主体性をのばす教育が重視されるようになりました。主体と環境がつくる場がいきる場です。〈インプット→プロセシング→アウトプット〉を実践します。
朝日新聞の教育情報紙「EduA」2021年4月号が「『主体性』を引き出すノート作り」について特集しています(注1)。小中高校生が主体性をはぐくむコツをノート作りをとおしてさぐります。

主体的なまなびの大切さが強調されるようになったのは1990年前後からだといいます。


バブル経済が崩壊し、グローバル化や情報化が進展。環境問題や少子高齢化など、それまでにない新たな課題に直面し「自ら情報を収集して考え、解決法を探る力をつける教育が求められるようになった」と話す。(守屋淳・北海道大教授)

96年の中央教育審議会の答申で「生きる力」が提唱され、98〜99年の学習指導要領改訂で「総合的な学習の時間」が導入されたのも、その流れにある。


本特集では、さまざまなノート作りの方法を紹介しています。


子どもの主体性は「楽しさ」から生まれます。子どもはメリットがあると感じられれば自ら動きます。時間の概念が未熟なうちは「将来役に立つか」ではなく、目の前の状況が楽しいかが子どものメリットになります。普段のノート作りが楽しくなるように工夫すれば、主体性を引き出すことができるでしょう。

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教育現場でもこのように主体性が重視されるようになりました。高度情報化時代をいきぬいていくためには主体性が必要です。「言われたことをきちんとやろう!」という時代はおわりました。

それではそもそも主体とは何でしょうか? それをしるには、同時に、環境についてもかんがえるとよいでしょう。環境とは主体をとりまく空間であり、主体があるところには環境がかならずあり、環境があるところには主体がかならずあります。主体と環境はセットにしてつねに認識しなければならず、主体即環境・環境即主体であり、このような〈主体-環境〉系がそれぞれの人の生活空間であり、いきる場です(図1)。


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図1 主体と環境


このような主体と環境は静的な場ではなく、物質・エネルギー・情報がながれる動的な場であり、この場において主体とは、環境に作用をおよぼす存在であり、環境とは、主体に作用をおよぼす存在です。

そして「主体性」とは、「みずからかんがえ、解決策をさぐり、発言し、行動していく」性質・態度・能力のことであり、簡単にいえば、環境に作用をおよぼす能力のことです。

他方、主体性という言葉があるのであれば「環境性」という言葉をつくりだしてもよく、それは、主体に作用をおよぼす現象です(注2)。上記の引用文においては「自ら情報を収集して」というところは環境性です。教師や上司がいうことをきいたり、教科書や参考書などをよんだりする態度・能力は環境性です。

このように主体性と環境性は反対の作用であり、主体性をのばしたければ、前提として環境性が必要です。今日の情報用語をつかえば、環境性はインプット、主体性はアウトプットということができます(図2)。


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図2 環境性と主体性


すると主体とはプロセシングをする存在です。こうして人間主体の情報処理という概念がうかびあがってきます。

教育現場で近年重視される「主体性をひきだすノート作り」において、ノートをつくる(図や言葉をかく)ことがそもそも主体性のあらわれであり、アウトプットです。それを、質のたかいもの創造的なものにたかめていく努力がもとめられるようになりました。よくできたアウトプットこそ創造のあらわれです。



▼ 注1
朝日新聞教育情報紙「エデュア(EduA)」vol.46(2021年4月号)、朝日新聞社、2021年4月11日

▼ 注2
「環境性」という言葉を最初につかったのは民族理学者でKJ法創始者の川喜田二郎です。

▼ 参考記事
今西錦司『生物の世界』をよむ