ミニ企画展「香りの魅力」会場
(交差法で立体視ができます)
香りについて解説しています。においや香りの効果はおもっている以上におおきいです。嗅覚をきたえれば体験もふかまります。
ミニ企画展「香りの魅力」が国立科学博物館で開催されています(注)。
ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
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▼ 注
ヒットネットミニ企画展 第8回「香りの魅力 -日本の産業技術-」
会場:国立科学博物館・地球館2階
会期:2020年7月14日~8月23日
主催:国立科学博物館
共催 :
大分香りの博物館(大分県別府市)
松栄堂 薫習館(京都府京都市)
磐田市香りの博物館(静岡県磐田市)
東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス学術情報センター(北海道網走市)
▼ 関連サイト
エッセンシャルオイル(アロマオイル)(Amazon)

ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
さまざまな香水
お線香の主原料
古代エジプトのミイラの語源は、腐敗防止などのためにもちいた香料「ミルラ(没薬(もつやく))」から生じたともいわれます。ツタンカーメン王の墓からは大理石の小壺が出土し、そのなかには香油がのこっていました。クレオパトラはバラをこよなく愛し、バラのお風呂にはいり、バラの香油を体にぬり、バラの花びらを寝室にしきつめました。
ヨーロッパでは9世紀頃ごろ、蒸留器が発明されると、様々な香料から香りのエッセンス(精油)が抽出できるようになり、香水づくりがはじまります。
フランスでは、入浴によってもペストが感染するとされ、15世紀頃から入浴の習慣がきえたため、体臭をおおいかくすためにつよい香りがこのまれるようになります。
しかし18世紀、オーストリアからルイ16世にとついだマリー=アントワネットが入浴の習慣をもちこみ、かろやかな香りの香水を愛用すると貴族達にもそれが流行し、現在の香水文化へとつながっていきます。
香油や香水は、高価な物としてふるくから珍重され、同時に、その器も発展してきました。紀元前には、陶器、アラバスター(大理石の一種)、コアグラスなどでつくられ、高度なカットガラスの技法をもちいたガラス瓶やマイセンの磁器などへやがて発展していきます。
日本では、飛鳥時代、仏教の伝来とともにお香がつたわったとされます。日本書紀には、「595年に大きな沈香が淡路島に漂着し、島人がかまどで燃やしたところ遠くまで薫り、不思議なこととして朝廷に献上した」としるされています。
平安時代には、貴族が香料を複雑にねりあわせて香りをたのしむ「薫物(たきもの)」がひろがり、衣服や部屋へ「移香(うつりが)」がをたのしみます。
鎌倉・室町時代には、香木の香りを繊細に鑑賞する「聞香(もんこう)」が確立します。
江戸時代には、茶道や華道とおなじように作法がととのえられて「香道」が確立し、日本の香り文化が形づくられます。
香りには、食品にもちいられる「フレーバー」と、化粧品など、食品以外にもちいられる「フレグランス」とがあります。食品をおいしくし、美容・健康を追求し、生活の質をたかめるために香りがとても重要です。
ガスなどの気体の分析にはガスクロマトグラフという機器をつかい、におい(香気成分)の分析では、これとともに人の鼻もつかいます。人の鼻はとてもよく、最新の分析装置をもちいても人の鼻にはかなわないことがわかっています。
たとえば食事は、味覚だけで味を感じているわけではありません。料理にふくまれるさまざまな香り(フレーバー)を敏感に感じて、総合的に味を認識します。したがって食品に香料をくわえることは味をよくすることになります。たとえば乾燥ホタテ貝から抽出した香り成分には食品の風味をつよめる効果があり、わずかな量でも料理をよりおいしくする “かくし味” としてつかわれます。
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2004年、「嗅覚受容体および嗅覚系組織の発見」の功績で、リチャード=アクセルとリンダ=バックがノーベル医学・生理学賞を受賞しました。近年、嗅覚系の研究がいちじるしくすすみ、香りの世界はますますおもしろくなりつつあります。
わたしたちは、嗅覚器官(鼻)から香り(におい)の情報を内面にとりいれます(インプットします)。鼻も、目や耳や舌や皮膚などと同様に重要な感覚器官です。
香りは、料理の味を左右することはあきらかです。あるいは都市ガスや LP ガスは本来は無臭ですが、人工的に悪臭をつけて、ガス漏れがおこったときに嗅覚で気がつけるようにしてあります。危険を察知するために嗅覚も大事です。
においをかぐことで記憶がよみがえることもあります。これを「プルースト効果」といい、においを処理する脳の部位と記憶・感情を処理する部位がつながっているためにおこるといわれます。におい・香りは記憶のためにも大切です。
しかし現代人は、情報を内面にインプットするとき、言葉と数値にかたよりすぎており(目と耳にたよりすぎていて)、においや香り(鼻)の重要性をわすれています。学校教育がとくにそうです。せっかく、鼻というすぐれた感覚器官をもっているのですから、あらためてこれをとらえなおし、情報処理を自覚して、鼻からの情報インプットも訓練したほうがよいでしょう。エッセンシャルオイルや植物園をつかうのもひとつの方法です。嗅覚系の情報処理能力もたかまれば、旅行や現地・現場での体験もふかまるとおもいます。
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▼ 注
ヒットネットミニ企画展 第8回「香りの魅力 -日本の産業技術-」
会場:国立科学博物館・地球館2階
会期:2020年7月14日~8月23日
主催:国立科学博物館
共催 :
大分香りの博物館(大分県別府市)
松栄堂 薫習館(京都府京都市)
磐田市香りの博物館(静岡県磐田市)
東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス学術情報センター(北海道網走市)
▼ 関連サイト
エッセンシャルオイル(アロマオイル)(Amazon)
