繊細な意味をはこぶ「レベル2動詞」もイメージをつかえば容易に習得できます。プログラムにしたがって練習すればおのずと身につきます。イメージと文型をむすびつけます。
先月にひきつづき基本動詞を練習しています。動詞は文づくりの要です。会話力を一気にのばしましょう。





Lesson 81 get の基本イメージ:「動き」を理解しよう

I got a letter from Ken saying he is engaged.

get は入手(手に入れる)をあらわすもっとも一般的な動詞です。get のイメージには「動き」がふくまれていることを意識してください。それに対して have は「範囲内にある」ことをあらわし、動きは感じられません。




Lesson 82 get の基本イメージ:「動き」が生み出す使い方

I’ll get a taxi.

まわりにタクシーはありません。そこからうごいて「捕まえるよ」といっています。I’ll take a taxi. とは状況がことなります。




Lesson 83 get 受動態

I got badly sunburned.

be 動詞をつかった通常の受動態にくらべ、get の「動き」がくわった受動態は「予期せぬ、突然、驚き」といった、事態が急変した感触や勢いのよさが感じられます。




Lesson 84 get が用いられるさまざまな文の型

I’ll get Vince to do it for me.

この文は to 不定詞をつかった「目的語説明型」です。

to は「矢印(→)」のイメージです。「get 人 to 〜」なら get(働きかける)ことによって人を to 以下の行為に「押して」いく、つまり「~をやってもらう」となります。




Lesson 86 入手系レベル2動詞 ①:receive、accept、deserve

I don’t seem to have received your email.

基本動詞ほど頻繁にはつかわれませんが、繊細な意味をはこぶ動詞を「レベル2動詞」とよびます。

receive は「受け取る」。get よりもかたい響きをもった単語です。具体的なモノだけでなく教育・治療・歓待など「受ける」一般にひろく対応します。receive が単に受けるだけなのに対し、accept(受け取る・承諾する)には、受け手の積極的な同意がともないます。「同意して(快く)受け取る」ということです。deserve は、「受ける価値がある(ふさわしい)」というピンポイントなニュアンスをもつ動詞です。




Lesson 87 入手系レベル2動詞 ②:gain、acquire、obtain

He’s gaining more and more confidence.

gain は、「徐々にジワジワ」と範囲をひろげるように手にいれることをあらわします。acquire(獲得する)は、能力やスキル・名声など、価値あるものを獲得することです。obtain(取得する)のニュアンスの中心は「カタくフォーマル」です。公共機関でつかわれることもおおく、また入手までの努力に焦点があたります。




Lesson 88 give のイメージ

Give me a break.

授与型の中心動詞 give の登場です。特殊なニュアンスをもたないことがこの動詞の有用性をささえています。give は授与(あげる・くれる)をあらす代表的な基本動詞です。この文は「break(休憩)を give してくれ」、そこから、「ひと息つかせてくれ・勘弁してくれ・いい加減にしてくれ」となっています。give には特殊なニュアンスはありません。




Lesson 89 授与系レベル2動詞:provide、supply、present

If you have questions, I will provide answers.

provide は、give とはことなり「必要なものを与える(提供する)」イメージです。この単語が「pro(前もって)-vide(見る)」という語源をもっているからです。相手の必要とするものを予見しそれをあたえるのです。supply も授与系の重要動詞です。こちらも必要とされるものをあたえますが、長期にわたって安定的にというニュアンスがくわります。office supplies(事務用品)などはピッタリなつかい方です。present(贈呈する)のイメージは「pre(前に)ある・出す」です。プレゼントをおくる以外にも「提示する」といったつかい方もあります。




Lesson 91 「授与型」が持つ意味

My company offered me a much better position.

