写真をみならが気軽によめます。縄文の土偶や土器に したしみが感じられるようになります。特別展「縄文」のガイドとしてもつかえます。
譽田亜紀子著『ときめく縄文図鑑』は、写真をみながら気楽によめる縄文の土偶や土器の入門書です。



story 1 縄文へのラブレター

story 2 ようこそ、ときめく縄文ワールド
 この人たちは一体…
 暮らしの逸品
 装飾品たち

story 3 縄文人に近づいてみる
 貝塚に行ってみる
 土偶を作ってみる
 博物館に行ってみる
 縄文グッズを見つける

story 4 縄文時代を知る
 時代を知る
 衣を知る
 食を知る
 住を知る

縄文の女神(山形県最上郡舟形町・西ノ前遺跡)
この土偶には顔がありません。いわゆる「のっぺらぼう」なのです。しかし、身体の真ん中を貫く、妊娠した女性に目立つという「正中線」や遠慮気味に作られた小さな乳房などから女性だと考えられます。

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どうして顔がないのか? 省略しただけなのか。顔は重要ではなかったのか。あるいは死者をあらわしているのか。またどうしてこんな形をしているのか? 女性の体形をあらわすと同時に持ちやすい形にしているのか。やはり、葬儀などの儀式でつかわれたのではないでしょうか。

縄文時代については文献がのこっているわけではないので、土偶とその発掘状況などからその意味や用途を想像するしかありません。したがってさまざまな仮説がかんがえられ、専門家のあいだでも意見がわかれる場合がおおいです。

しかしその分、自由な想像が誰にでもできるわけで、ここに縄文のおもしろさがあります。




ただいま、特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」が東京国立博物館で開催されています。今回の特別展は、縄文の美を堪能するという企画であり、そのぶん具体的・考古学的な解説がすくなくてわかりにくと感じるかもしれません。

そこで本書が役立ちます。特別展をすでにみた人は土偶や土器を本書で確認できますし、これからでかける人は本書で予習してから、あるいは本書をもっていくとそれぞれの作品にいっそう したしみを感じられるようになるでしょう。わたしも、本書をもって特別展にもう一度いってみたいとおもいます。


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事実を枚挙して仮説を形成する 〜梅原猛著『縄文の神秘』〜

▼ 参考文献
譽田亜紀子著・新津健監修『ときめく縄文図鑑』山と渓谷社、2016年12月25日