地球館・地球史ナビゲーター
(平行法で立体視ができます)
(平行法で立体視ができます)
国立科学博物館・地球館は、地球史・生命史、自然の法則、科学技術史についておもに展示・解説しています。館内をぶらぶらするだけで、地球と生命について、自然について、科学技術について認識をふかめることができます。
国立科学博物館の地球館は、博物館の入口をはいって奥にすすんでいったところにあるおおきな建物(別館)です。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
**【3階】**
「大地を駆ける生命 - 哺乳類と鳥類 -」
現在の地球には、さまざまな哺乳類と鳥類があふれかえっています。ここでは、彼らの剥製をじっくり観察しながら、彼らの体のしくみをしり、生きるための知恵をまなぶことができます。
**【2階】**
第1展示室「科学技術で地球を探る」
変動する地球の様子をしめす画像やデータを準リアルタイムで紹介しています。その観測技術の基礎である光や磁気などに関する物理学分野を体験型展示を通して直感的に体感し、さらに磁場などの身近な現象を入り口にして地球物理学的な知識を解説しています。
第2展示室「科学と技術の歩み」
江戸時代〜現代の科学技術の歩みをたどることができます。日本の科学技術は、日本固有の文化に根ざしつつ、外国の技術もうけいれながら発展してきました。
▼ 江戸時代の科学技術
読み→計算→書き - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(1)-
時をきざむ - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(2)-
空間をはかる - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(3)-
重層文化を発展させる - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(4)-
江戸時代をみなおす - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(5)-
▼ 関連記事
日本の近代化をふりかえる - 明治150年記念特別展「日本を変えた千の技術博」-
梅棹忠夫『比較文明学研究』をよむ
**【1階】**
「地球史ナビゲーター」
ここは地球館の展示室全体の入り口となるシンボルゾーンです。 宇宙史・生命史・人間史の壮大な物語がここからはじまります。
宇宙は、約138億年前にビッグバンで誕生したとかんがえられています。地球をふくむ太陽系は約46億年前にうまれ、生命は、約40億年前に誕生し、人類の祖先は、約700万年前にあらわれたとされます。約46億年の地球史を1年(365日)にたとえると、生命の誕生は2月17日、脊椎動物の上陸は12月3日、人類の誕生は12月31日の10時40分ごろ、ヒトの出現は23時37分頃になります。床にしめされた「タイムライン」で、宇宙史・地球史のスケールのおおきさを感じとってください。
宇宙史
約138億年まえに、宇宙の誕生とともにうまれた最初の原子は水素とヘリウムです。
宇宙の誕生から数億年後、密度のたかいところに重力によって水素やヘリウムがあつまり、最初の恒星が誕生しました。恒星は、かるい元素がおもい元素にかわる核融合によって光ります。星には寿命があり、大質量の星は超新星爆発をおこして、星の内部でできた炭素・ケイ素・鉄などの元素を宇宙空間に放出します。宇宙のガスは、水素・ヘリウム以外のおもい元素をしだいにおおくふくむようになり、それを材料にしてあたらしい星がまたつくられます。地球や生命の誕生に必要な元素がこうしてつくられました。
生命史
約46億年前になると地球が誕生し、その表面に海ができると、まもなく生命は誕生しました。原始的な細胞からさまざまな単細胞生物があらわれ、そのなかには、わたしたちヒトにつながるものや、光合成をおこなって酸素をだして原始の大気をつくりかえるものもいました。
