イメージをつかって区別します。相似と相異をとらえます。認識と記憶・類推がすすみます。
NHK ラジオ英会話テキスト「よくわかる中学英文法」の第7回は「現在完了形」です。


I have finished my homework!


この文は、「間近に(たった今)起こった出来事」をあらわします。「しばらく前に終えました」と、はなれた過去の出来事をのべているのではありません。出来事は「手元」でおこっています。「ああ終わった!」という感じです。「迫ってくる」イメージがうみだすつかいかたです。



I have visited London.


過去の出来事を今にひきつけ、自分が現在もっている「経験」としてかたっています。「迫ってくる」イメージです。



I've known him for a long time.


「彼を知っている」状態がながい期間つづいていることをあらわしています。視線が、過去から現在にむかってすすんでくる、「迫ってくる」イメージです。



My car has broken down, so I'll be late.


「過去の出来事を持ち出して現在の状況を述べる使い方」です。「車が壊れた」という過去の出来事を単にあらわしているわけではなく、「(その結果)今壊れている・動かない」が意味されています。過去の出来事が現在に結果として「迫ってくる」イメージです。






過去形と現在完了形は、日本語訳では区別がつかないことがおおく、混乱している人がいるかもしれません。

過去形は、「遠くに眺める」という距離のイメージとつよくむすびついており、それが、「丁寧表現」や「控えめな助動詞」のつかいかたにもつながります。

それに対して現在完了形は、「迫ってくる」イメージをもち、過去の出来事を現在にひきつけてのべる形であり、「今」に焦点があります。

このように、過去形と現在完了形は似ているけれども異なります。

過去形と現在完了形にかぎらず、似ているけれども異なる物事は世の中にたくさんあり、それらを区別して認知することはむずかしい場合がしばしばありますが、似ているけれども異なる物事を理解するためには言葉ではなくイメージをつかうのがよいです。たとえばラジオ英会話や大西泰斗先生の教材をつかえば具体例をみながらそれが実践できます。

相似と相異に着目し、似ているけれども異なる物事がわかるようになると認識だけでなく記憶も急速にすすみます。類推もできるようになります。




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▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話』(2020年10月号テキスト)NHK 出版、2020年
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▼ CD


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2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。

本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。


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2019年度の復習をしたい人、2019年度の番組をきけなかった人のために!