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「100億人でサバイバル」(日本科学未来館)
(平行法で立体視ができます)
安全な場所をまずは確保することがサバイバルのために必要です。自然災害とともに、機械文明がもたらす危険にもそなえなければなりません。いずれまた大事故がおこります。
東日本大震災から8年がたちました。自然災害や原発事故といった生命の危機に遭遇しても、なんとか生きのびるためにはどうすればよいか?

もっとも重要なことは、安全な場所を確保することです。安全な場所がとにかく確保できれば、飲まず食わずでも3日間は生存が可能です。

今いる場所が危険であれば安全な場所に退避します。しかし屋外へでるとかえって危険なこともあります。風向きなどもみなければなりません。安全な場所はどこなのか? 的確に状況が判断できるかどうかが生死のわかれ目です。

日本科学未来館の常設展示「100億人でサバイバル」の情報が 3.11 にあわせて更新されました(注1)。

  • 福島第一原子力発電所事故の発生から放射性物質の拡散のシミュレーション
  • 福島県内における避難区域
  • 米の全袋調査

5階の展示コーナーの動画でみることができます。

東日本大震災では、福島第一原子力発電所で原子炉が破損する大事故がおこり、核燃料がとけおち、大量の放射性物質が原子炉から放出されました。


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放射性物質で汚染された土壌には雲母という鉱物がおおくふくまれており、雲母には、セシウムをとらえてはなさない性質があるため、セシウムが土壌へ吸着されました。稲などの作物は、成長するためにカリウムを吸収するので、それに似た性質をもつ放射性セシウムも吸収、放射能をもつ作物がそだってしまいました。

そこでカリウムを大量にまいて、セシウムが相対的に作物に吸収されにくくしました(セシウムがなくなったわけではありません)。 

年間に検査する米の量は約1000万袋であり、現在は、基準値 100Bq/kg をこえたサンプルはなくなっています。

東北地方の太平洋沿岸域では、約500年ごとにくりかえし大津波がおきていたことが地質学的な調査からあきらかになっています。


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地層のサンプル


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白色の地層は、貞観地震(じょうがんじしん、869年)のときの津波堆積物です。貞観地震は、東日本大震災をひきおこした東北地方太平洋沖地震と同程度の大地震だったと推定されています。津波堆積物の分布をしらべれば、その津波の規模やその到達点などがわかります。




スイッチをきれば熱がでなくなるコンロとはちがい、原子力発電所は、運転をとめても熱と放射線を発しつづけるため、ひとたび事故がおきるととりかえしのつかないことになります。

わたしたち人間は、自然災害の危険とともに、機械文明がもたらす危険にもむきあって生きていかなければならなくなりました。自業自得です。

これからは、事故はおこらないという前提ではなく、事故がおこったときにはどうするか? 事故はおこるという前提のもとで今からそなえ、避難訓練をくりかえしおこなっておく必要があります。



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▼ 注1
日本科学未来館「100億人でサバイバル」
※ 写真撮影が許可されています。