細胞があつまってたがいに役割分担をはじめた多細胞生物は、地球規模の寒冷期をへて体が複雑化・大型化し、やがて陸や空へも進出しました。
生命は、その歴史を通じて進化と絶滅をくりかえしてきました。複数のグループが短期間に同時に絶滅した現象は「大量絶滅」とよばれ、これまでに、非常におおきな大量絶滅が5回おこりました。絶滅の結果あらたに開放された空間では、空白地域をうめるようにあたらしい生物が進化しました。
人間史
約700年前になると、ほかの生物とはことなる直立二足歩行をする動物、人類が誕生しました。そして直立二足歩行によって自由になった手から道具がうまれました。人類進化の後半約260万年間をみると道具をつくる技術がしだいに進歩していったことがわかります。また脳がおおきくなって知識がたくわえられていきました。こうして人間(ホモ・サピエンス)がうまれました。
人類の進化をみるときに、目(感覚器官)・脳・手の3つの部分の進化に注目するとよいでしょう。そして具体的には、手が、文明をうみだしていくことになるのです。約1万6000年前になると「縄文土器」が日本列島でうまれました。
▼ さらにみる
宇宙史の視点、生命史の視点、人間史の視点 - 国立科学博物館「地球史ナビゲーター」-
「地球の多様な生き物たち」
おおくの種にわかれて進化してきた生物たちが、さまざまな環境に適応し、独自の形態や生活様式をもちながらおたがいに深くかかわりあって生きている姿がみられます。
第1展示室「海洋生物の多様性」
光合成生態系:海は、地球表面の約70%をしめ、生物にとっての最大の生息場所です。そこでは、大小さまざまな藻類が光合成をおこない、藻類をたべる植食性動物、それらをたべる肉食動物へとつづく食物連鎖があります。この太陽の光をエネルギー源とした生物のかかわりあい、「光合成生態系」が地球上のほとんどの生物の生活をささえています。
化学合成生態系:深海の生物の一部には、深海底からわきだす硫化水素やメタンなどの化学物質をエネルギー源とする「化学合成生態系」をつくっています。それらは、熱水噴出孔生物群集や湧水生物群集とよばれ、細菌類などの微生物を食物連鎖のはじまりとして、莫大な量の生物たちが身をよせあうようにくらしています。
第2展示室「陸上生物の多様性」
さまざまな自然景観
マングローブ:淡水と海水がいりまじる汽水の砂泥地に生じる林であり、熱帯・亜熱帯の河口や海岸にみられます。マングローブ植物とよばれる特徴的な樹木を中心に、潮の干満と塩分濃度の変化に適応したさまざまな生物が生息します。
熱帯雨林:地球の陸地の約6%の面積にすぎませんが、高温で多湿なため、植物がいきていく絶好の条件をそなえ、全植物種の約3分の2が生育しているといわれます。それに呼応して動物や菌類などの多様性もたかくなっています。
湿原:湿原は、地形などの影響で土壌が常に湿った状態にある自然の草原です。寒冷地の湿原では、植物遺骸などの有機物の分解がすすまず、泥炭(ピート)として堆積するため、土壌や水は酸性で貧栄養となります。
温帯林:日本列島を特徴づける自然植生です。主体となるブナやミズナラは、胸高直径が1mをこえるような巨木になることもあります。老齢木がたおれると昆虫や土壌動物の作用によって分解され、これを栄養として、ブナやミズナラの幼木がふたたび生育します。この現象を「倒木更新」といいます。
高山:一般に高山というと高い山を漠然とさしますが、植物生態学的には「高山帯」をさします。たとえばヒマラヤ山脈における高山帯は標高3800〜5500mであり、高木からなる森林はなく、低木林・矮性低木林・草原が発達します。高山帯よりも上部は「氷雪帯」といい、一年をとおして雪や氷にとざされて植物はほとんどみられません。
