集大成となる写真展です。地球を再発見し、人間性を回復します。地球は創造の場です。
世界的な写真家・白川義員(しらかわよしかず)さんの写真展「天地創造」が東京都写真美術館で開催されています(注)。「地球再発見」「人間性回復へ」「前人未踏を往く」を創作活動のテーマとし、地球の美や神秘・荘厳さを追求してきた白川義員さんの集大成となる写真展です。
こんな絶景が地球にあったのか。おどろきの連続です。地球の見方がかわります。これらは写真であり絵画ではないため、人為的に着色したものではありません。地球の事実をあらわします。白川義員さんの写真の特徴のひとつは朝日あるいは夕日がてらす瞬間をとらえているところにあります。赤く焼ける風景をみていると太陽のうごきが感じられ、地球が、太陽-地球系あるいは太陽-惑星系の一部であることが再認識できます。わたしたちの世界は、時間と空間がおりなす壮大なシステムであることがわかります。
プロ写真家として、ヨーロッパ・アルプスの撮影をはじめてから今年(2021年)で59年になります。アルプス撮影中に、作品集全12作を生涯で完成させるときめ、今回の『天地創造』で完結しました。全12作とは、『アルプス』、『ヒマラヤ』、『アメリカ大陸』、『聖書の世界』(3部作)、『中国大陸』(全2巻)、『神々の原風景』、『仏教伝来』(全3巻)、『南極大陸』(全2巻)、『世界百名山』(全3巻)、『世界百名瀑』(全3巻)、『永遠の日本』、そして『天地創造』です。
ただし当初の計画では、『アメリカ大陸』のあとに『アンデス・パタゴニア』や『フィヨルド』がはいることになっていました。しかしヒマラヤ撮影中に、高山病で意識不明になって生死の境をさまよったり、人里から隔離された山中で不思議な出来事に幾度も遭遇したりして、神を信じるにいたり、「地球再発見」で通していた撮影に、「人間性回復へ」というさらに重要なテーマがくわわり、『聖書の世界』と『仏教伝来』が必要になりました。
そして今回の『天地創造』には、アルプスやヒマラヤ・その他をかつて撮影したときに、『天地創造』で使用したほうが効果的でイメージ的にも最適とかんがえ、今日まで大切に保管してきた重要写真が何枚もふくまれます。まさに渾身の作品集です。
このように、白川さんの写真には高度な精神性があり、単なる物理的環境を撮ったものではありません。白川さんの心のなかにうつしだされた映像を再現してみせてくれているといってもよいです。絶景は、心のなかに生じます。
写真展にいってみると、わたしたちにみえる世界とはいったい何なのかということをかんがえさせられます。みるということには人間の心が関与します。それは、機器で観測してとらえる機械的な世界ではなく、心の世界です。心とは、人間の情報処理のしくみといってもよいでしょう。
こうして、地球を再発見することが人間性の回復へつながっていきます。出版されている数々の写真集もみて、くりかえし地球を再発見していきたいとおもいます。
▼ 注
白川義員写真展「永遠の日本/天地創造」
会場:東京都写真美術館(3階展示室)
会期:第一期「永遠の日本」2021年2月27日〜4月4日、第二期「天地創造」2021年4月6日〜5月9日
▼ 参考文献
白川義員著『天地創造 白川義員写真集』、天地創造撮影プロジェクト事務局、2020年3月31日
※ 2000円、東京都写真美術館のミュージアム・ショップで購入できます(オンラインもあります)。
▼ 関連作品集
白川義員著『天地創造』小学館、2020年
白川義員著『白川義員作品集 永遠の日本』小学館、2012年
白川義員著『仏教伝来』小学館、2016年
白川義員著『聖書の世界』(とんぼの本)新潮社、1984年
夜明けの真暗い空港を飛び立ち、太陽が出た瞬間の頂上を撮った。《K2 8611メートル北陵、パキスタン・中国》
巨大な岩がまるで波が押し寄せるような形で固定されている。《ザ・ウェーブ、アメリカ》
南極で1年に1回だけ地平線に太陽が着地する。《南極夏至の太陽、南極》
こんな絶景が地球にあったのか。おどろきの連続です。地球の見方がかわります。これらは写真であり絵画ではないため、人為的に着色したものではありません。地球の事実をあらわします。白川義員さんの写真の特徴のひとつは朝日あるいは夕日がてらす瞬間をとらえているところにあります。赤く焼ける風景をみていると太陽のうごきが感じられ、地球が、太陽-地球系あるいは太陽-惑星系の一部であることが再認識できます。わたしたちの世界は、時間と空間がおりなす壮大なシステムであることがわかります。
