簡単撮影モードでの撮影になれてきたら応用撮影モードにチャレンジしてみましょう。撮影の世界がひろがります。
デジタル一眼をつかえばきれいな写真が簡単に撮れます。まずは、簡単撮影モードからはじめましょう。
デジタル一眼で撮影しよう(1) - 河野鉄平『大人のためのデジタル一眼入門』-
撮影になれてきたら応用撮影モードに挑戦してみましょう。
プログラムモード(P)

シャッター速度は、自分で設定したF値に対してカメラが自動できめます。F値をちいさくするほどシャッター速度ははやくなり、F値をおおきくするほどシャッター速度はおそくなります。
明暗差がおおきな場面では、シャッターをきるたびに露出が変化し、写真のあかるさにばらつきがでてしまうことがあります。そのような場合でも、マニュアルモードをつかえば安定的な最適なあかるさで撮影することができます。
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▼ 参考文献
デジタル一眼で撮影しよう(1) - 河野鉄平『大人のためのデジタル一眼入門』-
撮影になれてきたら応用撮影モードに挑戦してみましょう。
応用撮影モード
- 簡単撮影モードからのステップアップ -
- 簡単撮影モードからのステップアップ -
プログラムモード(P)
応用撮影モードではプログラムモードをまずはつかってみましょう。むずかしい設定は必要ありません。絞りやシャッター速度をカメラが自動できめてくれるモードです。これで、シャッターチャンスものがしません。
簡単撮影モードとはちがい、必要があれば以下の設定ができます。
- ピント位置
- あかるさ
- 色合い
絞り優先モード(Av, A)
撮影になれてきたら、ピントのあう範囲が調整できる絞り優先モードに挑戦してみましょう。F値が自由に変更できます。ボケ描写をしたり、画面全体にピントをあわせてくっきりうつしたりすることができます。
F値をちいさく設定すればボケがつくりやすくなり、F値をおおきく設定すれば全体がくっきりうつります。図2において、右側ほどボケがつくりやすく、左側ほどくっきりうつります。

図2 F値とうつりかた
シャッター速度は、自分で設定したF値に対してカメラが自動できめます。F値をちいさくするほどシャッター速度ははやくなり、F値をおおきくするほどシャッター速度はおそくなります。
ポートレートでは、F値をちいさくして背景ボケにするとよいです。顔にピントをあわせて背景をおおきくぼかせば表情をうきあがらせることができます。ポートレートにかぎらず、写真をみる人にあなたが一番つたえたい要素を強調できます。一方、F値をたかくすれば、特定のどこかではなくて全体の様子をシャープにつたえられ、風景写真などで効果的です。
写真で何をみせたいのか、何をつたえたいのかがはっきりしてくると絞り優先モードが必要になってきます。逆に、課題もメッセージもはっきりしない場合はパシャパシャと撮っているだけでおわってしまします。
肉眼ではみられない世界が描写できるのがシャッター優先モードの魅力です。うごきに注目してさまざまな絵づくりがたのしめます。これは、ボケ描写と同様に写真ならではの表現です。
シャッター優先モード(Tv, S)
シャッター優先モードはシャッター速度を自由にかえられる撮影モードです。うごく被写体を撮影するときや、手ブレや被写体ブレに対応するためにつかいます。
シャッター速度をはやくするほどうごくいている被写体を止めて描写できます。シャッター速度をおそくするほど被写体をながして描写できます。
たとえばシャッター速度を高速にして水しぶきを撮影すれば水しぶきの一瞬のうごきを止めて水しぶきの形状が表現できます。一方、シャッター速度をおそくして滝を撮影すれば白糸の滝が表現できます。ただしシャッター速度をおそくすると手ぶれが生じやすくなるため、三脚が必要になる場合がおおいです。
- 高速シャッター速度:一般的に1/125秒以上のシャッター速度をさします。うごいている被写体がとまっているようにうつります。
- 中速シャッター速度:一般的に1/60秒前後のシャッター速度をさします。人間の目でみたときとおなじような印象でうつります。
- 低速シャッター速度:一般的に1/30秒以下のシャッター速度をさします。被写体のうごきが軌跡でうつります。