砂漠:極端な乾燥状態にある大地であり、各大陸の内陸部にひろがっています。何年かあるいは何十年かに一度の降雨があるため植物が芽生え、それを糧にした動物たちがいきています。かぎられた水を最大限にいかし、乾燥にたえながら生物がくらしています。
第3展示室「多様性の由来」
生物の体は細胞からできており、それぞれの細胞は、すべての生物に共通な「言語」でかかれた生物の「設計図」をもっています。分裂によって細胞がふえるときには設計図のコピーがうけつがれ、さらに細胞は、この設計図をもとにしてタンパク質をつくります。地球上の生物のしくみはただひとつであり、生物は、もとひとつのものから分化・生成してきたものであり、種分化や進化によって生物の多様性が生じたことがわかります。
▼ くわしくみる
多様性の由来(国立科学博物館・地球館1階 第3展示室)
第4展示室「系統広場」
すべての生物は約40億年前に誕生した細胞に由来しているとかんがえられます。あらゆる生物は、おたがいにどこかで祖先を共有する類縁関係にあり、生物の進化は1本の系統樹であらわすことができます。ここでは、約40億年の進化の様子をあるいて体験できます。
▼ くわしくみる
系統広場(国立科学博物館・地球館1階 第4展示室)
第5展示室「自然を生き抜く工夫」
生物は、さまざまな自然条件のもとで生息域をひろげ、地球のすみずみまでいきわたっています。生物は、体のしくみやくらしかたに工夫をこらし、それぞれの環境に適応して生きてきました。
▼ くわしくみる
自然をいきぬく工夫(国立科学博物館・地球館 第5展示室)
第6展示室「生物多様性の保全」
人間による地球の開発により、地球環境の破壊が急速にすすんでいます。これは生物多様性の喪失でもあります。生物多様性をうしなうということは、いいかえれば地球の生態系が崩壊するということであり、人間の絶滅につながることでもあります。わたしたちは生物多様性の保全にこれまで以上にとりくんでいかなければなりません。
▼ くわしくみる
生物多様性の保全(国立科学博物館・地球館1階 第6展示室)
**【地下1階】**
「地球環境の変動と生物の進化 - 恐竜の謎を探る -」
ここは恐竜の部屋です。現代の爬虫類と鳥類はことなる生物ですが、恐竜の研究がすすむにつれてそれらの進化の連続性があきらかになってきました。つまり、恐竜のある種が鳥類に進化したとかんがえられるのです。恐竜の起源・大型化・多様化・絶滅など、興味はつきません。化石から、どれだけおおくの「証言」をひきだすことができるでしょうか。
▼ くわしくみる
恐竜の謎をさぐる(国立科学博物館・地球館地下1階)
**【地下2階】**
「地球環境の変動と生物の進化 - 誕生と絶滅の不思議 -」
およそ40億年前に誕生した生命は、大きく変動する地球環境の中で誕生と絶滅を繰り返して進化を遂げてきました。恐竜の絶滅後に大発展した哺乳類の中から人類が生まれ、世界中に広がりました。その進化の道のりをたどります。
**【地下3階】**
「自然のしくみを探る」
広大な宇宙と神秘的な生命、それを構成する物質とこれらを支配する法則、これらをしることはすべての科学的認識の基礎となるでしょう。私たちの視野を広げ、自然についての理解を変えてきた探究の成果と、それに貢献した人たちを紹介します。
0. 日本の科学者
1. 法則を探る
2. 宇宙を探る
3. 物質を探る
国立科学博物館は、東京都台東区の上野公園内にあります。地球館は、博物館の入口からはいると奥の方(南の方)にあります。
展示室は、地下3階から地上3階までの全6フロアーあり、内容がとても豊富でみごたえがあります。1階の「地球史ナビゲーター」からあるきはじめるのがよいですが順路はないので、すきなところから重点的にみていけばよいでしょう。
展示物は、おもしろいものや特徴的なものが厳選されており、解説もついているのでわかりやすいです。有料ですが音声ガイドもあります。
展示物をみるときには、同時に、その展示室の場所(位置)も確認するとよいです。何階なのか? 南側の部屋か北側の部屋か? 館内マップなどをみて地球館の建物全体をイメージして、そのなかのどこに今いるのかも確認します。
