プラスチックは人間にとっては有用ですが、環境にとっては有害です。プラスチックの使用をへらすとともに、リサイクルにとりくまなければなりません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年11月号の「身近な “?” の科学」では「プラスチック」について解説しています。



世界中で使用されているプラスチックの多くは、石油を原料としてつくられている。こうした「石油合成プラスチック」は、一般に環境中で完全に分解されない。プラスチックが劣化すると、より細かい「マイクロプラスチック」となり、海洋汚染の原因となる。


環境汚染の対策として最近開発されたのが「バイオプラスチック」です。これには、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類があります。

  • バイオマスプラスチック:植物由来の資源(バイオマス)を原料とする。
  • 生分解性プラスチック:自然界で、微生物などにより分解される。

ただしバイオマスからつくられたものでも、「バイオポリエチレン」のポリ袋や「バイオ PET」のペットボトルは生分解できません。

またプラスチックは、おなじ種類のものをあつめれば再利用(リサイクル)ができるので、リサイクルにだれもが協力すべきです。

ただし回収したプラスチックをもとにしてまったくおなじものをつくることは現在の技術ではまだできず、たとえばペットボトルは、衣服などの繊維素材や卵パックなどの素材に再加工されることがおおいです。使用済みペットボトルからペットボトルがまたつくられるのではないことはしっておくべきでしょう。




プラスチックとは、熱をくわえるとやわらかくなり、さめるとかたまる性質をもつ高分子でできた材料の総称です。高分子とは、一種類または複数種類のちいさな分子がたくさんつながって、鎖のようになっている分子をさします。プラスチックはつぎのような特徴をもちます。

  • さまざまな形に成形・加工できる。
  • 衝撃につよくて丈夫である。
  • かるくてもちはこびしやすい。

わたしたちの身近にあるプラスチックはつぎの5種類です。

  • ポリエチレン(ポリ袋など)
  • ポリプロピレン(容器やキャップなど)
  • ポリスチレン(つかいすてカップなど)
  • ポリ塩化ビニル(水道管など)
  • ポリエチレンテレフタレート(ペットボトルなど)

プラスチックは紫外線により劣化します。紫外線があたると高分子の鎖がきれて、プラスチックの強度がよわまります。洗濯ばさみがおれやすくなるのはこのためです。プラスチックは丈夫であるといっても経年劣化が確実におこります。しかし環境中で完全には分解しません。

現代社会においては、プラスチック製品がどこにいってもみられ、プラスチックはあふれかえっており、プラスチックなしではわたしたち人間の生活はなりたちません、プラスチックは近代文明(機械文明)の象徴のひとつといってもよいでしょう。

しかしプラスチックは、その製造工程もふくめて環境にとっては有害です。ポリ袋などはなるべくつかわないようにしたり、リサイクルに協力したりすることが必要です。ナノプラスチックによる海洋汚染などの実態をしり、環境汚染をくいとめる努力をしなければなりません。


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▼ 参考文献
『Newton』(2018年11月号)ニュートンプレス、2018年11月7日