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カの巨大模型
(交差法で立体視ができます)
昆虫の進化について展示・解説しています。昆虫の起源は  4 億 8000 万年前とされます。昆虫は、あらゆる環境にたくみに適応しながら進化してきました。
東京・上野の国立科学博物館で特別展「昆虫」が開催されています(注1)。第1展示室「昆虫とは」では昆虫の概要と進化について展示・解説しています。

ステレオ写真は交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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昆虫史年表


昆虫の起源は、DNA をもちいた最近の系統解析から 4 億 8000 万年前とされています。

昆虫であるとかんがえられる最古の化石は 4 億 1000 万年前のもので、イギリス北部ライニーのチャート層から発見されました。

翅をもつ昆虫(有翅昆虫)が出現したのは4億年前のデボン紀です。

3 億 8000 万年前には、翅をおりたためる昆虫(新翅類)が出現し、せまいところにかくれたり、翅で体を保護することができるようになりました。

3 億 5000 万年前の石炭紀になると、幼虫と成虫のあいだに「さなぎ」の世代をもつ「完全変態昆虫」が出現、おもな昆虫の系統がそろいました。

3 億 2000 万年前ごろには、巨大なトンボ状昆虫であるメガネウラのなかま(オオトンボ目)や、前胸にも翅と相同な構造をもつムカシアミバネ(ムカシアミバネ目)などが出現しました。メガネウラのなかまは史上最大の昆虫をふくみ、前翅をひろげた状態の幅が 70cm にも達した種もいました。


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メガネウラの復元模型

 
中生代ジュラ紀(2億年前)には、現在の昆虫のグループ(目)がほとんどでそろいました。

その後、中生代白亜紀になると、コウチュウ目・ハチ目・ハエ目・チョウ目といった現在でも種数のおおいグループが爆発的に種数をふやしました。この時期は、被子植物が多様化した時期にかさなり、植物の多様化と送粉者としての昆虫の役割とが相互に作用して、植物と昆虫は共生しながらともに進化したとかんがえられています。

もちつもたれつの関係で被子植物と昆虫は進化したということは注目に値します。競争原理ではない共生原理がここにみとめられます。 




このように、昆虫の起源は 4 億 8000 万年前とされ、わたしたち霊長類よりもはるかにながい歴史を昆虫はもっています。また昆虫は、名づけられているものだけでも約 100 万種にのぼる膨大な種数をもち、地球に生息する生物種の半数以上をしめるといわれています。ほかの生物にくらべて、長大な歴史といちじるしい多様性をもつということです。

これは昆虫が、地球上のあらゆる環境にたくみに適応しながら進化してきた結果であるとかんがえてよいでしょう。

したがって、適応と進化について理解をふかめたかったら昆虫からまなべ、ということになります。


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特別展「昆虫」(国立科学博物館)(まとめ)

▼ 注1
特別展「昆虫」
特設サイト
会場:国立科学博物館
会期:2018年7月13日~10月8日