このようなことを意識するだけで、展示物と場所がセットになって記憶でき、両者の相乗効果で想起もしやすくなります。展示物は、地球館の全体構造のなかの要素としてとらえることができ、展示室は、地球館の構造のなかの特定の場所として認識できます。こうして、要素の記憶と場所の記憶がつよめあってよく記憶できるというわけです。
これは「建築記憶法」あるいは「空間記憶法」の実践であり、このようなことに配慮すれば、館内をぶらぶらするだけでもさまざまなことがたのしく気楽に記憶できます。
想起
▼ 注
国立科学博物館
地球館
▼ 参考文献
国立科学博物館編集・発行『地球館ガイドブック』2016年7月29日
成毛眞著・国立科学博物館監修『国立科学博物館のひみつ 地球館探検編』2017年
栗田昌裕著『絶対忘れない! 記憶力超速アップ術』日本文芸社、2010年
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
**【3階】**大地を駆ける生命 - 哺乳類と鳥類 -**【2階】**第1展示室:科学技術で地球を探る第2展示室:科学と技術の歩み
**【1階】**地球史ナビゲーター
地球の多様な生き物たち
第1展示室:海洋生物の多様性第2展示室:陸上生物の多様性第3展示室:多様性の由来第4展示室:系統広場第5展示室:自然を生き抜く工夫第6展示室:生物多様性の保全
**【地下1階】**地球環境の変動と生物の進化 - 恐竜の謎を探る -**【地下2階】**地球環境の変動と生物の進化 - 誕生と絶滅の不思議 -第1展示室:46億年の散歩道第2展示室:地球のおいたちを調べる第3展示室:絶滅と進化をうながす地球環境第4展示室:海でおこった生物の爆発的進化第5展示室:陸上に進出した生物第6展示室:陸上を支配した哺乳類第7展示室:水に戻った四肢動物第8展示室:空を飛んだ脊椎動物第9展示室:人類の進化**【地下3階】**自然のしくみを探る第0展示室:日本の科学者第1展示室:法則を探る第2展示室:宇宙を探る第3展示室:物質を探る
**【3階】**
「大地を駆ける生命 - 哺乳類と鳥類 -」
現在の地球には、さまざまな哺乳類と鳥類があふれかえっています。ここでは、彼らの剥製をじっくり観察しながら、彼らの体のしくみをしり、生きるための知恵をまなぶことができます。
- 進化の頂点・野生大型獣
- 動物たちが生きるための知恵
- サバンナの哺乳類
- われわれの隣人
- 絶滅の淵で
- 鳥の多様な形
**【2階】**
第1展示室「科学技術で地球を探る」
変動する地球の様子をしめす画像やデータを準リアルタイムで紹介しています。その観測技術の基礎である光や磁気などに関する物理学分野を体験型展示を通して直感的に体感し、さらに磁場などの身近な現象を入り口にして地球物理学的な知識を解説しています。
第2展示室「科学と技術の歩み」
江戸時代〜現代の科学技術の歩みをたどることができます。日本の科学技術は、日本固有の文化に根ざしつつ、外国の技術もうけいれながら発展してきました。
▼ 江戸時代の科学技術
読み→計算→書き - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(1)-
時をきざむ - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(2)-
空間をはかる - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(3)-
重層文化を発展させる - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(4)-
江戸時代をみなおす - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(5)-
▼ 関連記事
