コーヒーは世界的な飲料となり、世界共通のあらたな文化をつくりだしつつあります。のみすぎることなく適量をまもってのめば心身によい影響をもたらします。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2019年5月号の Topic ではコーヒーについて解説しています。コーヒーは15世紀にイエメンで「発明」され、いまでは世界中でのまれています。
コーヒーノキ属には125種があり、コーヒーとして利用されているのは2〜3種ほどであり、「アラビカ種」がそのなかでもっともよくつかわれています。栽培されている国や土地によって「モカ」や「ブルーマウンテン」などの銘柄がつけられます。モカの名称の由来はイエメンにかつてあったモカ港にあり、そこは、歴史上はじめてコーヒーを大規模に出荷した場所でした。現在では、エチオピアやイエメンでつくられたものをモカとよんでいます。
コーヒーをのむためには「焙煎」をまずします。これによって、生豆の水分がうしなわれ、細胞のなかの糖類やアミノ酸などが化学変化をおこし、それらの成分が油脂やカフェインとともに濃縮されて、細胞壁の内側にへばりつきます。そのコーヒー豆を挽いて、湯にふれさせると成分が湯にとけこんでコーヒーができあがります。
入れ方にはつぎのような方法があります。
コーヒーをのむと眠気がさめ、興奮がもたらされます。これは、カフェインのはたらきによるものであり、1819年にあきらかになりました。カフェインは窒素化合物(アルカロイド)の一種であり、実だけでなく葉にもふくまれています。
ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)によると飲みものにふくまれるカフェインの量はつぎのとおりです(注)。
ヨーロッパ食品安全機関によると、1日に摂取するカフェインの総量が400ミリグラムまでなら問題はないとされます。ただし妊娠している場合は、カフェインを分解する能力が一次的に低下するので、1日あたり200ミリグラムまでなら問題はないとしています。ただし個人差はありますのでご注意ください。
またコーヒーをのむことで、病気になるリスクがさがる場合とあがる場合があるとされます。
■ リスクがさがるもの
■ リスクがあがるもの
くわしくは『Newton』をご覧ください。
コーヒーについて書かれている最古の本は10世紀のもだといわれています。当時は、薬として利用されていたようです。
現在のようなコーヒーの原型があらわれたのは15世紀中ごろであり、イエメンにいたイスラム教修行者が眠気をさましたり、興奮をもたらしたりするものとしてひろましました。ただしこのころは、果皮と果肉つくのまま乾燥させたものを煮出していました。
生豆だけをつかうスタイルは17世紀にはじまり、ヨーロッパでコーヒーがこの時代に大流行しました。また第二次世界大戦中、すくないコーヒー豆を節約しながらのむスタイルとして「アメリカン」がかんがえだされました。
このように、コーヒーはきわめて実用的な飲料であり、都市生活者がふえた今日では、世界中でのまれる世界的飲料になりました。もやは人間は、コーヒーなしではいきていけません。
しかし一方で、世界中の人々がコーヒーをのむようになったためにコーヒー豆が高騰したり、一部の銘柄が入手できなくなったりする問題も発生しています。
コーヒーには、眠気をさます以外に、ストレスを緩和したり心身にやすらぎをもたらしたりする効能もあり、またさまざまないれ方以外に、焙煎の仕方、豆の挽き方、粒度、ミルクのいれ方などによっても味がかわり、いまでは、実に多様なスタイルがつくりだされています。コーヒーのプロも多数うまれ、単なる効能をこえて、世界的なあらたな文化をつくりだしつつあるといってよいでしょう。
▼ 参考文献
『Newton』(2019年5月号)、ニュートンプレス、2019年
▼ 注
コンビニなどでうっている「睡眠打破」(常盤薬品)には120ミリグラムのカフェインが、「強強打破」(常盤薬品)には150ミリグラムのカフェインがふくまれます。煎茶1杯(150ミリリットル)には約30ミリグラムのカフェインがふくまれます。参考にしてください。
コーヒーは、赤道に近い熱帯・亜熱帯地方の標高の高いところで栽培される、アカネ科コーヒーノキ属の植物である。葉が2枚1組でつき、その付け根に花や実がまとまって団子状につく。白い花が落ちたあと、8〜11か月ほどすると完熟した実を収穫することができる。実の中には種子がたいてい2個入っている。この種子の中身がいわゆるコーヒーの生豆(生のコーヒー豆)だ。豆とよばれるが、大豆や小豆のような「マメ(胚乳がない種子)」ではなく、カキやリンゴの種(胚乳がある種子)と同じ仲間である。
