ホログラフィー原理について解説しています。3次元空間はホログラフィーのようなものかもしれません。空間は幻かもしれません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年10月号の Newton Special では、「空間は幻なのか!?」と題して、「ホログラフィー原理」がしめすあたらしい宇宙観について解説しています。




わたしたちがみている3次元の世界(空間)は、2次元の平面からうかびあがったホログラムのようなものかもしれないという議論が物理学者のあいだでなされています。


ホログラムとは、2次元の平面に光を当てたときに、3次元の立体的な画像を再生する技術といえます。

身近な例としては、クレジットカードや紙幣の偽造防止用にホログラムの技術が用いられています。

ホログラフィー原理の考え方は、ホログラムの「次元の低いものから、次元の高いものを再現する」という考え方と非常によく似ています。

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ホログラフィー原理にもとづいいて 2006 年に発表された「笠 ー 高柳の公式」は、あらゆる物質が原子でできているように、時空(時間と空間)も、もっと根源的な “何か” からできている可能性を示唆しています。この公式によると、「この世界には、量子もつれ状態にある粒子のペアが無数に詰まっていて、そこからまるでホログラムのように時空が “浮かび上がる”」といいます。

この仮説がただしいとすると、わたしたちの世界観は根本的にくつがえされてしまいます。パラダイムシフトがおこります。

ホログラフィー原理によると、重力に関する現象を、重力をふくまない理論で説明することができます。重力を考慮せずにあらゆる現象を説明できるなら、重力を、自然界の根源的な力としてかんがえる必要はありません。重力は「幻の力」なのかもしれません。

自然科学では、パラダイムシフトがこれまでもときどきおこってきました。パラダイムシフトによって科学は進歩します。現代物理学では、パラダイムシフトがいままさにおころうとしているのかもしれません。中学校や高校でおしえているカチンカチンの古典物理学にとらわれる必要はありません。




ホログラフィー原理とはちがいますが、本ブログでは、ステレオ写真をつかった立体視を推奨しています。これは、2枚の写真から立体画像(3D イメージ)をつくりだす方法です。2次元の写真から3次元がうかびあがります。

この方法による立体画像はどこに生じているのでしょうか? もとになった2枚の写真はたしかに存在し、さわることもできます。しかし立体画像はさわることはできません。しかしたしかに、外界(身体の外側)にあるように見えています。これも幻なのか? わたしたち人間は、空間(外界)を3次元で認知するようにそもそもできているのかもしれません。

わたしは、人間の情報処理の場というものを想定しています。しかもそれは、身体(脳)のなかにとじこめられているのではなく、もっとおおきくひろがっているとかんがえられます。

いずれにしても、物理学や立体視は、見るとはどういうことか、空間とは何か、あるいは外界を認知する仕組みについてあらためてかんがえるきっかけをあたえてくれます。わたしたちは空間についてもっと関心をはらうべきです。


▼ 参考文献
『Newton』(2018年10月号)ニュートンプレス、2018年10月7日