指定ルールに助動詞はしたがいます。語順の練習をします。意識の流れとイメージ連想法はあらゆる分野で役立ちます。
NHK ラジオ英会話テキスト「よくわかる中学英文法」の第12回は「助動詞」です。




She may be busy.(推量)
May I come in?(許可)

「指定ルール」とは「前に置いた修飾語句は後ろを指定する」であり、このルールに助動詞はしたがいます。

may のイメージは「開かれたドア」です。そこから、「可能性が閉じられていない(~かもしれない)〈推量〉」、「誰かが開けてくれている(~してよい)〈許可〉」と連想がはたらきます。



You can do it!(能力)
Can I pay with a credit card?(フレンドリーな許可)
Tokyo can be very cold in June.(潜在的な可能性)

can のイメージは「潜在」です。これから、「能力」と「可能性」につながります。「許可」は、相手が潜在的にもつ自由度に焦点があり、may よりもずっとフレンドリーな許可です。



You must stop drinking.(強い義務)
You must be delighted.(高い確信)

must のイメージは「高い圧力」です。行動にむけての高い圧力が「~しなければならない」となり、結論にむかう圧力が「~にちがいない」となります。



You should be more careful.(義務)
That should be no problem.(確信)

should は「must のマイルドバージョン」です。






ラジオ英会話では語順の練習をとくに重視しています。日本人が英語をはなせないのは英文和訳をやっていて語順の練習をやっていないからです。

わたしがかよっていた学校(中学〜大学)では、英文をよんで和訳して理解する教育をしていました。高校生になったときの最初の英語の授業では、研究社の『英和中辞典』をかうようにすすめられ、徹底的に辞書をひいて単語帳をつけろといわれ、授業では、英文和訳をひたすらくりかえしました。しかしこれはあまりよい勉強法ではありませんでした。むしろ、和訳をくりかえすことがかえって悪癖になってしまい、英会話はできなくなります。やはり、語順の練習をしたほうがよいでしょう。

たとえば「She may be busy.」とのべるとき、She を意識し、推量を意識し・・・、というように語順どおりに意識します。「いそがしい」を意識してから「かもしれない」という逆はいけません。動詞をのべる前に「may」の気持ちになります。

つまり、意識の流れをそのまま語順にしてのべます。そもそも言葉とは意識の流れをシンボル化したものです。意識とは情報の本体、言葉はその表層構造・表現形式といってもよいでしょう。

また助動詞には大本となるイメージがあり、そこからいくつかのつかい方が連想できます。「連想ゲーム」です。しかし連想をせず、和訳(日本語)をいくつもならべていると複雑怪奇であり、理解がおくれ、記憶にものこりにくくなります。

ラジオ英会話で訓練している、意識の流れとイメージ連想法は、英語とはかぎらずほかの言語でもつかえます。それどころかほかのあらゆる分野の学習に応用できます。情報処理や発想のためにもつかえます。ラジオ英会話はじつはすごい番組です。




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▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話』(2021年3月号テキスト)NHK 出版、2021年
2021


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大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。
本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。


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