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映像展示「東京ヒートアイランド」
(平行法で立体視ができます)
ヒートアイランド現象が首都圏ですすんでいます。緑地をもっとふやさなければなりません。
東京・お台場にある日本科学未来館の常設展示の一部がリニューアルされました(注)。1階ロビーの映像展示も更新され、「東京ヒートアイランド - 東京圏内都市の熱環境シミュレーション -」(3分)が上映されています。

ヒートアイランド(heat island)とは、都市の気温が周囲よりもたかくなる現象のことであり、気温の分布図をえがくと、都市を中心に島のように高温域が分布することからこのようによばれます。 映像では、スーパーコンピューター「地球シミュレータ」をつかって、首都圏のヒートアイランド現象のシミュレーション結果をグラフィックにしめしています。

熱環境をきめる要素は、大気・海洋・生態などの自然現象、人間活動により排出される化学物質、建物の位置・高さ・材質、室外機の熱源などです。これらの多様な要素を考慮し、約5m区画という高い精度で計算結果をあらわしました。

首都圏のヒートアイランド現象はいちじるしいです。しかし気温分布は一様ではなく、建物の配置や地面の状態によってばらつきがあります。高層ビルにかこまれたところであっても、緑地があるところは気温がひくくなります。緑地には冷却効果があることがわかります。また東京湾沿岸では、海からながれてくるすずしい風が熱影響をやわらげています。

ヒートアイランドの対策としては、建物の配置や地面の改善、緑地をふやすことなどがあげられます。世界各地の大都市にくらべて東京は緑地がすくなすぎます。

先日、沖縄から東京にきた人が、「沖縄よりも東京のほうが暑い」といっていました。東京は本当に暑くなりました。天候にもよるでしょうが、ヒートアイランド現象の影響がとてもおおきいとおもわれます。

ヒートアイランド現象は、熱中症などの健康被害をもたらすだけでなく、感染症を媒介する蚊を越冬させてしまうというような問題もおこします。東京の生態系がかわります。

このような首都圏の事例は、ほかの大都市の都市計画、快適な街づくりのためにも役立つとおもいます。


▼ 注
日本科学未来館
平成30年度 常設展示の一部リニューアルオープン