IMG_7484
野生きのこ・栽培きのこ・食用きのこ・毒きのこ、さまざまなきのこがみられました。きのこは菌界の生物です。その生態は実に不思議です。
きのこ展(筑波実験植物園)は きのこについてまなぶよい機会でした(注1、2)。きのこ展期間中の休日は大勢の きのこファンであふれかえっていました。 植物園内と展示室で、たくさんの野生きのこ・栽培きのこ・食用きのこ・毒きのこをみることができました。生物の多様性をしるよいチャンスでもありました。きのこは、造形・色彩・光沢などが多彩でアートのようなものもあり、 写真撮影にはまっている人もいました。

室内展示では、つくば市を中心に日本各地で採取された野生きのことともに、栽培きのこが、栽培状況がわかるかたちで展示されていました。さわったり、においをかいだりして体感的にきのこをたのしむことができました。野外では、きのこをみるだけでなく、その周囲の状況(生息環境)もよくわかりました。

まちがいやすい毒きのこも多数あるので きのこの同定にあたってはみずからの経験を過信することなく、知識をたえず更新していかなければなりません。




きのこは植物の一種だとおもっている人がいますが、実は植物ではなく、カビや酵母・地衣類とおなじ菌類であり、菌類とは、生物分類学における菌界に属する生物のことです(図1)。

五界説b_edited-2
図1 生物の分類「五界説」
(きのこは菌界に属する)

生物学では一般的に、原核生物界・原生生物界・植物界・動物界・菌界の5つにわける「五界説」によって生物を大分類しています。菌界には、「担子菌類」(たんしきんるい)や「子のう菌類」(しのうきんるい)などがあり、担子菌類がいわゆるきのこをつくり、子のう菌類はカビや酵母菌などです。

きのこは、菌類のなかでは例外的に大きく、誰でもすぐにみつけることができます。 地上にはえていないときでも「菌糸」や「胞子」の状態で地下や植物基質につねに存在しています。

菌類は、からだは糸状の「菌糸」があつまってできており、「胞子」でふえていきます。従属栄養であり、消化酵素を体外に分泌して、体外消化で栄養分を吸収します。菌糸どうしが接合して胞子をつくる有性生殖の時期と、菌糸の先が分裂して「分生胞子」をつくる無性生殖の時期とがあります。担子菌類や子のう菌類は有性生殖の際に「子実体」(しじつたい)をつくります。子実体とは、胞子形成のために菌類がつくる複合的な構造のことであり、 いわゆるきのこはこの子実体です(図2)。

2018-10-09 22.14.00
図2 きのこの構造(注3)

このようにきのこは不思議な生態をもち、いまでも謎のおおい生物です。


▼ 記事リンク
林でみつけた きのこ - きのこ展(筑波実験植物園)(1)-
食用きのこ - きのこ展(筑波実験植物園)(2)-
たべられる野生きのこ - きのこ展(筑波実験植物園)(3)-
毒きのこに注意する - きのこ展(筑波実験植物園)(4)-
野外観察をしてみよう - きのこ展(筑波実験植物園)(5)-
きのこ展(筑波実験植物園)(まとめ)

▼ 注1
筑波実験植物園 きのこ展
場所:国立科学博物館 筑波実験植物園
会期:2018年9月29日~ 10月8日
会場マップ
筑波実験植物園 きのこ図鑑

▼ 注2
国立科学博物館 筑波実験植物園
利用案内


■ バス利用の場合
つくば駅(つくばセンター)バス乗り場
5番から「テクノパーク大穂」行、「筑波実験植物園前」下車すぐ
6番から「筑波大学循環左回り」、「天久保二丁目」下車 徒歩8分
時刻表(2017.11.1および2017.9.16 現在)
※ 時刻は予告なく変更になることがあります。

▼ 注3(引用文献)