米国では、全人口にしめる白人の割合がいちじるしくさがってきています。米国は、建国以来の大転換期をむかえています。
『ナショナルジオグラフィック』2018年9月号の特集では「白人が少数派になる日」と題して米国の人種問題の現状を報告しています。米国では、人口にしめる白人の割合がさがってきています。将来への不安をいだく白人がふえてきました。




米国ペンシルベニア州東部の町、ヘイズルトン。(中略)

斜陽の町を活気づけたのはヒスパニックの流入だった。2000年にはヘイズルトンの人口2万3399人の95%が非ヒスパニック系白人で、ヒスパニックは5%足らずだったが、2016年までにはヒスパニアが人口の52%を占める多数派になり、白人の割合は44%に減った。(中略)

通りには、ヒスパニックが経営する店舗が軒を連ねる。「彼らが町を乗っ取ってしまった」

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ヘイズルトンは、米国の人口構成の変化を端的にしめす一例です。米国の国勢調査局は2044年までに、いわゆる白人(非ヒスパニック系白人)の全人口にしめる割合は50%をわると予測しています。

マサチューセッツ州、メリーランド州、ノースカロライナ州、カリフォルニア州、ニュージャージー州、テキサス州などでも、マイノリティとよばれてきた人々の人口にしめる割合が、非ヒスパニック系白人を上まわるところがすでにでてきています。白人が、多数派の地位をうしなうのは確実な情勢です。

一部の白人たちは、自分たちの生き方がおびやかされると感じ、不安といかりをあらわにしています。白人至上主義者の活動も活発になってきています。ヘイト団体もでてきました。一方で、すぎさった日々をなつかしくおもう白人もいます。 

今までは、あらゆる点で何をするにも、白人はマイノリティではないことが前提でした。いわゆる人種問題も “マイノリティ” の問題であり、白人とマイノリティがいかに共存していくかという問題でした。それが今や、白人以外の人々が米国社会の主流になりつつあります。もはや白人は「標準的な米国人」ではありません。

米国は、建国以来の大転換期をむかえました。大混乱がおきつつあります。米国関連のニュースをみるときもこのような背景をしっておくと理解がふかまるとおもいます。


▼ 参考文献
『ナショナルジオグラフィック日本版』(2018年9月号)日経ナショナルジオグラフィック社、2018