日本の近代化をふりかえる - 明治150年記念特別展「日本を変えた千の技術博」-
梅棹忠夫『比較文明学研究』をよむ
**【1階】**
「地球史ナビゲーター」
ここは地球館の展示室全体の入り口となるシンボルゾーンです。 宇宙史・生命史・人間史の壮大な物語がここからはじまります。
宇宙は、約138億年前にビッグバンで誕生したとかんがえられています。地球をふくむ太陽系は約46億年前にうまれ、生命は、約40億年前に誕生し、人類の祖先は、約700万年前にあらわれたとされます。約46億年の地球史を1年(365日)にたとえると、生命の誕生は2月17日、脊椎動物の上陸は12月3日、人類の誕生は12月31日の10時40分ごろ、ヒトの出現は23時37分頃になります。床にしめされた「タイムライン」で、宇宙史・地球史のスケールのおおきさを感じとってください。
宇宙史
約138億年まえに、宇宙の誕生とともにうまれた最初の原子は水素とヘリウムです。
宇宙の誕生から数億年後、密度のたかいところに重力によって水素やヘリウムがあつまり、最初の恒星が誕生しました。恒星は、かるい元素がおもい元素にかわる核融合によって光ります。星には寿命があり、大質量の星は超新星爆発をおこして、星の内部でできた炭素・ケイ素・鉄などの元素を宇宙空間に放出します。宇宙のガスは、水素・ヘリウム以外のおもい元素をしだいにおおくふくむようになり、それを材料にしてあたらしい星がまたつくられます。地球や生命の誕生に必要な元素がこうしてつくられました。
生命史
約46億年前になると地球が誕生し、その表面に海ができると、まもなく生命は誕生しました。原始的な細胞からさまざまな単細胞生物があらわれ、そのなかには、わたしたちヒトにつながるものや、光合成をおこなって酸素をだして原始の大気をつくりかえるものもいました。
細胞があつまってたがいに役割分担をはじめた多細胞生物は、地球規模の寒冷期をへて体が複雑化・大型化し、やがて陸や空へも進出しました。
生命は、その歴史を通じて進化と絶滅をくりかえしてきました。複数のグループが短期間に同時に絶滅した現象は「大量絶滅」とよばれ、これまでに、非常におおきな大量絶滅が5回おこりました。絶滅の結果あらたに開放された空間では、空白地域をうめるようにあたらしい生物が進化しました。
人間史
約700年前になると、ほかの生物とはことなる直立二足歩行をする動物、人類が誕生しました。そして直立二足歩行によって自由になった手から道具がうまれました。人類進化の後半約260万年間をみると道具をつくる技術がしだいに進歩していったことがわかります。また脳がおおきくなって知識がたくわえられていきました。こうして人間(ホモ・サピエンス)がうまれました。
人類の進化をみるときに、目(感覚器官)・脳・手の3つの部分の進化に注目するとよいでしょう。そして具体的には、手が、文明をうみだしていくことになるのです。約1万6000年前になると「縄文土器」が日本列島でうまれました。
▼ さらにみる
宇宙史の視点、生命史の視点、人間史の視点 - 国立科学博物館「地球史ナビゲーター」-
「地球の多様な生き物たち」
おおくの種にわかれて進化してきた生物たちが、さまざまな環境に適応し、独自の形態や生活様式をもちながらおたがいに深くかかわりあって生きている姿がみられます。
第1展示室「海洋生物の多様性」
光合成生態系:海は、地球表面の約70%をしめ、生物にとっての最大の生息場所です。そこでは、大小さまざまな藻類が光合成をおこない、藻類をたべる植食性動物、それらをたべる肉食動物へとつづく食物連鎖があります。この太陽の光をエネルギー源とした生物のかかわりあい、「光合成生態系」が地球上のほとんどの生物の生活をささえています。
化学合成生態系:深海の生物の一部には、深海底からわきだす硫化水素やメタンなどの化学物質をエネルギー源とする「化学合成生態系」をつくっています。それらは、熱水噴出孔生物群集や湧水生物群集とよばれ、細菌類などの微生物を食物連鎖のはじまりとして、莫大な量の生物たちが身をよせあうようにくらしています。
