雲と雨のしくみをしっておくと天気予報がよくわかります。とくに積乱雲に注目します。すぐに避難できるようにそなえます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2019年2月号では「超図解でよくわかる! 天気と気象の教科書」を特集しています。その Part 1 では雲と雨のしくみを解説しています。



雨の中で車を走らせて、その雨が乾くと車が汚れるのもエアロゾルのしわざです。


水蒸気をふくんだ空気のかたまりが地上から上空へ上昇した場合、上昇するにつれて気圧がさがって膨張し、温度がさがります。すると空気がふくむことのできる水蒸気の量がへり、そのあまった分が水や氷の粒(雲粒)になります。水蒸気が雲粒になるためには「雲凝結核」とよばれる芯になるものが必要であり、それが空気中に浮遊する「エアロゾル」とよばれる微粒子です。エアロゾルには、地面からふきあげられた土の粒子、海の波しぶき、自動車や向上などからでる煙にふくまれる粒子などがあります。

こうしてできた雲粒は直径0.01ミリメートルほどで、人間の髪の毛のふとさの5分の1程度の大きさしかないため、空気抵抗や上昇気流の影響のためおちてきません。

しかし雲粒は、周囲の水蒸気をとりこむことで大きくなります。また雲粒どうしがぶつかりあってくっついて成長します。そして比較的おおきな雲粒は落下をはじめ、ほかの小さな雲粒とぶつかってくっついてさらに大きくなります。これをくりかえしていき雨として地上に落下します。


積乱雲は、何かのきっかけで上昇気流が発生するとできます。夏の夕立を降らせる雲だけでなく、梅雨の末期に大雨をもたらす雲や台風も、積乱雲で構成されています。積乱雲は、大雨をもたらす典型的な雲です。

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ソフトクリームのような形をした夏によくみかける雲が「積乱雲」とよばれる巨大な雲です。水平方向のひろがりは数キロ〜数十キロメートル、高さは15キロメートルに達することもあります。非常に分厚い雲なので、真上にくると空が真っ暗になり、せまい範囲に大雨をふらせるので注意が必要です。雷・竜巻などの突風やひょうなどを発生させる原因にもなります。

積乱雲は成長すると、雲のなかで下降気流が生じるようになります。雨粒が落下するときに周囲の空気をひきずりおろすことが原因のひとつです。また積乱雲の丈夫では夏でも雪ができ、それが落下の途中でとけて雨粒になります。その際、周囲の空気から雪が熱をうばうので温度がさがって下降気流がうまれます。

積乱雲は雷を発生しやすく「雷雲」ともよばれます。雷雲がきこえたら、車内や室内などの安全な場所にすぐに避難してください。


天気予報では「大気の状態が不安定」という言葉をよく耳にします。これは、大雨を降らせる「積乱雲」が発生したり成長したりしやすい状況である、ということです。


つまり「大気の状態が不安定」とは、天気がくずれやすい状態にあることを意味します。

地表ちかくの空気があたたかくしめっているところに上空に寒気がはいるなどして、地表と上空のあいだに大きな気温差が生じた場合に大気の状態が不安定になります。積乱雲が発生したり成長したりして天気がくずれます。


上空の氷点下の雲の中で雲粒が凍るためには、エアロゾルが重要なはたらきをします。雲粒中のエアロゾルが起点となって(氷晶核)、雲粒が凍りはじめるのです。


こうしてうまれた氷の粒(氷晶)は周囲の水蒸気をとりこんで成長して雪の結晶になり、これがとけずに地上まで落下することが「雪がふる」ということです。

雪の結晶どうしがくっついて大きくなると「ぼたん雪」になります。雲のなかで雪が落下しながら過冷却(0℃以下になってもこおらない状態)の雲粒(水滴)をつかまえて成長すると「あられ」になります。積乱雲のなかの上昇気流によりあられがふたたび上空にもどったり、落下をくりかえしたりしていると大きな氷のかたまりに成長します。これが「ひょう」です。ひょうは大きいため、夏でも地上に落下してくることがあります。




地球温暖化のためか、集中豪雨や水害が毎年のようにおそってくるようになってきています。まずは積乱雲の発生・動向に注目しなければなりません。

また天気予報をみたら、予報結果だけをしればよいというのではなく、そう予測される基本的な理由についても理解しておくと避難のために役立ちます。

気象災害への対処法は基本的には事前に避難するということです。Newton の今回の特集は、来年の集中豪雨や台風にそなえるために役立ちます。


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▼ 参考文献
『Newton』2019年2月号、ニュートンプレス、2019年

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