何語であっても重要なことを先にのべることができます。メッセージを明確にします。アウトプット能力をきたえます。
ある人が英語でいいました。

I have an idea to sell more ice cream.

日本語では、つぎのようにいいました。

わたしには、アイスクリームをもっと売るためのアイデアがあります。

この人にとっては、「わたしにはアイデアがある」ということが重要でした。しかし日本語では、「アイデアが」が文のうしろの方にきてしまい、重要なことを先にのべることができないとおもいました。

ところが日本語でも、重要なことを先にのべることができます。

わたしにはアイデアがあります、アイスクリームをもっと売るための。

つぎの例も同様です。

わたしは、ふたりが会っているのを見てしまいました。
わたしは見てしまいました、ふたりが会っているのを。

「英語では、重要なことを先にいえますが、日本語ではそれができず、重要なことでも最後にのべます」と説明した教師にであったことがありましたが、これはあきらかな誤解であり、日本語でも、重要なことを先にのべることができます。あるいはドイツ語でもネパール語でもロシア語でも重要なことを先にのべることができます。

重要なことを相手につたえられるかどうかということは何語であるかの問題ではなく、話し手・書き手のアウトプット技術力の問題であり、つたえたい大事なことがあるなら何語であっても最初にのべればよいです。

あるいは「英語は、直接的・論理的にはっきりのべることができますが、日本語は、オブラートにつつむようにやわらかくとおまわしにいい、あいまいで非論理的な言葉であり、文学にはいいかもしれませんがサイエンスにはむきません」とのべた学者がいましたがこれもあきらかな誤解です。外国人でも、状況によって、直接的にはっきりいうこともあれば、オブラートにつつんでいうこともあります。

あるいは「欧米人は、ていねいにのべるときには表情や身振り手振りですべてしめします。欧米人は表情がとてもゆたかです」と説明した教師にであったことがありましたがこれも誤解です。英語でも何語でも、日本語と同程度のていねいな言葉づかいがあります。

英語だから日本語だから○○語だからという呪縛から解放されなければなりません。何語であってもメッセージをつたえることができます。何をいいたいのか、メッセージを明確にし、それを表現するためのアウトプット能力を身につけることが大事です。



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