第2展示室「陸上生物の多様性」
さまざまな自然景観
マングローブ:淡水と海水がいりまじる汽水の砂泥地に生じる林であり、熱帯・亜熱帯の河口や海岸にみられます。マングローブ植物とよばれる特徴的な樹木を中心に、潮の干満と塩分濃度の変化に適応したさまざまな生物が生息します。
熱帯雨林:地球の陸地の約6%の面積にすぎませんが、高温で多湿なため、植物がいきていく絶好の条件をそなえ、全植物種の約3分の2が生育しているといわれます。それに呼応して動物や菌類などの多様性もたかくなっています。
湿原:湿原は、地形などの影響で土壌が常に湿った状態にある自然の草原です。寒冷地の湿原では、植物遺骸などの有機物の分解がすすまず、泥炭(ピート)として堆積するため、土壌や水は酸性で貧栄養となります。
温帯林:日本列島を特徴づける自然植生です。主体となるブナやミズナラは、胸高直径が1mをこえるような巨木になることもあります。老齢木がたおれると昆虫や土壌動物の作用によって分解され、これを栄養として、ブナやミズナラの幼木がふたたび生育します。この現象を「倒木更新」といいます。
高山:一般に高山というと高い山を漠然とさしますが、植物生態学的には「高山帯」をさします。たとえばヒマラヤ山脈における高山帯は標高3800〜5500mであり、高木からなる森林はなく、低木林・矮性低木林・草原が発達します。高山帯よりも上部は「氷雪帯」といい、一年をとおして雪や氷にとざされて植物はほとんどみられません。
砂漠:極端な乾燥状態にある大地であり、各大陸の内陸部にひろがっています。何年かあるいは何十年かに一度の降雨があるため植物が芽生え、それを糧にした動物たちがいきています。かぎられた水を最大限にいかし、乾燥にたえながら生物がくらしています。
第3展示室「多様性の由来」
生物の体は細胞からできており、それぞれの細胞は、すべての生物に共通な「言語」でかかれた生物の「設計図」をもっています。分裂によって細胞がふえるときには設計図のコピーがうけつがれ、さらに細胞は、この設計図をもとにしてタンパク質をつくります。地球上の生物のしくみはただひとつであり、生物は、もとひとつのものから分化・生成してきたものであり、種分化や進化によって生物の多様性が生じたことがわかります。
▼ くわしくみる
多様性の由来(国立科学博物館・地球館1階 第3展示室)
第4展示室「系統広場」
すべての生物は約40億年前に誕生した細胞に由来しているとかんがえられます。あらゆる生物は、おたがいにどこかで祖先を共有する類縁関係にあり、生物の進化は1本の系統樹であらわすことができます。ここでは、約40億年の進化の様子をあるいて体験できます。
▼ くわしくみる
系統広場(国立科学博物館・地球館1階 第4展示室)
第5展示室「自然を生き抜く工夫」
生物は、さまざまな自然条件のもとで生息域をひろげ、地球のすみずみまでいきわたっています。生物は、体のしくみやくらしかたに工夫をこらし、それぞれの環境に適応して生きてきました。
▼ くわしくみる
自然をいきぬく工夫(国立科学博物館・地球館 第5展示室)
第6展示室「生物多様性の保全」
人間による地球の開発により、地球環境の破壊が急速にすすんでいます。これは生物多様性の喪失でもあります。生物多様性をうしなうということは、いいかえれば地球の生態系が崩壊するということであり、人間の絶滅につながることでもあります。わたしたちは生物多様性の保全にこれまで以上にとりくんでいかなければなりません。
▼ くわしくみる
生物多様性の保全(国立科学博物館・地球館1階 第6展示室)
**【地下1階】**
「地球環境の変動と生物の進化 - 恐竜の謎を探る -」
ここは恐竜の部屋です。現代の爬虫類と鳥類はことなる生物ですが、恐竜の研究がすすむにつれてそれらの進化の連続性があきらかになってきました。つまり、恐竜のある種が鳥類に進化したとかんがえられるのです。恐竜の起源・大型化・多様化・絶滅など、興味はつきません。化石から、どれだけおおくの「証言」をひきだすことができるでしょうか。
