ファイルと情報処理の仕組みを理解すると知的生産活動がすすみます。
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)は「発見の手帳」からはじまります。今日では、「発見の手帳」はスマートフォンになりました。日常のなかで、散歩をしならがら、旅行をしながら、あるいはイベントなどにいって、発見したことはすかさずメモをとるようにします。

メモとはおぼえ書きであり、その場の状況や見たり聞いたりしたこと、ひらめいたことなどの要点のみを書きとめます。その時その場のできごとのすべてをその時その場で文章化するのではありません。体験したこと(体験情報)の要点のみを記録するのであり、体験情報のひとまとまりごとに1点のメモをとるのが理想です。体験情報のひとまとまりを球にモデル化すると図1のようになります。


180703 メモ
図1 体験情報とメモ


つぎにカードのつかい方です。今日では、カードのかわりにブログがつかえます。ブログは、見出しと記事本文からなり、1記事1項目で書きます(ひとまとまりの内容を1本の記事にします)。これはカードの形式とおなじです。ブログには、カテゴリやタグ、キーワード検索などの機能がそなわっており、紙のカードよりもはるかに便利です。ブログを書いていれば個人アーカイブがおのずとできあがっていきます。1記事(情報のひとまとまり)を球にモデル化すると図2のようになります。


180703 ブログ
図2 ブログ記事の構造


情報のひとまとまりは情報用語をつかうと「ファイル」ということができます。図1と図2はファイルの構造であるわけです。ファイルは、上部構造と下部構造からなりたっていて、上部構造は要点・要約、下部構造は情報の本体ということになります。コンピューター・ファイルがまさにこのようになっています。

文章化の方法については先日かいた記事を参考にしてください。文章を書くということは、人間主体の情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)におけるアウトプットをするということです。
並列的な編集から直列的な表現へ - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』-

このような、ファイルと情報処理の仕組みが理解できれば知的生産活動は確実にすすみます。ブログは、ファイルづくり、アーカイブづくり、アウトプットが同時にできるのでたいへん有用です。あとは、紙の資料をデジタルデータ化できるドキュメントスキャナーがあればなおよいでしょう。

スマートフォン(とパソコンあるいはタブレット)があって、インターネットにつながっていれば知的生産活動がどこでもできる便利な時代になりました。そしてずいぶんシンプルになりました。


▼ 参考文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日

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