両界マンダラ(胎蔵マンダラと金剛界マンダラ)、立体マンダラ、砂絵マンダラなどがあります。
マンダラの実例を紹介します。いずれも撮影が許可されていました。


IMG_4558
木版両界曼荼羅図(胎蔵マンダラ)
(南北朝時代・14世紀)

(東京国立博物館 本館・総合文化展)


IMG_4560
木版両界曼荼羅図(金剛界マンダラ)
(南北朝時代・14世紀)

(東京国立博物館 本館・総合文化展)

「両界曼荼羅図」(りょうかいまんだらず)は、真言密教の教義のよりどころである『大日経』と『金剛頂経』のふたつの経典にとかれた内容を「胎蔵マンダラ」と「金剛界マンダラ」にそれぞれ図像化したものであり、東西にむきあってもちいられます。真言密教寺院では必備であるため需要がおおく、それにこたえるために手書きにくわえ、木版での大量印刷もおこなわれました。写真のマンダラは木版によるものです。



IMG_5732_1_edited-1
立体マンダラ
(1988-1989年にブータンのティンプー県にて製作)

(国立民族学博物館・南アジア展示)
チベット仏教のマンダラを立体に表現したものです。チベット仏教徒が瞑想をする際に、このような仏教的世界を3Dで心にえがきます。おもに寺院でもちいられますが、家庭で使用されることもあります。交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



DSCN0210のコピー
砂絵マンダラ
(ネパール・カトマンドゥ)
ネパールの首都カトマンドゥのタメル地区の路上に色砂でえがかれたマンダラです。ティハールとよばれる祭りにあわせてつくられ、祭りがおわると破壊されます。マンダラは本来は、瞑想や儀礼がおわるとおしげもなく消去されるものであり、チベット仏教寺院などではこのような修業が今でもおこなわれています。

このようなことから、過去に執着しない、成功体験から自由になる、何事にもとらわれないといった教訓がえられるかもしれません。

しかし重要なことは、効果や見返りを期待して目的をもってマンダラをえがくのではなく、マンダラをえがくことそれ自体に意味があることに気がつくことです。目的を達成するための手段として生きるのではなく、今なすべきことをしっかりおこなうという生き方をする人々がいます。人生は、今まさにこの瞬間にあります。


▼ 関連記事
「マンダラと生きる」(NHK・Eテレ「こころの時代」)
生きていることが修業である - 道元『正法眼蔵』(100分 de 名著)-
今を生きる - 100分de名著:三木清『人生論ノート』-