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咲くやこの花館
(平行法で立体視ができます)
さまざまな植物を比較することができます。植物の多様性がわかります。地球の気候帯が実感できます。
咲くやこの花館(大阪市鶴見区)は、熱帯から乾燥帯、高山帯、極地圏にいたるまで、さまざまな気候帯の植物約5500種(約15000株)を栽培・展示している国内最大級の温室です。日本にはない植物にであえるのが魅力であり、花だけでも300種以上をつねにたのしめます(注1)。

第1室は「熱帯雨林植物室」です。ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます(注2)。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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ガジュマル
(クワ科、日本南部〜オーストラリア北部)



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インドボダイジュ
(クワ科、インド〜東南アジア)



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バンダ
(ラン科、栽培品種、熱帯アジア)



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ハス
(ハス科(旧スイレン科)、オーストラリア原産の野生ハス)



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オオオニバス
(スイレン科、当初はパラグアイ尾オニバス、そのご雑種?)



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カミガヤツリ(パピルス)
(カヤツリグサ科、ナイル川流域)



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オンシディウム・シャーリーベイビー
('スウィートフレグランス'、ラン科、栽培品種)



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プラティケリウム・ワンダエ
(ウラボン科、ビカクシダ類、ニューギニア)



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ヒメショウジョウヤシ
(ヤシ科、タイ・マレーシア・ボルネオ島)



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ビヨウタコノキ
(タコノキ科、マスカリン諸島)



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サガリバナ(沖縄:キーフジ)
(サガリバナ科、熱帯アフリカ〜太平洋諸島)



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カトレヤ・ラビアタ
(ラン科、ブラジル)



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フラグミペディウム・カルルム
(ラン科、交雑種)



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パフィオペディルム・ヘンリアヌム
(ラン科、中国南部〜ベトナム原産)



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ヘリコニア・ロストラタ
(オウムバナ科、ペルー)



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ラフレシアの花
(ラフレシア科、インドネシア・スマトラ島)



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熱帯雨林植物室






ガジュマル「絞め殺し植物」:種子が鳥などによりはこばれて樹上で発芽すると気根を地上におろし、やがて、ふとくなった気根がその植物をとりかこんでころしてしまいます。

インドボダイジュ「仏教の三大聖樹のひとつ」:この木のしたでシャカがさとりをひらき、ブッダになりました。サラノキ・ムユウジュとともに仏教の三大聖樹とされます。

バンダ「樹の幹に花が着生」:ラン科の植物であり、ラン科植物の約70%が着生種であり、バンダもそのひとつです。

ハス「オーストラリア原産の野生ハス」:インド・中国・日本など、熱帯および温帯アジアとオーストラリア北部に分布します。オーストラリアでは、先住民アボリジニにより重要な食物としてもあつかわれています。

オオオニバス「世界最大の浮葉をもつ水辺の植物」:アマゾン川流域の湿地にそだち、浮葉の直径は最大約3メートルにもなります。葉脈はうきのような構造になっていてちいさな子供がのってもしずみません。

カミガヤツリ(パピルス)「最古の書写材料の原料」:古代エジプトでつかわれました。茎の断面は三角形で、中身は繊維状であり、うすく切って、かさねあわせていくと文字を書くことができます。

プラティケリウム・ワンダエ(ビカクシダ類)「オオシカの角にそっくり」:樹木などに着生するシダ植物です。ビカクとは中国でオオシカのことです。

ヒメショウジョウヤシ「鮮やかな赤が目を引く」:葉の付け根部分があざやかな朱赤色をしており、うつくしいことから観賞用にうえられます。色が、架空の動物「猩猩(しょうじょう)」の顔色に似ていることから命名されました。

ビヨウタコノキ「雄株と雌株があります」:幹をささえる根(支柱根)がタコの足をおもわせることからタコノキといわれます。葉がうつくしいことから、ビヨウ(美葉)タコノキと名づけられました。雄株と雌株があり、雌株はパイナップルのような果実をつけます。

サガリバナ(沖縄:キーフジ)「夏の風物詩」:夜にさき、朝にはちってしまうはかない樹木です。日本では、石垣島以南にみられます。開花は7月中旬頃がピークです。

ヘリコニア・ロストラタ「ザリガニのハサミ」:ヘリコニアの名は、ギリシア神話で芸術の神ムーサがすむヘリコン山に由来します。英名は「ザリガニのハサミ」という意味です。赤いハサミのようにみえる部分は花ではなく「苞(ほう)」とよばれます。

ラフレシア「世界最大の花」:花は、最大のもので直径1.5メートル、おもさ8キログラムにもなります。ブドウ科植物に寄生する寄生植物であり、葉や茎は退化し、植物体の大部分が巨大な花になっています。



* 



熱帯雨林は、平均気温26℃以上、年間降雨量1800ミリ以上の、一年中気温がたかく雨のおおいところにひろがる森林であり、赤道を中心に、アフリカ、東南アジア、中央アメリカ〜南アメリカの3つの地域にみられます。面積にすると全地球の約7%にすぎませんが、地球上の生物150万種のうちの半分以上がここにくらしています。つまり生物多様性の宝庫です。

熱帯雨林には、パラゴム(ゴムの原料)、トウ類(家具や鞄などの籐細工(とうざいく)をつくる)、コショウ、果実など、わたしたち人間の生活に必要な植物がたくさん自生しています。

しかし現在、熱帯雨林の破壊が急速にすすんでいます。

たとえばマレーシアでは、アブラヤシのプランテーションが拡大し、森林が破壊されています。アブラヤシからは油脂がとれ、食用油やマーガリン・石鹸・工業油などの原料として世界に輸出されます。アブラヤシから油脂が収穫できるのは約15年間にかぎられるため、あたらしい苗木をあらたな別の場所にうえなければならず、森林破壊は今後ともつづきます。森林を伐採すると、二酸化炭素が大気中に放出されるので地球温暖化もすすみます。

熱帯雨林でははげしい雨がふるので土壌中の養分が水にとけてながれだし、表土は、10〜30センチメートルほどしかなく、意外にも土はやせているため、熱帯雨林はいったん破壊されると容易には再生できません。

発展途上国の近年の経済発展はいちじるしく、さらに発展しようとしているので、プランテーションもさらにひろがり、とどまるところをしりません。発展途上国の経済発展をとめることは誰にもできません。

したがって熱帯雨林はいずれ壊滅すると予想されます。地球の生物多様性もうしなわれます。地球規模での環境変動も一層はげしくなります。わたしたち人間の未来も危ういといわざるをえません。とても残念なことです。



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▼ 注1
咲くやこの花館
咲くやこの花館【公式】動画チャンネル

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▼ 注2
撮影日:2020年10月7日