動詞とつかわれる文型とには関係があります。言語には配置があります。単語のイメージがわかってきたら、このことをもう一度肝に銘じてください。配置の基本となるのは文型です。

この文は、動詞のうしろに目的語が2つならんだ「授与型」です。この形をとれば、give(与える)以外の動詞も、「授与(あげる・くれる)」の意味がつねに生じます。この文で動詞は、offer(申し出る・差し出す)ですが、授与型でつかわれているために「~に…を提供する」という意味となります。

動詞の意味とつかわれる文型は密接に関連しています。イメージがつかめれば、そのつかい方も自然に感じることができるようになります。




Lesson 92 「授与型」にマッチする動詞たち

My daughter’s wedding cost me a fortune.

cost は「(費用が)かかる」。こうした「与える」と逆の方向性を持った単語が授与型につかわれると「奪う」意味関係となります。「マイナス方向の授与」ということです。ここでは「私から大金を奪う」ということです。

ある文型で、どういった動詞がつかえるかは、文型の意味と動詞のイメージがマッチするかどうかによります。




Lesson 93 助ける:help と save

She helped me with my homework.

help(助ける)は、誰かが何かをしやすくなるように、状況が改善するようにするということです。「助ける」と訳される動詞のもうひとつ save のイメージは「救う」です。




Lesson 94 look のイメージ

Let’s look at the catalog together.

look は「目を向ける」。「ん?!」と目を向ける単なる動作に焦点があります。at は「点」。ある点に向かって視線をおくるのが look at ということになりす。




Lesson 96 watch のイメージ

Look at that guy over there. He’s been watching us since we arrived.

watch は、たかい集中力が感じられる単語です。「ジィッッッッと見る」イメージです。




Lesson 97 see のイメージ ①

I can’t see anything in this fog. see は「見える」。目に入ってくる、むこうからやってくる感触の単語です。

look は目を向ける動作であるため「単なる動作」を表す自動型でしたが、see は「見える」、視覚が対象物に直接およんでいることをしめすため、目的語をとる他動型となります。




Lesson 98 see のイメージ ②

I’ll see if there are any in the storeroom.

see は「心」と直接つながる動詞です。 see のイメージ「見える」は、視覚対象が頭にはいってくることであり、そこから、「チェックする」つかい方がうまれます。対象を頭に入れて検討・判断するということです。see は、心の動きと強く結びついた単語であり、目は本当に「心の窓」です。




Lesson 99 視覚系レベル2動詞:eye、gaze など

視覚は人間の感覚の中で最も鋭敏です。そのためさまざまなニュアンスの「見る」をあらすレベル2動詞が存在します。

Stop eyeing those cakes.

eye の動詞のイメージは「湿度の高い、じっとりした目線」です。eye のうしろには、値踏みしたり不信感を持っていたりなど、対象にさぐりをいれる心理がはたらいています。同じ「ジッと見る」ですが、ずいぶん心理はことなります。gaze は「ステキだなぁ。見ていたいなぁ」というニュアンスです。stare はカッと目を見開きながら、好奇心に駆られていたり、相手を威嚇しようとおもっていたり、かなり失礼な視線のおくり方です。







「レベル2動詞」がたくさんでてきました。たとえば視覚をあらわす動詞にはたくさんの単語があり、どのようにつかいわければよいのかよくわかりません。そこでイメージが役立ちます。日本語訳では決して習得できないことがイメージをつかえば容易に習得できます。

視覚とは情報を内面にインプットすることです。インプットのしかたにもさまざまなルートがあります。

繊細な意味をはこぶ「レベル2動詞」もぜひ身につけてください。

動詞のイメージがわかってきたら、もう一度、文型(単語の配置)を確認します。動詞とつかわれる文型とには密接な関係があります。イメージと言語をむすびつけることがとても重要です。

イメージと言語をむすびつけることが大事だとわかっても、どのように練習したらよいのか? ラジオ英会話が役立ちます。プログラムにしたがってひたすら練習していけば、理屈ではなく おのずと、イメージと言語がむすびついてきます。むずかしいことはありません。

イメージと言語をむすびつける方法はあらゆる分野の学習に応用できます。イメージと言語がむすびついた世界がどんなにおもしろいものか。ぜひ感じてください。




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『NHK ラジオ英会話 2019年8月号』NHK出版、2019年


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