絞り(F値)は、設定したシャッター速度に対してカメラが自動できめます。シャッター速度がはやいほど絞りはひらき(F値はちいさくなり)、シャッター速度がおそいほど絞りこまれます(F値はおおきくなります)。
肉眼ではみられない世界が描写できるのがシャッター優先モードの魅力です。うごきに注目してさまざまな絵づくりがたのしめます。これは、ボケ描写と同様に写真ならではの表現です。
露出補正
露出補正の機能をつかえば写真のあかるさを自在にコントロールできます。応用撮影モードのプログラムモード、絞り優先モード、シャッター優先モードでつかえます。
画面内に表示される露出補正値をプラス側に移動するほど写真があかるくなり(プラス補正)、マイナス側に移動するほど写真がくらくなります(マイナス補正)。
露出補正は、一般的には、「±」の表示のはいった専用ボタンをおしながらダイヤルをまわして操作します。単位は EV であらわされます。
- プラス補正(オーバー):適正露出よりあかるくなり、色は淡くなります。
- 標準露出:カメラが自動できめます。
- マイナス補正(アンダー):適正露出よりもくらくなり、色が濃くなります。
逆光の場合は被写体がくらくうつってしまうので、プラス補正にすると被写体があかるくなり、ふんわりと全体的にあかるい印象になります。一方、風景写真などでマイナス補正をすると黒色でひきしまり、ドラマチックな絵にできることがあります。
マニュアルモード(M)
マニュアルモードは、絞りとシャッター速度を自分できめられるモードです。
- モードを「M」にします。
- 電子ダイヤルで基準の要素を固定します。絞りあるいはシャッター速度のどちらかの数値を設定します。 たとえばF値を 5.6 に設定します。
- 露出インジケーターをみて、インジケーターの露出値が ±0 EV になるように、もう一方の要素を設定します。たとえばシャッター速度を1/80にします。
基準の要素を固定してあかるさをきめるのがポイントです。つぎのように操作すると露出補正とおなじ効果がえられます。直観的にあかるさが変更できて便利です。
絞り優先モードのようにつかいたい場合
- F値をきめます。
- シャッター速度であかるさを調整します。
- 露出補正の操作が省略されてすばやく撮影できます。
シャッター優先モードのようにつかいたい場合
- シャッター速度をきめます。
- 絞りであかるさを調整します。
- 露出補正の操作が省略されてすばやく撮影できます。
明暗差がおおきな場面では、シャッターをきるたびに露出が変化し、写真のあかるさにばらつきがでてしまうことがあります。そのような場合でも、マニュアルモードをつかえば安定的な最適なあかるさで撮影することができます。
ホワイトバランス
ホワイトバランスは光源の色を補正して、白色のものが白色にみえるように調整する機能です。「WB」表示のボタンで設定し、シーンに応じてえらべます。通常は、「AWB」(オートホワイトバランス)にしておけばよいですが、色がおかしいと感じたり、色かぶりが気になるときには光源に応じて設定します。
これらの色をただしい色に補正することができる便利な機能です。
ホワイトバランスの「AWB」(オートホワイトバランス)とホワイトバランス微調整とをくみあわせてつかうこともできます。自然な雰囲気で、どんな被写体にも色をなじませやすいです。たとえば「AWB」に「ブルー」をたせばメリハリのあるさわやかな印象の写真にすることができます。
なお写真の色は、露出補正(明度)でも印象がかわります。くらくすると色が濃くなり、あかるくすると淡くなります。
光源の種類によって被写体の色はつぎのように変化します。
- 日 陰:つよい青みの色
- くもり:すこし青みがかった色
- 太陽光:無色透明にちかい色
- 蛍光灯:緑がかった色
- 電 球:つよい赤みの色
ホワイトバランス微調整
ホワイトバランスの色補正は効果がつよくでます。すこしだけの効果をだしたいときはホワイトバランス微調整をつかいます。
メニュー画面から「WB補正」の項目を選択します。カーソルをうごかして、B(ブルー)、A(アンバー)、M(マゼンダ)、G(グリーン)の数値を設定します。色補正を任意で微調整できます。
ホワイトバランスの「AWB」(オートホワイトバランス)とホワイトバランス微調整とをくみあわせてつかうこともできます。自然な雰囲気で、どんな被写体にも色をなじませやすいです。たとえば「AWB」に「ブルー」をたせばメリハリのあるさわやかな印象の写真にすることができます。
