会場入口
(平行法で立体視ができます)
(平行法で立体視ができます)
日本列島は南北にながく、高低差もおおきいです。亜寒帯から亜熱帯までの多様な自然がみられます。それぞれの国立公園の特色がわかります。
企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」が国立科学博物館で開催されています(注)。全34の国立公園を「窓」にして日本の自然をとらえなおすことができます。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
▼ 注
企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」
会場:国立科学博物館・地球館
会期:2020年8月25日~11月29日
▼ 参考サイト
日本の国立公園(環境省)
▼ 関連書籍
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
会場マップ
クロツチクジラ(知床国立公園)
オジロワシ(知床国立公園)
(ニッコウ)ムササビ(日光国立公園)
モレーン堆積物
(氷河が地表をけずってはこんだ堆積物)
(中部山岳国立公園)
火砕流および津波堆積物
(屋久島国立公園)
ムニンシャシャンボ(小笠原国立公園)
タカツルラン(やんばる国立公園)
ショウガサンゴ(慶良間諸島国立公園)
*
- 利尻礼文サロベツ国立公園:利尻島はけわしい火山、一方、礼文島はたかい山はなく、風衝草原がひろがります。
- 知床国立公園:クジラ・イルカ・ヒグマ・オジロワシ・オオワシがみられます。サケは、海と陸の食物連鎖をつなぎます。
- 阿寒摩周国立公園:マリモを代表とするめずらしい生物がみられます。阿寒湖は、ふるいカルデラ湖が雄阿寒岳の噴火で分断されてできました。
- 釧路湿原国立公園:釧路湿原は、タンチョウの飛来地であり、希少な北方系湿性植物の宝庫です。
- 大雪山国立公園:国内最大規模の高山植物群落がみられます。氷期に北方から分布をひろげ、日本ではここだけでいきのびた遺存種の宝庫です。
- 支笏洞爺国立公園:カルデラ湖である倶多楽湖(くったらこ)は「重要湿地」に環境省が設定し、在来のザリガニやカタシャジクモの楽園です。
- 十和田八幡平国立公園:強酸性の温泉水を大量に湧出する多摩川温泉は日本屈指の温泉とされます。
- 三陸復興国立公園:あらあらしいリアス式海岸、はげしい浸食や陥没により、ふるい地層が露出しています。
- 磐梯朝日国立公園:磐梯山は、山体崩壊をおこして双子山となり、土砂は、湖や川をせきとめて風光明媚な湖沼群をつくりました。
- 日光国立公園:日光は、日本の自然史研究の黎明期に格好のフィールドでした。
- 尾瀬国立公園:燧ヶ岳(ひうちがたけ)の溶岩流や山体崩壊によって川がせきとめられて尾瀬ヶ原の湿原ができました。
- 上信越高原国立公園:塩酸や二酸化硫黄をふくむマグマの噴出により強酸性の浅間山ができました。
- 妙高戸隠連山国立公園:屏風のような岩峰(がんぽう)戸隠山は海底が隆起してできました。その南方の柵層(しがらみそう)からは海生生物の化石が豊富にみつかります。
- 秩父多摩甲斐国立公園:石灰岩地帯を有する山岳や渓谷・鍾乳洞には特有の動植物がみられます。
- 小笠原国立公園:ほかの地域と一度もつながったことがない「海洋島」であるため、日本一固有種が豊富な地域です。
- 富士箱根伊豆国立公園:日本の山といえば富士山です。うつくしい成層火山であり、たびかさなる噴火によりできました。
- 中部山岳国立公園:氷河によってくだかれた岩石の隙間に高山植物がそだちます。蛇紋岩地にはかぎられた種がみられます。
- 白山国立公園:信仰の山、白山の下によこたわる手取層群には中生代の化石がねむっています。
- 南アルプス国立公園:氷期に陸づたいに北からやってきた生物が、間氷期になって高山にとりのこされ、あらたな種へ分化しました。
- 伊勢志摩国立公園
- 吉野熊野国立公園:日本有数の多雨地域である大台ヶ原の雨をあつめる北山川が砂岩を浸食してうまれた瀞峡(どろきょう)には固有植物生育します。
- 山陰海岸国立公園:一見荒涼とした海岸砂丘である鳥取砂丘には特徴的な生物がくらしています。
- 瀬戸内海国立公園
- 大山隠岐国立公園:大山は、北方系生物の隔離分布地です。
- 足摺宇和海国立公園:花崗岩が荒波に浸食されたできた足摺岬の断崖は海鳥の格好の営巣地となりました。
- 西海国立公園
- 雲仙天草国立公園:雲仙普賢岳は、たびかさなる噴火で山体崩壊・溶岩ドーム形成・火砕流をおこしました。
- 阿蘇くじゅう国立公園:阿蘇山カルデラ内の草原は、最終氷期の大陸系遺存植物や希少昆虫のすみかです。
- 霧島錦江湾国立公園:桜島は、日常的に噴火をくりかえし、火山とむきあって人々はくらしています。
- 屋久島国立公園:7300年前の鬼海カルデラ火砕流で屋久島の生物は壊滅しましたが、ふたたびゆたかな生態系が成立しました。
- 奄美群島国立公園:湯湾岳を頂点とし、海にむかってひろがる森にはおおくの固有種がいます。
- やんばる国立公園:沖縄島北部は、亜熱帯照葉樹林が大規模にのこる貴重な地域です。
- 慶良間諸島国立公園:サンゴ礁が発達し、おおくの魚のすみかになっています。
- 西表石垣国立公園:台湾や大陸との距離がちかいため、共通生物がしられる一方、イリオモテヤマネコなど、ここにのみ分布する絶滅危惧種もすくなくありません。
今回の企画展は、日本の国立公園を概観できるまたとない機会になっています。国立公園は、観光地としても整備され、ビジターセンターも充実し、提供されている情報もおおく、エコツアーなどもおこなわれているので、自然を満喫する場として最適です。
企画展の会場には、「シアターコーナー」があり、全34国立公園の空撮映像を大画面 4K モニターで上映しています。まずは、すばらしいこの動画をみて、それからそれぞれの国立公園の展示をみていくと理解がすすみます。空撮映像で、気にいった国立公園をみつけて、その国立公園の展示を重点的にみるとよいでしょう。また国立公園に実際にいくとしたら、どの国立公園にいくかという問題意識をもってみていくと認識がふかまり、記憶もすすみます。
それぞれの国立公園の自然には物語があり、物語とは、けっきょく自然の歴史、自然史のことであり、どのような歴史をへて今日の風景がうまれたのかをひもとくことによって物語がうかびあがります。多様で複雑にみえる自然がひとつの物語によって統合されます。そのためには地層に注目するとよいです。
それぞれの国立公園の自然には物語があり、物語とは、けっきょく自然の歴史、自然史のことであり、どのような歴史をへて今日の風景がうまれたのかをひもとくことによって物語がうかびあがります。多様で複雑にみえる自然がひとつの物語によって統合されます。そのためには地層に注目するとよいです。
企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」
会場:国立科学博物館・地球館
会期:2020年8月25日~11月29日
▼ 参考サイト
日本の国立公園(環境省)
▼ 関連書籍