ハザードマップをあらかじめみておきます。天気予報をみて梅雨前線に注目します。大雨特別警報がでたらただちに避難します。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年10月号の FOCUS では「西日本豪雨」について解説しています。




豪雨の発生
  1. オホーツク高気圧と太平洋高気圧の勢力が拮抗したことで、梅雨前線が同じ位置にとどまりつづけた。
  2. 太平洋高気圧の縁に沿って流れる湿った空気に加えて、東シナ海の積乱雲由来の湿った空気が、西日本に流れこみつづけた。
主にこの二つの要因が重なり、西日本では広範囲かつ長期的な豪雨がおきたのだ。

バックビルディング現象
  1. 暖かく湿った空気が上昇することで積乱雲が発生し、大雨が降る。
  2. 積乱雲が風に流され移動する。
  3. 大雨が降りつづくとその積乱雲の中で下降気流が発生する。
  4. この下降気流によって、新たにやってきた暖かく湿った空気がもち上げられ、先ほどと同じ場所で別の積乱雲が発生する。
この一連の流れがくりかえされることで、局所的な大雨が長時間つづくのだ。

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2018年7月上旬、西日本を中心に記録的な大雨が観測され、洪水や土砂災害が各地でひきおこされ、200 人以上の犠牲者をだしました。高知県安芸郡馬路村では6月28日から7月8日の総降水量が 1852.5 ミリを記録するなど、7月の平均的な降水量の2〜4倍の雨がこの期間だけでふった地域もありました。

例年ですと、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の勢力が毎日のようにかわるため、梅雨前線の位置は南北に移動し、数日間にわたっておなじ場所で雨がふりつづくことはありません。

広島県では7月6日に、1時間に 50 ミリ以上の滝のような雨が6時間もふりつづきました。これは、同じ場所に積乱雲がつぎつぎとできる「バックビルディング現象」がおきたためです。

それにくわえて広島県は、「真砂土」(まさど)とよばれる、比較的少量の雨でもこわれやすい土でおおわれているため土石流などの土砂災害がおきやすかったのです。西日本豪雨の死者のうち半数以上が土砂災害によるものでした。

山の斜面がくずれると、その土砂が谷に一旦たまってダムのように水をせきとめます。しかしあるときたえきれなくなって、せきとめられた水と土砂が一体になって一気に谷をくだってくるのが土石流です。土石流が発生してからではもうおそいです。高速・高圧でありにげることはできません。

したがって天気予報をつねにチェックして、大雨特別警報が発表されたら、ただちに安全な場所に避難することが必要です。

そのためには、ハザードマップなどをみて、居住地域の地形・地質、土石流などの発生のしやすさをあらかじめしっておかなければなりません。今回の「西日本豪雨」でも、警報が発表されたにもかかわらず、住民の避難行動にそれがうまくつながらなかったのではないかといわれています。

自分の身は自分でまもるという気持ちをもって、ハザードマップなどを今からみておかなければなりません。


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▼ 参考文献
『Newton』(2018年10月号)ニュートンプレス、2018年10月7日

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