会話の流れ(フロー)と言い回しを練習します。状況に応じて台本をつかいわけます。日常的につかえる表現が満載です。
会話には、流れ(フロー)と言い回しがあり、ラジオ英会話では「台本」とそれをよんでいます。今月は、「発言を遮る」「ニュースを伝える」「警告を与える」「提案する」「アドバイスを与える」といった、日常頻繁にであう状況における台本を練習しています。





Lesson 101 発言を 遮る ①:ソフトに遮る

Excuse me, but could I say something here?

「許可を求める」リズムが大事です。




Lesson 102 発言を遮る ②:シャープに遮る

Just a minute.

クッションをもちいず、許可をもとめて相手の心情へ配慮することもなく、切れよくさえぎります。




Lesson 103 発言権を取り戻す ①:ソフトに取り戻す

If I could just finish . . .

could で丁寧な感触をくわえ、just で発言をやわらげる工夫がなされています。




Lesson 104 発言権を取り戻す ②:シャープに取り戻す

Just hear me out.

「hear 人 out」は「人の発言を最後まで聞く」、out に完全性が感じらます。




Lesson 106 ニュースを伝える ①:驚きとともに伝える

Believe it or not, I’m not interested in being promoted.

文頭におき、以降の内容がそうした内容であることを指定します。「指定ルール」(指定は前におく)です。




Lesson 107 ニュースを伝える ②:言いづらい情報を伝える

It’s hard to tell you this, but I’m going to quit this club.

ポイントは「入念なクッション」にあります。




Lesson 108 ニュースを伝える ③:興奮とともに伝える

Guess what!

エキサイティングなニュースを相手につたえるための前置きです。




Lesson 109 警告を与える ①:「禁止」から「指示・理由」へ

You’re not supposed to take videos here.

ルールを逸脱している相手に警告をあたえます。




Lesson 111 警告を与える ②:条件節を用いた警告

If you don’t change your attitude, there’ll be serious consequences.

相手の行為がひきおこす否定的な帰結をしめすことによってつよい警告を発します。




Lesson 112 提案する ①:強力な提案

You’d better apologize, or else you’ll regret it.

つよい言葉づかいが基本です。




Lesson 113 提案する ②:標準レベルの提案

I suggest bringing a rain jacket.

suggest は「こうすればいいんじゃないかと思うよ」程度の気軽な動詞です。 propose(提案する)のような事前にねりあげた感触はありません。




Lesson 114 提案する ③:疑問形による提案

Why don’t we split the bill equally? — Don’t worry. It’s on me.

疑問文は、相手にこたえる権利がある、つまり相手の裁量にまかせる形ですから、つよくひびかずに気軽に提案ができます。




Lesson 116 提案する ④:控えめな提案

Suppose we tell him we can’t go because you’re sick.

suppose は「思う」と訳されることがおおい単語ですが、語源は「下に置く」であり、「土台」が感じられる単語です。土台である情報や知識にてらして「思う」ということです。




Lesson 117 アドバイスを与える ①:ストレートなアドバイス

You should take your job more seriously.

アドバイスの基本的な表現は should(~するべき)です。




Lesson 118 アドバイスを与える ②:技ありのアドバイス

Have you ever thought about yoga?

「~は考えたことがありますか?」と相手に想像させることによって、よいアイデアに気がつかせます。




Lesson 119 アドバイスを与える ③:仮定法を用いたアドバイス

If I were in your shoes, I’d jump at the chance.

仮定法は、「可能性が著しく低い・まったくない」ことをあらわします。








先月からはじまった「台本」の学習は英会話の定石を身につけるトレーニングです。会話には、「この状況なら普通こう言う」といった無意識にしたがう定石があり、それをはなれては自然な会話はなりたちません。台本をまなぶことによって、さまざまな状況の中でつぎに何をいうべきかがわかり、会話がなめらかになります。今月の、「発言を遮る」「ニュースを伝える」「警告を与える」「提案する」「アドバイスを与える」などの台本は、日常的に頻繁につかえる表現です。

わたしはかつて、「欧米人は、ダイレクトに、ストレートにはっきりいいます」と教師らからおそわりましたが、それはあやまりであり、ダイレクトにストレートにいうこともありますが、そうとはかぎらず、とおまわしにいったり、ソフトにいったり、ワンクッションおいたり、ひかえめにいったり、疑問形でいったり、仮定法をつかったりと、相手をみて、状況にあった適切な表現を実際にはします。

このことは、欧米人にかぎったことではなく、ブラジル人でも、ネパールでも、インド人でも、中国人でも、わたしがであった外国人はみなそうでした。あるいは日本人もそうです。「欧米人だから」「英語だから」という単純な “カテゴリー思考” から脱却しなけれなりません。

ラジオ英会話は英語の番組ですが、講師陣とテキストがすぐれているので、会話やコミュニケーションの本質をおしえてくれます。コミュニケーションには、言語や民族をこえた共通の本質・原理があるのだということが、この講座をうけているとわかります。したがってこの講座は、ほかの外国語、あるいは日本語をつかううえでもたいへん参考になります。

たとえばコミュニケーションでは、「はい、はい」と相手の話をきいているだけではなく、相手の話とは反対のことをいうこともあります。そのときにはどうすればよいか? 今月の台本がつかえます。多数の例文が、たいへんよく整理されてしめされているので記憶もしやすいです。




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▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話』(2020年9月号テキスト)NHK 出版、2020年
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▼ CD


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2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。

本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。


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2019年度の復習をしたい人、2019年度の番組をきけなかった人のために!