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地質標本館 
(平行法で立体視ができます)
長期間にわたる安定のあとに急激な変動がおこります。変わるべきときがきたら一気に変わります。自然には飛躍があります。
産業技術総合研究所・地質標本館は地質学(固体地球科学)に特化しためずらしい博物館です。標本館という名称になっていますが地球に関する一般むけの展示・解説をしています(注1)。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます(注2)。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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日本列島の地形と主要活断層



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日本列島の地形と活火山



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日本の火山と温泉の分布



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日本列島の主要な岩石



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浅間火山の地形と地質



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浅間火山天明溶岩(安山岩、1783年) 



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富士山(奥)と箱根カルデラ(手前)の
地形と地質



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富士山(奥)と箱根カルデラ(手前)の
地形と地質



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富士山の断面



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箱根火山の岩石(安山岩)



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西太平洋の海底地形



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チムニー(海底熱水噴出孔)



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震源の空間分布
(地球内部から日本列島をみあげた模型)



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地層の断面(活断層の調査)








地質標本館は、日本の地形・地質、海底の地形・地質、火山と地熱、地震と活断層、地下資源、地球環境など、テーマごとに、模型・標本・映像をつかってわかりやすく展示・解説をしています。標本は、岩石や鉱物・化石など、およそ2000点が常設展示されています。

とくに、火山噴火や地震など、わすれたころにやってくる自然の大変動についてくわしく理解することができます。

日本が火山国・地震国であるのは、日本列島が、世界有数の変動帯である太平洋とユーラシア大陸の境界部に位置しているからであり、大陸プレートの下に海洋プレートがしずみこむことによって火山噴火や地震がおこります。

このような変動帯に位置しているので日本でくらしているかぎり火山噴火や大地震はさけられませんが、一方で、変動帯であるからこそ、複雑な地形・地質、多様な自然環境がうまれ、うつくしい風景、温泉や資源などにもめぐまれます。富士山も箱根火山も浅間山も歴史的にみれば大噴火を何回もくりかえしてきていますが、噴火と噴火のあいだは安定期であり、登山をたのしんだり温泉につかったりすることができ、火山地帯は観光地になっています。

このように自然には、脅威と恩恵の両面があり、自然の矛盾がここにあります。地質標本館の展示をみれば、自然現象には、ながい安定期の現象とみじかい変動期の現象の2種類のタイプがあることがわかります。大地震や噴火・津波・洪水・地滑りなどは変動期の現象です。

自然は、安定期に、変動のエネルギーを蓄積し、変動のポテンシャルをたかめます。そしてポテンシャルが十分たかまるとエネルギーが開放されて変動がおこります。その変動は、比較的短期間(短時間)でおこります。変動とはカタストロフィックな現象であり、長期間にわたるちいさな変化のつみかさねとはことなります。つまり、自然には飛躍があるのであり、自然は、変わるべきときがきたら一気に変わります。このような観点からは、「塵も積もれば山となる」という常識もかんがえなおさなければなりません。本当の変化は一気におこります。


200611 安定と変動

図 安定と変動のモデル 
 

日本列島のここ約30年をみると、大地震が何回もおこり、火山活動も活発になってきており、日本列島はふたたび変動期にはいったという専門家がおおいです。自然には飛躍があるという仮説がただしいとすると、これはたいへんおそろしいことです。常識や経験ではかんがえられない “想定外” のことがおこります。



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▼ 注1
地質標本館
フロアマップ

地質標本館は、1882年に創設された地質調査所(現在は産業技術総合研究所・地質調査総合センター)の公開施設であり、岩石・鉱物・化石などの登録標本は約15万点もあり、内外の研究機関で活用されています。地質調査総合センターは、日本列島各地の地質図を発行するなど、わが国の地質調査の基礎的・中核的役割をになっています。


▼ 注2
2019年11月に撮影。