそれぞれの物の空間配置(空間的な位置)もしっかりおもいだせるでしょうか。

  • 最後に、この絵は何をあらわしているのかストーリー化します。
  • たとえばつぎのように自由にかんがえてかまいません。

居間で、リモコンをもって子供があそんでいます。お父さんとお母さんはコーヒーをのみながら、新型ウイルス感染症がおさまったらどこへ旅行しようか相談しています。



以上の方法を整理するとつぎのようになります。

  1. イメージ→英単語、英単語→イメージ
  2. 絵(の全体)のなかのそれぞれの場所にそれぞれの物(イメージ)と英単語をうめこむ
  3. ストーリー化

イメージを英単語に変換し、英単語をイメージに変換できるように練習します。英単語を日本語訳に変換したり日本語訳を英単語に変換したりするのではありません。日本語訳は、理解のための補助手段としてのみつかいます。ちょっとした決断がいります。

× 英単語→日本語訳
× 日本語訳→英単語

イメージをつかわないで言葉だけをつかっているとストレスがたまり、発展しません。イメージをつかうのが決定的なポイントです。イメージを処理する心の領域(視覚領域)は非常にひろく、膨大な情報をたくわえることができ、そこから情報をひっぱりだす(想起する)ことも容易です。イメージを是非つかってください。

また絵の全体は、それぞれの物と英単語がうめこまれた構造的な情報です。構造的な情報に対し、それぞれの物と英単語は点的な情報であり、構造のなかの要素といってもよいでしょう。要素は、つかいやすいすわりのよいところにおかれ、その空間配置に意味があります。

そして最後に、ストーリー化もしておけば記憶は確実に定着します。

このような、絵をつかったりストーリー化したりする方法はもっとも基本的・伝統的な記憶法であり、あらゆる分野に応用できます。絵とは、総合的な情報のひとまとまり、つまりファイルであり、またストーリーを圧縮したシンボルでもあります。絵をつかえば、さまざまな情報をファイルとして記憶できます。

大西泰斗先生のつぎの著作もおすすめします。





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目をとじてイメージする - 大西泰斗・ポール=クリス=マクベイ著『英単語イメージハンドブック』(1)-
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イメージと言葉をむすびつける - DVD「おとなの基礎英語 Australia」(1)-
イメージして言う - 『おとなの基礎英語 Season3』(NHK テレビ DVD BOOK)-
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イメージをつかってキーフレーズをおぼえ、言えるようにする -『おとなの基礎英語 シンガポール・香港・タイ』(2)-


▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話 2021年 8月号』NHK 出版、2021年
栗田昌裕著『絶対忘れない! 記憶力超速アップ術』日本文芸社、2010年