事例をとおして確率がわかります。統計と確率がむすびつきます。未来を予測します。
『統計 確率編』(Newton ライト2.0)は、確率について、具体例をあげながらわかりやすく解説しています。




コインを1000回投げてみた:表・裏の割合は、1/2になるのか?
10回よりも100回、100回よりも1000回のほうが1/2に近づきます。


コイン投げをくりかえす回数がおおいほど表裏の割合は1/2にちかづき、無限回なげれば 1/2 になります。

コイン投げのような、1回ごとの結果が偶然に左右されて予測不可能なできごとであっても、それを何度もくりかえした場合、全体でみるとその結果は本来の確率にちかづいていきます。これを「大数の法則」といいます。



三つのサイコロの合計の出やすい数は?
確率はギャンブルから生まれました。17世紀、ギャンブラーたちを悩ませたのが、三つのサイコロの目の合計についての問題です。(中略)経験上、9よりも10になることの方が多かったのです。


話を簡単にするために、2つのサイコロの合計が2となる場合と3となる場合をかんがえます。2となるのは、数字のくみあわせとしては(1,1)、3となるのは(1,2)であり、どちらも1通りです。

しかし2つのサイコロをAとBに区別すると、2となるのは「Aが1、Bが1」という1通りしかないのに対し、3となるのは「Aが1、Bが2」と「Aが2、Bが1」の2通りがあます。

つまり、サイコロの合計は、2よりも3の方がでやすいです。

これは「順列」と「組み合わせ」のちがいです。順列とは、数値の順序まで考慮するかんがえ方であり、組み合わせとは順序を考慮しないかんがえ方です。確率についてかんがえる際には、順列と組み合わせのどちらをあてはめるべきか状況に応じて慎重にみきわめる必要があります。



くじを引く有利な順番は?
先に引いてもあとから引いても確率は一緒


販売機に、100個のカプセルトイがはいっており、あたりは1個だけです。100人が1回ずつひくとき、先にひくのと後からひくのとではどちらが特でしょうか?

まず、1人目があたりをひく確率は 1/100 です。

つぎに、2人目があたりをひく確率は、1人目が100個中99個のはずれをひき、2人目が99個中1個のあたりをひく確率なので、99/100 × 1/99 = 1/100 です。

このような計算をつづけていくと、何番目にひこうが確率は 1/100 であることがわかります。これは「くじ引きの原理」とよばれます。






統計とは、現実の世界で実際におきた出来事や、現実の世界にくらす人々の行動や特徴などを調査して数値化・データ化し、そこから何がいえるかを数学的に分析する分野です。

一方、確率とは、まだおきていない未来の出来事について、それぞれの出来事がおきる確からしさを数学的に計算して予測する分野です。

論理的には、統計とは帰納法であり、〈仮説(モデル)→事実(データ)→一般〉とすすみ、一般的傾向や原理・法則があきらかになるとそれを前提としてあらたな予測ができます。統計にもとづいて確率を計算する例はおおく、統計と確率は密接にむすびつき、予測をするときに確率もわかります。

確率の方法をしっていればよりすすんだ予測ができるのであり、たとえばあるところにカラスがあらわれるだろうと予測した場合、あらわれる日がおおいがあらわれない日もあるということを、70%の確率であらわれると予測できれば、カラスの実態がそれまでよりもよくつかめたことになります。



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▼ 参考文献
『統計 確率編』(Newton ライト2.0)ニュートンプレス、2020年3月25日
※ 本書は Newtonライト『確率のきほん』のデザインを一新し、あらたな内容を追加したリニューアル版です。
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