新型コロナワクチンには5種類あります。米国ファイザー社のワクチンは RNA ワクチンです。ワクチンを接種するかどうか、みずから判断します。
新型コロナウイルス感染症について『Newton』2020年1月号が特集しています。開発がすすむワクチンについても解説しています。
わたしたちの体には、感染症に一度かかったらかかりにくくなる「獲得免疫」のしくみがあり、ワクチンとは、感染症にかかることなく獲得免疫を人工的にえるために体に接種する物質です。
現在開発中の新型コロナワクチンはおおきくわけて5種類があります。
これらのうち「不活化ワクチン」と「組換えタンパクワクチン」は、インフルエンザワクチンなどで実用化された実績があり、安全性が確認されています。
しかし「DNAワクチン」「ベクターワクチン」「RNAワクチン」はまったくあたらしい技術であり、実用化された例はほとんどなく、安全性の確認はこれからです。
ワクチンは、基礎研究や動物実験にくわえて、有効性や安全性(副作用がないか)を確認する臨床試験をへて承認されます。開発から承認をへて生産がはじまるまでには年単位の時間が通常はかかります。ワクチンでえられる免疫が数ヵ月程度しか持続しないのか、数年から数十年にわたって持続するのかなど、長期間にわたって観察しないとわかりません。
インフルエンザワクチンは毎年うつワクチンです。またこれは、感染・発症を完全に予防するものではなく、重症化をおもに予防します。新型コロナワクチンも同様に、重症化をおもに予防するものになる可能性があります。
したがってワクチンだけにたよることはできず、そのほかの感染症対策もひきつづき重要です。
2020年12月20日、田村厚労相は、フジテレビ「日曜報道」で、新型コロナウイルスワクチンの日本での接種時期について、「アメリカの製薬大手ファイザーからの販売承認申請を医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査している」との現状をしめしました。
アメリカの製薬大手ファイザーのワクチンは『Newton』の今回の分類によると「RNAワクチン」であり、まったくあたらしい技術です。
2020年12月19日、米疾病対策センター(CDC)は、「米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種後、アレルギー反応の中でも特に重いアナフィラキシー症状が6例確認された」と公表しました。
日本国の改正予防接種法によると、「接種費用は、全額国が負担つまり無料にしたうえで、国民に接種を勧める」としています。国民には「努力義務」= 接種するよう努めなければならないとしていますが、政府は、最終的には、「ひとり一人が自分で判断して決めること」としています。
すなわち接種するかどうかの最終判断はわたしたち一人一人にゆだねられています。万が一にも、接種したために副作用がでたり死亡したりすることがないよう、適切な判断をするために、ワクチンの分類・しくみ・安全性・有効性などについてあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
▼関連記事
新型コロナウイルスの感染拡大と〈仮説法→演繹法→帰納法〉
みえにくい感染症 - 新型コロナウイルス(Newton 2020.4-5号)-
論理の3段階モデル - 新型コロナウイルスの感染拡大 -
新型コロナウイルスの感染拡大がつづく -「基本再生産数」(Newton 2020.6号)-
コウモリ起源説 -「コロナウイルスはどこから来たのか」(日経サイエンス 2020.05号)-
往来拡大の歴史 - 池上彰・増田ユリヤ著『感染症対人類の世界史』-
長期的視野にたつ -「感染拡大に立ち向かう」(日経サイエンス 2020.06号)-
ウイルスにうまく対処する -「COVID-19 長期戦略の模索」(日経サイエンス 2020.07号)-
データを蓄積する - 新型コロナの「抗体検査」(Newton 2020.08号)-
緩衝帯をもうけてすみわける -「新型コロナが変えた生態系と地球環境」(Newton 2020.08号)-
仮説をたてて検証する -「ゲノム解析でウイルスの謎に挑む」(日経サイエンス 2020.08号)-
状況を把握する -「感染・増殖・防御の仕組み」(日経サイエンス 2020.08号)-
東京オリンピックにはまにあわない -「加速する新型コロナのワクチン開発」(Newton 2020.09号)-
世界各国の対策 -「COVID-19 終わらないパンデミック」(日経サイエンス 2020.09号)-
抗体検査 -「新型コロナウイルス 免疫系の戦い」(日経サイエンス 2020.10号)-
▼ 参考文献
『Newton』(2021年1月号)ニュートンプレス、2021年
わたしたちの体には、感染症に一度かかったらかかりにくくなる「獲得免疫」のしくみがあり、ワクチンとは、感染症にかかることなく獲得免疫を人工的にえるために体に接種する物質です。
現在開発中の新型コロナワクチンはおおきくわけて5種類があります。
不活化ワクチン
薬剤などで処理し、感染・増殖する能力を失わせた(不活化した)ウイルスを接種します。
