森林の伐採などの自然破壊により未知のウイルスが拡散します。常緑広葉樹を中心とした森林を再生します。地道な植林が必要です。
鎮守の森のプロジェクト(注1)の2020年次の報告書がとどきました(注2)。


今年の植樹本数 5,134本
参加人数 312人


2020年は、新型コロナウイルス感染拡大予防のために参加人数をかなり制限しての植樹となりました。しかし森林の保全と再生の意義をあらためてかんがえなおすよい機会になりました。

森林の伐採による自然破壊は感染症をもたらすという研究報告があります。たとえばエボラ出血熱は、アフリカ大陸の一部の風土病でしたが、エボラウイルスが森林破壊により拡散して感染がひろがったとかんがえられています。森林には、人間にとっては未知のウイルスがたくさん存在しており、森林を伐採すれば人間の領域にそれらがでてきて拡散することは容易に想像できます。

また森林破壊は、洪水や土砂崩れなどの自然災害や地球温暖化による気候変動も加速させるとかんがえられます。北半球の大陸の約20%にひろがる永久凍土も温暖化によりとけはじめており、永久凍土のなかから新種のウイルスが出現しはじめ、警戒が必要です。

日本は、他国にくらべて森が比較的おおいようにみえますが、スギなどの針葉樹を中心とした森が非常におおく、常緑広葉樹を中心とした災害にもつよい日本本来の森林がうしなわれています。


現存の植生の大部分は、人間によっておきかえられてできた代償植生であり、土地本来の森は0.06%しかのこっていないのです。


常緑広葉樹を中心とした「生き物」の森こそが人間がいきるための基盤であるので、本来の森林を再生することが課題です。

宮城県岩沼市相野釡公園の植樹地では、ナンバリングを樹木165本にしてモニタリングをしています。


昨年から平均で30cm伸び、平均3.3mの樹高になっていました。最高地は樹高約6mのタブノキなどもあり成長は良好でした。


今後とも、地道な活動が必要です。




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▼ 注1
鎮守の森のプロジェクト


▼ 注2参考文献
『鎮守の森のプロジェクト 2019年次報告書』交易財団法人 鎮守の森のプロジェクト、2019年12月
2021-02-22 21.06.58