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クワガタムシの巨大模型
(交差法で立体視ができます)
昆虫は、おどろくほど変化にとんだ姿形や色彩をもっています。昆虫のグループ(目(もく))を参照し、それぞれの場所(環境)ごとに昆虫相を見ていきます。生物多様性の認識がふかまります。
東京・上野の国立科学博物館で特別展「昆虫」が開催されています(注1)。第2展示室では昆虫の多様性について展示・解説しています。

ステレオ写真は交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -

昆虫は、地球上のあらゆる生物のなかでもっとも多数の種をふくむグループであり、おどろくほど変化にとんだ姿形や色彩をもっています。このいちじるしい多様性は、地球上のすみずみにまで、さまざまな環境に昆虫が適応して生きてきた結果です。過酷な環境のなかでも姿形をかえながら昆虫は生きのこってきました。いいかえると、これだけ多様な環境が地球上には存在するということです。


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クワガタムシの多様性



たとえばアマゾン地域では、場所(環境)によってつぎのような昆虫がみられます。

人家周辺:ウスベニタテハ、ベニオビタテハ、チャイロドクチョウ、カスリタテハなどのタテハチョウ類。ギンヤンマの近縁種など。

林縁部:タイヨウモルフォやメネラウスモルフォやアドニスモルフォなどのモルフォチョウ類、ナルキッススミイロタテハやルリオビタテハ(プレポナ)類、ナンベイツバメガ、タイタンオオウスバカミキリ、アクタエオンゾウカブトムシ、ナンベイオオヤガなど。

林内:グンタイアリ(エキトン)、ハキリアリ(アッタ)、シマジャノメ類、スカシジャノメ類、ハカマジャノメ類、アキレスモルフォやデイダミアモルフォ、オオフクロウチョウやマルバネフクロウチョウなど。

流水域:オオゾラシジミなどのシジミチョウ、カワトンボのなかま、サナエトンボのなかま、ミズスマシ、アメンボ、ミズカマキリなど。

止水域(池や水たまりなど):カトリヤンマの近縁種、ベニトンボやショウジョウトンボに似たトンボ類など。


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タイヨウモルフォ




昆虫類は、種類も名称も多すぎて複雑でよくわかりません。標本があふれかえっているといった印象です。昆虫のむずかしさがここにあります。そこでまずは、昆虫のグループ(目(もく))を参照するとよいでしょう。
 
六脚亜門(広義の昆虫類)
内顎綱
  1. カマアシムシ目
  2. コムシ目
  3. トビムシ目

外顎綱(狭義の昆虫綱)
  1. イシノミ目
  2. シミ目
  3. カゲロウ目
  4. トンボ目
  5. ガロアムシ目
  6. カカトアルキ目
  7. ハサミムシ目
  8. カワゲラ目
  9. シロアリモドキ目
  10. ジュズヒゲムシ目
  11. ナナフシ目
  12. バッタ目
  13. カマキリ目
  14. ゴキブリ目
  15. シロアリ目
  16. カジリムシ目
  17. アザミウマ目
  18. カメムシ目
  19. ラクダムシ目
  20. ヘビトンボ目
  21. アミメカゲロウ目
  22. コウチュウ目
  23. ネジレバネ目
  24. シリアゲムシ目
  25. ノミ目
  26. ハエ目
  27. トビケラ目
  28. チョウ目
  29. ハチ目

これらをふまえて、場所(環境)ごとに昆虫をみていきます。環境ごとに昆虫相をとらえます。

また生物多様性にはつぎの3つのレベルがあります。
  • 生態系の多様性
  • 種の多様性
  • 遺伝子の多様性

昆虫の種類の多様性をしることは、生態系の多様性や遺伝子の多様性の理解に発展していきます。


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特別展「昆虫」(国立科学博物館)(まとめ)

▼ 注1
特別展「昆虫」
特設サイト
会場:国立科学博物館
会期:2018年7月13日~10月8日

▼ 参考文献
国立科学博物館・読売新聞社編集『特別展 昆虫』(図録)読売新聞社・フジテレビジョン発行、2018年