細胞への侵入をふせぐ薬、RNA の複製をふせぐ薬、免疫暴走をふせぐ薬があります。アビガンは継続審議になりました。
新型コロナウイルス感染症について『Newton』2020年1月号が特集しています。開発がすすむ治療薬についても解説しています。
2020年10月までに国内では、2種類の新型コロナ治療薬「レムデシビル」と「デキサメタゾン」が正式にみとめられました。
「レムデシビル」は、新型コロナウイルスの RNA を複製する「RdRp複合体」のはたらきを阻害する薬です。もとは、エボラ出血熱の治療薬として開発されました。
「デキサメタゾン」は、ぜんそくや皮膚炎などをおさえるステロイド系の抗炎症薬であり、肺炎などをともなう新型コロナ重症患者の死亡率をさげる効果が確認されました。
「アビガン」は、インフルエンザウイルスの RdRp 複合体のはたらきを阻害する薬です。
「フサン」は、急性膵炎などの治療薬であり、新型コロナウイルスの侵入を阻止できる可能性があります。
「アクテムラ」は、ウイルスの侵入や増殖をブロックするのではなく、サイトカインストーム(免疫暴走)をおさえる薬です。
いま注目されている治療薬候補のひとつがアビガンですが、2020年12月21日、厚生労働省の審議会は、承認するかどうか判断せずに、継続審議とすることを決めました。「現時点のデータで、有効性を明確に判断するのが困難だった」としています。アビガンは、富士フイルム富山化学が開発した薬です。
治療薬は何種類もあり、複雑でわかりにくいですが、新型コロナウイルスに万が一感染したときにそなえ、治療薬の分類・種類・効能・承認状況についてあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
▼関連記事
新型コロナウイルスの感染拡大と〈仮説法→演繹法→帰納法〉
みえにくい感染症 - 新型コロナウイルス(Newton 2020.4-5号)-
論理の3段階モデル - 新型コロナウイルスの感染拡大 -
新型コロナウイルスの感染拡大がつづく -「基本再生産数」(Newton 2020.6号)-
コウモリ起源説 -「コロナウイルスはどこから来たのか」(日経サイエンス 2020.05号)-
往来拡大の歴史 - 池上彰・増田ユリヤ著『感染症対人類の世界史』-
長期的視野にたつ -「感染拡大に立ち向かう」(日経サイエンス 2020.06号)-
ウイルスにうまく対処する -「COVID-19 長期戦略の模索」(日経サイエンス 2020.07号)-
データを蓄積する - 新型コロナの「抗体検査」(Newton 2020.08号)-
緩衝帯をもうけてすみわける -「新型コロナが変えた生態系と地球環境」(Newton 2020.08号)-
仮説をたてて検証する -「ゲノム解析でウイルスの謎に挑む」(日経サイエンス 2020.08号)-
状況を把握する -「感染・増殖・防御の仕組み」(日経サイエンス 2020.08号)-
東京オリンピックにはまにあわない -「加速する新型コロナのワクチン開発」(Newton 2020.09号)-
世界各国の対策 -「COVID-19 終わらないパンデミック」(日経サイエンス 2020.09号)-
抗体検査 -「新型コロナウイルス 免疫系の戦い」(日経サイエンス 2020.10号)-
新型コロナワクチン -「冬こそ警戒 新型コロナ」(Newton 2021.1号)-
▼ 参考文献
『Newton』(2021年1月号)ニュートンプレス、2021年
1 細胞への侵入をふせぐ
新型コロナウイルスは、細胞表面にある ACE2 と結合したあと、細胞内に侵入します。フサンやフオイパンは、この侵入過程をブロックする薬です。
2 RNA の複製をふせぐ
細胞内に放出された新型コロナウイルスの RNA は、「RdRp複合体」とよばれる酵素によって複製されます。レムデシビルやアビガンは、RdRp複合体のはたらきをおさえて RNA の複製をふせぐことをめざします。
3 サイトカインストーム
サイトカインストームは、新型コロナを重症化させます。アクテムラは、主なサイトカインである IL-6 をブロックすることでサイトカインストームを沈静化し、症状を改善させることが期待されます。
2020年10月までに国内では、2種類の新型コロナ治療薬「レムデシビル」と「デキサメタゾン」が正式にみとめられました。
「レムデシビル」は、新型コロナウイルスの RNA を複製する「RdRp複合体」のはたらきを阻害する薬です。もとは、エボラ出血熱の治療薬として開発されました。
「デキサメタゾン」は、ぜんそくや皮膚炎などをおさえるステロイド系の抗炎症薬であり、肺炎などをともなう新型コロナ重症患者の死亡率をさげる効果が確認されました。
「アビガン」は、インフルエンザウイルスの RdRp 複合体のはたらきを阻害する薬です。
「フサン」は、急性膵炎などの治療薬であり、新型コロナウイルスの侵入を阻止できる可能性があります。
「アクテムラ」は、ウイルスの侵入や増殖をブロックするのではなく、サイトカインストーム(免疫暴走)をおさえる薬です。
いま注目されている治療薬候補のひとつがアビガンですが、2020年12月21日、厚生労働省の審議会は、承認するかどうか判断せずに、継続審議とすることを決めました。「現時点のデータで、有効性を明確に判断するのが困難だった」としています。アビガンは、富士フイルム富山化学が開発した薬です。
治療薬は何種類もあり、複雑でわかりにくいですが、新型コロナウイルスに万が一感染したときにそなえ、治療薬の分類・種類・効能・承認状況についてあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
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新型コロナウイルスの感染拡大と〈仮説法→演繹法→帰納法〉
みえにくい感染症 - 新型コロナウイルス(Newton 2020.4-5号)-
論理の3段階モデル - 新型コロナウイルスの感染拡大 -
新型コロナウイルスの感染拡大がつづく -「基本再生産数」(Newton 2020.6号)-
コウモリ起源説 -「コロナウイルスはどこから来たのか」(日経サイエンス 2020.05号)-
往来拡大の歴史 - 池上彰・増田ユリヤ著『感染症対人類の世界史』-
長期的視野にたつ -「感染拡大に立ち向かう」(日経サイエンス 2020.06号)-
ウイルスにうまく対処する -「COVID-19 長期戦略の模索」(日経サイエンス 2020.07号)-
データを蓄積する - 新型コロナの「抗体検査」(Newton 2020.08号)-
緩衝帯をもうけてすみわける -「新型コロナが変えた生態系と地球環境」(Newton 2020.08号)-
仮説をたてて検証する -「ゲノム解析でウイルスの謎に挑む」(日経サイエンス 2020.08号)-
状況を把握する -「感染・増殖・防御の仕組み」(日経サイエンス 2020.08号)-
東京オリンピックにはまにあわない -「加速する新型コロナのワクチン開発」(Newton 2020.09号)-
世界各国の対策 -「COVID-19 終わらないパンデミック」(日経サイエンス 2020.09号)-
抗体検査 -「新型コロナウイルス 免疫系の戦い」(日経サイエンス 2020.10号)-
新型コロナワクチン -「冬こそ警戒 新型コロナ」(Newton 2021.1号)-
▼ 参考文献
『Newton』(2021年1月号)ニュートンプレス、2021年