カラーモード
カラーモードは、露出補正やホワイトバランスとならんで写真の色におおきな影響をあたえる機能です。通常は、「オート」あるいは「スタンダード」の設定にしておけばよいですが、色にこだわりたいときは設定を変更します。写真のメリハリや鮮やかさをシーンや撮影意図に応じて調整できます。
カラーモードはメーカーごとに名称がことなります。
- キヤノン:ピクチャースタイル
- ニコン:ピクチャーコントロール
- ソニー:クリエイティブスタイル
- ペンタックス:カスタムイメージ
- オリンパス:ピクチャーモード
- フジフィルム:フィルムシミュレーション
- パナソニック:フィルムモード
カラーモードにはつぎのようなものがあります。
- 風景:あざやかでくっきりした写真になります。
- ポートレート:肌色がきれいにでます。
- ニュートラル:メリハリはひかえめで、自然な色調にしあがります。
- 忠実設定:メリハリのすくないひかえめな仕上がりになります。
カラーモードは詳細設定が個別にでき、鮮やかさをきめる彩度やメリハリをきめるコントラストなどが微調整できます。詳細設定した項目はプリセットデータとしてカメラに保存しておくこともできます。
なお写真の色は、露出補正(明度)でも印象がかわります。くらくすると色が濃くなり、あかるくすると淡くなります。
測光モード
カメラの露出は、絞り・シャッター速度・ISO感度をくみあわせてきめられます。このときの光の総量は、カメラが露出計で測光をしてわりだします。測光モードにより、この光の総量のわりだしかた(測光方式)を変えることができます。
シーンに応じて、評価(マルチ)測光、中央重点測光、スポット測光の3つがおもに用意されています。通常は評価(マルチ)測光の設定でよいです。
- 評価(マルチ)測光:もっとも汎用性がたかい測光方式であり、画面全体のあかるさを測光し、平均的な光量をわりだして露出をきめます。
- 中央重点測光:画面中央を重点的に測光する方式です。ポートレートや動物の撮影などでつかわれ、逆光のときにとくに効果があります。
- スポット測光:画面中央のせまい範囲のみを測光する方式です。ピンポイントで露出をあわせられます。測光したい部分が画面中心からずれている場合は AE ロックをつかいます。AE ロックとは露出を固定する機能であり、カメラについている「*」や「AEL」でしめされたボタンをおすと露出が固定されます。
*
応用撮影モードによる撮影はプログラムモード(P)からはじめます。つぎにボケ味をだしたいときは絞り優先モード(Av, A)、うごく被写体をうつすときはシャッター優先モード(Tv, S)にチャレンジしてみてください。そして必要に応じて露出補正をし、ホワイトバランス、カラーモード、測光モードの設定を変更します。レンズ交換式一眼カメラは機能がたくさんあって大変そうですが順をおって撮影していけばそれほどむずかしいことはありません。
近年は、撮影した写真を SNS やブログなどにアップロードすることが普通になりました。写真は、個人的なおもいでにとどまらず、他者にひろく見せるものになりました。写真家でなくても写真をつかってみずから表現し、なんらかのメッセージを人々につたえられます。つまり写真は、アウトプットの手段としてとても重要になりました。
すると何をつたえたいのかが問題になります。あなた自身の視点が必要です。つたえたいことがはっきりすると、それを実現するために特定の機能が必要になってきます。どのモードをつかい、どうのように設定すればよいかがわかります。
習得すべきはアウトプットのための撮影技術でしょう。デジタル一眼が役立ちます。
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デジタル一眼で撮影しよう(1)- 河野鉄平『大人のためのデジタル一眼入門』-
デジタル一眼で撮影しよう(2)- 応用撮影モード -
デジタル一眼で撮影しよう(3)- シーン別の撮影テクニック -
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習得すべきはアウトプットのための撮影技術でしょう。デジタル一眼が役立ちます。
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