ひとつのイメージから、さまざまな意味やつかい方がひろがります。単純なイメージは本質をあらわします。英会話を練習しながらイメージ訓練ができます。
NHK ラジオ英会話、12月のテーマは、基本副詞のイメージと、数えられる・数えられない(可算・不可算)名詞です。副詞とは名詞以外を修飾する要素です。






Lesson 161 so のイメージ

I was so tired I couldn’t sleep.

so

so のイメージは「(一定の方向の)流れ(矢印)」です。接続詞なら「だから」をあらわします。たとえばここで、very を使って、「(×)I was very tired I couldn’t sleep.」ということはできません。




Lesson 162 too のイメージ

I was too tired to think of it.

「できない」が意味にふくまれるのは、too(~すぎる)にあります。




Lesson 163 then のイメージ

We went to Los Angeles and then to Las Vegas.

then のイメージは「視線を移す」です。




Lesson 166 up が持つ意味の広がり

It’s going to take us forever to clean it up.

up は、「上」という位置や方向をあらわす単語です。この単語が幅ひろい意味をもつのは「上」が比喩的なゆたかさにみちているからです。




Lesson 167 down が持つ意味の広がり

She’s feeling down after the boss told her she needed to be more efficient.

down(下)も、比喩的な豊かさに満ちており、その意味のひろがりは up と対照的です。




Lesson 168 out が持つ意味の広がり

Let’s eat out tonight.

out は「外」をあらわし、eat out は「外食する」です。




Lesson 169 off が持つ意味の広がり

I’m off this morning.

off は on の逆であり、「離れて」をあらわします。




Lesson 171 可算名詞・不可算名詞のイメージ ① 形があるのか・ないのか

There is too much onion in it.

可算・不可算をわける基準は、「具体的で決まった形があるなら可算、抽象的で形がないなら不可」です。




Lesson 172 可算名詞・不可算名詞のイメージ ② 目には見えないものの「形」

I had a very frank conversation with him recently.

可算・不可算の基準は、目にはみえないモノ・手にとれないモノにもつかわれます。conversation は手にとれるものではありませんが、この文のように、具体的にかわされた会話なら「形がある」ように感じられ、可算あつかいとなります。




Lesson 173 可算名詞・不可算名詞のイメージ ③ 思いがけない不可算名詞

I come to school by bus.

by bus が意味しているのは「バスという交通手段で」、具体的なバスではなく、抽象的な手段として理解されているため不可算あつかいになります。




Lesson 174 可算名詞・不可算名詞のイメージ ④ 要注意の不可算名詞

I need to buy some new furniture for my living room.

furniture(家具)は不可算あつかいです。きまった形がないからです。




Lesson 176 可算名詞・不可算名詞のイメージ ⑤ 可算・不可算で意味が変わる

I don’t have room for more clothes in my suitcase.

この場合の room は「余地・スペース」という意味です。




Lesson 177 可算名詞・不可算名詞のイメージ ⑥ 可算を可能にする「見方」

There are so many different cheeses in the world.

この文では、チーズそのものではなく、チーズの「種類」が意識されています。種類は、「Aチーズ・Bチーズ・Cチーズ」とかぞえられます。

「Three coffees, please.」(コーヒー3つお願いしますね。)
レストランでコーヒーを注文している状況で、液体のコーヒーではなく、「コーヒーというメニュー上の品目」が意識されるため可算あつかいになります。形のない実際のモノではなく、「そうした種類」「品目」としてながめる「見方」によって不可算が可算になります。




Lesson 178 単数・複数

Do you have stuffed animals?

英語で名詞は複数が基本です。単数がえらばれるのは、「1」が意識される特別なケースです。




Lesson 179 イメージは強力な武器:relief

What a relief!

危機がさったあとの「ああよかった」と「ホッ」とため息がでてくるような解放感・安心・安堵が relief のイメージです。名詞の理解もイメージが大切です。ほかの品詞とおなじように、単純なイメージを中心に単語のつかい方はひろがっています。









単語や英文をイメージするようにと NHK ラジオ英会話ではくりかえし指導しています。たとえば so のつかいかたを身につけたいとき、言葉(日本語訳)で理解するよりも前に、テキストに掲載されているイメージ(波うった3本の矢印)をしっかり記憶することが大事です。目をとじてもイメージできるように、心のなかにうかんでくるように練習します。根本となるイメージを記憶しておけば、そこから、さなざまな so のつかい方がひろがります。

わたしもかつては、英和辞典をひきながら日本語訳で英語を理解していましたが、よい勉強法ではそれはありませんでした。イメージ訓練をしりませんでした。 

ひとつのイメージから、さまざまな意味やつかい方がひろがるということは、いいかえると、さまざまな意味やつかい方を統合するとひとつのイメージになるということです。多様な情報を統合していくと、言葉ではいいあらわせなくなり、最後には、イメージでしめすことになります。物事を圧縮し、単純化していくとイメージやシンボルになります。

したがってよくできたイメージは物事の本質をあらわすのであり、イメージは、単純であるほど本質にくいこみます。
 
イメージのもつ力は、おもっている以上に強力です。イメージ訓練(心象法)の効果は想像以上におおきいです。NHK ラジオ英会話は、英会話を習得しながら、同時に、イメージ訓練ができるすぐれた番組です。





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▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話 2019年11月号』NHK出版、2019年


▼ CD:放送内容をコンパクトにまとめており、復習のために最適です。

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▼ 関連教材
2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。

本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。