▼ くわしくみる
恐竜の謎をさぐる(国立科学博物館・地球館地下1階)
**【地下2階】**
「地球環境の変動と生物の進化 - 誕生と絶滅の不思議 -」
およそ40億年前に誕生した生命は、大きく変動する地球環境の中で誕生と絶滅を繰り返して進化を遂げてきました。恐竜の絶滅後に大発展した哺乳類の中から人類が生まれ、世界中に広がりました。その進化の道のりをたどります。
- 46億年の散歩道
- 地球のおいたちを調べる
- 絶滅と進化をうながす地球環境
- 海でおこった生物の爆発的進化
- 陸上に進出した生物
- 陸上を支配した哺乳類
- 水に戻った四肢動物
- 空を飛んだ脊椎動物
- 人類の進化
**【地下3階】**
「自然のしくみを探る」
広大な宇宙と神秘的な生命、それを構成する物質とこれらを支配する法則、これらをしることはすべての科学的認識の基礎となるでしょう。私たちの視野を広げ、自然についての理解を変えてきた探究の成果と、それに貢献した人たちを紹介します。
0. 日本の科学者
1. 法則を探る
2. 宇宙を探る
3. 物質を探る
- 宇宙の階層構造をイメージする - 国立科学博物館「宇宙を探る」-
- 複雑な現象を単純化して本質にせまる - 国立科学博物館「法則を探る」-
- 物質をさぐる - 国立科学博物館 -
- 〈構造→要素→本質〉とストーリー - 国立科学博物館 -
*
国立科学博物館は、東京都台東区の上野公園内にあります。地球館は、博物館の入口からはいると奥の方(南の方)にあります。
展示室は、地下3階から地上3階までの全6フロアーあり、内容がとても豊富でみごたえがあります。1階の「地球史ナビゲーター」からあるきはじめるのがよいですが順路はないので、すきなところから重点的にみていけばよいでしょう。
展示物は、おもしろいものや特徴的なものが厳選されており、解説もついているのでわかりやすいです。有料ですが音声ガイドもあります。
展示物をみるときには、同時に、その展示室の場所(位置)も確認するとよいです。何階なのか? 南側の部屋か北側の部屋か? 館内マップなどをみて地球館の建物全体をイメージして、そのなかのどこに今いるのかも確認します。
このようなことを意識するだけで、展示物と場所がセットになって記憶でき、両者の相乗効果で想起もしやすくなります。展示物は、地球館の全体構造のなかの要素としてとらえることができ、展示室は、地球館の構造のなかの特定の場所として認識できます。こうして、要素の記憶と場所の記憶がつよめあってよく記憶できるというわけです。
- 展示物:要素の記憶
- 展示室:場所の記憶
これは「建築記憶法」あるいは「空間記憶法」の実践であり、このようなことに配慮すれば、館内をぶらぶらするだけでもさまざまなことがたのしく気楽に記憶できます。
なお記憶法は、「記銘→保持→想起」という3場面からなり、さらによく記憶したい場合はつぎのようにするとよいでしょう。
記銘
- おぼえたい重要な展示物をよくみます。
- その背景を見ます。
- 展示室全体をみます。
- 地球館の建物全体(外観)を確認します(Google Earth などで)
- 目をとじて、展示物→背景→展示室→地球館の順にイメージします。
想起
たとえば帰宅してから重要な展示物を想起する場合は記銘の逆の順序でイメージします。
- 地球館をイメージしまます。
- 展示室をイメージします。
- 展示品の背景をイメージします。
- 展示物をイメージします。
記銘と想起をくりかえせば保持はいっそうつよまります。
▼ 注
国立科学博物館
地球館
▼ 参考文献
国立科学博物館編集・発行『地球館ガイドブック』2016年7月29日
成毛眞著・国立科学博物館監修『国立科学博物館のひみつ 地球館探検編』2017年
栗田昌裕著『絶対忘れない! 記憶力超速アップ術』日本文芸社、2010年