組換えタンパクワクチン
ウイルスを接種するのではなく、ウイルスがもつスパイクなどのタンパク質を人工合成し、それを体内に接種します。
DNAワクチン
ウイルスの遺伝子を含む人工合成された DNA を接種します。DNA は体内で RNA ヘとコピーされ、その遺伝情報をもとにウイルスのタンパク質が体内でつくられます。
ベクターワクチン
ウイルスの遺伝情報を含む DNA をベクター(別のウイルス)に入れて接種します。ベクターによって細胞内に入った DNA が RNA へとコピーされ、ウイルスのタンパク質が体内でつくられます。
RNAワクチン
ウイルスの RNA を、脂質でできたカプセルに入れて接種します。RNA の遺伝情報を元に、体内でウイルスのタンパク質がつくられます。
これらのうち「不活化ワクチン」と「組換えタンパクワクチン」は、インフルエンザワクチンなどで実用化された実績があり、安全性が確認されています。
しかし「DNAワクチン」「ベクターワクチン」「RNAワクチン」はまったくあたらしい技術であり、実用化された例はほとんどなく、安全性の確認はこれからです。
ワクチンは、基礎研究や動物実験にくわえて、有効性や安全性(副作用がないか)を確認する臨床試験をへて承認されます。開発から承認をへて生産がはじまるまでには年単位の時間が通常はかかります。ワクチンでえられる免疫が数ヵ月程度しか持続しないのか、数年から数十年にわたって持続するのかなど、長期間にわたって観察しないとわかりません。
インフルエンザワクチンは毎年うつワクチンです。またこれは、感染・発症を完全に予防するものではなく、重症化をおもに予防します。新型コロナワクチンも同様に、重症化をおもに予防するものになる可能性があります。
したがってワクチンだけにたよることはできず、そのほかの感染症対策もひきつづき重要です。
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2020年12月20日、田村厚労相は、フジテレビ「日曜報道」で、新型コロナウイルスワクチンの日本での接種時期について、「アメリカの製薬大手ファイザーからの販売承認申請を医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査している」との現状をしめしました。
アメリカの製薬大手ファイザーのワクチンは『Newton』の今回の分類によると「RNAワクチン」であり、まったくあたらしい技術です。
2020年12月19日、米疾病対策センター(CDC)は、「米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種後、アレルギー反応の中でも特に重いアナフィラキシー症状が6例確認された」と公表しました。
日本国の改正予防接種法によると、「接種費用は、全額国が負担つまり無料にしたうえで、国民に接種を勧める」としています。国民には「努力義務」= 接種するよう努めなければならないとしていますが、政府は、最終的には、「ひとり一人が自分で判断して決めること」としています。
すなわち接種するかどうかの最終判断はわたしたち一人一人にゆだねられています。万が一にも、接種したために副作用がでたり死亡したりすることがないよう、適切な判断をするために、ワクチンの分類・しくみ・安全性・有効性などについてあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
▼関連記事
新型コロナウイルスの感染拡大と〈仮説法→演繹法→帰納法〉
みえにくい感染症 - 新型コロナウイルス(Newton 2020.4-5号)-
論理の3段階モデル - 新型コロナウイルスの感染拡大 -
新型コロナウイルスの感染拡大がつづく -「基本再生産数」(Newton 2020.6号)-
コウモリ起源説 -「コロナウイルスはどこから来たのか」(日経サイエンス 2020.05号)-
往来拡大の歴史 - 池上彰・増田ユリヤ著『感染症対人類の世界史』-
長期的視野にたつ -「感染拡大に立ち向かう」(日経サイエンス 2020.06号)-
ウイルスにうまく対処する -「COVID-19 長期戦略の模索」(日経サイエンス 2020.07号)-
データを蓄積する - 新型コロナの「抗体検査」(Newton 2020.08号)-
緩衝帯をもうけてすみわける -「新型コロナが変えた生態系と地球環境」(Newton 2020.08号)-
仮説をたてて検証する -「ゲノム解析でウイルスの謎に挑む」(日経サイエンス 2020.08号)-
状況を把握する -「感染・増殖・防御の仕組み」(日経サイエンス 2020.08号)-
東京オリンピックにはまにあわない -「加速する新型コロナのワクチン開発」(Newton 2020.09号)-
世界各国の対策 -「COVID-19 終わらないパンデミック」(日経サイエンス 2020.09号)-
抗体検査 -「新型コロナウイルス 免疫系の戦い」(日経サイエンス 2020.10号)-
▼ 参考文献
『Newton』(2021年1月号)ニュートンプレス、2021年