自動運転技術の開発に AI が重要な役割をはたしています。AI について誰もが理解しておかなければなりません。機械まかせではいけません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2018年8月号)の新連載は「人工知能革命」です。第1回は「AI が加速させる自動運転技術」です。自動運転車に AI(人工知能)はどのように利用されるのでしょうか?

自動運転車が日常的にはしる日はもうそこまできています。
従来の自動車を人が運転するときはドライバーが目で見て認知し、判断し、操作をします。これらを、コンピューターが自動でおこなうのが自動運転車です。
なかでも、目で見て認知する機能に相当する「画像認識」(画像中の物体を識別する機能)はコンピューターにとっては高度な技術であり、そこで期待されるのが AI(人工知能)です。画像認識は AI の得意分野です。
AI の研究がはじまったのは 1950 年であり、2010 年ごろからふたたび研究がさかんになり、現在は「第3次 AI ブーム」とよばれています。現在のブームのきっかけになったのが「ディープラーニング(深層学習)」です。
ディープラーニングとは、コンピューターに大量のデータをよみこませて、コンピューターみずからがそのデータの中からなんらかの法則性をみいだしていく手法です。たとえば手書きの「4」の画像をたくさんよみこませることで、数字の「4」がどんな形をしているかを学習します。人が、プログラムで指定する必要はありません。コンピューターは、はじめてみる手書きの「4」をくせがあってもただしく認識できるようになります。
しかしコンピューターが学習したコンピューターの判断基準は人間には理解できません。なぜ判断できるようになったのか? データをみてもわたしたちにはわかりません。すると AI のふるまいが途中からおかしくなったとしても、データを人が書きかえて修正するのは困難です。このことが大きな問題をひきおこしてしまう場合があります。AI の「暴走」についてはすでに SF にもなっています。
自動運転車が実用化されればたしかに便利になるでしょう。運転手の不足も解消されます。
しかし一方で AI が高度に発達して、人間が機械にあわせていく、機械の運動が人間よりも優先される、AI が人間に命令をするといったこともおこります。
なによりもまずは、わたしたちひとりひとりが AI についてよく理解しておかなければなりません。機械まかせにしていてはいけません。新連載「人工知能革命」から目がはなせません。
▼ 関連記事
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アウトプットしてメッセージをつたえる -「進化する人工知能 ついに芸術まで!?」(NHK クローズアップ現代+)-
人間が主体になった情報処理をすすめる -「ゼロからわかる人工知能」(1)(Newton 2018.1号)-
情報処理のエラーをおこさない -「ゼロからわかる人工知能」(2)(Newton 2018.1号)-
創造的な仕事をめざす -「人工知能は人より賢くなれるか」(Newton 2018.6号)-
▼ 参考文献
『Newton』2018年8月号、ニュートンプレス、2018年8月7日発行
日本政府は 2017 年 5 月に、今後の自動運転の発展や普及の見通しをまとめた「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」を発表しました。(中略)
2020 年までに、限定された地域で無人のバスやタクシーの運行を開始する予定となっています。自家用車においても、2020 年代前半にレベル3(速度などが制限された条件つき自動化)、2025 年ごろにレベル4(特定の道路環境では完全に自動化)の自動運転が高速道路で可能になるとされています。

自動運転車が日常的にはしる日はもうそこまできています。
従来の自動車を人が運転するときはドライバーが目で見て認知し、判断し、操作をします。これらを、コンピューターが自動でおこなうのが自動運転車です。
なかでも、目で見て認知する機能に相当する「画像認識」(画像中の物体を識別する機能)はコンピューターにとっては高度な技術であり、そこで期待されるのが AI(人工知能)です。画像認識は AI の得意分野です。
AI の研究がはじまったのは 1950 年であり、2010 年ごろからふたたび研究がさかんになり、現在は「第3次 AI ブーム」とよばれています。現在のブームのきっかけになったのが「ディープラーニング(深層学習)」です。
ディープラーニングとは、コンピューターに大量のデータをよみこませて、コンピューターみずからがそのデータの中からなんらかの法則性をみいだしていく手法です。たとえば手書きの「4」の画像をたくさんよみこませることで、数字の「4」がどんな形をしているかを学習します。人が、プログラムで指定する必要はありません。コンピューターは、はじめてみる手書きの「4」をくせがあってもただしく認識できるようになります。
しかしコンピューターが学習したコンピューターの判断基準は人間には理解できません。なぜ判断できるようになったのか? データをみてもわたしたちにはわかりません。すると AI のふるまいが途中からおかしくなったとしても、データを人が書きかえて修正するのは困難です。このことが大きな問題をひきおこしてしまう場合があります。AI の「暴走」についてはすでに SF にもなっています。
自動運転車が実用化されればたしかに便利になるでしょう。運転手の不足も解消されます。
しかし一方で AI が高度に発達して、人間が機械にあわせていく、機械の運動が人間よりも優先される、AI が人間に命令をするといったこともおこります。
なによりもまずは、わたしたちひとりひとりが AI についてよく理解しておかなければなりません。機械まかせにしていてはいけません。新連載「人工知能革命」から目がはなせません。
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『Newton』2018年8月号、ニュートンプレス、2018年8月7日発行