コーヒーノキ属には125種があり、コーヒーとして利用されているのは2〜3種ほどであり、「アラビカ種」がそのなかでもっともよくつかわれています。栽培されている国や土地によって「モカ」や「ブルーマウンテン」などの銘柄がつけられます。モカの名称の由来はイエメンにかつてあったモカ港にあり、そこは、歴史上はじめてコーヒーを大規模に出荷した場所でした。現在では、エチオピアやイエメンでつくられたものをモカとよんでいます。
コーヒーをのむためには「焙煎」をまずします。これによって、生豆の水分がうしなわれ、細胞のなかの糖類やアミノ酸などが化学変化をおこし、それらの成分が油脂やカフェインとともに濃縮されて、細胞壁の内側にへばりつきます。そのコーヒー豆を挽いて、湯にふれさせると成分が湯にとけこんでコーヒーができあがります。
入れ方にはつぎのような方法があります。
- トルココーヒー(煮出す)
- フレンチプレス(まぜてこす)
- ドリップ(湯をとおす)
- サイフォン
- エスプレッソ
コーヒーをのむと眠気がさめ、興奮がもたらされます。これは、カフェインのはたらきによるものであり、1819年にあきらかになりました。カフェインは窒素化合物(アルカロイド)の一種であり、実だけでなく葉にもふくまれています。
ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)によると飲みものにふくまれるカフェインの量はつぎのとおりです(注)。
- ドリップコーヒー(1杯=200ミリリットル):約90ミリグラム
- エスプレッソ(1杯=60ミリリットル):約80ミリグラム
- エナジードリンク(カフェインいり飲料、250ミリリットル):80ミリグラム
- 紅茶(ストレート、220ミリリットル):50ミリグラム
- コーラ(350ミリリットル):40ミリグラム
ヨーロッパ食品安全機関によると、1日に摂取するカフェインの総量が400ミリグラムまでなら問題はないとされます。ただし妊娠している場合は、カフェインを分解する能力が一次的に低下するので、1日あたり200ミリグラムまでなら問題はないとしています。ただし個人差はありますのでご注意ください。
またコーヒーをのむことで、病気になるリスクがさがる場合とあがる場合があるとされます。
■ リスクがさがるもの
- 心血管疾患
- 糖尿病
- 肝臓がん
- パーキンソン病
■ リスクがあがるもの
- 流産
- 膀胱がん
くわしくは『Newton』をご覧ください。
コーヒーについて書かれている最古の本は10世紀のもだといわれています。当時は、薬として利用されていたようです。
現在のようなコーヒーの原型があらわれたのは15世紀中ごろであり、イエメンにいたイスラム教修行者が眠気をさましたり、興奮をもたらしたりするものとしてひろましました。ただしこのころは、果皮と果肉つくのまま乾燥させたものを煮出していました。
生豆だけをつかうスタイルは17世紀にはじまり、ヨーロッパでコーヒーがこの時代に大流行しました。また第二次世界大戦中、すくないコーヒー豆を節約しながらのむスタイルとして「アメリカン」がかんがえだされました。
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このように、コーヒーはきわめて実用的な飲料であり、都市生活者がふえた今日では、世界中でのまれる世界的飲料になりました。もやは人間は、コーヒーなしではいきていけません。
しかし一方で、世界中の人々がコーヒーをのむようになったためにコーヒー豆が高騰したり、一部の銘柄が入手できなくなったりする問題も発生しています。
コーヒーには、眠気をさます以外に、ストレスを緩和したり心身にやすらぎをもたらしたりする効能もあり、またさまざまないれ方以外に、焙煎の仕方、豆の挽き方、粒度、ミルクのいれ方などによっても味がかわり、いまでは、実に多様なスタイルがつくりだされています。コーヒーのプロも多数うまれ、単なる効能をこえて、世界的なあらたな文化をつくりだしつつあるといってよいでしょう。
▼ 参考文献
『Newton』(2019年5月号)、ニュートンプレス、2019年
▼ 注
コンビニなどでうっている「睡眠打破」(常盤薬品)には120ミリグラムのカフェインが、「強強打破」(常盤薬品)には150ミリグラムのカフェインがふくまれます。煎茶1杯(150ミリリットル)には約30ミリグラムのカフェインがふくまれます。参考にしてください。