文章化(情報のアウトプット)をするためには、国語辞典や類語辞典に常日頃からなじんでおくのがよいです。

そのためにおすすめできるのが「速めくり」訓練です。

たとえば、角川書店の『類語国語辞典』の全ページを、できるだけ速くめくりながら最後まで一気に見てしまいます。読むのではなくて見るのです

これにより、この辞典の構造(構成)を空間的物理的につかむことができます。この辞典には、よくできた分類語彙表があり、これをつかってこの辞典がつくる語彙分類体系(全体像)をイメージすることもできます。

それに対して、今回の「速めくり」は、ページがつくりだす物理的な構造を実際に見て、全体像をつかむのです。

こうして、語彙分類体系のイメージにくわえて「速めくり」訓練をして辞典の全体構造をつかんでおけば、単語を検索したときに(普通に辞書をひいたときに)、構造の中に単語を位置づけて理解することができます。つまり、単語(要素)の空間配置がわかるようになるわけです。辞典のなかに掲載されている単語は構造(入れ物)のなかの要素に相当します。

これは、単語の言語的理解に空間的理解もくわえることになり、結果的に、意味とは、空間的な位置関係で決まってくることもわかってきます。

この「速めくり」訓練は類語辞典のみならず、一般の書籍にも応用することができます。たとえば、「速めくり」をしてその本の大局的な構造を空間的にまずつかみ、読書あるいは記憶法によって、本のなかのいくつかのキーワードを記憶すれば、全体構造のなかにキーワードを位置づけて理解することができ、記憶が定着し、キーワードが活用できるようになります。


参考文献:栗田昌裕著『頭がよくなる速読術』