健康食品に関する情報があふれています。健康不安をあおられることなく、みずから主体的に判断することがもとめられます。違和感や疑問を大切にして情報処理をすすめます。
「健康によい○○」「××は健康にわるい」・・・
食と健康に関する情報が氾濫しています。何を実践したらいいのかわかりません。グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年12月号の Newton Special では、最新の科学的データにもとづいて以下の項目について解説しています。



  1. 「コラーゲン」を食べると肌にハリが出るか?
  2. 摂取した「生きた乳酸菌」は、胃腸でどうなる?
  3. 「グルテンフリー」は、万人向けか?
  4. 関節の痛みに「グルコサミン」は効くのか?
  5. 「β-カロテン」は、ガン予防効果はあるか?
  6. 「糖質制限」は、やせるのか? 健康にもよい?
  7. 厳格な菜食主義者「ビーガン」は栄養不足?
  8. 「加熱調理で発がん性物質ができる」は本当か?
  9. 食品添加物は体に悪い? 安全性の根拠とは?
  10. 「玄米は白米より体に良い」は本当か?
  11. 「肉は健康に悪い」「魚や野菜は健康に良い」は正しい? 
  12. 「塩分の摂りすぎ」は、どの程度のリスク?
  13. 「疲れ目にブルーベリーが良い」は本当か?
  14. 「ポリフェノール」で老化を防ぐことは可能か?
  15. 「機能性表示食品」や「トクホ」で病気は治るか?

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上記の質問に対するこたえは端的にいうとつぎのようになります。

  1. 証拠はない。
  2. 効果がある。
  3. 根拠はない。
  4. 効果はない。
  5. 効果はない。摂りすぎは悪影響。
  6. 短期的には効果があるが、長期的にはリスクがある。
  7. 栄養不足ではない。
  8. 加熱で生じるアクリルアミドに発がん性がある。
  9. 安全性が確認されている。
  10. 効果がある。
  11. ただしくない。ただし加工肉にリスクがある。
  12. 過剰摂取にリスクがある。
  13. 根拠はない。
  14. 根拠はない。
  15. なおらない。

これらをみると多くの場合、証拠や根拠や効果はなく、食品メーカーの広告に注意が必要であると『Newton』は指摘しています。効果があるのは乳酸菌と玄米ぐらいです。そして結論は、「さまざまものをバランスよく食べる」ということです。




するとちまたにあふれる健康食品やサプリはいったい何なのか?

ここで注目すべきは食品に関する情報です。食品メーカーが発する情報は食品を売る目的で発信している情報であり、売り手側の情報です。科学的・中立的な情報ではかならずしもなく、バランスを欠いた情報になっています。潜在意識にうったえるサブリミナル効果のようなこともおこっているかもしれません。

きびしい経済状況がつづくなか、収益をあげることを食品メーカーも優先せざるをえません。彼らは科学者ではありません。

すると健康不安を消費者はあおられて、かたよった情報にもとづいて判断をしてしまいます。なんとなく体にいいと感じるだけで “健康食品” やサプリを買ってしまいます。

しかしそのような生活をつづけていてはいけません。適切な判断が必要です。まずは、「何か変だ」という違和感や素朴な疑問を大切するところからはじまります。そして事実(データ)をしり、仮説をたて、確認(検証)をします。『Newton』も役立ちます。情報処理のエラーがなくなれば変なものを食べなくてすみます。


▼ 参考文献
『Newton』(2018年12月号)ニュートンプレス、2018年