白川義員年譜(概要)
1935年1962年
- 愛媛県に生まれる。
1969年
- フジテレビを退社しフリー写真家となる。
1971年
- 作品集『アルプス』(講談社)出版。
1975年
- 作品集『ヒマラヤ』(小学館)出版。
1979年
- 作品集『アメリカ大陸』(講談社)出版。
1980年
- 作品集『新約聖書の世界』(小学館)出版。
1984年
- 写真集『キリストの生涯』(キリストの生涯刊行会)出版。
- 作品集『旧約聖書の世界』(小学館)出版。
1985年
- 作品集『中国大陸 上巻 悠久の山河』(小学館)出版。
- 作品集『中国大陸 下巻 天壌無限』(小学館)出版。
1986年
- 作品集『神々の原風景』(学習研究社)出版。
1987年
- 作品集『仏教伝来 第2巻 シルクロードから飛鳥へ』(学習研究社)出版。
1994年
- 作品集『仏教伝来 第1巻 インドから西域へ』(学習研究社)出版。
- 作品集『仏教伝来 第3巻 インドから南海諸国へ』(学習研究社)出版。
2001年
- 作品集『南極大陸 上巻 超絶の天然』(小学館)出版。
- 作品集『南極大陸 下巻 永遠の時空』(小学館)出版。
2002年
- 作品集『世界百名山 第1巻』(小学館)出版。
- 作品集『世界百名山 第2巻』(小学館)出版。
2007年
- 作品集『世界百名山 第3巻』(小学館)出版。
2012年
- 作品集『世界百名瀑 第1巻』(小学館)出版。
- 作品集『世界百名瀑 第2巻』(小学館)出版。
2020年
- 作品集『永遠の日本』(小学館)出版。
- 作品集『天地創造』(小学館)出版。
プロ写真家として、ヨーロッパ・アルプスの撮影をはじめてから今年(2021年)で59年になります。アルプス撮影中に、作品集全12作を生涯で完成させるときめ、今回の『天地創造』で完結しました。全12作とは、『アルプス』、『ヒマラヤ』、『アメリカ大陸』、『聖書の世界』(3部作)、『中国大陸』(全2巻)、『神々の原風景』、『仏教伝来』(全3巻)、『南極大陸』(全2巻)、『世界百名山』(全3巻)、『世界百名瀑』(全3巻)、『永遠の日本』、そして『天地創造』です。
ただし当初の計画では、『アメリカ大陸』のあとに『アンデス・パタゴニア』や『フィヨルド』がはいることになっていました。しかしヒマラヤ撮影中に、高山病で意識不明になって生死の境をさまよったり、人里から隔離された山中で不思議な出来事に幾度も遭遇したりして、神を信じるにいたり、「地球再発見」で通していた撮影に、「人間性回復へ」というさらに重要なテーマがくわわり、『聖書の世界』と『仏教伝来』が必要になりました。
そして今回の『天地創造』には、アルプスやヒマラヤ・その他をかつて撮影したときに、『天地創造』で使用したほうが効果的でイメージ的にも最適とかんがえ、今日まで大切に保管してきた重要写真が何枚もふくまれます。まさに渾身の作品集です。
このように、白川さんの写真には高度な精神性があり、単なる物理的環境を撮ったものではありません。白川さんの心のなかにうつしだされた映像を再現してみせてくれているといってもよいです。絶景は、心のなかに生じます。
写真展にいってみると、わたしたちにみえる世界とはいったい何なのかということをかんがえさせられます。みるということには人間の心が関与します。それは、機器で観測してとらえる機械的な世界ではなく、心の世界です。心とは、人間の情報処理のしくみといってもよいでしょう。
こうして、地球を再発見することが人間性の回復へつながっていきます。出版されている数々の写真集もみて、くりかえし地球を再発見していきたいとおもいます。
▼ 注
白川義員写真展「永遠の日本/天地創造」
会場:東京都写真美術館(3階展示室)
会期:第一期「永遠の日本」2021年2月27日〜4月4日、第二期「天地創造」2021年4月6日〜5月9日
▼ 参考文献
白川義員著『天地創造 白川義員写真集』、天地創造撮影プロジェクト事務局、2020年3月31日
※ 2000円、東京都写真美術館のミュージアム・ショップで購入できます(オンラインもあります)。
▼ 関連作品集
白川義員著『天地創造』小学館、2020年
白川義員著『白川義員作品集 永遠の日本』小学館、2012年
白川義員著『仏教伝来』小学館、2016年
白川義員著『聖書の世界』(とんぼの本)新潮社、1984年